鬼滅の刃RTA 上弦の弐単独討伐   作:一億年間ソロプレイ

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俺は俺の責務を全うする!
走ったのならば完走してみせる!
この話はエタらせない!
四年越しの完結など今度はさせない!

……八月中に終わればいいがな!


チュートリアル終了 ~ 一年経過 part2 / 眠る弟・鍛える姉

 皆さんこんにちは。初めましての方は初めまして。

 ようやくスタートしたRTA、始まります。

 前回はチュートリアルを垂れ流しただけで終わりました。

 ということでステータスをドドドドドド……!

 

 仏塚 吉子 性別:女 特徴:『筋肉密度異常』 階級:『神』

 

 ステータス

 体力(91/108) 根気(90/108) 筋力(96/108) 防御(92/108) 速度(98/108)

 

 技能

 薬学(30/100) 交渉(5/100) 岩の呼吸(3/100)

 人体理解(30/100)

 

 信者への演説で『交渉』技能をゲット。岩山堂くんの指導によって岩の呼吸をゲット。

 そして、童磨父戦を勝利したことで、確定で人体理解をゲット。これは初撃で急所を狙えるというぶっ壊れ技能くんです。

 対鬼戦において初手で頸を斬れます。ですが、確定斬首+クリティカル効果は初撃限定でも確立で外れたり、半天狗タイプだと使いどころが難しい。

 でもパッシブで筋力が10アップする……、ヨシ!

 

 それではお馴染み、これからは呼吸を使って移動。

 

 したい所なんですが……。

 皆さん、体力ゲージの上に一つ、見慣れないゲージが見えますね?

 

 これこそが筋肉密度異常最大のデメリット、満腹ゲージです。今は満タンですが、その場に立っているだけで減っていきます。このゲージを真に止めるのはポーズ画面くらいなもんです……。あとチュートリアル期間は免除されてました。

 これが全減りしても動けなくなるということはありませんが、ステータスに8割のマイナス補正が掛かります。おっそろしい……。

 

 ですがこんなもんは後で踏み倒せます。

 『生まれつきの痣』スタートではやらかしによってはガクブル引き篭もり無惨化+最初の五日間で『神』になれない、など踏み倒せないデメリットばかりなので『筋肉密度異常』を選んだっちゅう訳や。

 

 なんで『生まれつきの痣』が『神』になれないって?

 スタート時点で周囲に不気味がられているからです。不思議ですねぇ~【つ鬼滅の刃20巻】

 1割ぐらいで神になれますが、それにしたって無惨様が引き篭もる可能性は確実なので……。

 やっぱ……蜜璃ちゃんの体質を……、最高やな!

 

 説明もそこまでとして。

 いやぁ、折角立て直した極楽教が無惨様の手で壊滅するのは圧巻でしたね。

 殺してやるッ! 殺せないんだった……(チャート条件)

 

 最初にやる事はこの後()()()寝たきりになる冷蔵庫のソフトウェアこと童磨を運ぶ為の箱の調達です。

 

 やっぱ鬼連れモードと言えば背負い箱!

 

 背負い箱SSRは鱗滝さんお手製の背負い箱。耐久力もあって軽い、――というか背負い箱を装備しながら動く際の追加根気ゲージの消費量がゼロなんです。

 これがそこら辺の箱だと……。走る動作で例えるとその動作での通常根気消費量+箱の重量分。普通に走るより根気を消費しているのでいつもの様に走って即スタミナ切れなんてことも多々ありますねぇ!

 なので序盤は根気消費量+満腹ゲージに気を付けて操作していきましょう。

 

 ほいじゃ“箱”を調達する為に弟を背負って山を下りていきます。夜の内に麓まで下りますが、その手前の……この洞窟にガキを置きます。

 その間、キチ子は下る際に拾ってきた石を食べることにします。

 普通、石って噛み砕くことも人間の胃で消化できる筈も無いのですが……。パンイチ仮面で平野を走り回る厄災殿の親戚かな?

