ドヴァーキンのヒーローアカデミア   作:Ghetto

22 / 22
年度初めバッタバタで更新が間延びしてしまいました。

ところで。
皆様におかれましては――
マーラのアミュレット、誰に使いましたか?


20話:ドヴァーキン、幼馴染の話しを聞く。

「ようお二人さん。校門のアレ、大丈夫だったか? なんか授業はどんな感じだとか、聞かれなかったか?」

 教室について席につこうとした時、上鳴君に呼び止められた。話しの内容からして校門を塞いでいた取材陣の事だろう。

「すごい人数だったね。俺の方は先生としてのオールマイトはどんな感じかって聞かれたよ」

 何でもオールマイトが雄英の教師になった事を受けて、マスコミ各社が取材をしようと通学時の校門に殺到したらしい。登校してくる学生にも無差別にインタビューをしているという有様で、俺が丁度校門をくぐった時には相沢先生が取材陣を追い払う為、学校から出てきた所だった。登校に支障が出ている、と誰かが判断したのだろう。

「あの量の人混みはちょっと苦手ですが──ヒーローを目指すとなると、こういった事にも慣れていかないといけませんのね」

 瀬奈がややうんざりした表情を作る。確かにマスコミからは好意的というより、好奇の目を向けられるのだからあまりいい気分はしないだろう。かと言ってつっけんどんな対応をしてしまえば、何を言われるかわかった物ではない。

「ヒーローって人気商売な所もあるからなぁ。まぁ、ある程度は仕事してると慣れてくるんじゃね?」

 上鳴君らしい楽観的な意見を述べた後にああそう言えば、と話を続ける。

「先週の土曜日、ありがとうな。キツかったけど、面白かったぜ」

「全然。これからも定期的にやろうと思ってるから、やる日が決まったら連絡するよ。次はもう少しレクチャーの方法も改善できると思う」

 

 あれから反省会の後にクラスメイトの多くと話をした結果、錬金術について学びたいと申し出があったのは親睦会メンバーの3人に八百万さんと麗日さん、そして緑谷君が加わって計6名。上鳴君と峰田君は、女子が2名追加された事に上機嫌だった。

 新たに加わった3人に理由を聞いてみたところ、八百万さんは自身の個性である創造能力と相性が良いと思ったからだそうだ。

 緑谷君はプロヒーローやクラスメイトの個性や戦術に興味があるらしく、俺の“継承できる個性”に関心があるとの事。ただ個性の反動を抑える事は、自分の力で何とかしなくてはいけないと思っているらしく、回復・再生に関する事にフォーカスせず満遍なく教えて欲しいとリクエストを受けた。

 そして麗日さんは……“錬金術”と言う響きを聞いて俄然興味が湧いたらしい。金を練成する術と勘違いしていなければ良いが──もしそうだとしたら適切なのは錬金術ではなく変性魔法の鉱石変化になる。尤も、学生の身分で個性を“売る”という行為が倫理的にも校則的にもどうなのかは謎だ。

 

 そんなこんなで6名を相手に先週の土曜日、学校の森林区画を使って錬金術の基礎を教えたのだが、響香の時には無かった問題が発生した。

 皆の薬効を判断する能力が、響香が初めて錬金術を学んだ時と比べて明らかに低かった。薬効を発現させた素材を食べて貰っても、効果が殆ど現れなかったのだ。口に入れる量を増やせば何とかわかるものの、必要な素材の量と身体への負担を考えると現実的とは言い難い。

 響香にも講師役を手伝ってもらっているが、彼女もまた修行中の身。教え方がうまくいかず苦戦しているようで、俺の方でフォローをしながら進めている。

 そして、仮にこの問題をクリアしたとしてもここから更にマジカの使い方を覚える必要があるのだ。前途は多難である。

 

 だが、目下それよりも厄介な問題が現在進行形で発生している。

「ところでお兄様、響香さんにはいつお気持ちを伝えるのですか?」

 あれから何も言っていないし、特に瀬奈や響香に対する接し方も変えたつもりはないのだが、瀬奈にバレた。……尤も反省会のあの場でダンマリを決め込んだ時点でバレるのは必然なのかも知れないが。

