雷門のサブキーパー、親友と共に   作:iRa@作家になりたい

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引っ越しがある程度片付いたのと、
感想貰ってテンション上がったので、
ちょっと早めに投稿。

会話文多めに仕上がったので、ちょっと書式を変えました。

尾刈斗戦、遠くね?



激闘の翌日

 

 

 

 帝国との激闘の翌日、雷門中サッカー部員は珍しく部室に集まっていた。というのも、

 

「皆さんには、お兄ちゃんに勝ってもらわないと困るんですっ!」

 

 昨日盛大に兄妹(きょうだい)喧嘩した、わたしの親友(春奈)がみんなを引きずって連れてきたからだ。

 

「お兄ちゃんがあんなに冷酷になってしまったのは、満足に戦える相手がいなくなって、サッカーの楽しさを忘れてしまったからだと思うんです────だから、わたしはみんなに勝ってもらいたい。サッカーの楽しさを知っている、皆さんに!」

 

「俺はやってやる。いずれにせよアイツだけは気に食わん」

 

「そんなこと言ったって!」

「正直、実力に差がありすぎるッス」

「そうでやんす!」

「そうです!」

 

 新たに加入した豪炎寺先輩の力強い言葉に待ったをかけるかのように、宍戸・壁山・栗松・少林寺(一年生カルテット)から弱気な発言が飛び出す。それと同時に豪炎寺先輩は下を向き、染岡先輩は悔しそうに舌打ちする。言わないだけで、それは分かりきっているはずだ──あの戦いを経験したものならば。

 

「……それに尾刈斗中との練習試合だってあるんだぞ」

「ひあっ!」

「……今の高い声ってひょっとして」

 

 いきなり背後で喋らないでよ、()()()()! わたしそういうのほんっとダメなんだからぁ! この雰囲気に似合わぬ声を出してしまって注目を集めたことに少しばつが悪くなり、わたしはゴホンと咳払いして、一応その元凶を睨んでおく。

 

 しかし影野先輩はあくまで事実を述べただけだ。タイミングと位置が最悪だったけど。実際冬海先生が主導して勝手に決めた練習試合は、もう再来週の日曜日に決まってしまっている。もちろん負けたら廃部。でもこの試合はわたし達(女子)が出られることと、流石に昨日の帝国ほど強くはないことが救いだ。

 

「ただ、いわくつきなのよね……」

 

 春奈の見せてくれた資料には、尾刈斗中と戦う相手が突然動くことが出来なくなっている映像が映し出されていた。壁山なんかは「幽霊の仕業ッス~!」なんて言ってたけど、まさか、いや、そんなこと。あはは、ナイナイ。あってたまるか。サッカーだぞ? 

 

 しかし、幽霊以外となると……

 

()()()()、だよねぇ」

「わたしもそうじゃないかと思っているのよ、シン」

「ということは、突破にはおそらく必殺ワザが必要ってことか……」

 

 半田先輩、その通りです。

 

「そういや、円堂、赤井。お前らって必殺ワザってどれぐらいで使えるようになったんだ?」

「オレは、“ゴッドハンド”は一年以上やってたぞ」

「わたしも“熱血パンチ”打てるまでに一ヶ月くらいかかりました」

「あのアホみたいな特訓しながら、一ヶ月だあ!? じゃあどう考えたって試合に間に合わねぇじゃねぇか!」

 

 うーん、確かに染岡先輩の言う通り。春奈はお兄さんのプレイを見てたのと、強すぎる反抗心が合わさって、すぐに“スーパースキャン”(アレ)使えたけど、例外だよねぇ。朝にちょっと春奈と試してみたけど、安定して発動はまだ出来てなかったし。あくまで火事場の馬鹿力ってヤツだね。

 

「そうでもないかもしれんぞ」

「……豪炎寺先輩、どういうことですか?」

「昨日の染岡を見ていて思ったんだ、もうお前は必殺シュートを撃つ資格がある」

「……オレがか?」

「必殺ワザに必要なのは、十分な基礎体力と、強いイメージだ。あの帝国相手に終盤まで食らいつけたんだ、体力は十分だ。つまりあとは」

「オレの、強いイメージってことか……」

 

 なるほど。必殺ワザを使いこなす張本人が言うことなら間違いないね。でも、それってつまり──

 

