ストーリーが原作の時間軸に合流すると書くのが一気に楽しくなるのですが、縛りが増えていくのもまた事実。
クロスオーバー2次創作の常ですが、どちらもバランス良くって中々難しいものですね。ゲスト側を強くしちゃえば楽なのですがネ。
なるべくパワーバランスは50/50になるように書いていくつもりです。
15話:ドヴァーキン、入学式に出られなくなる。
「机に足を掛けるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!」
「てめぇどこ中だぁ?クソモブが!」
やたらとデカいドアを超えた先に飛んできたのは、良く分からない叱責と会話になってない煽り文句。これが言葉のドッジボールってやつか。
「あぁぁ!怖い人どっちもいたー!」
そして挙動不審なチャレンジャー君はこの二人に怯えているようだ。……自分の体バッキバキにして、あんな攻撃繰り出した君の方が怖いんだけどな。俺個人としては。
「あっ……君達は!」
おお良く分からない叱責してた方がこっちに気づいたぞ。……そう言えば彼、実技の時に見たような。
「君達はあの試験の構造に気づいていたのだな……。悔しいが君達の方が上手だったと言う訳だ……。」
あぁ思い出した。プレゼントマイクに質問してた眼鏡君か。そして試験の構造って何……?レスキューポイントの事?まぁいいや。とりあえず自己紹介しとこう。
「土羽勤だ。よろしく。」
「飯田天哉だ、こちらこそ、よろしく頼む!」
なんか凄いカクカクしてるな、彼。……それはそれとて隣にいる響香の事も一緒に紹介──あれ、いない。
教室の奥側を見てみると、響香は瀬奈と一緒に背の高い女子の所に行って三人で話していた。瀬奈の奴、いつの間にか登校していたようだ。どこに行っていたんだろうか。
「それよりも土羽君!君の個性は一体何なんだ!実技試験の時に後ろから見させて貰ったが、スピードだけじゃなくパワーもある。更に後ろにいた俺に敵の位置を知らせてくれただろう?索敵もできるのか?」
色々見られてるな……。まぁ開幕スタートダッシュを決めたんだ、それもそうか。さてどうやって話そう。
「個性としては……周りの元素や音波、エネルギーを力に変えるものらしいよ。医者もよく分かってなかったんだ。特定の音を出すと、色々な現象が起きるんだ。」
多分これが一番無難な説明だろう。……自己紹介の度にこれを聞かれて話す事になるのか、それはそれでちょっと憂鬱である。
「そうか、なるほど!ちなみに俺の個性はスピード型だ。実技試験の時は遅れをとってしまったが、今度是非スピード対決をさせてくれたまえ!君の個性は非常に興味深い!」
スピードか……話してて思い出してきた。実技試験で索敵の結果を伝えた時、やたらと反応と移動速度が早かった受験生がいたが、あれは彼だったのか。
「わかった。飯田君、その時はよろしく頼むよ。後はほら、実技試験で実際にあの巨人を倒したのは緑谷君だ。彼の事もよく知っておいた方が良いんじゃ無いかな?」
それだけ伝えて、俺は彼との会話をお終いにした。チャレンジャー君に、カクカク君の対応をパス。後ろで“へへぇ?!”と言うよく分からない悲鳴が聞こえたが、気にしない。俺だって初日のホームルーム前くらい、少しゆっくりしたいのだ。……そう思って席に着いたところで追加でドアからもう一人。
「あっ!そのもさもさ頭は!」
チャレンジャー君、もとい緑谷君が今度は嘔吐少女に絡まれている。……随分と挙動不審だが満更でもなさそうだ。まぁ自分が助けた女の子がきゃっきゃと話しかけてくるのだ、悪い気はしないだろう。
席に着いてから改めて周りを見渡すと、実技試験の時にはいなかった(と思う)クラスメイトが多かった。あれだけの人数が一斉に実技試験をしたのだ。沢山のグループがあったのだろう。そういう意味ではカクカクの彼と嘔吐少女、チャレンジャー君と瀬奈、響香。短い時間であったとは言えど、知っている人間がこれだけ多いというのは結構ラッキーなのかもしれない。友好関係は円滑に築く事ができそうだ。
