鬼滅の刃RTA 上弦の弐単独討伐   作:一億年間ソロプレイ

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ワニ先生がお元気そうで何より。
しのぶさんかわよ……(特典ナデナデ)


キメ学:お祝いの日はとびっきりに

 カフェ『ふろすと』。昼間はカフェ、夜にはバーにもなる店。

 本日も通常営業。ただし最近は店主の弟が不在の為、一部の人間にとっては平和な昼下がり。

 ドアベルを鳴らして来店する客が二人いた。大人と子供、彼らの姿を見て店主が「珍しい」と零す。

 

「いらっしゃい。今日来る日だっけ?」

「たまたま会った」

「こんちは……」

 

 某悪徳議員の秘書の継国巌勝、彼の親戚である時透有一郎。ノリで作った『双子兄』グループメンバーである。

 彼らがカウンター席に着いたのを見て水を置く。メニューを見ながら唸っているので先に注文されている軽食を作りに文寿郎はキッチンへと戻った。

 

「そういえば弟はいないのか」

「今出禁にしてる。たまには他の場所で寛ぎなさいってね」

「そうか……」

 

 悔し涙を流しながら受け入れる店主の弟の姿がありありと浮かぶ。有一郎が「決めた」というので巌勝は手を挙げた。

 軽食を届け終わった文寿郎が素早く伝票を取り出した。

 

「俺、クリームソーダとオムライス」

「私はカレーを。食後にコーヒーを頼む」

「いつものね~」

 

 注文を受け取った彼がキッチンへ戻ると手早くクリームソーダを提供し、料理に取り掛かる。

 チェリーを乗せたアイスクリームの溶けるソーダで喉を潤しながら、有一郎は文寿郎の動きを見ていた。

 手品みたくパッパッと料理が作られていく過程を見るのがこの店の楽しみ方。

 

「いいぞ有一郎。まず文寿郎の筋肉の動きを意識してみろ」

「いや何言ってんのおじさん」

「透き通る世界をお前にも教えよう」

「なにそれ!?」

「さすればお前に心無い事を言う者共の隙を突ける」

「今戦わずしてどうするの~、有一郎く~ん。あ、今動揺して心拍数上がってる」

「文寿郎さん!?」

 

 かくかくしかじか。詳細な説明は『鬼滅の刃単行本18巻』の参照をオススメしよう。

 それか現在放映中の『劇場版 鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』を観に行こう。最近枠が増えたり増えなかったりするそうだ。

 説明を聞いた有一郎は信じがたい目をしていた。

 

「え、二人とも見えてるの? 人体がスケスケってこと?」

「オンオフ切り替え可能だよ。これを習得したら双子か双子じゃないか血縁か親戚か他人かさえも判別可能になるんだぜ? 取れるなら取っちゃいなよ~」

「そんな簡単に取れるものなのそれ!? というかナチュラルに人の悩み事看破してくるの止めろ! その透き通る世界は心まで読めるもんなの!?」

 

「「いや、読めない」」

 

「読めないのかよ!!!」

「はいオムライス」

「手が早い!」

 

 出来立てのオムライスが有一郎の前に置かれた。その提供速度は中華料理屋に匹敵する。

 

「そっか~。双子だと間違われる事多いんだっけ」

「おじさんや文寿郎さんには無いの。そういう事」

 

 この前有一郎はクラスで「どっちが有一郎か無一郎か分かんね~。俺のクラスにいるのどっちだっけ? 無一郎?」と言われた事にむしゃくしゃとした思いを抱えていた。

 有一郎と無一郎は髪色も顔の作りもまったく同じ双子だ。間違われる事は少なくは無いが、それを飲み込めるかどうかは別の問題だ。

 

「私の場合は弟が耳飾りを付けているから、あまり間違われる事は無かったな。学生時代は私が生徒会長や剣道部に入っていて、弟は帰宅部にいたのもあるだろう」

 

 継国双子も似た顔ではあるものの人柄や雰囲気で見分けられていたようだ。巌勝にカレーを提供しながら文寿郎は答える。

 

「俺は結構あったよ。『どっちが弟でどっちが俺?』って。大抵髪の毛が派手な方が弟だって言うけど」

「えぇ……」

 

 どうやって間違えるんだこの双子を……。

 

「大抵間違われる時は弟が俺の振りをしている場合でね……」

「もうツッコまないから。俺はオムライス食べる」

「そんな、有一郎くんがツッコまなきゃここ天然ボケおじさんしかいなくなっちゃうよ」

「私はお前の親戚になった覚えは無いが……」

「……ツッコま、ない!!!」

 

 その後、食後に巌勝にはコーヒーが、有一郎には店主が今度提供しようとしている氷菓の試作をサービスされた。

 有一郎はちょっぴり機嫌が良くなった。

 