「必殺ワザのない残りの連中は、おそらくというかほぼ間違いなく基礎体力が足りない。あと音無もだ」

「え゛っ」

「ということはまさか」

「タイヤ担いで走るんだよ、みんなもわたしと一緒にね」

「「「「「「「「「えええええぇぇぇぇ!!!」」」」」」」」」

「えぇ……?」

 

 影野先輩だけ、テンション低いな……

 

「オ、オレは陸上に響いたら困るから……パスd」

「ダメですよー風丸先輩、センパイ(円堂先輩)の特訓を見て入部決めたそうじゃないですか。その特訓できるチャンスなんですよ」

「やりたいなんていってないだろうがあ!」

「ダイジョーブですよ、そのうち慣れます──松野先輩も逃げない」

「なんでバレたのさ! イヤだぁ! 無理だって!」

「おいみんな、盛り上がってるところ悪いけど──タイヤが足りないぞ」

「ホントですかセンパイ」

「ああ、流石に9人分はないな」

 

 露骨にホッとした声が聞こえる。おのれ。

 うーん、しかし交代制でゆっくりやる余裕もないわけで。どうすればいいんだろう? 

 

「そこでわたしに考えがあります!」

「なによ、楽したいとかナシだからね春奈」

「特訓吹っ掛けたのわたしみたいなところありますから、そんなことしません! コホン、わたしは新聞部の活動の一環として、調べていたことがあるんですよ」

「それって……」

「伝説のイナズマイレブン、ですよっ!」

「「ああなんだそれかー」」

「それかー、ってなんですか! もしかしてもう知ってたんですかっ!」

「いや、センパイのおじいちゃんが、そのチームのキャプテンだったらしいの」

「だったら、何かないんですか!? あの帝国にも勝てたかもしれないと言われたチームなんですよ! 練習法とかそういう……」

「オレはこのノートしか知らないぞ」

「拝見させていただきます! ……なんですかコレ? 落書き?」

「やっぱりセンパイ以外に読める人なんていないよねーこのノート、読めても分からないし」

「このノートには、“ゴッドハンド”の一部だけしか載ってないな、練習法なんてないぞ」

「ええっ、じゃあええっと、他に知っていそうな人がいるのは……」

 

 

 *

 

 

()()、ですね」

「ここって……」

「……マジかよ」

 

 たどり着いたのは、()()()()の前。

 

「伝説のサッカー部と言っても、雷門中にいたわけだから、何かしらの資料が残っているかもしれない──そういうことだな」

「その通りです、豪炎寺先輩」

「で、でもよう! 理事長はサッカー部潰そうとしてるんだろ!? そんな簡単に渡してくれるわけが──」

 

「──()()、渡すって?」

 

 ふっと響いた()()()()()()声に、わたしたちは一斉に振り返る。そこにいたのは、

 

「雷門、夏未……!」

 

 円堂先輩のもらした声に、ええ、とほんの少し嫌そうに答えた彼女は、表情を取り繕って──といっても未だ冷酷そうではあったのだが、改めて話を振ってくる。

 

「それで、こんなに大勢で何をしているのかしら。尾刈斗中に怖気着いた……ようには見えないのだけれど」

「知りたいことがあるんです」

「あら、あなたは……」

「初めまして、一年の赤井 心と言います」

「……ふぅん、礼儀正しい子もいるのねサッカー部には」

 

 その言葉に、ムッとした円堂先輩が割り入ってくる。

 

「おいそれどういう意味だよ」

「ふふ、言葉通りの意味よ」

「なんだと?」

「あら、いいのかしら? せっかくコレあげようと思ったのに」

「そ、それは! 秘伝書……って書いてある」

「あなた読めるのコレ……まあ大事にしまってあったってことは、あなたたちにとっては貴重なモノみたいだし、貴方にあげるわ」

 

 円堂先輩は、彼女がそう言い切ったと同時に、秘伝書? をひったくると、パラパラとめくっては、ぷるぷると震え始めた。

 

「すっげー! すっげーすっげー! 見たことのないワザが一杯書いてあるぞ! こうしちゃいられない、特訓だ特訓!」

 

 言うが早いか、男子全員と春奈は円堂先輩に連れ去られる。残っているのはわたしと雷門夏未(このひと)だけ。

 

「あらあら、せっかちね。まだ渡したいものがあったのに。じゃあコレは、貴女に渡しておくわね」

 

 そう言って、手に何かを握らされる。これはなんだ──()? 