 

 バリバリ食ってると満腹ゲージの値が溜まっていきます。腹に入るもんならなんでもいいのかオメェ(恐怖)

 玄弥くんも真っ青な咀嚼力を備えている……。次代殿が恐れられる理由その⑮ですね。

 この満腹ゲージが真ん中の値を維持します。なるたけ増えたり減ったりしない様に調整するのが難しいねんな。

 

 

 

そして 夜が 開けた!

 

 

 キチ子は弟を放置し村の中から箱を探しに行きます。

 葛籠、洗濯籠、引き出し、箪笥。なんでもいいので村人に交渉ッ、交渉ッ……!

 

「こんれならええ。タダでいいべ~」

 

 ボッロボロの背負い籠を無料でゲットしました。補修用の材料の竹も持っていって良いとのことなので当然の如くへし折って採取し洞窟へ戻ります。

 そこでは禰豆子の如く、穴を掘って隠れる宿敵がおりました。だからひょっこりフィギュアでもこいつが第二弾で採用されたんですかね(キレ)

 

「……日光が駄目みたい」

 

 悲しいなぁ。日光浴とか出来ないんですか?(煽り)

 

「傷は大丈夫?」

 

 なぬっ 宿敵がキチ子の心配をしています。確かにムービー中キチ子が負傷したみたいな動きがありましたけど……。

 体力減ってないんでこれ殆ど返り血か他人の血じゃないスか?

 頭の傷はホンマモンっぽいけどもう傷口は塞がってるっぽいっスね。

 これこそヤクの売人(将来)の鑑。乙女は強くなくっちゃね!

 

「そうなんだ……」

 

 ということで籠を補修して当面の間使う箱を装備。以降、童磨をこ↑こ↓に入れて動きます。

 

「え、身体小さくしろってこと? せめて布で覆ってくれる?」

 

 禰豆子と違い、生意気なことを言うので初期装備の『教祖の羽織』を事前に入れております。だから神になっておく必要があったんですね(中指)

 上弦ズを選択すると鬼連れモードの初期から理性有りでいてくれるので助かりますが、宿敵になるとギリウザみが勝つ……、勝たない?

 さて、これで日中夜動く準備が整いましたので早速町に行こうと思います。

 

 童磨の寺院から大分離れることとなりますが、トップのキチ子が生きていれば極楽教は死んでおりません!

 だから階級も『神』のまま!

 故に、最初の五日間で極楽教が保有していた資金全てがキチ子のものです。

 

 あぁ~^組織の金の着服しながら走る風がンギモチィイ!

 

 移動しがてら詳細なチャートのご説明をいたしましょう。今回は前々回での反省を生かし、組みに組み込んだガッチリチャート(リセポイント多め)

 ま、アプデで年数単位での調整がしやすくなったのがデカいですね。

 (決して前々回がガバガバチャートだった訳では)ないです。

 

 まず達成すべき目標は『鬼舞辻無惨の人間化』エンドです。

 何故かっていうと、アプデによって討伐エンドは割と簡単になりましたからね。ただ討伐して最速もいいっちゃいいんですが、複雑なエンド踏襲を目標とするチャートを作りました。

 『鬼舞辻無惨人間化』なんてまず普通に遊んでたら辿り着けませんし、生かす価値も……モニョモニョ。

 何でも壊すのは簡単ですが、作るのは大変ですからね。ちょっと難易度高めの道を舗装しておきました。

 

 ほいでそのエンドに到着する為に必須なのが(ヤク)リスト100%』でございます。

 薬学技能によって作れる薬全部作成――によるパーセンテージじゃないんだな、これが。

 この100%というのは()()()()()()()()です。あ、無論全薬作成もしますとも。調剤初心者のオクスリ即投入って無惨ちゃまが可哀想ですよね?

