混沌少女が異世界から来るそうですよ?   作:香坂 夜狐

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 気づいたら多くのお気に入りが、感謝感激です。
 ありがとうございます、長く続ければと思うので宜しくお願いします。
 
 今回、ギアスロールは念じて作る使用にしました、手書きとか大変そうなので。
 うちのNyarlathotep様は基本、ノリと勢いで生きる方針です。


第3話~初ゲームのようですよ?~

 ―箱庭・第2105380外門前―

 

 大きな石で出来た立派な門の前、そこで石のブロックにまたがる1人の少年が居た。

 

「ジンくーん!!」

 

遠くから声をかけられ、そちらに顔を向ける少年―ジン。彼に対して声をかけた水桶を持った、狐のような耳と尻尾を持つ少女は共に居た少年少女と共にジンに近づく。

 

「リリ、皆もご苦労様」

 

 そんな狐の少女―リリたちに対して労いの言葉をかけるジン。

 

「黒ウサギのお姉ちゃんは、まだ戻ってないの?」

 

「うん」

 

 どうやら彼達は黒ウサギの仲間のようである。その後、2,3言、言葉を交わすと門の内側に入っていくリリ達、彼女達を見送る彼の背に言葉がかけられる。

 

「ジン坊ちゃーーん!!」

 

 その声につられ、後ろを見ると離れたところに居る黒ウサギとその後ろを歩く三人の女性を見つける。

 

「新しい方々を連れてまいりましたよー!!」

 

「お帰り、黒ウサギ。そちらの"3人の女性"が?」

 

 言いながらも近づいてきた黒ウサギに声をかけるジン。

 

「イエース、こちらの方々が……」

 

 その言葉に返答しようとして、途中で止まる黒ウサギ。彼女は後ろに続く3人を見て――

 

 ――女性だけでしたっけ?――

 

 ――あれ?1人足りなくないですか?――

 

 ――その考えに1瞬の間を置いていきつく。それと同時に―

 

「あるぅえ?もう1人いませんでしたか?主に不良ぽいヘッドホンの方とか―」

 

 -疑問の声を上げた。

 

「あぁ、十六夜君なら『ちょっと世界の果てをみてくるZE☆』とか言ってあっちの方に駆けていったわ」

 

 そんな彼女に対して、そう答える飛鳥。

 

「なんで止めてくれなかったんですかぁ!?」

 

「『止めてくれるなYO☆』とも言われたもの」

 

「どぉして黒ウサギに教えてくれなかったのですかぁ!?」

 

「『黒ウサギには言うなよ』と言われたから」

 

「嘘です、絶対嘘です、実は面倒臭かっただけでしょ!!お二人さん!!」

 

 腕を振りながら涙目になる黒ウサギに対して、飛鳥と耀の二人は―

 

「「うん」」

 

 そう声をそろえて返す。

 それに対して一瞬ぽかんとなる黒ウサギ、そんな彼女に声がかかる。

 

「く、黒ウサギ?あの、もう1人の人が、それに世界の果てには…」

 

 今の今まで忘れられていた少年の言葉に八ッと顔を上げる黒ウサギ。

 

「そ、そうでした、世界の果てにはギフトゲームの為に放し飼いにされた幻獣が……もう1人?」

 

 放し飼いにされた幻獣の事を思い出し言葉にした矢先、ジンの放った”もう1人”の言葉にギギギ、、と音が出そうな硬い動きで回りを見渡すと、そこに居るのはジンと黒ウサギ、飛鳥、耀の四人だけであった。

 

「じ、ジン坊ちゃん、もう一人、白g…銀髪の女性が居ませんでしたっけ?」

 

 その場に居ないニャル子の存在に対して、横のジンに聞く黒ウサギ。

 

「彼女なら『未知の世界が私を待っていますよょぉぉ!!』って中に、止められなくてゴメン」

 

 その言葉を聞き、俯く黒ウサギ。彼女が突然顔を上げるとその髪は鮮やかな赤色に代わる。

 

「ジン坊ちゃんはニャル子さんをお願いします!!私は、もう1人の問題児様を捕まえてきますので!!──“箱庭の貴族”と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてさしあげます!!」

 

 そう言うやいなや、黒ウサギはとてつもない速さで地を駆け、木々の間を飛び回り、あっと言う間に見えなくなる。

 

「……箱庭のウサギはずいぶんと早く飛ぶのね」

 

「……すごい…」

 

「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属。力もそうですが、様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です。彼女ならば大丈夫でしょう」

 

 黒ウサギの行動に唖然としている飛鳥達に対して、ジンはそう言うと言葉を続ける。

 

「そんな事よりも中に入りましょう、先に入った方も中で移動していれば、そのうち会えるでしょう。あ、ボクはジンといいます、コミニュティのリーダーをしています」

 

「そうね、いい加減疲れたわ。私は久遠飛鳥よ、よろしく。それと、そこの猫を抱えているのが、、」

 

「春日部耀、よろしく…」

 

「よろしくお願いします」

 