 

「なんでも、伝説のイナズマイレブンが使ってた秘密の練習場の鍵、らしいわよ。開かずの扉って言ったらわかるかしら」

「七不思議の開かずの扉って、イナズマイレブンに起因していたんですね……」

「あら、あなた幽霊とか信じる人だったの?」

「んんっ、ヤダナーモー、そんなことあるわけないじゃないデスカー」

 

 ふと、気になったことがある。彼女はどうしてここまでのことを、してくれるのだろうか。

 

「どうして、でしょうか」

「え?」

「どうして、ここまでしてくれるんですか」

 

 彼女は、多少面食らったような顔をしたかと思うと、ニコリと笑ってこう言った。

 

「あの試合、なかなか面白かったわよ──だから、そのお礼、ということでいいかしら?」

「──ありがとうございます」

 

 ひょっとしたら、彼女もサッカーに惹かれているのかな。

 

 

 *

 

 

「あんな子が、あんなプレイをするのね……サッカーって何なのかしらね」

 

 たぶん彼女は、わたしが十分離れていたから、聞こえていないと思って口が滑ったのだろう。

 だけれどもこの廊下は、その呟きを遮るには、あまりにも静かすぎた。

 たった二人しか、いなかったのだから。

 

「なんなんでしょうね──それを知りたいから、サッカーしてるのかもしれませんね」

 

 こちらの返答とも言えない呟きは、彼女に届く前に、丁度窓に吹いた風の音に打ち消され──彼女の耳に届くことはなかった。

 

 ──── ──── ────

 

「ハアッ……ハアッ……」

 

 ものすっごいしんどい。

 早速イナビカリ修練場? とやらの鍵を使って入ったはいいものの、流石に40年も前のもの、ロクに動くはずもない……と思われた。しかし、掃除すればあら不思議。当初予定していたタイヤ特訓なんか目じゃないくらい────床は動くわ、ガトリングみたいなボール発射台があるわ、レーザー飛んでくるわで、もう全身がボロボロだ。

 特訓については満足なんだけど、更衣室もトイレも男子用しかなかったのがなあ。リフォームとかできないのかな。わたしはまだいいけど春奈には悪い。

 

「でもこれなら、3~4日で基礎身に着くんじゃないかな」

「これ、明日みんな動くこと出来ないんじゃないですかね……」

「いける、いけるって」

「こんなの耐えられる一年、赤井くらいしかいないでやんす! ふざけるなでやんす!」

「音無さん、動いてないッス……」

「ほらー春奈―、起きて“スーパースキャン”やるよー」

「死んじゃいますよ!」

 

 まあ、わたしも円堂先輩に出会ってすぐコレやってたら、学校で倒れてたかもしれないな。ううん、仕方ない。今日は解散かな。

 

「よいしょ」

 

 掛け声とともに、春奈を背負う。

 

「じゃあ、わたし春奈送り届けていくから、適宜解散ね~」

「なんでこの状態で人背負えんだよ……」

「もはやゴリラでやんすね」

「やっぱ、宍戸と栗松残って。キーパー練習するから」

「「ああああぁぁぁぁぁ!」」

「「……余計なことを言うからッスよ(ですよ)」」

 

 同輩のことはほっといて、少し物思いに耽る。

 わたしは試合までにいったい何をすることが出来るだろう? 

 基礎体力だけ鍛えるというわけにもいかない。

 ならば、新技の開発か。あるいは、円堂先輩の秘伝書を頑張って解読するか。あるいは“レッドハート”を応用してキーパー技に──()()()? 

 わたしの目標は、円堂先輩のようなキーパーになることだ。

 なら、わたしらしさを最大限いかした技は、キーパー技になるんじゃないか? 

 

「……もしかしたら」

 

 私の脳裏によぎったのは、“レッドハート”は()()()()()()のかもしれない、という可能性だった。

 

 

 






 実際リフォーム前のイナビカリ修練場の設備ってどうなってたんだろう。
誰かメンテナンスくらいしてないとヤバい……というか夏未さん御影専農のちょっと前の時点で大金支払ったことになるんじゃ……超次元だからいっか!(思考放棄)

 この世界線では、リフォーム前に明け渡されたイナビカリ修練場。40年前の更衣室やトイレとかすごいことになってそう。そもそもあるのかな?とも思ったけど、なかったらさすがに困るよね。

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