監視対象と約束された日々【完結】   作:砂糖ノ塊

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結構間が空いてしまいました。ごめんなさい。

師匠の誕生日回を終わらせるためにちゃちゃっと回想を終わらせちゃいましょう!……7月中に終わるかな……

今回は姐さんの回です。

それでは本編、どうぞ。


39.約束を守るということ【監視対象と青薔薇編】

 姐さん。俺は今井 リサのことをそう呼ぶが、当然、彼女は俺の姉ではない。

 

 姉でもなければ妹でもない、ていうか血縁関係すらない。当たり前だ。

 

 彼女は"姉"ではなく、"姐"なのだ。

 

 どう違うって?…………自分で調べてくれ。

 

 とにかく、今日はそんな彼女との出会いの話をしよう。

 

 実を言うと俺は、彼女とはRoseliaのメンバーとしてではなく、最初にバイトの先輩として出会っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 アルバイト。

 

 それは俺の通う花咲川学園でも認められている、学生が自分で小遣いを稼げる唯一の手段だ。

 

 田舎から上京し、現在一人暮らしをしている俺も、じいちゃんたちからある程度の仕送りはしてもらっているとは言え、自由に使えるお金はほとんど無い。

 

 まあ、特に欲しいものもなかったので、はじめは「生活費のちょっとした足しになれば」的なノリで始めてみた。

 

 しかし今ではRoseliaというバンドにドハマリしてしまった俺。アルバムやら何やらももちろんタダではない。

 

 というわけで、(Roseliaに)自由に使えるお金を手に入れるべく、今まで以上にバイトに時間を費やすことにした。

 

 部活にも入っておらず、特にやることもない俺は…………要するに毎日暇なのだ。

 

 バイト先は近所のコンビニ、普段は結構人が来ているらしいが俺のシフトのときはガラガラだ。

 

リサ「君が無愛想だからお客さん来ないんじゃないの〜?」

真言「…………すみません」

リサ「いや冗談だから!そんな真面目に受けとらないで!?」

 

 この俺と一緒にレジに入っているギャルみたいな人はバイトの先輩の今井 リサさん。

 

 ギャルみたいな、というより見た目は完全にギャルそのものの人だ。…………あれ、ギャルってどんな人種だっけ?

 

真言「ふわぁ…………」

 

 ま、別にどうでもいいか…………

 

リサ「眠そうだね真言くん」

真言「ええ、まあ」

リサ「……昨日は寝るの遅かったの?」

真言「ええ、まあ」

リサ「………………夜ふかしは体に悪いからほどほどにしなよー?」

真言「わかりました」

 

リサ「(アタシ……もしかしなくても嫌われてる……?)」

真言「(眠いし客少ないから暇だな……)」

 

 真言はリサのことが嫌いというわけではない。

 

 しかし"嫌いではない"というだけで、特別好意があるわけでもない。ただこのときの彼は『燐子先輩以外の人』には基本的に無関心なのである。

 

 他人に無関心であるがゆえ、彼女が自分が初めてハマった、Roseliaというガールズバンドのメンバーだということも真言は気づいてない。

 

 そういう男だったのだ、神代 真言は。

 

リサ「(確かこの子、燐子には懐いてるんだっけ……)」ジーッ

真言「…………………なにか?」

リサ「あ、ううん!なんでもないよ?」

真言「……そうですか」

リサ「…………………」ジーッ

真言「(めっちゃ見られてんな…………)」

 

 とまあそんな感じで俺のバイトは特に問題もなく(?)比較的順調(???)に進んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜【今井 リサ】〜〜

 

 あれはバイト終わりの帰り道のこと。

 

 アタシは最近できた無愛想なバイトの後輩のことを考えながら帰り道を歩いていた。

 

リサ「はあ…………」

 

 あの子、神代 真言くん、根はいい子なんだろうけど、なーんか心を開いてくれてないって言うか………

 

リサ「燐子が心配するほどの人見知り……いや、あれは人見知りとはちょっとちが──」

 

「ねえねえそこの君〜」

 

リサ「…………」

 

 帰り道を歩いていたアタシの目の前に現れたのは、いかにもチャラそうな数人組の男たちだった。

 

「君カワイイねーこんなとこで何してんの〜?」

リサ「(最悪……ナンパ……?)」

 

 はぁ……たまにこういうのが寄ってくるんだよね……

 

 こういうのは無視無視。

 

リサ「……………」スタスタ

「ちょっと無視〜?」

 

 何でついてくるの……もう…!!

 

「ねえねえ待ってよー」ガシッ

リサ「!?」

 

 ちょ、腕掴まれ──

 

リサ「い、いや!離して!!」

「あ、やっと口聞いてくれたね」

 

 ニヤニヤと笑う男たちの嫌な笑顔。

 

リサ「(怖い……誰か……たすけて……………!)」

 

「おい」ガシッ

 

 アタシの腕を掴んだ男の腕を、さらに別の腕が掴む。

 

真言「……………」

 

リサ「真言くん!」

「あ!?何だてめえ!」

 

真言「『何だてめえ』?その言葉、そっくりそのままてめぇらに返すよ」

 

真言「俺の先輩に、何してやがんだてめぇら」ビリッ

 

リサ「……!!」

「……な、」バッ

 

 真言くんの気迫に驚いた男は、アタシの腕を離した。

 

リサ「(ものすごい存在感……この子、一体何者…?)」

 

「まあまあ、君、この子の彼氏?」

 

 アタシの腕を掴んだのとは別の人が真言くんに話しかける。

 

真言「……バイト先の後輩」

リサ「(しょ、正直だなぁ…………)」

 

「ふぅーんそっかそっか…………」

 

 ドゴッ!!