「あ、あの時の叫んだ人!同じクラスなんだ!」
こっちに気づいたか。てか叫んだ人ってなんだ。
「ああ、チャレンジャー……緑谷君も君も同じクラスなんだね。改めてだけど、土羽勤だ。よろしく。」
「私は麗日お茶子、よろしくね土羽君。」
共通の話題である直談判の一件を出そうかと少し思ったが、緑谷君の名誉のためにもやめておく事にした。ひょっとしたら彼は俺達がした事について知らないかもしれないし、そうでなくてもクラスメイトに知られるのは悪いことではないにせよ、恥ずかしいだろう。
「お兄様、そちらの方がお話に出てきた女性ですか?……間違っても余計な事は言わないでくださいね?」
またいつの間にやら響香達と会話を切り上げた瀬奈が唐突に話しかけてきた。
「俺をなんだと思ってるんだ。彼女の名誉の為にも実技試験の時に俺がゲr……ぐはっ!」
「おだまりなさいませ。」
鳩尾に強力な一撃。確かに今のは俺が悪いとはいえ、何故俺の周りの人は鳩尾を執拗に攻撃してくるのだろうか。とても痛い。
「え?お兄様……?土羽君が?」
「おい、この子今あいつの事をお兄様って言ったぞ。」
一連の会話を聞いていたクラスメイトがざわつき始めた。
「はい。土羽勤の双子の妹の、土羽瀬奈と申します。どうぞよしなに。」
向けられた好奇心に一切動揺することなく、瀬奈が自己紹介をする。
数秒の沈黙。
「双子なのに全然似てねぇ!」
「やっば!黒髪美少女で双子の妹でお嬢様言葉とかやっば!“個性”尖り過ぎだろ!」
何故か瀬奈が人気者になった。本人が嬉しそうだから良しとしよう。
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瀬奈の周りに人だかりができて教室が騒がしくなり始めた時、担任の先生と思われる人が教室に入ってきた。寝袋に入った状態で。この高校の教員は変人じゃないと務まらないのだろうか。スカイリムにだってこんな奴はいないぞ。
で、聞くところによると俺達は入学式に参加する事は叶わず、何でもこの先生──相澤先生の独断により“個性把握テスト”とやらをやるらしい。曰く、
「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ。」
だそうだ。隣のB組はどうなるんだろうか。
ともあれ先生の指示……という事であれば仕方ない。入学初日は平和に過ごせそうだと思ったのに、どうやらそういう訳にも行かないようだ。まさか今日使う事になるとはなぁ。そんな事を考えながら俺は鞄から新品の体操服を取り出し、更衣室へと急いだ。
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「……なぁ土羽。妹さん超可愛いじゃん。全く羨ましいぜ、あんな妹さんと毎日一緒に当校出来て。」
更衣室でそう話しかけてきたのは、“フランク”が服を着て歩いているかのような風体の上鳴君だ。
「言うほど良いものでもないぞ……支度が遅くても文句は言えないし、厭味は飛んでくるし。」
「かーっ!わかってないねぇ、その何気ない日常が良いんじゃないか。なぁ?峰田。」
「そうだそうだ!土羽、お前は女子と普通に話せるという贅沢に慣れすぎている!日頃女子と会話する事さえままならないオイラに謝れ!謝罪しろ!」
「あぁ……その、なんかすまん。」
「素直に謝んなこの野郎!オイラが惨めになるだろ!」
そんな理不尽な。……この場で“実は耳郎響香とは幼馴染で、よく三人で遊んでました。お泊りイベントもあったよ。”なんて言った日にはどうなるか分かったものではない。ここは自然にバレるまで何も言わないでおこう。
「まぁまぁ峰田よ。少し落ち着け。俺考えたんだけどさ、土羽兄を起点にして瀬奈ちゃんをトリガーにすれば、クラスの女子と良い感じの関係が作れそうじゃないか?」
なんかよく分からない野望の片棒を担がされる気がする。そんな俺の気などお構いなしに、上鳴君は計画の骨子を饒舌に語り始める。
