「き、きんちょうする…………」
「(きょうはピアノのコンクール……かいじょうもおおきいし…………人もいっぱい………………)」
「おい、おまえ」
「ひ、ひっ……」
「そんなビビらなくてもいいだろ…………」
「ご、ごめんなさい……」
「だいじょうぶか?かおいろわるいぞ」
「は、はい……だいじょうぶ……です」
「…………あめたべるか?」スッ
「あ、ありがとう……ございます」
「………………」モグモグ
「………………」ジーッ
「(わたしとおなじくらいのおとこのこ……このこもコンクールにでるのかな…………?)」モグモグ
「………………」ジーッ
「(すっごいわたしのことみてくる…………)」
「おまえ」
「…!」ビクッ
「ここがどこだかしってるか?」
「…………………え?」
「このばしょはなんだ?」
「え、えっと…………ピアノのコンクールの……」
「おまえピアノひくのか!?すげぇな!」
「!!!」ビクッ
「あ、ごめん。おおきいこえだしちゃったな……」
「きみも…」
「ん?」
「きみも……ピアノのコンクールにでるんじゃないの……?」
「おれが?ないない」ハハハ
「……じゃあどうしてここにいるの?みにきたの?」
「まいごだ!!!」ドンッ!!!
「……………まいご?」
「うん!まいご!」
「……………………おかあさんは?」
「しらない!!なんかはしってたらここについた!!」
「(…………このこ……だいじょうぶ……かな?)」
「それよりおまえ!これからコンクールにでるんだろ?そとにいていいのか?」
「……………………だめ」
「?じゃあもどれよ」
「……………………こわい」
「こわい?なにが?」
「おきゃくさん…………コンクールをみにきたおきゃくさん……」
「…………よしわかった」
「………………?」
「いくぞ!」グイッ
「!?ど…どこに……!?」
「コンクールにでなくちゃいけないんだろ?ほら、こわくねぇようにおれがてつないでてやる!」
「ま、まって…………」
〜〜コンクール会場【ホール内】〜〜
「うぉぉ……でっけぇな……」
「ひとがいっぱい……」
「ええっと……コンクールにでる人は……あっちか!!」グイッ
「ちょっとまって……!まずおかあさんとおとうさんに──」
ピンポンパンポーン♪
間もなく、ピアノコンクールを開始いたします。出場される方は速やかに会場控室までお越しください──
「じかんないな!いくぞ!!」
「なんで…………」
「?」
「なんで……わたしをたすけてくれるの……?」
「それがおれのゆめだから!」
「よ、よくわからないよ……?」
「あとでおしえてやる!!」
「……なんでこんなひとがいっぱいなんだ……これじゃ"ひかえしつ"までいけねぇじゃん……」
「…………………」
「…………しっかり手にぎってろよ」
「…………………わかった」ギュッ
「うおおお!!!どけどけー!!!!」
「何だ!?」
「子供!?」
「みちをあけろーー!!!ピアノのコンクールまでいかなきゃなんないだーー!!」
「ちょ、ちょっと…………」
ピンポンパンポーン
──迷、のお知、せ、で、
「じゃまだ!!どけー!!!」
「や、やっとついた…………つかれたー……」
「………………あ、あの……」
「ん?」
「わたしを……たすけてくれたりゆう……ゆめって……どういうこと……?」
「あ、うーんとな」
「おれのゆめは、みんなをたすける"せいぎのみかた"になることなんだ!!」
「せいぎの……みかた?」
「うん!せいぎのみかた!!」
「わるい人をたおして、こまっているひとをたすける、かっこいいだろ!」
「う、うん…………かっこいい……」
「だろ!?おれはいつかそんなつよい人になるのがゆめなんだー!」
「……いまはかあさんにもかてないけど……いつかはかつ!!」
「…………そっ……か」
「燐子!!」
「お、おかあさん……おとうさん……」
「どこに行ってたの!?心配したんだからね!?」
「ご、ごめんなさい……」
「君が燐子を連れてきてくれたのかい?」
「おお!」
「本当にありがとうね」
「とうぜんだ!"せいぎのみかた"、だからな!!」
「「???」」
「んじゃ!おれはもういくわ!」
「あ、あの……!」
「どうした?」
「あ、ありがとう…………」
「……いいってことよ!これからもこまったことがあればおれをよびな!」
「…………あの……なまえ……」
「おれか?おれのなまえは、かみしろ──」
ダッダッダッダッダッダッ!!!!!
「……?」
「真言ぉぉおおおおお!!!!!」ドゴォ!!!
「ぶべらぁあ!!!」
「「「!?」」」
「いってぇ…………いきなりなにすんだよ!かあさん!!!」
「あんた何処ほっつき歩いてんの!!なんで旅行先のホテルにいたあんたがピアノのコンサートホールにいるのよ!?」
「しらねぇよ!きづいたらここに……」
「言い訳しない!!」ドゴォ!!!
「いってぇ!!!」
「…………………………」
「ほら!とっととホテルに帰るよ!!」グイッッッ!!!
「あ、おまえ!ピアノがんばれよー!!!」ズルズル
「…………………いっちゃった……」
「何だったんだ……?一体…………」
「かみしろ……まことくん……?」
「(せいぎのみかた…………ふしぎなこだったな……)」
「白金燐子さん、そろそろ控室に……」
りんこ「は、はい……」
「頑張ってね燐子」
りんこ「う、うん…………」
「あんた、さっきの女の子と知り合いなの?」
まこと「いや?ぜんぜん」
「困らせたりしてないでしょうね」
まこと「おれは"せいぎのみかた"だぜ?こまってるひとをたすけてなにがわるい!」
「は、正義の味方ね……私に手も足も出ないあんたが何言ってんだか……」
まこと「いまだけだしー!!いつかぜってえボッコボコにしてやる!!」
「ほう…………言ったな?」ピリ
まこと「お、おうよ!かえったらしょうぶだ!!」
「向こうに帰るの明後日だけどな」
これが彼と彼女の初めての出会い。
後に、彼は正義の味方とはかけ離れた存在に、彼女は青薔薇の一員となり、邂逅を果たすことになるが、それはまだ先の話。
真言「燐子先輩!!」
燐子「うん……真言くん……」
そしてこれから始まるのは、そんな正義の味方になり損なった監視対象の、失敗談だ。