まだテスト期間のブランクが残ってる文章かもしれません……(言い訳)
それでは本編、どうぞ。
正直に言おう。俺は湊 友希那のことが苦手だった。
彼女の出す絶対的なオーラ、自分にも他人にもストイックなその姿勢、決して妥協することのない性格、物怖じすることなく発せられる本音、そのすべてが。
嫌いというわけではない、ただ苦手なのだ。"怖い"と言い換えてもいい。
彼女を見ていると、どうしてもガキの頃のキツイ修行のことがフラッシュバックしてしまって…………
……と言ってもそれは昔の話。彼女と接する時間が増え、"湊 友希那"という人間をよく知りさえすれば、なんてことない、ただの不器用で真っ直ぐな………………
猫好きの少女だ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
真言「………………燐子先輩、ほんとにいいんですか?」
先輩が俺に渡してきたのは一枚のチケットだった。
燐子「うん…………一回だけでいいから……お願い」
真言「でも俺、音楽なんか全然わからないですよ?」
燐子「それでもいいの…………お願い」
真言「…………わかりました。とりあえずありがたく受け取っておきます」
「今度やるライブのチケット」と先輩は言っていた。どうやら先輩はガールズバンドとやらのメンバーらしい…………
燐子先輩だけじゃない、氷川さんやこの前一緒に遊んだ宇田川さん……師匠も、同じバンドのメンバーだそうだ。
真言「ガールズバンド…………」
先輩はなぜ、俺にこれを渡してきたのだろう……?
真言「…………行けばわかる……だろうか」
〜〜【CiRCLE前】〜〜
真言「ここ……だよな」
燐子先輩のバンドがやるライブの会場……CiRCLEというライブハウスでやると言っていた。
真言「………………」
大丈夫だろうか……いや、何を不安がってるんだ俺は。チケットもある、服装も……まあ地味だが変ではないはずだ。入場拒否とかはされない…………多分。
意を決しライブハウス内に入って、辺りを見回してみる。
真言「おお…………」
普段来ることがないところだ。音楽雑誌やら、おそらく楽器関係であろうなにか、そしてどこのバンドかもわからないようなポスター…………物珍しそうに辺りをキョロキョロしている俺は場違いだろうか?
真言「…………ん?」
目に止まったあるバンドのポスター。そこには紫のバラを彷彿とさせる衣装を身にまとった、5人の少女たちが写っていた。
真言「……燐子先輩?」
そう、燐子先輩、燐子先輩がいる。
それに氷川さんらしき人や師匠らしき人まで……なるほど、だんだんと先輩の交友関係が見えてきたぞ。
あともう2人、センターに立つ銀髪ロングの小柄な少女と……あれ?このギャルみたいな人、どっかで見たことあるような……?
…………俺は今日、この人たちのライブを見に来たってことか……
真言「えっと……ろ、ろぜりあ?」
英語表記でRoselia。多分読み方はこれで合ってると思う。
意味は…………わからん。英語は得意なわけではない。というか勉強全般、教師全般大っ嫌いだ。
真言「そろそろライブが始まる時間だな。会場は…………あっちか」
〜〜【ライブ会場】〜〜
真言「な、なんじゃこりゃ…………」
決して広いとは言えないライブ会場、そこを覆い尽くすものすごい数の人、人、人。
真言「これ全部、あのRoseliaのライブを見に来た人なのか……?」
……もしかしたら俺はとんでもないとこに来てしまったのかもしれない。
真言「俺……ホントにここに来てよかったのか?」
ここに入る前に感じた不安は、俺の中で確かなものに変わっていた。
「私達はRoselia、今日は私達のライブに来てくれてありがとう」
ワァァァァァアアアアアア!!!!!
会場を大歓声が包み込む中、俺は一人、変な汗をめっちゃかいていた。
真言「(なんで俺こんな前にいるの……!?)」
俺が座っているのは、今喋っている、さっきのポスターにセンターで写ってた人の真ん前。
つまり、ファンの人なら喉から手が出るくらい欲しいであろう中央一番前のめちゃくちゃいいポジションということだ。
あこ「!!!」ブンブンブン
真言「(師匠めっちゃ手振ってんな……まあこんな前にいたら嫌でも気づくか…………)」フリフリ
くっそ……燐子先輩、なんでこんないい席のチケットを俺に渡してきたんだ……?
