ドヴァーキンのヒーローアカデミア   作:Ghetto

2 / 22
少しずつですがヒロアカ世界に寄せていきます。
※あとがきには、文中に出てきた魔法やシャウトを独断と偏見で紹介していきます。


Chapter II 土羽勤として
1話:ドヴァーキン、4歳児ライフを堪能する。


 ……暖かい。

 羽毛のベッドが気持ちいい。

 目が覚めて意識を取り戻し、周りを見渡すと俺は知らない家の知らないベッドで横になっていた。

 

 ……そうか。ここが、ソブンガルデか。

 アルドゥインとの戦いの中で、俺は隕石に体を潰され死んだ事は確かなはずだ。

 同時にまだ生きている、という事は考えにくいとも感じた。

 隕石や炎が吹き荒れる戦場で、親切な誰かが倒れている俺をベッドまで運んでくれるとも考えにくい。

 

 つまりこういうことだ。

 ノルドの3英雄がいた所は、ソブンガルデではなく“ソブンガルデに行く前の場所”であって、ここが本当のソブンガルデという事だ。

 

 伝承によれば酒は飲み放題で肉は食べ放題。昔の戦友と楽しく語らえる所……と聞いていたが、部屋には誰もいなかった。

 ここは宿屋の寝室のようなところなのか。

 

 と、思案にくれていた所で一つの事実に気が付いた。

 周りの家具や調度品がデカい。

 否、俺の体が小さいのだ。

 これはどういうことだろう。

 

 ソブンガルデに行くと、年齢が若返るのだろうか。

 不思議なこともあるものだな、と思いつつベッドから体を起こして立ち上がると、ドアの向こうから誰かの足音と声が聞こえてきた。

「つとむー。朝ごはんできたから起きなさーい。」

 つとむ、という名前を呼ばれた瞬間に、つっかえた引き出しがいきなり開いたかのように、一気に記憶とあらゆる単語がなだれ込んできた。

 

 つとむ。どばつとむ。土羽勤。そう、これは「おれ」の名前。

 今の声の主は、おかあさん。おとうさんはしごと。

 今日はふたごの妹とようちえんに行く日。じてんしゃにのって。

 テレビ。あさごはん。すなば。鬼ごっこ……あそぶ!

 

 なんとも不思議な感覚だが、自分が土羽勤であると思い出したと言えばいいのか。

 いや、これは“生前の記憶を、起きた時に思い出した”という方が正しいな。

「これが……ソブンガルデか!すげー!」

「そぶんがるで?なぁにそれ、幼稚園の新しいお遊び?」

 ドアを開けた母さんが不思議そうな顔をして聞いてくる。

「うーん。ちょっとちがうけど、だいたいそう!」

 特に演じているつもりはないのだが、自然と年相応の言葉が口から出てきた。

 子供では酒は飲めないが、平和な人生というやつを謳歌できるのか。ソブンガルデは最高の楽園らしい。

 

 

 ==========

 

 母さんに抱かれて1階の居間に降りると、妹の瀬奈がテレビを見ながらパンをかじっていた。

「あ、お兄様おはよう!」

「おはよう瀬奈。」

 瀬奈は双子の妹で、同じ幼稚園に通っている4歳だ。家族である事を抜きにしても、黒いストレートの髪がとてもきれいだと思う。

「瀬奈、あなたいつお兄様なんて言葉覚えたの。」

 母さんが不思議な顔をして瀬奈を見ている。

 確かに“お兄ちゃん”とか、“おにい”が普通ではあると思う。少なくとも友達はみんなそうだ。

 

「お兄様聞いて!私ね、こせーが出るの!」

 母さんの疑問をスルーし、瀬奈が満面の笑みでこっちに来た。

「ほらみて!」

 そういうと、手のひらを空に向かってかざし、えいっと声をあげた。

 小さな氷が手の上に出現し、朝ごはんのオレンジジュースのコップの中にホールインワン。

「つめたいオレンジジュース、めしあがれ!」

 ニコニコしながら俺のコップを指さした。

 妹の名誉のためにも突っ込まないでおくが、この氷……お腹こわさないよね?大丈夫だよね?

 

「ありがとう、瀬奈。うーん、おれにもできるかなー。」

 破壊術はあまり得意ではなかったが、ウィンターホールド大学に入学して、少しは扱えるようになったのだ。この体でもできるだろうか。

「お、勤もなにかできるのかなー?お母さんも見たいなー!」

 ううむ。なんだか緊張してきたぞ。

 手を少し丸め、力を集中させる。マジカの流れを意識して……。

 パチパチと音を立てて、小さな雷が出てきた。

 ……スカイリムではもう少しマシだったような。

 今のこの体ではこれが限界という事だろうか。

 

「さすがお兄様ね!」

 瀬奈はニコニコとしている。

「私の個性でも、お父さんの個性でもないなんて。こういう事ってあるのねぇ。今度病院で聞いてみようかしら。」

 母さんは不思議そうな顔をしている。雷と氷の魔法。何か問題があるのだろうか。

「え?母さん、病院?俺と瀬奈、どこか悪いの?」

「え?ううん、違うの。子供はね、個性が出てきたら病院で診てもらうのよ。それが普通なの。」

「へぇー。」

 どうやらソブンガルデでは魔法を扱えるのは特殊らしい。

 それもそうか、ノルド族ってスゥームを除けば剣と腕っぷしで渡り合ってきた人種だもんな。

 俺もドヴァーキンとして活動するまでは魔法なんて一切できなかったし。

「……あ、いけない!もうこんな時間。勤!瀬奈!急いでご飯食べちゃって。幼稚園に遅刻するわよ!」

「「はーい。」」

 母さんの声かけを合図に、俺たちは中断していた朝ごはんの時間を再開させた。

 ソブンガルデには、幼稚園というものがあるのだ。

 




【今日の魔法】

・アイススパイク(Ice Spike)
見習いランクの破壊魔法。氷の槍のようなものを生成し、投擲する。
セラーナが使うとやたらと強く感じる。
ドヴァーキンによっては素人ランクの氷雪(Frostbite)の方が使えるという人も多いかもしれない。
この魔法に限った話ではないが、スカイリム世界では「素人ランク」=使えない、という訳ではない。
むしろ素人ランクの魔法は総じて燃費が良く、最後まで主力になる事が多い。(特に回復)

・雷撃(Sparks)
素人ランクの破壊魔法。電撃を継続的に相手に照射する。
マジカにもダメージを与えらえれるため、魔導士に有効。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。