「だからそれはタイミングを見てちゃんと──」

「なるほど。つまりまだ心の準備が整っていないと。嘗て“ドラゴンを殺す者”と尊敬され、恐れられたのも遠い昔のようなへたれ振りですわね」

 反論させて欲しいのだが、正直な所下級のドラゴンを1人で相手にする方が恋愛沙汰を切り抜けるよりも格段に楽だと思う。自分の事だけを考えれば良いのだから。

 ……とは言え瀬奈の言うことがあながち的外れと言うわけでもない、という自覚は多少はある。いよいよファエンダルの事を笑えなくなってきた。

「錬金術云々もよろしいですが、お二人で何処かに行かれては?」

「お前抜きでか」

「どうしてその場に私がいるのですか。理解に苦しみますわ」

「2人で行く理由が無いだろ。それに今まで三人で行動が普通だった訳で──」

「席につけー。ホームルーム始めるぞ」

 気怠い感じを隠そうともせず、相沢先生が入室してきた。

 結果的には問題の先送りでしかないが、実に良いタイミングでやって来てくれたものだ。心の中で我らが担任に感謝の言葉を述べつつ、席につく。

 

 この世界では少し恋愛に関する常識がスカイリムと異なる。慎重に進めるべきなのだ。

 

 

 =========

 

 

 慎重に進めた結果、特に進展は無く数日が経過した。

 校門前に詰めていたマスコミにセキュリティゲートを突破された事や、学級委員長が紆余曲折を経て緑谷君から飯田君になった等、周りでは色々な事は起こったのだが、それ以上に俺の身に厄介な出来事が──

 

「ねーねー。勤はさぁ、このままでいいのー? 幼馴染のままでいいのー?」

 お小言を言うお友達が増えた。どうも業を煮やした瀬奈が芦戸さんに相談──と言うか漏らしたらしい。

 そして、瀬奈から話を聞いた芦戸さんの中で疑惑が確信になったそうだ。なんて事をしてくれるんだこの妹は。せっかくのお昼休みが台無しである。午後からヒーロー基礎学でまた体を動かすのだ、少しは静かに過ごさせてほしい。

「お兄様に任せきりでは全く動く気配がございませんでしたので、芦戸さんにもご協力いただく事にしましたわ。それと、こんな時のためにお勧めのカフェやレストランも抑えておきましたのよ。レビューサイトをチェックして、実際に足を運びましたの」

 確かに入学初日からこっち、瀬奈は一人で行動している事が確かに多かったがそんな事をしていたとは思いも──

 

 初日? 

「ちょっと待て。お前一体いつから!」

「そんなもの、今は詮無き事ですわ。それよりも、どういう目的で何処に響香さんを連れ出すのか……これを考える必要がありますわね。芦戸さん、如何ですか?」

 無視された。どころか、勝手にプランを立て始めたぞこの二人。

「うーん、そうだねぇ。耳郎は音楽が好きなんでしょ? だったら何処かのライブコンサートとかに誘う、とか?」

「却下ですわね。お兄様の知る音楽と言えば語呂の悪い詩吟しかありませんので、いきなり響香さんの嗜好に合った音楽をチョイスするのは不自然だと思いますわ。最悪、私達の工作を疑われて面倒な事に──」

 気のせいだろうか、ものすごく失礼な事を言われている気がする。“赤のラグナル”は芝居も含めて結構気に入ってたのだが。

「そっかー。それじゃあ勤の趣味に合わせてみる?」

「そんな事をしたら響香さんがガチの山登りに連れていかれるか、山菜の拾い食いが始まってしまいますわ」

「人の趣味をさも野蛮な何かみたいに言わないでくれるかな? 一応言っておくと人が住んでるエリアでも、結構食べられる野草は多いんだよ? 例えばクレソンとかはそこら辺の河原に生えてる──」

「お兄様の趣味を否定するつもりはありませんが、初めてのデートのプランにそれを入れるのはどうかと思いますの」

 そう言われてみれば響香とは、小学校の時に公園で遊んだり家族ぐるみでショッピングモールに行ったりした事はあったが、所謂“男女が二人で行きそうなところ”には殆ど行った事がない。ましてや二人で、となると全くないのではないだろうか。

