監視対象と約束された日々【完結】   作:砂糖ノ塊

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週一投稿を目指したかった。

なぜできなかったかは私のTwitterを見れば分かるかと……https://twitter.com/amatoo_coco?s=09

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今回は前回のイチャイチャ回とのバランスを取る(?)回です。

それでは本編、どうぞ。



33.にしゃたくいつ?

 人には向き不向きがある。

 

 どっかの漫画のラスボスも言っていたが、「王には王の、料理人には料理人の、それぞれの役割がある」とかなんとか……

 

 適材適所と言ってもいい。とにかくそういう役割がこの世に存在しており、すべてが得意な人間などは存在しない。

 

 もしいるとしたらそいつは多分人間じゃない。きっと吸血鬼か何かだろう。

 

 もちろんこの俺、神代 真言にも苦手なことの一つや二つや三つや四つある。

 

 要は何が言いたいのかというと…………

 

真言「俺にショッピングは向いてないってことです」

リサ「ほら、いつまでウダウダやってんの、さっさと行くよ〜?」

あこ「まっくん早く〜!」

真言「……………………」

 

 どうやら俺に拒否権はないようだ。

 

 ここは近所のショッピングモール。そしてここに来るということはもちろん目的はショッピング……しかも服選び…………はぁ……

 

真言「…………俺……ホントについてかなきゃダメですか……?」

あこ・リサ「「もちろん!」」

 

 即答されてしまった。

 

 先日燐子先輩と姐さんが一緒にショッピングに行ったとかで、それを師匠が羨ましがり、一緒に行きたいと姐さんにねだって行くことになったのだが…………それになぜか俺も同行することになったという訳だ。

 

あこ「りんりんだけズルいでしょ!?ね!そう思うよね!?まっくん!」

真言「いや、最近燐子先輩なんか悩んでたみたいなんで、きっとその息抜きだと思うんですけど………」

リサ「まあいいじゃ〜ん♪ほら、マコくんの私服も一緒に選んであげるからさ☆」

真言「…………………………俺、服は……」

 

リサ「……前々から思ってたんだけどマコくん」

真言「……はい?」

 

 

 

 

 

リサ「君……いつも同じような服着てない?」

 

 

 

 

 

真言「…………………」ズーン…

あこ「ちょ、リサ姉!それ言っちゃいけないやつだったんじゃないの!?」

リサ「ご、ごめん!マコくん!!」

 

真言「…………俺……センスないんで…………燐子先輩や皆にダサいって思われたくなくて、こういう地味な服しか着ないんですよ…………はは…」

あこ「………………」

真言「あ、もちろん他の服もありますよ?…………全部黒とかですけど」

リサ「………………」

真言「…………できれば燐子先輩には制服で会いたいんですよね……」

 

 ガシッ!

 

 二人に両腕をガッチリ掴まれ、そのまま引っ張られる。

 

真言「え?」

あこ「よし!行こう!!リサ姉!!!」

真言「ちょ、ちょっと」

リサ「アタシたちに任せて!!燐子にカッコいいって言ってもらえるように頑張ってコーディネートするから!!!」

 

 断れるわけなどあるはずなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真言「あの…………」

リサ「んー…………ねぇこっちのはどう?」

あこ「いいじゃん!まっくん着てみなよ!!」

真言「…………………」

 

 ……もう30分はこんなやり取りを繰り返している気がする。

 

 つかれた…………いつまで俺は試着室を往復しなきゃいけないんだ……

 

真言「…………………どうすか」

あこ「似合うよー!カッコいい!!」

 

 師匠は優しいから何着てもこうやって褒めてくれる。……姐さんのセンスが良いからか。

 

リサ「いや……さっき着たこっちも捨てがたい…………」

真言「姐さん……完全に火がつきましたね……」

あこ「うーん……ああなっちゃったらちょっと時間かかるかも……」

リサ「でもな……これも似合ってたし…………」ウーン

 

 すごい悩んでる……俺、正直今着てるやつでいいんだけどなぁ……普通にかっこいいと思う。さすが姐さんの選んだ服。

 

真言「(でもこんな適当な感じで言ったらブチギレられそう……)」

 

リサ「マコくん!」

真言「は、はい!!!」ビシッ!!!

