ドヴァーキンのヒーローアカデミア   作:Ghetto

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皆さんのスカイリムでの一番の思い出は何でしょうか。
私の場合は、帝国兵とストームクローク兵が入り乱れて戦っている所にドラゴンがやってきて、三つ巴になると思いきや一時的に皆で共闘して、結果ドラゴンを打ち負かしたことが印象に残っています。
まぁその後乱戦に戻って敵対し、全員始末したんですが。


7話:ドヴァーキン、受験対策をする。

「あの……本当にこれ、飲むの?」

 響香が引き攣った顔をして聞いてくる。紫と緑のグラデーションが美しい、きっと舌触りも滑らであろうお手製の妙薬──ポーションが入った小瓶を持った手が震えている。

「そうだよ?だって響香、強くなりたいんでしょ?」

「い、いや……やっぱりこれは……ちょっと。」

 耳のイヤホンジャックで瓶を突っつきながら、けれども決して口に運ぼうとはせず、響香は食い下がっている。そんなに嫌か。

「うーん、わかった。じゃあその瓶、ちょっと貸して?」

 そう言って響香から瓶を取り上げ、そっと目配せ。

「瀬奈!」

「はい!お兄様!」

 瀬奈が体に氷を纏わせて瞬時に後ろから抱き着き、手と足を自分ごと氷結させる。抵抗させる隙も与えず、あっという間に拘束。さすがは優秀な妹である。黙っていても、目線と首の動きで俺がして欲しいことを直ぐに理解して実行してくれる──阿吽の呼吸と言うらしいが、これは双子に与えられた特権のようなものか。

「……え?瀬奈?ちょ、え?」

「ごめんあそばせ、響香さん。ですがこれも雄英に皆で合格するためですの。さぁ、お口を開けて?……早くしないと、響香さんが凍傷になってしまいますわ。」

 ようやくこれから何をされるのか理解したのか、響香が手と足の拘束を解こうと暴れ始めた。イヤホンジャックを使って氷を砕こうと思わない所を見ると、相当に混乱しているらしい。……さすがにちょっと可哀そうになってきたが、合格のためだ。ここは心を鬼にしよう。

「ひぃっ!……待って!待ってってば!ね?瀬奈、勤。ちょっと落ち着こう?ウチ、まだ心の準備が……。」

「すまない、愛すべき弟子よ……。だがこれは錬金術の発展に必要な事なんだ……。そして錬金術が進化すれば、俺達三人の合格はぐっと高まる!さぁ!覚悟を決めるんだ!」

「んんーっ!んっんんんっんっー!(やだー!こっちにくるなー!)」

 拘束は解けないと観念したのか、響香は口を一の字に結んで最後の抵抗を試みている。これでは飲ませられないではないか。しかし瀬奈は手足の拘束をしていて動けない。困ったな……。

 

 それにしてもまさかここまで抵抗されるとは。どうレクチャーするのが正解だったのだろうか。今日は勉強の息抜きがてら、幼馴染と妹を引き連れて自然と戯れ、楽しく過ごす筈だったのだ。

 さて、どこでどうするべきだったか。一つずつ思い出してみようと思う。

 

 

 ==========

 

 

 事の発端は4日前。

 学校での何気ない会話から始まった。

 

「錬金術?なんの話してんのさ、なんかのアニメ?」

 授業の終わった教室で、残っているクラスメイトがまばらになった頃、響香が席を立って尋ねてきた。ちょうど瀬奈と錬金術の事について話をしていたのを聞いていたようだ。

「うん?違う違う、アニメじゃないよ。耳郎さん。れっきとした……化学実験みたいなものさ。」

 化学の発展もさる事ながら、この世界の科学技術は素晴らしい。全てを把握している訳ではないが、スカイリムにいた時には考えもしなかったものばかりで最初は驚いたものだ。特にエアコンと電子レンジには感動した。大人達が休日は外に出ず、家にいようとするのも納得である。

「へぇ。化学ねぇ。土羽、理科系の科目好きだねホント。ウチにはよくわらないや。」

 学校にいる時や誰かがいる時は、上の名前でお互いを呼ぶ。クラスメイトにいらぬ誤解を与え、冷やかされないための対策だ。どうやら下の名前で呼び合うと言うのは、そういう意味を持つ事もあるらしい。ただの幼馴染と言ってしまえばそこまでなので、あまり気にすることも無いとは思うが、響香の名誉のためにも約束は守ることにしている。