 

§

 

 

 双子の兄たる二人が昼食を終えて店を去った午後のこと。またもや店に珍しい客がやって来ていた。

 

「やぁ、仏塚殿」

「どうも、竈門さん。お元気ですか?」

「ああ元気さ。今日は私から注文したくてね」

 

 落ち着いた雰囲気の男性、竈門炭十郎。町にある『かまどベーカリー』の店主だ。

 いつもであれば休日の文寿郎が欠かさず焼きたてあんぱんを買い占めたり、店で出すトースト用の食パンの買い付けだったりで向かう事が多い。

 炭十郎が文寿郎の店に顔を出すというのは中々無いことだったりする。

 

「アイスケーキの予約をお願いしたい。六太の誕生日用にね」

「おめでとうございます! 六太くんも今年で七歳ですか? 大きくなりましたねぇ」

「ははは。日頃、あんぱんを喜んで食べてくれる人がいるからか、あんぱんの腕だけは一人前になってきたさ」

 

 竈門一家の子供たちが練習の為にあんぱんを作ると、そのパンを文寿郎へサービスする。

 自他共に認めるあんぱん愛好者たる彼は有難く受け取り、具体的なフィードバックを竈門家に飛ばす。

 それを受けて子供たちが「今度こそ頑張るぞ!」と奮起する。文寿郎の元にあんぱんが回る。

 素晴らしいシステムの恩恵を受けている彼が照れ臭く笑う。

 

「アレルギーはありましたか?」

「無いな。ひと月後の十八日辺りに取りに来る。六太はチョコレートが好きだから、チョコレートケーキで作ってもらえると助かる。デザインは君の方で任せよう」

「嬉しい事を仰いなさる~。張り切って作りますね~!」

 

 エプロンのポケットから軽やかに電卓を叩いてザッとお値段を炭十郎へ見せた。

 副業の様にふっかけたりはしない、実に良心的なお値段である。

 アイスケーキの支払いも終わり、炭十郎はテイクアウト商品であるミニプリンを家族分買い、去っていった。

 

「腕が鳴るなぁ!」

 

 そう、カフェ『ふろすと』ではアイスケーキの発注を請け負っていたりする。店主お任せデザインか、依頼主側で細かくデザインを決めたり。ルーズかつ丁寧にやってくれるので意外と利用する人間が多い。最近では素流道場の主に雪モチーフのアイスケーキを頼まれた。

 

 普段世話になっている店の家族ということもあって文寿郎はそれはそれは張り切った。

 こういう時、真っ先に犠牲になるのは弟の童磨である。食卓に並ぶおびただしい数のレシピのメモ。とても上機嫌にキッチンに立つ兄の姿から何らかの気配を察し、食後に出される様々な試作のアイスの数々。

 続いて犠牲になるのはカフェの常連客、胡蝶しのぶ。客として来た彼女にサービスとして出されたいくつもの試作を食べ、忌憚のない意見を述べるものの、家に帰れば体重計に乗るのが怖くなる。

 『それでもマシな方だからね――』。何処かから恨みがましい弟の声が聞こえてしのぶは被りを振った。幻聴です。

 

 他の常連客にも試作を振舞い、夜通し組み合わせとデザインを考えて六太のアイスケーキは完成した。

 

 炭十郎がケーキを取りに来た後日、休みの文寿郎がかまどベーカリーに来店した。彼の足は真っ先にあんぱんに吸い込まれ、いくつかの総菜パンをトレーに乗せて葵枝(きえ)の待つレジへ向かった。

 

「仏塚さん、いつもありがとうございます。この前のケーキ! 六太もすごく喜んでいましたよ」

「ありがとうございます。皆さんに喜んでいただけたなら何よりです」

「ふふ。そうそう、いつもの()()()()です。今日も頑張ったので、厳しく評価してあげて下さいな」

「それはそれは……。楽しみです」

 

 文寿郎が買ったパンが詰められた袋とは別の袋も渡された。

 家でその袋を開封すると不揃いで歪な形をしたあんぱんを包むビニール袋の上に手紙が。

 

『たん生日のケーキをありがとうございました。とてもおいしかったです!』

 

 拙い文字の手紙に、ふ、と小さな笑い声が漏れた。




キメ学が意外にシビアな設定であることは重々承知なのですが、でもいたってええやん!を詰め込みました。
なんで炭十郎さんも琴葉さんも死んでんだよ……(恐怖)
錆兎も真菰もいる(冨岡先生より年下の生徒として←重要)のに……。

かまどベーカリー:いつも大量のあんぱんのお買い上げありがとうございまぁす!
カフェふろすと:いつも美味しいあんぱんをありがとうございまぁす!
試作を主に出される人たち:加減しろ馬鹿!!!
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