幼馴染と付き合うことになったが、僕は彼女の名前を知らない   作:たかき_438

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第1話 入学式前①

僕の名前は吉井大地。高校1年生になりたての15歳だ。

僕は今日、制服に身を包みながらこれから通うことになる高校へと向かっていた。今日は入学式……の前にあるオリエンテーションで、新入生が一堂に会してこれからの学校生活についてやら、入学式やらなんやらについて説明したりするのだ。

最寄駅から歩いて5分。マンションやアパートが立ち並ぶ中にある、僕が3年間通うことになった高等学校に到着した。

 

「……ここか」

 

始めてきたわけではないというのに、僕は正門前についてそうぽつりとつぶやいた。

前にも学校見学や入試を受けるためや制服を受け取るためなどで来たことはあるのだが、それでもまるでこの学校に始めてきたかのような感じがする。多分、明日の入学式でもそんな感じのことを思うのだろう。

桜は満開の時期を終えたが、まだまだ花弁が多く残っている。その花弁が絶え間なく落ちながら、僕たち新入生を迎え入れてくれていた。まだ新鮮さ残る制服に身を包みながら正門を潜り抜け、学校の構内へと入っていく。

校舎の方を見ると、4階あたりの高さから垂れ幕が下ろされ、新入生を歓迎する言葉が書かれていた。この学校はどこにでもある、というわけではないが、それなりの偏差値の割と平凡な私立学校である。残念なことに第1志望の公立学校は不合格になってしまったので第2志望のこの学校に通うこととなった。

通学までは大体50分くらいだろうか。僕はこの学校まで1人でやってきた。同じ学校というくくりであればいるかもしれないが、僕の友人でこの学校に行くという人はいなかった。という訳で僕は今は独りぼっちである。だが人生は一期一会、別れがあれば出会いもある。別に友達を100人作るつもりはないが、いつまでも孤独でいるつもりもない。高校でまた友達ができるなり、部活でいろんな関係を持つなり、様々な人間関係が生まれるだろう。

そう思いながら校舎の方へと歩みを続ける。

 

「……あの、ちょっといいかな?」

「ん? ああ、だいじょ……うぶ……」

 

これから通うことになる校舎へと足を進めていると、後ろから声がした。その声が僕に対して向けられているというのもすぐに分かった。それの返事として、僕は『大丈夫だけど、何か?』と言おうと思ったのだが、残念なことにその言葉を最後まで言うことはできなかった。僕は僕に何かを聞いてきた子の顔を見て、言葉を失ってしまった。

 

「……やっぱり」

 

話しかけてきたのは女の子。身長は150ちょっとぐらい。茶髪で、長い髪をポニーテールにしている。この学校の制服であるブレザーを着こなしているのだから、当然この学校の生徒なのだろう。かわいいか、かわいくないかと聞かれたら断然かわいい。

ただ、僕は彼女の顔に見覚えがあった。

 

「……君、名前は」

「大川です。君の名前は……吉井大地君、で、あってるかな?」

「……本当に、大川……なの」

 

彼女の名を知り、僕はかなりの衝撃を受けた。もちろん物理的なものではないが、頭にゴンと金づちが当たったかのような感覚がしたのだ。

彼女が僕のことを知っているように、僕も彼女のことを知っている。

 

「やっぱり……久しぶり、だね」

 

彼女は、僕の幼馴染だった。それも5年ほど前に離れ離れになることになった。




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