は!まさか俺にこのライブをいい席で観てもらおうとし──いや、燐子先輩が一番驚いてるわ。
「まずはこの曲から──」
真言「(あ、始まる)」
Roselia……結局事前情報ゼロで来たからどんなバンドなんだか全然知らないんだよな。
でもなんだろう……
真言「(俺今……すげえワクワクしてる……)」
そして始まるRoseliaのライブ。
これが俺がRoseliaにハマったきっかけにもなったライブだった。
真言「かっけぇ…………………」
ステージで輝く彼女たちを見て、俺は無意識にそうこぼした。
彼女たちを言葉で言い表すには、俺の足りない音楽知識と語彙力を総動員させても、それが精一杯だった。
カッコいい。
この前師匠が言っていた、『自分にとっての"カッコいい"』……これが、先輩たちにとっての"カッコいい"なのか……
息が詰まる。鳥肌が立つ。心が揺さぶられる。
彼女たちを表現するにはどれも言葉足らずだ。
くん…………ことくん…………
燐子「真言くん……!」
真言「……!燐子先輩……?」
え、なんで俺の目の前に……?ライブは?
燐子「どうしたの……?ライブもう終わったよ……?」
真言「…………………終わった?」
先輩の言うとおり、気づけば会場にいたものすごい数のファンは俺を除いて一人残らずいなくなっており、俺は放心状態でただ立ち尽くしていた。
先輩の服もライブの時の衣装じゃなく、普通の私服だ。
真言「……すいません、ちょっと……感動で……」
燐子「そっか………………ふふっ」
真言「どうかしました?」
燐子「真言くん……顔がちょっと明るくなったね……?」
真言「え、そ、そうですか?」
燐子「うん…………楽しんでくれたみたいでよかった…………」
あこ「まっくーーーーーん!!!!!」ダッダッダッ!!!
真言「……………………?」
師匠……?
あこ「まっくん!今日すっごい近くにいたね!!どうだった!?あこたちのライブ!!!」
真言「あ、『まっくん』って俺のことですか」
あこ「そう!まことくんだから『まっくん』!」
なるほど……『ん』とったらそれマッ──いや、やめておこう。
あこ「それでそれで?どうだったあこたちのライブ!!」
真言「なんというか……上手く言葉にできないんですけど………」
真言「すげえカッコよかったです…………ごめんなさい、幼稚ですよね……?」
無理に言葉にしようとすると、俺が感じた感動が途端に安っぽいものに見えてしまう……単に語彙力がないだけか。
あこ「ううん、そんなことないよ!まっくんの言いたいことはちゃーんと伝わったよ!」
真言「そう……ですか」
「あこ?何をしているの?」
一人の少女がこちらに向かってくる。
真言「(さっきステージの上で歌っていた人だ……)」
「あら?あなたは…………」
あこ「友希那さん!この人がりんりんの言ってた……」
"ユキナ"と呼ばれたその少女は、どこか品のある…………棘のある薔薇のような雰囲気を放っていた。
友希那「ああ、あなたが燐子の言っていた『神代 真言』くんね。Roseliaの湊 友希那よ」
真言「…………神代 真言です」
燐子「……?どうかしたの……?」
なんか、この人見てると母さんとじいちゃんにしごかれてたガキの頃を…………あと従姉妹の静に似てる……?
あこ「まっくんはりんりんの後輩で、あこの弟子なんですよー!」
友希那「でし……?」
真言「…………あの、湊さん」
友希那「?なにかしら」
真言「さっきのライブ……素晴らしかったです。俺、音楽のことなんてほとんど知りませんけど……でも、今日は来てよかったって心から思いました」
燐子「真言くん……」
友希那「…………そう、それはよかったわ」
あこ「まっくんまっくん!またあこたちのライブ見に来てね!!」
そうして俺は音楽知識がほぼゼロなのにも関わらず、Roseliaの演奏だけは欠かさずチェックするようになった。
俺だって男だ。カッコいいものには目がない。Roseliaファンになるのにもそう時間はかからなかった。
俺が湊 友希那と再び出会ったのはとある日の公園でだった。
〜〜【公園】〜〜
昼下り、俺は公園のベンチに寝転んでいた。
真言「いい天気だ…………………………」
快晴の青空、程よく吹く風、暑くもなく寒くもないちょうどよい気温、昼寝に最適な環境がこの公園には整っている……
幸いこの公園には今誰もいない。これはもう神が俺に昼寝をしろと言っているようなものだ……というかもう言っている。俺には神の声が聞こえる(✽彼はもう半分寝てます)
真言「……………………すぅ」スヤスヤ
だがすぐに俺のすやすやタイムは終わりを告げる。
とある動物の鳴き声で。
にゃー
真言「……………………………」
にゃー にゃー
真言「………………………ねこ?」
せっかく気持ちよく寝てたのに……
にゃー にゃー 「に、にゃー……///」
真言「……………?」
……なんか一匹、ちょっと鳴き声が違う猫がいる……?