 なので十分研究した末の人間化薬を注入♂していきます。優しい……、優しくない?

 

 この上記二つの目標達成の為に一年目(スタート年)にやる事は……。

 

 

 

 

(パワー)

 

 

 

 力こそ正義。暴力こそ至高。

 暴れる患者を殴って黙らせる為にもそして極鍛教の神としてもBUILD UPは必要です。

 

 今は亡き両親と死んでいった信者たち、そして二年後に起きる冷蔵庫(どうま)に。

 教義に則り鍛え上げたこのキチ子のPOWWERをお見せしていきましょう。

 

 今年はメイン攻撃スキルと筋肉密度異常のデメリットを踏み倒せる技能『節制』に確定で取れる『瞑想』、あとは取れたら嬉しいなーぐらいの技能を習得していきます。

 

 つまり、一年目は修行パートってコト……!

 二年目も三年目も修行だがな。“修行(muscle)”がまだまだ足りない……。

 この後にもこちらではどうしようもない運によるリセットポイントがありますので、これからのチャートが上手く運ぶようお辞儀~^しながら着きました。

 

 ここが、キチ子が一年間修行するハウス……。

 

 氷心素流道場です。

 

 わー!寂れてマース。ですが人はいるので安心。

 すいませーん、門弟になりに来たんですけどぉー。

 

「へいへい……。て、ガキかよ。帰んな、ここは遊び場じゃねぇ」

 

 ここは唯一、()()の技が学べるエリアとなっております!

 

 

 ―――素流?

 ……ちょっと待った。素流っていうのは、たしか江戸時代に最後の門弟が隣の剣術道場門下生六十七名を素手により殺害した後に鬼となり、彼が起こした騒動も作り話と処理された為に歴史から消えた技の筈だ。

 

 

 あれれ~、おかしいね。と疑問を持つホモガキのケツをスパンキングしながら疑問にお答えします。パンパンパァンパァン

 

 素手で戦う武術道場の慶蔵さんですが……、HKJ兄貴がファミリー入りした時には門下生が彼一人だけという状況でした。

 これは隣の剣術道場が嫌がらせしまくったせい……、(あいつ等)狩り……狩りたくない?そう……(天誅済)

 話は逸れましたが、そこで嫌がらせで習うのを止めた軟弱千万な元門下生がHKJ兄貴の一連の悲劇を知り、弔いがてら自身が覚えている範囲での技を後世に残しておこうと思い至った。

 

 ――なので素流道場の技が半分後世に残りました。という(てい)で一般ピーポーにも習得できるようになります。

 ただし、獲得できる時の技能が素流(/50)と、半分失伝しちゃってます。これは後々(/100)になるので気にしなくていいです。

 

 めげずに会話し続ければどんな道でも開ける。たゆまぬ努力で――(指連打)

 

「チッ……。じゃあ俺から一本取れたら入門を許可してやる」

 

 掛かったな雑魚め。

 戦闘に移った瞬間、岩弐『蛇紋岩』で接近して初撃クリティカルをお見舞いします。

 見所さん!?も無く終わりました。

 

「……にゅ、入門を許可する。ようこそ、氷心素流道場へ……」

 

 ドーモ。氷心素流道場師範=端造サン。キチ子です。

 これから一年よろしくオナシャーッス!

 

 

(少女修行中……)

 

 

 こっからは毎日道場の鍛錬、眠り込んでる弟の様子見、近場で人助けミッションの消化だけなので倍速。

 part1で寄せられたコメントを返信していきます。

 

 

 Q.今度は岩の呼吸メイン?

 A.部分的にそう。この後派生する呼吸をメインに使ってイキマスヨー、イクイク。

 

 Q.また童磨だ!また童磨だ!

 A.おかしい。奴はしのぶさんを殺した宿敵の筈……。でも性能良いんですよね~。無惨様がノータッチで置いておくのも分かる気もします。

 

 Q.鬼殺隊入る?