リサ「こっちとこっち、マコくんはどっちがいいと思う?」

 

 姐さんが持っているのは………………これ、なんて言えばいいの?えーっと……オシャレな…………黒色ともう一つは茶色っぽい……けどいつも俺が着ているようなやつとは雰囲気が全然違うというか…………?

 

真言「??????????」クビカシゲ

 

 やべぇ…………どっちもオシャレすぎて全くわかんねぇ…………

 

真言「し、師匠……」

あこ「えぇ!?…………ど、どっちも似合うと思うよ!」

真言「そんなぁ……」

 

 どっちでもいいというのは一番困るってのは本当だったんだな…………

 

リサ「マコくん」

真言「え、じゃ、じゃあ…………こっちで……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真言「……姐さん、ありがとうございました」

リサ「いいよいいよ気にしないで!アタシもマコくんの服選ぶの楽しかったし♪」

 

 結局、姐さんがコーディネートしてくれた服を買うことにした。

 

 ちなみに俺はバイト代をほとんど使うことなく貯金しているので、それなりに自由に使えるお金はある。

 

真言「姐さんは何か買うんですか?」

リサ「うーん……アタシはこの前買ったばっかだしな〜……」

 

あこ「リサ姉ーちょっと来てー」

 

真言「姐さん、呼ばれてますよ」

リサ「あ、ホントだ。じゃあ行こっか」

真言「…………………え?」

 

 呼ばれたの姐さんだけじゃね?

 

リサ「いいからいいから」

真言「何がですか」

 

 

 

 

 

 

あこ「リサ姉ーまっくんーこっちとこっち、どっちがいいと思う?」

 

 …………また二者択一か……今日はやけに選ぶのが多いな……………ぁ?

 

真言「師匠?それ…………」

あこ「かっこいいでしょ!」

 

 いや……かっこいいっていうか………

 

真言「どっから見つけてきたんですかそんなの」

 

 今、師匠が両手に持っている服はどちらも派手な装飾品、というか羽?みたいなものがついていたりする、一言で言えばやべぇやつが着る服だった。

 

真言「いや……流石にこれは…………」

あこ「え?」

リサ「よく見つけてきたね……というかあるんだねそんな服…………」

真言「師匠。ここは姐さんに任せましょう。

真言「かっこいいのが好きなのはわかりますが、姐さんならなるべくその意見を尊重しながら師匠に似合う服を見つけてくれるはずです」

 

 俺の師匠にこんな派手の領域を超えたやばい服を着させるわけにはいかない。

 

あこ「…………そこまで言うなら……」

 

 よし。ミッションコンプリート。

 

 言うまでもないが、そこからは姐さんが大活躍だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 師匠の服も買い終わり、とりあえず今日の目的はすべて達成になった。

 

リサ「ねぇ、ちょっとお茶してかない?」

あこ「いいね!行こー!」

真言「………………姐さん」

リサ「ん?」

 

真言「少し……聞きたいことがあります」

 

リサ・あこ「「???」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサ「……それで?その聞きたいことって何?」

 

 ショッピングモール近くのファミレスで俺の相談を聞いてもらうことにした。

 

真言「実は……」

あこ「りんりんの事でしょ?」

真言「…………なんでわかるんですか」

 

 俺ってそんなにわかりやすい?