 そういった嗜好や願望がないという訳ではないのだが、例えば服や靴を買いに行く時は専ら一人で行くか男友達と行っていた気がする。若しくは瀬奈か。

 響香と何処か特別な場所(と言うと語弊があるかもしれないが)にあまり行くことが無かったのは、一緒に行動する契機が“幼稚園時代の約束”である事が原因なのかもしれない。それでもそれなりに彼女との思い出が多いのは、特訓や発声の披露にかなりの時間を費やしたからだろう。

 

「そうは言ってもなぁ、他に趣味らしい趣味なんてまーちゃんの散歩とか世話とか──」

「ペットかぁ! 猫カフェとか! どう?」

 芦戸さんが人差し指を立てながら提案。せっかくのお心遣いですが、我が家のまーちゃんは──

「芦戸さん、まーちゃんは蟹ですの。猫はどちらかと言うと捕食者ですので、匂いがついた状態では家にあげてもらえなくなるでしょうね……」

「えぇ?! 蟹がペットなの? 散歩なんてするの?」

 驚いている芦戸さんに、スマートフォンで写真を見せる。

「へぇ、勤と瀬奈ん家ってこんなのいるんだ……てか懐くんだ、カニ──あっ!」

 芦戸さんは何か閃いたらしく、俺のスマートフォンを取り上げて何やら操作をした後、それを高らかに掲げて叫んだ。

 

「これだよ! 瀬奈! 電車で少し行った所に、公園と水族館があるよ! 夜は花火も見れるんだって!」

 水族館か。少し足を延ばせば海がある地元である。フィールドワークの延長で漁港や釣り場には足を運ぶ事はあったが、水族館となると久しく行っていない。確か……小学校の時に家族で行った時以来だ。

「名案ですわ、芦戸さん。お兄様の趣味嗜好ともマッチしておりますし、水族館でしたらデートスポットとしても申し分ありません。芦戸さんの地元にあるテーマパーク程難易度も高くないでしょうし、これならへたれのお兄様でもエスコートできるかと」

 やはり失礼な事を言われているのは気のせいでなかったようだ。しかしながら、隣に上鳴君と峰田君が居ないのは不幸中の幸いだ。面倒な話が更にややこしくなる。

「よし! それじゃあ早速プランについて考えていこう! 良いなぁ楽しみだなぁ!」

「それより先に、目の前の納豆定食を片付けたらどうだい?」

 俺がそう伝えると、芦戸さんは思い出したかのように箸を手に取った。だがしかし、口は止まる様子を見せない。

「ほんはほほいっへはら、ひかんがなふなるよ? ……んふっ」

「うん、わからん」

「──そんな事言ってさ、アタシと瀬奈が考えなかったらまた先送りにするつもりでしょ」

 図星ではあるが、それを芦戸さんにどうこう言われる謂れは無いような気がする。

「ダメだよ! この間も言ったけど耳郎は綺麗なんだからさ。雄英はヒーロー科以外にも普通科とかサポート科とか、生徒は沢山いるんだよ? 誰かも分からないヤツに取られちゃったらどうするのさ」

「そんな数段先の仮定の話をされても……」

「お兄様、芦戸さんの言う通り後悔先に立たずですわ。ここは私達の言う事をきちんと聞いて、そのまま実行してくださいまし。えぇ、勿論後悔などさせませんもの」

 

 ……結局俺が折れて瀬奈と芦戸さんのデートプランを昼休み中延々と聞かされる羽目になってしまった。確かにこうした色恋沙汰に疎いのは認めるが、彼女らが考えているプランとやらも中々“ぶっ飛んでいる”気がするのだ。他人事だと思って好き放題やっていないか、どうにも信用しきれない。

 

 

 =========

 

 

「今日のヒーロー基礎学は俺とオールマイト、そしてもう一人の三人体制で見ることになった。今日は……レスキュー訓練だ」

 午後のヒーロー基礎学は災害救助等の演習を目的とした訓練か。これはスカイリムでもあまり経験が無い分野だ。色々と学ぶことは多そうである。

「レスキューだってよ、ある意味戦闘より大変じゃねーか?」

 上鳴君が苦笑いしながらこちらを見てきた。なるほど、彼の個性は帯電であるから直接人命救助には使えないと考えたのか。

「ものは考えようじゃないかな。例えば感電のリスクがある区画を通過しなきゃならない時には、上鳴君が避雷針になれば皆が安全になる」

「おぉっそれいい考えだな!」

「まぁそんな限定的なシチュエーションばかりでは無いだろうから、やっぱり地力が必要とされるのは間違いないだろうけどね。それでもできない事よりも、自分の得意な事を考える方が建設的じゃない?」