 A.お客さん鋭いですねー。()()()()()

 

第三勢力による無惨様解体ショーの始まりだぜ!!!

 

 なので原作柱メンツ軒並み壊滅、現時点の鬼殺隊勢力の中――皆様に馴染み深い面子は幼いお館様ぐらいですね。

 

 原作前第三勢力薬リスト100%無惨生存チャートにございます。

 字にするとカロリーがヤバヤバですわ!

 

 一年明けて免許皆伝となり見送られるところで今回は終わります。

 ほな……、また。

 

 

§

 

 

 目を開けた時、童磨は違う光景が見えた事に驚いた。

 

(景色が違う。屋内じゃない、外だ。俺は走ってない、負ぶわれている?)

 

「姉さん」

 

 童磨を背負う小柄な影。暗夜に浮かぶ白黒混じりの頭髪がこちらを向いた。あの時見えていた血が固まって、一見普段通りに見える。

 

(……怪我してるんだよね多分? それなのに俺を背負ってて大丈夫、いやまずは現状を確認しないと)

「弟、起きた?」

「俺、どうなってた……?」

「私を食べようとしていた。貴方は瞳孔の形が変わり、手足の爪や口の牙が鋭くなった。前より強い力になったし、負傷に対する回復速度も速くなってる」

「……そう。鬼に、なっちゃったんだ」

 

 口にしてから、起きる前程の食欲が湧いていない事に気付く。一旦気持ちが落ち着いたからだろうか。

 ――だったら、このまま抑えないと。

 姉を見ない様にして童磨が答えた。

 

「あの男の血は別の生物に変貌させる力がある、ということ?」

「……うん」

「そして、人を食う鬼になると」

「そう」

「一回殺したら治る?」

「普通の手段じゃ死なないし、それでは治らないんじゃないかなぁ……」

 

 なんか物騒だな。いや、兄も大分ネジが外れていたような……。

 

(……俺って本当、兄さんのことよく知らないや)

 

 生まれる場所を譲り、過去に自分の手を引いて生かしてくれた水子。それから、と考えようとするが睡魔によって上手くまとまらない。

 

「……ごめん。なんだか、すごく眠い」

「分かった。日に当てない様に運ぶから」

「うん、ごめんなさい。……本当にごめんなさい」

 

 ――何が何だか分からないけれど、()()()()という気持ちはあった。

 関係を修復する為の、……打算ではない行動。それに自分でもやや驚きつつ、童磨は眠る。

 

 鬼という生物の在り方を変える為に自己の肉体改造を無意識の内に繰り返す。

 それ故、童磨が目覚めるのはここから二年後である。

 

§

 

 

 半田(はんだ)端造(はしぞう)。集落から離れた場所に門を構える氷心素流という格闘術を教えていた。

 それもまた、数年前の話。今や結核に罹り周囲から人が離れ、一人半ばに丈夫な体を持て余しながら時間を潰すのみ。

 医者に罹ってまで生きたいと思う年頃でもなく、やり残した事も無い。師範から教わった技を細々とやってくる門下生に指導する生活は性に合っていた。

 このまま終わるならそれでいい。

 必要最低限の労力で生きていく日々は激しく扉を叩く音によって著しく変化した。

 

「すみません。ここに氷心素流という体術を教えている方がいると聞きました」

 

 身の丈に合わぬ籠を背負った童女(どうじょ)が訪ねてきた。根本が白い特徴的な黒い髪もだが、一目見て体幹がそこらの大人よりもしっかりとしている事が分かる。

 結核の身であったこともあって追い返そうとしたが、何度も戸を叩かれる事に呆れ、難題を吹っ掛ければ帰るだろうと思った。

 いくら身のこなしが確としていようが相手は子供。負ける筈が無かろうと慢心があったのは認める。

 