 

リサ「まあ、それはアタシも何となくわかってたけどね」

真言「……………………もう知ってると思いますが、ちょっと前、燐子先輩……何か悩んでたみたいなんです…………生徒会でも元気がなかったというか……」

あこ「うんうん」

 

真言「それで………………一体燐子先輩は何を悩んでいたのか聞きたいんです」

 

あこ「うんうん……………………………………うん?」

真言「?」

リサ「え?」

 

 え、何その「何でお前知らないの?」っていう顔。

 

真言「あの……俺の質問何かおかしかったですか?」

あこ「いや…………え……まっくん知らないの?」

リサ「てっきり燐子もマコくんには相談してたと思ってたんだけど…………」

真言「………………………?」

リサ「あ、ごめんね。えっと燐子が悩んでたのは──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサ「──ってことなんだけど……」

真言「なるほど……」

 

 二者択一か……確かに先輩、そういうの苦手そうだからな……

 

リサ「燐子は優しいからね。選ばれなかった方のことを考えちゃうんだってさ」

真言「選ばれなかった方……」

あこ「というかまっくん、ホントに知らなかったの?」

真言「はい。知りませんでした」

リサ「燐子から相談とかは?」

真言「何かあるってことには俺にもわかりましたよ。だから先輩に聞いたんです。『俺に何かできることはないですか?』ってそしたら…………」

あこ「そしたら?」

 

 

 

 

 

燐子『大丈夫だよ……心配しないで…………?』

 

 

 

 

 

真言「結局、何も教えてくれませんでした……」

 

リサ「……………」

あこ「……………」

 

 これはきっと遠回しな拒絶だ。"お前にできることは何もない"という、先輩からの拒絶。

 

真言「…………俺にできることなんてほとんど無いのかもしれません…………でも俺は、先輩の役に立ちたいんです」

 

 なんでもいい。話を聞くとか、そういう誰にでもできることでいい。

 

 誰にでもできることしか、俺にはきっとできないから。

 

 それでもあの人の力になれるのなら、俺は何でもするのに…………

 

真言「俺って……やっぱり頼りないんですかね……」

あこ「そんなことないよ!きっとりんりんはまっくんに心配かけたくないだけ!」ガタッ!

リサ「それもあると思うんだけどね………………マコくん」

真言「…………はい?」

 

リサ「君はきっと押しに弱いんだよ」

 

 押し…………?

 

真言「押しって……どういう意味ですか?」

リサ「そのままの意味だよ。自分でも思い当たる節があるんじゃない?」

あこ「うーん…………確かにそうかも」

 

 思い当たる節は…………

 

真言「……なんかありましたっけ」

リサ「あるよ。例えばさっき言った『心配しないで』って言われてそのまま素直に引き下がっちゃうところ」

真言「あ」

あこ「それに、今日も最初あれだけ行きたがってなかったのに結局買い物に付き合ってくれたじゃん」

真言「た、確かに……」

リサ「こころのよくわかんない実験にも押し切られて協力しちゃってるし」

あこ「紗夜さんとか友希那さんとかに強く言われたら黙って従っちゃうでしょ?」

リサ「アタシ、バイト中もモカに仕事押し付けられてるの見たことあるよ」

 

真言「…………………」

 

 なんてこった……これじゃまるで俺が意思の弱い、されるがままのダメ人間みたいじゃないか……!

 

リサ「別に悪いことじゃないと思うんだけど……マコくん、優しすぎて他人に押しきられちゃうし押しきれないんだよ」

真言「それを世間一般では意思が弱いというのでは……?」

あこ「あこはね、もっとりんりんにガツガツアタックしていいと思う!」

真言「えぇ…………」

 

 それは……嫌われないだろうか……

 

リサ「マコくんも燐子と同じで優しすぎるのかもね」

真言「…………優しい……か」

 

 そう言われると、なぜか監視対象となる前の俺のことを思い出してしまう。

 

 燐子先輩と出会う前の、地獄のような日々。

 

 もし、今の俺が"優しい"のならあのときの俺はきっと……………

 

あこ「はい!その話はこれでおしまい!」

真言「!」

あこ「それより見て見て!今なんか新しいフェアがやってるらしいよ!」

真言「…………新メニュー&復刻メニュー…?」

 