 会話を終えると、ジンを先頭に中に飛鳥と耀は門の内側に入っていった。

 

 ―同時刻・箱庭・第2105380地区―

 

 大道理を歩く大勢の人々、その人々は人種も様々で中には人とは違う部位を持つ人々も多数存在する、その中においてニャル子は横道からそれた細い通路をあちこち見て回っていた。

 

「へぇー、想像していたのとはちがいますねぇ」

 

 完全におのぼりさん状態のニャル子、そんな彼女に1人の男が近づいていく。

 

「御嬢さん、ここいらでは初めて見ますね。もしや、外の世界から箱庭に来たばかりですか?」

 

 ニャル子に対して声をかける紳士風の男性。それに対して、ニャル子は目をパチクリとさせると―

 

「ナンパですか?」

 

 ―その言葉に男性は肩をガクッと落とすと苦笑いを浮かべる。

 

「いや、ナンパというわけではありません、、と言っては素敵なレディに失礼ですかね。ここいらでは見たことのない素敵なレディが居るから声をかけてみただけですよ」

 

「素敵なレディってお上手なんですからぁ!!ちょっと、初めて見る場所が珍しかっただけですよぉ」

 

 男性の言葉に対して若干うれしそうに返すニャル子、男性はハハ八ッと苦笑い気味だ。

 

「……と、着たばかり、という事はまだコミュニティには属していないという事でしょうか?なら、私のコミュニティに来られてはいかがでしょうか?」

 

「”私の”コミュニティ?」

 

 ニャル子の言葉を聞き、男性はしまった、と言う表情を浮かべる。

 

「これは失礼。自己紹介が遅れてしまいました。私はこの箱庭2105380外門に本拠を構えます、“フォレス・ガロ”のリーダーのガルド=ガスパーと言います」

 

「これはこれは、私は八坂ニャル子、と言います。宜しくお願いします」

 

「こちらこそ。で、どうです?自慢ではありませんが、私のコミュニティはこの2105380外門での多くのコミュニティを傘下に持つ、大手のコミュニティ。入って損はないと思いますが」

 

 その言葉を受け、ニャル子は「うーん」と少し考えた後、ふと思いついたように言う。

 

「では、私のギフトゲームをクリアしたらいいですよ?」

 

 その言葉を受け、ガルドは以外そうな表情をする。

 

「ほう、箱庭に来たばかりの貴女とギフトゲームですか。して、どのようなゲームでしょうか?」

 

 そのガルドの問いかけに対して、ニャル子は軽い調子で答える。

 

「いやー、ギフトゲームと言っても簡単な我慢大会みたいな物ですよ、私もどんな事が出来るのか知りたいだけですので」

 

 それを聞きガルドは考える。

 

(ふむ、興味本位か。なら、そう大したゲームでもないだろう)

 

 少し考えた後、ガルドはニャル子に対してにやりと笑いながら返答する。

 

「良いでしょう、そのギフトゲーム、受けましょう」

 

「おk、ゲーム成立デス!!」

 

 その言葉と共に契約書類(ギアスロール)が造られ――

 

「「………」」

 

契約書類(ギアスロール)って、どうやって出すんです?」

 

 ――なかった。

 

 「ハハハ…ゲームの内容を考えて念じれば出てきます、あとはその契約書類(ギアスロール)に両者が同意すれば良いだけです」

 

 苦笑いを浮かべながら言うガルド、そのガルドにニャル子は「どうも」と軽く礼を言う。

 

「では改めて、ゲーム成立デス!!」

 

 その言葉と共にニャル子の手に光が集まり契約書類(ギアスロール)形造られていき――

 

「あ、そうそう…1つ、言い忘れてました」

 

 ――その言葉にガルドはニャル子に顔を向ける。その視線の先にはニヤリとした表情のニャル子――

 

「ガルドさんのチップはあなたの所有する全てで良いデスよ?」

 

 ――その言葉と共に、ニャル子の手の上の光が収まり黒い契約書類(ギアスロール)が姿を現す――

 

「な、魔王、だと!!?」

 

 

―ギフトゲーム名"Wood of N'gai"―

 

―プレイヤー―

 ガルド=ガスパー

 

―ホストマスター側 勝利条件―

 ・プレイヤーの死亡。

 

―プレイヤー側 勝利条件―

 ・歴史の流れを正しく見届ける。

 

―プレイヤー側 制限事項―

 ・歴史の流れの阻害。

 ・ゲーム領域内の生物の殺害。

 

―報酬事項―

 ・プレイヤー側が勝利した場合、ホストマスターの所有権を得る。

 ・ホストマスター側が勝利した場合、プレイヤーの所有物を全て得る

  

―宣誓 上記を尊重し、ホストマスターの名の下ギフトゲームを開催します―

                         "Nyarlathotep"印

 

 次の瞬間、ガルドの視界に移る光景は石づくりの壁の細い通路ではなく―

 

「ど、どこだ此処は!!?」

 

 ―背の高い木々に囲まれた森であった。

 

 こうして、"箱庭"での邪神の初ゲームがはじまった。

 

 

 

 


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