 ただ、瞬きの間に勝負が終わるとは思わなかったんだ。――己が負けた、と気付くまでに時間を要した。

 

「これで、認めていただけますか」

 

 俺がその子供を認めるのは確定事項だ。いいから早く承認しろ。

 その童女――仏塚吉子は誰に対しても物腰が丁寧であり乱暴な物言いは決してしなかったが、言外に大人顔負けの圧を掛ける事に長けていた。

 

 「病身の弟の為にも強くなりたい」と、何をどうしたらこんな辺鄙な道場にやってくる思考になるのだ、と言いたくなる口を抑え、毎朝決まった時間にやってくる吉子に技を教えていった。時にはその成り立ちも交え、時には薬師の真似事の合間にも話をした。

 元々体術を習っていた素養もあってか、技の習得自体は半年も掛からず終わった。後は体に動きを覚えさせる反復練習を行い、少し離れた里の方に赴いて人の困りごとを聞いているらしい。

 その過程でか、この道場に彼女以外の人が訪ねることも増え、新たな門下生が増えもした。

 

「いやぁ、あんな若い身空で弟さんの為にたくさん働いて……」

「この前買った薬がこれまた効くんだわ~。おかげでいつもより鍬振るっちまったよ、また肩こりが……」

「あんた馬鹿だね~!」

 

 吉子が作る薬のおかげか、結核の症状も緩やかになり体を動かせる時間も増えた。

 何より衝撃だったのがアレか、「師範の病は結核ではありません」とか言われたことか。

 

 一門下生が何を言ってるんだと思ったが毎日吉子が処方する薬を飲むとどうだ、みるみるうちに体が回復して結核に罹る前よりも動けるようになった。

 結核じゃなかったという噂も里に回ったからか、門下生もじわじわと戻ってきていた。

 彼女は秋には何日か留守にしていたが、冬には戻り――年が明ければこの道場を出ることになった。

 

「一年の間、お世話になりました。師から教わったことは片時も忘れず練習いたします」

「ああ。俺の方こそお前には世話になった。氷心素流道場に人が再び戻ってくるのも、こうして送り出してやれることも無いと思っていた」

 

 吉子は風呂敷を背負って道場の門前で挨拶にやって来た。

 寂れた道場は彼女が毎日掃除をしたおかげか前よりも見れる様となり、中からは教え子たちの掛け声が重なって届く――活気溢れる道場が戻ってきていた。

 

「免許皆伝ではあるが……、困ったことがあれば来い。相談なら乗ってやれる」

「はい。困りごとがあれば頼りにさせていただきます。それでは失礼いたします。さようなら」

「ああ。またな」

 

 小さく頭を下げて彼女は走り出す。数秒もしない内に背が小さくなっていく。……元々早かったが近頃はとにかく早くなり、小さな体といえど力士の張り手以上の重さを宿す一突きを繰り出せる。

 

 しみじみとその成長を感じながら手を軽く振って見送っていた。

 ……そして、この道場に伝わる技を、先人が遺そうとしたものをこの時代で終わらせない様にしてみせよう。

 なんて、年甲斐も無く胸を躍らせながら道場の中へ戻った。

 

 

§

 

 

 野営で付けた焚火が消えていくのを見ながら思う。

 鬼というのは一体何だろうか。

 

 氷心素流道場で繰り返し型の練習をしている時も、あそこから旅立った後も箱(空いた時間に作成)の中で弟は眠っている。

 脈はある、呼吸もしている。鼻を長くつまんでも……、顔色が悪くなり口呼吸が浅くなってきた所で止めた。

 無意識ではあるが体は生命維持の為に動いている。時折水や重湯を飲ませもしたが、重湯だけは吐いたので水だけをやっている。不思議な事に排泄物が無い、何故だろうか。

 

(一年は経過しているのに筋肉の衰えも無い。いつまでも筋肉が張ったまま、瞳孔も乾いていない……)

 

