監視対象と約束された日々【完結】   作:砂糖ノ塊

16 / 70
どもども。

タイトル通り、今回はなる早で恩を返しに行きます。あと久しぶりにあの人が登場するかも?

お気に入り登録 初代創造神 様 ありがとうございます。

それでは本編どうぞ。



15.食べ物の恩はなる早で返せ

モカ「お?マコくんじゃないですか〜」

真言「あ、センパイ」

モカ「こんなところで奇遇ですな〜」

 

 ここは山吹ベーカリーというパン屋の前。意外と家から近かったな。

 

 何故ここに来てるかというと、この前昼飯を忘れたときに山吹さんが俺にパンを恵んでくれたのだ。

 

 そのお礼というかなんというかで山吹さんの家であり、パン屋でもある山吹ベーカリーに来ているというわけである。

 

真言「センパイはどうしてここに?」

モカ「ふっふーそんなこともわからないのかね?そんなんじゃモカちゃんの後輩失格だよ〜?」

 

 なんか面倒くさい……

 

モカ「モカちゃんはね、三度の飯よりパンが好きなのだよー」

真言「いや、パンも三度の飯に入るんじゃないですか?」

モカ「まあまあ〜細かいことは気になさらずに〜」

真言「調子のいいことを……」

 

沙綾「いらっしゃい二人とも」

 

 山吹さんがレジ前で出迎えてくれた。

 

モカ「やっほ〜さーや」

真言「こんにちは、山吹さん」

モカ「おや?マコくんはさーやと知り合いだったのか〜?あのマコくんが」

真言「あのってどのですか」

モカ「リサさんからすっごい人見知りだって聞いたよー?」

真言「姐さん…………」

 

 なんかいろいろ捻くれて伝わってるな……あながち間違いではないけど。

 

沙綾「私もモカが神代くんと知り合いだったことは知らなかったなぁ」

モカ「知り合いじゃないよー」

沙綾「え?」

 

モカ「バイトのこーはい」ユビサシ

真言「バイト先の先輩です」ユビサシ

 

沙綾「あー……なるほど」

 

 なんとも言えないような目でこちらを見てくる。

 

 "大変そう"とか思ってるのだろうか?

 

沙綾「というか神代くん、また敬語に戻ってるよ」

真言「あ」

 

 忘れてた。

 

真言「……なんとなく山吹さんには敬語を使いたいというか……」

沙綾「変わってるね神代くん」

真言「そうですか?」

モカ「モカちゃんのこともセンパイって呼んでるしねー」

真言「それはセンパイが……」

 

 自分で先輩って呼べって……

 

モカ「ねね、試しにあたしのこと"モカちゃん"って呼んでみてよ」

真言「えぇ……いきなり下の名前ですか……?」

 

 ちゃん付けは無理よ。同い年の女子に。

 

真言「せめて湊さんみたいに名字呼びで……」

沙綾「いいね。私のことも"沙綾"って呼んでみて?」

 

 人の話聞いてましたか?山吹さん?

 

真言「山吹さんまで……ちょっと悪ノリが過ぎませんか!?」

モカ「あ、怒った〜」

真言「別に怒ってないですセンパイ!」

 

沙綾「ごめんごめん。でも神代くん、有咲のことは下の名前で呼んでなかったっけ?」

真言「え?……まぁ呼んでますけど……」

 

 なんならあいつも俺のことを"マコ"って呼んでるしな…昔は違ったけど。

 

真言「でもそれがどうしたんです?」

沙綾「いや?やけに親密だけど何でかなって」

真言「…………」

沙綾「有咲も君のことをすごい気にかけてるみたいだし………………あ、ごめん」

真言「え?」

モカ「マコくん……すっごい嫌そうだよー?」

真言「……そんなにですか?」

 

 二人に頷かれた。やっぱり顔に出やすいのかな……

 

真言「……なんかすみません」

沙綾「いやこちらこそ……」

モカ「まあまあ〜ここはモカちゃんに免じて許してやってくださいよ〜」

真言「いや……別にセンパイに免じなくても…………って何ですかそれ!?」

モカ「ん?何が〜?」

 

 センパイが持っていたトレーには山吹ベーカリーで売っているさまざまな種類の、そして大量のパンが乗っていた。

 

真言「そんなにめちゃくちゃ買って……どうする気ですか!?」

モカ「どうするって……もちろん食べるんだよー?」

真言「この量を!?」

モカ「まったく不思議なことを言うなーマコくんはーあ、さーや支払いはコレで」スッ

 

 そう言って出したのは…

 

真言「……何ですかそれ」

モカ「ポイントカード」

真言「…………いや、多すぎません?」

 