 メニュー表には大きく二つの美味しそうなスイーツが描かれていた。

 

あこ「どっちにしようかな……迷う〜!」

真言「………………そうですね」フッ

リサ「(やっと笑顔になったよ……ナイスあこ!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あこ「よし!決めた!」

リサ「お、決まった?マコくんは?」

真言「俺も決まりました」

リサ「じゃ注文しよっか♪すみませーん」

 

 

 

 

 

あこ「あこはね……こっちにする!」

真言「俺はこれで」

リサ「………………マコくん?」

真言「どうしました?」

リサ「それ、今のフェアのメニューじゃないけど……」

真言「?はい、知ってますよ」

リサ「……ホントに抹茶アイス?」

真言「はい」

リサ「…………………」

 

 二つある選択肢、その中から空気に流されず、言い換えればマイペースに、自身の答えを導くのがこの男なのだと、リサはそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜後日談〜〜

 

 花咲川生徒会室にて、俺は紗夜先輩に姐さんと師匠と出かけたことを話した。

 

紗夜「神代さん、これは単なる雑談、あまり考え込まず答えてほしいのですが……」

真言「……はい?」

 

 なんか……雑談のテンションじゃなくない?

 

紗夜「もし、私と白金さんが川で溺れていたら、どちらを助けますか?」

真言「どっちも助けます」

紗夜「……………………」

 

 ………………沈黙怖いんですけど。

 

紗夜「……では質問を変えます。私と白金さん、()()()()()()()()助けられないなら、どちらを助けますか?」

真言「燐子先輩です」

 

 今度も間髪を入れずそう答えた。

 

 きっと俺がこう答えることを紗夜先輩もわかっていたはずだ。一体何でこんな質問をするのだろう?

 

紗夜「………………本当に?

真言「え?」

紗夜「いえ、何でもありません」

 

 何か言ったような気がしたけど……気のせいか?

 

真言「……というより質問の意地が悪いですよ紗夜先輩。普段はそんなこと言わないじゃないですか」

紗夜「そうですね……少し悪趣味な質問でした。すみません」

真言「…………?」

 

燐子「真言くん……ちょっといいかな……?」

真言「はい!すぐ行きます!」

 

 

 

 

 

有咲「……紗夜先輩、さっきの…………」

紗夜「市ヶ谷さん……聞かれてしまいましたか……」

有咲「す、すいません……」

紗夜「別に謝ることではありません。単なる雑談のつもりでしたし」

有咲「……………あの、紗夜先輩。あいつ口ではああ行ってますけど──」

紗夜「わかってますよ。おそらく彼ならどちらかしか助けられない状況でも、どちらも助けようとするでしょう」

有咲「…………………」

紗夜「たとえ溺れていたのが私と市ヶ谷さんでも、Roselia全員でも、彼なら迷わず全員を助けれる選択肢を取ります」

有咲「…………でしょうね。あいつ、多分それが当たり前だと思ってますから」

 

紗夜「以前、コンビニ強盗から白金さんとの約束を守りながら今井さんと青葉さんを守ったように、守れるものは全部守って、救えるものは全て救おうとする……………………自分の身は一切顧みずに」

有咲「溺れてる人を全員助けようとして、自分が逆に溺れるってやつですか?」

紗夜「……それが彼の危ういところでもあり、良いところでもあるんですけどね」

 

 

 

 

 

有咲「…………あいつが溺れないためには、まず私たちが溺れないようにしなきゃですね」

紗夜「そうですね…………ふふっ」

 

 もし彼が溺れる時が来るなら、それはきっと誰かのせいだろう。




今回は前イベのストーリーのパロディ的ななにかでした!

…………自分の大切な人をどちらか一人選ばなければならないとき、皆さんは選ぶことができますか?

彼にもきっと、選ぶときが来るのかもしれませんね……
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