ドヴァーキンのヒーローアカデミア   作:Ghetto

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スカイリム世界での前日譚です。
主人公(ドヴァーキン)の名前や、ヒロアカ要素は(まだ)ありません。
書き溜めもなしのスタートですので、更新が遅くなる場合があります。


Chapter I ドヴァーキン
0話:プロローグ


 ──―予想はしていたが……強い。

 世界を喰らう者、アルドゥインとの戦闘が始まり、かなりの時間が経過しているにもかかわらず、奴から弱っているような素振りは全く見られなかった。

 ノルドの3英雄を味方に引き入れて始まった決戦。

 

 晴天の空で霧を晴らし、ドラゴンレンドで翼を封じた。

 霧を消され大地に縛り付けられたたアルドゥインには、「焦り」の表情が確かにあったと思う。

 ……ここまでは良かった。

 

 だが翼を封じたにも関わらず、奴はシャウトとその巨躯に見合わない俊敏さで、俺達を寄せ付けようとしなかった。予定されていた大地に縛り付けてからの近接武器による短期決戦は望めず、シャウトと魔法が飛び交う、中距離の持久戦へともつれ込んだ。

 

 ドラゴンと人間では命の長さは勿論、体力・魔力・スタミナの絶対量が違いすぎる。故に、長引けば長引くほど、人間側が不利になる。

 その場にいる誰もがわかりきっている事実。だが、決着をつけようにも距離が詰められない。そのまま時間だけが過ぎていく。

 

「死ね!ドラゴン!」

「Fus RoDah!」

 揺るぎなき力を放ち、体制を崩してからの斬撃。しかし少しも動揺していないアルドゥインが、黄金の柄のゴルムレイスと古きフェルデルに向けて口を開ける。

「Yor……ToorShul!」

 ごう、という音と共に業火と風圧が発生し、二人の姿はたちまち見えなくなった。ドラゴンの、それもアルドゥインが放つファイアブレスだ。ノーガードの状態で直撃を受けてしまっては助からないだろう。

 

「この程度で我を倒すなどと……。愚かな定命の者達よ……その慢心を打ち砕いてやろう。」

「黙れ!その心臓を抉り出してやる!」

 刹那、アルドゥインの後ろにいた隻眼のハコンが大斧を振りかざし、跳躍。

 重量を活かした死角からの一撃。アルドゥインはこちらを向いているから、振り向きざまにシャウトでガードする事はできないはずだ。

 

 だがアルドゥインは動揺するそぶりも見せず、

「……次は貴様の魂で飢えを満たすとしよう。」

 気は進まないが、まぁ仕方ない。そんな気だるげな言葉を発した刹那──―

 隻眼のハコンの体が消えた。

 アルドゥインはこっちを見たままだ。

 ……奴は何をした。未知のシャウトか?魂縛の魔法?いや、魔力の気配は無かった。一体どうなって──―

 

「ドヴァーキン!落ち着いてくださいまし!」

 思考が停止していた頭に、セラーナの声が刺さった。

 そうだ、今は考えている場合ではない。考える前に、動かなくては。

「すまない、セラーナ。」

「大丈夫ですわドヴァーキン。あなたが強い事は私がよく存じております。父、ハルコンを打ち倒した時も、ウルフリック・ストームクロークの反乱を抑えた時も、あなたは冷静に戦っていましたもの。」

 そう言ってセラーナは俺の前に立った。

 いつものお嬢様言葉だが、声が震えている。

「今こんな事を言うのはおかしいかもしれませんが。父の呪縛から私を解き放って下さった貴方にはとても感謝しておりますの。ですが……。」

 そこで紡いでいた言葉を止め、セラーナはくるりと俺の方を向いた。

「もう少し、人間として。人間らしい普通の生活というものも、経験して見たかったですわ。」

「そうかい。それじゃあこの場をどうにかして切り抜けないといけないな。」

 現状で打てる策などない。ポーションによる弱体化・強化、魔法、シャウト。あらゆる手段を講じてみたが、決定打は与えられなかった。

 しかし、残るドラゴンスレイヤーは俺一人。ここで折れてしまってはセラーナに申し訳が立たない。

「という訳でそこは俺の場所だ。……少し下がっていてくれないか。」

 セラーナの手を取り、再び俺の後ろに移動させる。背中の大剣の柄の感触を確かめた。

 

「世界と共に死ぬ覚悟はできたか。ドヴァーキン。定命の者よ。」

 アルドゥインが感情のない声でそう問いかけてくる。

「いいや。次で終わらせる。最後くらい一騎打ちと行こうじゃないか。アルドゥイン。」

「路傍の塵が一人で我に勝とうなどとは……愚か!愚かなり!」

 感情などこもっていなかったアルドゥインの声に、怒気が混じる。目が更に赤く輝いた。

「Yor……!」

 今だ。奴はシャウトでの勝負に出た。

 ファイアブレスの予備動作に入った瞬間を見逃さず、素早く腰に固定していた弓矢をつがえる。

 狙うは奴の口の中。おそらく致命傷にはならないと思うが、隙はできるだろう。

 本命はその後だ。

 怯んだ隙を活かして懐に潜り込み、喉元から大剣を突き上げる……。

 

 はずだった。

「Toor……!」

 突如アルドゥインが、小首をかしげるような動作をした。

 右に射線をずらした?何のために?

 後ろを見ると、右側に走りながら氷の刃を撃ちだそうとしているセラーナの姿が目に入った。

 どういう事だ。大剣での一撃よりも魔法を警戒したのか。それにしては判断が遅い。

 違う。この違和感は、あれだ。まるで俺がもう存在しないかのような──―。

「ドヴァーキン!上を!」

 セラーナの悲鳴に近い声を聞いて理解した。

 流星のシャウトか。いや、発声せずに空から隕石を呼び落とすのだから、“シャウト”というのもおかしいか。

 何とか耐えたうえで、セラーナだけでも助け──―。

「Shul!」

 

 “太陽”の意味を持つ力の言葉がアルドゥインから発せられたのを最後に、俺は意識を手放した。




【今日のスゥーム】
※スゥーム(Thu'um)=「シャウト」のドラゴン語。タムリエル大陸のスカイリムに住んでいるノルド族に古くから伝わっている魔法のようなもの。「声秘術(せいひじゅつ)」とも言われ、声と単語をトリガーに発動する。

・揺るぎなき力
①Fus(力)②Ro(均衡)③Dah(圧力)で構成されるシャウト。
声は純粋な力として、立ちはだかる物、もしくは人を打ち倒す。
声自体には殺傷能力は無いが、第三の言葉まで用いるとかなり大柄な人間、動物、重量物であっても吹き飛んでいく。

・ファイアブレス
①Yol(炎)②Toor(業火)③Shul(太陽)で構成されるシャウト。
風を吸い込み、炎を吐き出し、地獄の炎と化す。
ドラゴンと言えばこれ。口から火を吐く事ができる。
単純な火力としても、加減して何かに着火させることもできる。
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