 これまたすごい枚数のポイントカードだった。

 

 この量のパンをポイントカードで支払うなんて……狂ってやがる。

 

モカ「言ったでしょー?モカちゃんは三度の飯よりパンが好きだって」

真言「限度があるでしょうが!!」

モカ「マコくんも早くしないとモカちゃんが買い占めちゃうよ〜?」

真言「は、ちょっと待って下さい!」

モカ「ほらほら早く〜」

真言「せめて選ぶ時間を!!」

モカ「え〜どうしよっかな〜」

 

 

 

沙綾「…………………」ジーッ

 

 ……?何かすっごい視線を感じるんだけど……早く選べと?それならちょっとだけお待ちいただきたく……

 

沙綾「神代くん」

真言「はい?」

沙綾「一個だけ……質問していい?」

 

 質問?

 

沙綾「答えたくなかったら無理に答えないでいいから」

真言「…………まあ、それなら……」

 

沙綾「神代くん、"牛込りみ"って子、知ってる?」

 

 うしごめ……りみ……?

 

真言「いや、知らないですけど……」

沙綾「…………そっか」

真言「?」

モカ「マコくん、りみりんと知り合いなの?」

 

 りみりん?センパイとも知り合いなのかその人。

 

真言「違うと思いますけど……その人がなにか?」

沙綾「いや、私の勘違いだったみたい。ごめんね」

真言「そうですか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沙綾「はい、お買い上げありがとうございました!」

真言「センパイ、ホントに全部ポイントカードで払いましたね……」

モカ「あったり前よ〜」フフン

 

 やっぱりこの人はどこか掴めない、雲のような人だ。

 

沙綾「やっぱりAfterglowのみんなと食べるの?」

モカ「まっさか〜全部モカちゃん一人で食べますよ〜」

沙綾「この量を……?」

モカ「もちろん〜♪」

 

 二人が話している様子を見て俺は考える。

 

 思えば俺は彼女たちの事を全然知らない。

 

 所属しているバンドのこと、友人たちのこと、

 

 …………俺はいつも、自分のことばっかりだ。

 

モカ「どうしたのかなー?」

真言「……なんでもないですよ」

 

 自分のことすらままならない俺には、人に心を開けない俺には、彼女たちの事を気にかける資格なんて……

 

モカ「てい」バシ

真言「痛った!!」

 

 後ろから急に引っ叩かれた!?

 

真言「何すんですかセンパイ!!」

モカ「だってー、何か思いつめてそうだったんだも〜ん」

真言「……別にそんなことは」

モカ「はっはーやっぱりマコくんは嘘が下手だね〜」

真言「………………嘘じゃないです」

モカ「ねぇマコくん」

真言「?」

 

 いつものフワフワとした雰囲気ではない、真面目なトーンでセンパイが話しかける。

 

モカ「別に何でもかんでも一人で抱え込まないでいいんだよ?」

 

 ……この人は心が読めるのだろうか?

 

モカ「もちろん無理に相談してとは言わないけど、君は優しいからね。心配かけないように自分だけで何とかしようとして、あたしにもリサさんにも絶対に頼らないと思うんだ」

 

真言「……やっぱりセンパイは俺のこと誤解してますよ」

 

 俺はそんなできた人間じゃない。それは前にも言ったはずだ。

 

 俺が優しい?いいや違う。

 

真言「確かに俺がセンパイや姐さんたちに頼ることはないです」

 

真言「……けどそれは俺が優しいからじゃない」

モカ「じゃあなんで?」

真言「……………………………」

 

 

 

 

 

 それは俺が…………信用していないから。

 

 

 

 

 

 俺が本当に、無条件で、心の底から信じているのは世界でたった一人、燐子先輩だけだ。

 

 

 

真言「俺はもう十分すぎるくらい、助けられましたから」ニコ

モカ「…………そっか」

 

 そんな今の日常を壊すようなことは、口が裂けても言えないけれど。

 

 

 

 

 

沙綾「…………誤魔化すのが上手いね、神代くん」ボソ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モカ「さっきはなんかゴメンねー」

真言「え?何がですか?」

モカ「ちょっとお節介が過ぎたかなーって」

真言「……心配かけてしまってすいません」

モカ「違うよ〜マコくん」

真言「?」

モカ「こういうときは"すいません"じゃないよ?」

 

真言「…………心配してくれてありがとうございますセンパイ」

モカ「ふっふーわかればよろしい」




勘のいいガキ(沙綾)はそんなに嫌いじゃないよ。

ちょこっと真言くんのブラックな部分が出ましたね〜

今回は珍しく真言くんに保護者がついてません。監視対象とは一体何なのか……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。