 頭髪は頭だけが血を被ったような色合いになったが、――鬼にされた時から弟の時間が経っていない。まるでその時に全て止まった、それなのに生命活動は続けている。

 

 成長しない肉体というのは摩訶不思議よりも“不自然さ”を際立たせる。

 動物は須らく老いて死ぬ。老化しにくい種、中には若返って再度生を繰り返す種もあるが傷害と病を越えた後に待つのは身体機能が低下しきって衰弱死する末路のみ。

 

 弟は人間だった。健康な肉体と稀有な容貌を持つだけの人である。

 “神の子”だからといって不老の存在でもない。まだ四肢が発達する前の一片の肉塊の頃から目にしているのだから間違いは無い。

 

 村落や都心部での聞き込み、確かめようのない流説を確かめる度、飢えた山人や物盗り……。それから“鬼”らしき人間に遭遇することもあった。

 彼等に話しかけてみたところ、人間を餌としか認識していないようで威圧的かつ非友好的な態度を見せた。

 

 尖った瞳孔と鋭い爪、高い身体能力と日光を嫌がる性質。

 

 弟と同じ特徴を持つが、背中で眠りこけている奴の方がやや理性的の様に思う。

 また、これまで道中で遭遇してきた鬼が鬼というものの中で下位に位置する類であればそれより力を持った鬼の存在もいる。

 いや確実にいる。寺院を訪ねてきた男の様に。――鬼を増やせる鬼というものが。

 

(とはいえ……。手詰まった感は否めない。場所を変えるか?)

 

 ならこう、バッサリと位置を変えた方が良い。東京ではなく、西、西の方……。京とか……?

 ともかく西方ならばこちらでは見かけない生薬を取り揃えているかもしれない。そうしよう。

 

 背負子の扉を開けてみても弟はそこから出てこない。匂いのする薄荷(はっか)陳皮(ちんぴ)を入れても……少し眉を動かしただけで「なにこの匂い!?」と飛び起きてこない。

 

 瞼を開けてみても、口を開かせて見てもそこは人ではない形をしたものばかり。

 何度見ようが見間違いではない。

 

 この弟が人ではないのなら極楽教で起こった殺戮も悪い夢とはならない。現実に起きていることだ。

 

 再認識。未だ揺れるこの心に刻む。――現実を。




明治コソコソ噂話
極楽教は本院を襲撃されたので壊滅しました。しかし、死亡したのは寺院内に住まう信者のみで、周辺の村などから通う人もいる為信者は全滅はしていません。ただ人の死体が積み重なる事態と双子の両親の死体が発見された為、双子も熊に襲われて死んだと思われています。
この極楽教も父と神の子が主導している時は落ち着いた気持ちで一日を過ごすなど中々に静かかつ温和な空気でしたが、吉子が教義を変えてからは筋肉の塊たちが「ハッ!」「フゥッ!」「筋ッ肉!」「最強ッ!」と掛け声を発しながら周辺の山で修業をするとんでもない空気になりました。
「まず初心者向けコースはこちら、基礎体力向上訓練。身体の筋肉を育てるにはまずしっかりとした栄養の摂取、そして基礎体力が無ければ育ちません。このコースを最初に受講していただくことになります。徐々に慣れてきたら中級の山岳散歩コース、上級の滝修行コースと負荷を上げて頂くと……今庭を通りました上級コース講師の岩山堂さんの様ながっつりとした鍛え上げられた肉体になります。上級より上に『神級コース』なるものもあるらしいですが今の所誰も至っておりません。私? 裏手にあるあの大岩を案内したでしょう。あれを持ち上げただけなので信者の方程鍛えられてはおりませんが、彼等を統括する神としております。? はい、持ち上げましたが皆様程筋肉が反映されず困っておりまして……。どうなさいます? まずは初級コースからですか。入信ありがとうございます」
この光景に童磨と吉子の父は遠い目をしたとか。
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