 

真言「がはっ…………!」

リサ「真言くん!!!」

 

 殴られた。真言くんが。お腹を思いっきり。

 

 お腹を抑えてうずくまる彼。

 

リサ「真言くん大丈夫!?」

 

「後輩だがなんだか知らないけど、()()()()()()()ぶってイキってんじゃねえぞクソガキ」

真言「!」

 

「おいお前ら。そいつ適当にボコしとけ」

リサ「やめて!!」バッ

 

 気づいたらアタシは、うずくまった真言くんの前に立ちはだかっていた。

 

真言「()()()()()()()……?」

リサ「……真言くん?どうかし──」

真言「…………は、はは、」

 

真言「はははははははははははははは!!!」

 

リサ「!?」

真言「そうかそうか!!お前らには俺が"正義のヒーロー"に見えるのか!!あははははははははははははははははははははははは!!!!!」

「な、何がおかしい!!」

 

 突然タガが外れたように笑い出す彼。

 

 アタシも含めそこにいた全員が、一体彼が何故こんなに笑っているのか、全くわかっていなかった。

 

真言「あーあ、笑い疲れたよ」

リサ「………………」

 

 何なの……この子……何で笑ってるのに……笑ってるはずなのに……

 

リサ「(すごく……怖い…………!)」

真言「残念だけどてめぇら、俺は正義のヒーローにも、ましてや正義そのものを気取る気もねえよ」

 

真言「俺が気取れるのは──」

 

 一瞬悲しい顔をしたあとに、彼は言う。

 

 

 

 

 

真言「──化け物だけだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜【神代 真言】〜〜

 

真言「あーひでえ目にあった……」

リサ「…………」

真言「にしてもあいつら、正義のヒーローか……くくっ」

 

 あいつらのあのマヌケな顔を思い出すだけで笑いが止まんねぇぜ。

 

リサ「…………ねえ、真言くん」

真言「はい?」

 

 

 

 

 

リサ「どうして、わざと殴られ続けてたの?」

 

 

 

 

 

真言「別に、わざと殴られてたわけじゃないですよ」

リサ「え、でも……」

 

 この人の言いたいことはわかる。

 

 確かに俺があいつらに()()()()()()()、かつ()()()()()()()()()()()()、ただただ殴られてたのは異常と言う他ないだろう。

 

 結果的に殴られ続けても全く怯まなかった俺にビビってあいつらは逃げてったんだが……

 

真言「……約束、なんですよ」

リサ「え?」

 

真言「燐子先輩と交わした、命より大事な約束なんです」

 

 あの日、俺が化け物から監視対象になった日、この世で一番大切な人と結んだ、この世で一番大切な約束。

 

真言「俺はもう……誰も傷つけない」

 

 誰であろうと、何があろうと、絶対に約束を守ってみせる。今度こそ。

 

リサ「…………そっか」

真言「わかってくれとは言いませんよ。自分でも頭がおかしいんじゃないかって思いますから」

リサ「……とりあえずケガの手当をしなきゃ。血、出てるよ?」

真言「大丈夫ですよこんくらい。唾つけときゃ治ります」

リサ「だめだよ!もうすぐウチだから手当てさせて!」

真言「いや、だから大丈夫ですって……」

リサ「いいからほら!行くよ!」グイッ 

真言「……なんか今井さんってお姉さんみたいですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あこ「へーそれで今日のまっくんはそんな包帯ぐるぐるなんだ!」

真言「まあ、おかげでめっちゃ燐子先輩に心配されましたけどね」

燐子「だって……すごいケガしてたから……何かあったんじゃないかって……」

真言「大げさに手当されてますから」

 

 俺はCiRCLEの前にあるカフェテリアで燐子先輩と師匠に今日あったことを話していた。

 

 …………この包帯やっぱりちょっと動きづらいな。

 

真言「でも安心してください!誰も殴ったりしてませんから!」

燐子「う、うん…………」

真言「でも驚きましたよ。まさかバイト先の先輩がRoseliaのメンバーだったなんて……」

燐子「……知らなかったの?」

あこ「あ、リサ姉戻ってきたよ!」

 

 リサ姉……師匠ってよく人にあだ名つけてるよな

 

 やっぱりあだ名っていうものは親密度を高めるためには有効な手段なんだろうか……俺もなにか……うーん…………

 

リサ「ん?どうしたの真言くん。そんなに悩んじゃって」

真言「いや、俺も今井さんをあだ名で呼べばもう少し仲良くできるのではないかと思いまして」

リサ「へー面白そうじゃん♪なんか思いついた?」

真言「…………!一つ思いつきました」

リサ「お!いいね〜聞かせてよ☆」

 

 師匠の呼び方とちょっと似てるかもしれないけど、この人はこう呼ぶのが何か合ってる気がする。

 

真言「今井の姐さん」

燐子「………………………」

リサ「えっと……………」

あこ「なんかリサ姉、ヤンキーみた──」

燐子「あこちゃん」

真言「ダメですか?んーっとじゃあ…………」

 

真言「姐さんで」

 

リサ「うん。さっきとほぼ変わってないよ?」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 ……そんなに俺のあだ名のセンスはないのだろうか。

 

 ともかくだ。これで俺とRoseliaとの出会いの物語は半分を切ったわけだが、案外大したことないだろ?

 

 案外大したことのない、けれど俺にとっては大切な思い出たち。

 

 もう少しだけ、お付き合いいただこう。




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ついに次回は超超デットヒートを繰り広げた先輩の回です!
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