目を開けて辺りの状況を確認してみると、そこにはいつの間にか俺の周りに集まってきた、愛くるしい猫たちと…………
友希那「に、にゃー……ふふっ」
真言「………………湊さん?」
友希那「!!!!!」ビクッッッッ!!!!!
めっちゃビビられた。てかこの距離なら普通気づかないか?
友希那「あ、あなたは…………!」
真言「……………どうも」ムクッ
いつまでも寝っ転がったままじゃ失礼だからな。ちゃんと座り直そう。
にゃー にゃー にゃー にゃー にゃんにゃん
真言「(猫、猫、猫…………猫ばっかじゃねぇか)」
いつの間にこんな集まってきたんだ……?
そしてその猫たちに囲まれている俺と湊さん……え、どういう状況?
真言「湊さん……これは……?」
友希那「別に……これは……あなたがベンチで寝ているのが見えて……それで…………」
真言「それで?」
友希那「それでその……あなたの周りにたくさんのにゃー……じゃなくて猫が集まっているのが見えたから、そう……そうよ私は猫たちをあなたから退けようとしてただけ、ただそれだけよ」
めっちゃ喋るじゃん……
真言「…………………猫、好きなんですか?」
友希那「普通よ。猫なんて…………」
にゃー
どうやらここにいる野良猫たちは人馴れしているようだ。湊さんににゃーにゃー鳴いてすり寄っている。
友希那「ねこ……なんて…………」
……心なしか湊さんの目がギラギラしているような気がする?
友希那「……………」
にゃーにゃー♪
友希那「……………」プルプル
にゃんにゃん♪
友希那「…………………」ガバッ!!
真言「!?」
友希那「……すー…………はー…………♡」
猫を……吸ってる。
真言「………………」
友希那「………………神代さん」
真言「は、はい!」
友希那「このことは誰にも言ってはダメよ。いいわね」ギロッ
真言「わ、わかりました…………」
友希那「すーはーすーはーすーはー……♡♡♡」
……………………家に帰ろう。
〜〜後日談〜〜
燐子「真言くん」
真言「はい?」
燐子「あの……今日Roseliaの練習があるんだけど…………真言くん、見学に来ない……?」
真言「………………え!?」
Roseliaの練習、見学!!??
真言「い、いいんですか!?」
燐子「う、うん……友希那さんが観客がいたほうが練習に緊張感が出るからって…………」
真言「………………」
燐子「真言くん……?」
思い出すのは先日の出来事。
猫と戯れるRoseliaのリーダー、そして……
友希那『このことは誰にも言ってはダメよ。いいわね』ギロッ
練習に緊張感出す前に俺が緊張でどうにかなっちまいそうだ。
そして俺の最初の練習見学、知ってる人や知らない人……はあまりいなかったがとりあえず自己紹介を済ませ、最後のリーダーの番となった。
友希那「話は聞いているわ、Roseliaの湊 友希那よ」ゴゴゴ
真言「…………………」
友希那「……………ちょっと?」ゴゴゴ
こわい……こわいよこの人…………
「あのときのこと喋ったらぶっ飛ばすわよ」っていう声が聞こえるよ…………(✽幻聴です)
真言「……………………よろしくお願いします」ペコ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以上が俺とRoselia、そして湊さんとの出会いだ。
……あのときの俺にはもう初対面のフリをして頭を下げるしかできなかった。
お気に入り登録 冬基 様 ジェンツ 様 あこまやぬやゆののゆよや 様 ありがとうございます。
こっから先はひたすら謝罪文のような何かが綴られてるだけなので、終わってもらって結構です。閲覧ありがとうございました。
拝啓、宇田川 あこ様、誕生日おめでとうございます。そして真言様、決戦エボリューションガチャで30000ダイヤ全ブッパした挙げ句結局燐子先輩出せなかった卑しい私をどうかお許しください。
師匠の誕生日会だと思いました?大丈夫、ちゃんと誕生日回は計画通り進行しております……現にほら、あそこに必死でレベリングしているネクロマンサーの姿が…………
なのでまずは【監視対象と青薔薇編】を終わらせます。