「土羽お前やっぱすげー奴だな!」

 クラスメイトから慕われて褒められると言うのも、存外悪くないものだ。手前味噌になってしまうが、こういう時のフォローはスカイリムで散々経験をしてきたので多少は自信がある。

「この話術、どうして特定の状況下で形無しになるのでしょうか。全くもって謎ですわ」

 瀬奈が後ろでぼやいているのが聞こえる。大きなお世話だ。

「それとこれとは関係ないだろ。それにいざとなったら先に行動を──」

「でしたらお兄様、今日中に何かしらの行動を。お願いしますわね」

 あ、しまった。

「訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗って行くぞ。──あぁそうだ、コスチューム類については着用するか否か自由とする。……ほれ、ぼさっとするな、各自準備開始!」

 

 さて、色々と考える事ができたぞ。果たしてどうするか──

「勤。アンタその弓、どうすんの?」

 クラスメイトの殆どが教室から出た後、コスチュームを前に思案に暮れていると響香が後ろから話しかけてきた。

「うーん。取り回しを考えると持っていかないのもアリかな、と思ったんだけどね」

 弓のフレームを持って体の周りで少し腕を振り回す。やはり以前使っていた弓よりも遥かに軽い。すぐに答えは決まった。

「そんなに重くもないし、もしかしたら救助の役に立つかもしれない。持っていく事にするよ」

 どういう訓練かにもよるが、要救助者に回復薬や薬品を投与できるのは大きなアドバンテージになるだろう。持って行って損はしないはずだ。

「良いなぁ飛び道具。ウチもそういうリクエストもっと沢山しておけば良かった」

「響香にはプラグがあるじゃない。音波も飛ばせるし、シャウトだってできる。更に薬も作れる。もう十分手段はあるじゃない」

 そう言って彼女の方を見ると、少し怒ったような顔をしてこっちを見ていた。

「その半分は、アンタの受け売りでしょ。ウチはね、自分の力だけでクラスの皆に負けないようになりたいの」

 先日のヒーロー基礎学で、俺を負かした実績は無かったことになっているのだろうか。まさかアレも魔法を使ったからという理由で、ノーカウントにしているのか。

「それは違うよ。仮にシャウトや錬金術が貰い物の個性だったとしても、俺がただ教えたからってできるワケじゃない。この間の上鳴君とか八百万さんを見たでしょ? 響香の時よりも格段に進みが遅いんだ。俺が思うに響香には“習得の才能”があるんじゃないかな」

 ただ少し元気づける──位の感じで軽くフォローをしたつもりだったのだが、

 

「それで? 勤の言う通り習得する才能がウチにあったとして、アイツらだって全く出来ないんじゃなくって、少しはできてるでしょ? そんなのウチが少し先取りできてるってだけじゃん。皆が当たり前にできるようになれば──いつかは追い付かれて、追い越される」

「どうだろうね、個人的にはかなり苦戦すると思うし、響香はその何倍も練習してるんだからそう簡単には抜かれないと思う──」

「そういうのホントに要らないんだけど。」

 響香の表情はさらに険しくなり少しだけ怒気が混じり始めた。

「そもそもの話が飛躍しすぎてるよ。才能だけじゃない、響香の努力とかかけた時間とか、そういう諸々の条件が──」

「じゃあ勤はクラスの皆が努力しない、個性だけの才能マンだって言うんだ?」

「そうは言ってないでしょ。」

 どうしてこうなった?弓の下りで何かまずい事を言っただろうか。

「もういい、勤がそう言うならそうなんじゃない。ウチにはよくわかんないや」

 そう言うと俺の脇を抜けて教室から出て行こうとした。

 反射的に手を取り、立ち止まらせる。何とか落ち着かせないと。この状態で授業に参加しても、良い事にはならないだろう。

「どうしたの響香、なんかちょっと変だよ。何か気に触る事を言ったかな?もしそうだとしたらごめん。でも少し落ち着いて……」

「落ち着け?誰のせいだと──」

 手を振り解き忌々しげに机を叩いてからすごい目つきで睨んできたが、目が合った瞬間に響香は一瞬怯えたような表情に変わって目線をずらすと、何も言わずそのまま目を伏せてしまった。