「まぁ……必要だから。ほら、俺の個性って端的に言えば直接的な攻撃には、一歩及ぶ所があるじゃん。できることなら鋼鉄製の剣なり弓とかを持ちたいんだけどね、さすがにそれはできないみたいだからさ。現状でも接近戦になった時の対応策は一応あるにはあるんだけど、選択肢は色々と持っておかないと。実技試験で何もできない、って事にならないようにね。」

 ……というのも、雄英高校に実技試験では武器の持ち込みはできるのか?と問い合わせた所、刃物等個性に関係なく人に危害を加えられるモノは禁止されている、と言う回答をもらったのだ。魔力の剣と盾を使うという選択肢もあるにはあるのだが、アレはアレで欠点も多い。ならばと個性を活用して自分で作った薬品類はどうかと聞いた所、それはオッケーであるとお墨付きを貰ったのだ。

 

「なるほどね、それで錬金術ってのを使おうと。……で、その錬金術って何ができんの?」

「色々できるよ。基本的にはポーション、飲み薬みたいなもんだね。それを調合して作ることで、戦闘や日常活動を有利に進める事ができる。例えば……そうだなぁ、反射神経が良くなったり、火に強くなったり。変わり種でコミュニケーション能力が向上する薬も作れる。あとは、調合するモノによっては服用すると毒になるものもあるから、それを相手に投げつけて使ったりとか……。あれ、耳郎さん?聞いてる?」

 相槌がなくなったと思ったら、響香の目が爛々と輝き始めた。これはシャウトの時と同じような……。

「土羽、それ凄いじゃん!ウチにも教えてよ、錬金術!」

 やっぱりそう来たか。

「構わないけど、シャウトの時とはまた違う大変さがあると思うよ?基本は試行錯誤の繰り返しだし。」

「大丈夫、大丈夫!ウチ、ガッツだけはあるからさ!」

 えへん、と自慢げに胸を張る。

 確かに響香はガッツ……というか根性がある。以前シャウトを教えた時も、一年以上全く進展がなかったにも関わらず、ひたすらに練習と発声を繰り返していた。そして、俺自身が諦めかけていたというのに、彼女はシャウトの習得を成功させてみせたのだ。

「うん、確かに耳郎さんは努力家だね。わかった、じゃあ今度の土曜日に瀬奈と道具の買い出しに行くから、一緒に行こう。薬の素材集めと実験は日曜日。これでどうかな?……あと、効果はその場で調べたりする事もあるから、メモしたりするためのノートとかはあった方がいいと思う。」

「オッケー、空けとく。……ところでさ、この後駅前のファミレス行かない?ちょっと瀬奈に今日の英語教えて欲しいんだよね。」

 響香曰く、学校ではなくファミレスで勉強するのが効率が良いらしい。俺にはよくわからないが、クラスメイトの半数以上はこの意見に賛同している。何でも環境を変える事で、集中力がリセットされて勉強が捗るのだとか。まぁスカイリムの世界でも蜂蜜酒をネタに酒場に連れて行き、情報を聞き出したりしたものだ。それと同じようなモンだろう。

「だってさ、瀬奈。どうすんだ?」

「私は構いませんわ。ついでにお兄様もいらして、今日寝ていた古文の復習でもなさったら?」

 しれっと毒を吐いてきた。だが確かに寝ていた分をその日のうちに取り戻せるのは魅力的だ。どうせ家に帰っても普通に宿題するだけだし。

「わかった、俺も行くよ。耳郎さん、錬金術の見返りって事で古文のノートを貸して欲しいんだけど、いいかな?」

「その話、乗った!」

 ぐい、と右手をサムズアップして響香が応えた。

 シャウトに続いて錬金術か。今の響香ならヒーローどころかドラゴンボーンにだってなれるかもしれない。

 

 

 ==========

 

 

 そして週末の朝。俺と瀬奈は自宅から少し離れたターミナル駅の前で、響香と待ち合わせをしていた。

 首都ではないとは言え、比較的栄えているエリアだ。行き交う人はそれなりに多かった。この世界の科学技術の代表例ともいえる、自動車も沢山走っている。スカイリムの世界に自動車があれば移動はかなり楽だろうなと思ったが、想像してちょっと後悔した。旅の風情が無さすぎる。