「例えばこうだ、土羽兄……勤と俺がカラオケに行くとする。すると優しい勤君はせっかくだからと瀬奈ちゃんを誘う。さらに瀬奈ちゃんは──」
なるほど、俺をダシにして瀬奈を釣るって戦法か。……瀬奈の性格を考えると、多分彼らが声をかけても二つ返事でほいほい付いて行く気がするんだが。
「あのさ、峰田君と上鳴君。瀬奈は多分、君達が直接誘っても大丈夫だと思うよ?そういうお誘いと言うかイベントと言うか。好きだし。」
二人がこいつ何を言ってるんだ?という目で見てくる。
「多分君達から見て、瀬奈は“おしとやか”とか“取っ付きにくい”とかそんな感じで見えてるんじゃないかと思うんだけどね。俺──兄目線で見てもそれは無いから安心してくれ。どちらかと言えば、男女の垣根無く“一緒に遊ぶ”のは好きな方だよ。まぁでも最初からぐいぐい誘うのは気が引けるか。……良し、今日でも誘ってみようか?場所によるだろうけど、駅前のハンバーガー屋位なら多分行くって言うと思うよ。」
二人の目の色が変わった。素直なのは良い事だ……と思うよ、うん。
「おぉ!マジか!さすが余裕のある男は言う事が違うぜ!じゃあ放課後ヨロシク頼んだ!」
「オイラ、お前と同じクラスで良かったよ!ありがとな!」
上鳴君と峰田君は口々にお礼を言うと、小躍りしながら着替えを再開した。
なんか、アレだ。ファエンダルの頼み事を聞いてあげた時の事を思い出した。まぁあの時は偽造ラブレターを届けるという、控えめに言って最低な事をしたのだが。今回は特別な関係を取り持つとかそういうものでも無いし、おかしな事にはならないだろう。きっと。
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着替えを終えた俺達はグラウンドに集合、相澤先生の話──“個性把握テスト”の概要を聞いた。
実施するのは50m走を始め八種目。中学校の時と異なるのは、個性の使用が認められているという事。有り体に言えば、何でもアリって訳だな。クラスメイトの中からなんか面白そうだ、という声も漏れていたが確かに興味深い催し物であると言える。
それを聞いていたのか、相沢先生がしれっととんでもないことを言い出した。
「……面白そう、か。ヒーローになるための3年間、そんな腹積もりで過ごすつもりなのか?……よし、全種目トータルの成績が最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう。」
話を聞いていたクラスメイトが一気にざわつき始める。そりゃそうだ、入学式にも参加せず除籍だなんていくら何でもあんまりである。……これは本気を出す必要がありそうだな。
「生徒の如何は俺たち教員の自由。……これが雄英高校ヒーロー科だ。これから三年間、雄英は君達に苦難を与え続ける。更に向こうへ──PlusUltraさ。」
どうやら俺が想像していたよりも、この高校は割ととんでもない所らしい。更に向こうへ、って言うより一方通行の綱渡りじゃないか。
「まずは50m走から始めるぞ、ぼさっとするな。各自用意しろ。」
首をかけたレースが始まった。飯田君とは早速スピード対決ができそうだ。
???「後書きの小ネタを沢山用意してくれたら、親友になってあげるよ……永遠のね!もちろんお金も払うさ!今までの貯金全部、2ゴールドだよ!」
【今日の小ネタ】
・ファエンダル
リフトからホワイトランに行く途中にある村、リバーウッドに住むエルフ。弓術を得意としておりリバーウッドにドラゴンが現れた時には、どばきんが右往左往するのを尻目にゴリゴリ体力を削る活躍をする事も。
吟遊詩人のスヴェンとは恋敵で、彼らのうちどちらかの肩を持つクエストが発生する。その内容が、イタい内容が書かれた偽のラブレターを意中の女性に渡すと言う、何ともしょーもない計略。
彼の肩を持つと弓の訓練の手解きを無料でやってくれる為、お世話になったどばきんは多いと思われる。