 

 1分程そのまま少し沈黙が続いた。

 小さく小刻みな息遣いだけが耳に入ってくる。

 

「……ごめん、怒鳴って。ウチがおかしいのは分かってる」

そう呟いてから少し間を置いて、響香がゆっくり喋り始めた。

「入学してからクラスメイトの皆がさ、ウチなんかよりもすごい個性ばっかりで最初は“あぁ、さすが雄英だな”って思ってたんだけど、ウチには勤から教わった個性があるからまだ頑張れるって思ってたんだ。そしたら今度はクラスメイトの皆に個性を教えるって事になったじゃない。その時にさ、ちょっとだけこう思っちゃったんだ」

 目を合わせず下を向いたまま話し続ける。

「ウチだけの力だと思ってた物は“たまたま先に教えて貰えてたタダの借り物”なんだって。最悪だよ、実際に他のクラスメイトが教わってるのを見て、いっその事失敗すればいいのにって思っちゃったし。教えるのも全然やる気にならなくて」

 少し長めの深呼吸を置いたが、話しは止まらなかった。

「勤も余計なことしないで今まで通りウチだけに教えてくれれば、それでいいのに。なんでわざわざライバルのクラスメイト強くすんだよ、バカ──って。でも、そういう事を思ってる自分が一番嫌だったし、許せなかった」

 言い切った肩が僅かに上下しており、響香の頬が濡れているのが見えた。

 そんな事を考えていたのか。後学のために良かれと思って講師役を頼んだが、早すぎたか。

「ごめん、気持ちを察してあげられなくて。そういう事なら何か理由をつけて中断しても──」

「やめて。……ウチが惨めになるだけだから」

声と同時に手で遮られた。

「個性把握テストの時、勤に頼らないで自分の力でなんとかするって約束したし、アンタのライバルだって啖呵切ったんだからさ。自分でなんとかするから、ちょっと待っててよ。あぁでも……瀬奈には内緒にしておいて。100%ウチの度量の無さが原因だから。心配させちゃ悪いし」

 そう言うと少し鼻をすすり、乱暴に目を腕で拭ってからぎこちない笑顔を作って。

「こんなくだらない話、最後まで聞いてくれてありがと。……早く行こ? 遅いと相沢先生と飯田にどやされるよ?」

 それだけ言うと、響香は足早に教室を出て行ってしまった。

 

 自分の気持ちと弱さに正直に向き合い、ヒーロー科とは言え高校生──その体面や名誉という特殊な抽象概念を受容し更に成長の糧とするとは。置いて行かれているのは俺の方なのかもしれないな、としみじみと思った。

 

 同時に泣いた顔も綺麗だったなと、ちょっとだけ思ってしまったが……これは言ったら殺されそうな気がするので心の中にしまっておくことにしよう。




???「ようやく後書きですね。さあ、靴を脱いでゆっくりしていって下さい。──何かあれば言って下さい。このところ、時間だけはいくらでもあるんです」

???「ニッチなクロス小説へようこそ。お客様が来るのはうれしいですね」

【今日の小ネタ】

・話術
スキルに分類される技能のひとつ。会話により他者に影響を与えたり、商売を有利に進めることができる。
技術を磨いていくと、盗賊ギルドに所属していなくても盗品売買ができるようになったり、商品をまとめて売れるようになったりと生活が便利になっていく。
また、クエストやストーリーラインの随所で出てくる選択肢(説得・脅迫など)の成功率も上昇する。

・赤のラグナル
曰く「美しいけど血生臭い物語だ。ああ、できる」
語呂と息継ぎが色々と大変な歌……歌?
某動画サイトにはMVとして舞台化されたものが存在するので、気になるノルド人はチェックしてみよう。

【今日の魔法】

・鉱石変化
精鋭ランクの変性魔法。
手持ちの鉄鉱石を銀鉱石に、銀鉱石を持っていた場合は金鉱石へと変化させるという、錬金術もびっくりの割ととんでもない魔法。
ダンジョンに落ちている宝石と合わせて鋳造すれば、スキルを上げつつお金も稼げる。
……のだが、スクロールは魔術師から購入することができない(とは言え、入手何度はそれほど高くないが)。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:10文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。