「なぁ瀬奈。これだけ科学が発展してるのってさ、やっぱり“魔法”がないからなんだろうな。」

 これはこの世界に来て生活して気づいたことなのだが、個性はあれど魔法の概念はどこを調べても全くなかった。例えば寒いと感じたら暖房をつけ、食べ物を保存するのに冷蔵庫を使う。どれもスカイリムの世界では魔法で代用しようと思えばできる力だが、それが無かったからこそここまで科学技術が発展したのだろうと思う。必要に駆られなければ発展しない……案外科学と魔法は似ているのかもしれない。

「そうかもしれませんわね。“個性”が出てきたのは、割と最近の事らしいですから。それまでは科学の力で発展を続けてきたのでしょう。」

 では個性と魔法はどうなのかと言われれば、これは一概に比較できるものでもないだろう。と言うのも瀬奈の言う通り、この世界の“個性”は、人間の歴史から見ればごく最近現れた概念なのだそうだ。

「きっと最初は混乱しただろうな。向こうでもドラゴンボーンが出た!ってだけで結構な騒ぎになった位だし。」

「あら、お兄様ったら。そんなに社会歴史に興味があるのに、どうして成績はそんなに伸びないのかしら?」

 瀬奈よ、何故そこで俺に攻撃を仕掛けてくる。

 さてどう返そうかと迷っていたら、前から響香が手を振って歩いてきた。彼女が時間に遅れるとは、珍しい。

 

「ごめん!ちょっと気になるニュース見てたら遅くなった!二人とも待った?」

「いや、そんなでもないよ。ニュース?何かあったっけ?」

「きっとアレですわ、お兄様。一昨日デビューした新人女性ヒーローの。」

 瀬奈がそう言いながらスマートフォンを見せてくる。ああ、あのヒーローね……。サイドキックはマンモスかな?

「そうそれ!再編集されたダイジェストだったんだけどさ、ちょっと見入っちゃって。せっかくなら生で見たかったけど。」

「そっか。響香ってあんまりそういうのに噛り付くようには見えなかったわ。意外。」

 ヒーローになりたい!という夢を持っていることは勿論知っていたが、響香が学校でクラスメイトとそういった話をしているのは、あんまり見たことがなかった。どちらかと言えば音楽の話やが多いような。

「ふふん。ウチはこう見えて色々研究してるのさ。支援のシャウトに攻撃と索敵の個性。そこに今日の錬金術!どーよ。博識かつ万能のヒーローなんて、ロックじゃない?」

 そうだった、この子知識や力に対して割と貪欲なんだった。自分が気に入ったジャンルのものをとことん極めようとするのだ。

「いいと思うよ。引き出しは多い方が有利だ。じゃあ、行こうか!今日は俺の事を“先生”と呼ぶように!」

 この渾名、使うのはシャウトの時以来である。幼少時に響香から言われて気づいたのだが、意外とこう呼ばれると気分がいい。

「オッケー。任せたぜ、せーんせ!……で、どこいくのさ?」

「ふっ……それはな……。錬金術に必要な実験器具と調度品をリーズナブルに揃えられる名店!その名も!」

「その名も……?」

 

「東●ハンズだ!!」




⇒ 静かに!これから今日の魔法コーナーを開始するのだ!

???「ああ、あなたですか!なんてご立派な。想像したとおりです。」

⇒ もういい! 美食家……じゃなかった、私が解説をするのだ。しゃべるな!始めるぞ。

???「ええ、もちろん!コホン……。」

【今日の魔法】

・魔力の剣
素人ランクの召喚魔法。
魔力で作成した剣を召喚し、武器として使うことができる。作中土羽が言っていた「現状の対近接戦対応策」がこの呪文の行使。右手と左手で同時に唱えることで、二刀流にする事もできる。
欠点はいくつかあり、そもそもの威力が低い事と、一瞬で作り出せる訳ではないという事。スカイリムの世界では希少な金属から作成される武器が非常に強力な事も相まって、微妙な立ち位置の魔法になってしまっている。

・魔力の盾
素人ランクの回復魔法。
魔力のシールドを生成して敵の魔法から身を守る。「現状の対近接戦対応策」その2。物理的な力でなければ、あらゆる攻撃から身を守ることができる。シールド発生までのタイムラグが難点で、最小燃費で使おうとすると、相手の攻撃を予測することが求められる。
魔力の剣と併用すると、魔法剣士って感じがして(性能はともかく)カッコイイ。
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