監視対象と約束された日々【完結】   作:砂糖ノ塊

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なんとかまにあった…………

あ、本編行ってください……私今から塾の宿題やるんで……




43.黒服K

 背景、親愛なる祖父へ、

 

 お元気でしょうか。こちらでは夏休みに突入し、特に部活にも入っていない俺は課題に追われたり、この前紹介したRoseliaのライブを見に行ったり、バイトに行ったり、普段と別段変わらない日々を送っております。

 

 〜〜【弦巻家】〜〜

 

真言「…………いつもこんな格好してるんですね……黒服さん」

黒服A「これも全てこころ様のため、バイト代もしっかりお支払いしますので」

真言「さっきも言いましたけど別に俺じゃなくて良くないですか……?ほら、弦巻にはもう十分なくらい頼もしい黒服さんたちがいますし……」

黒服A「そういうわけにも行きません。『ぜひ経験を積ませてやってくれ』とのことですから」

真言「はぁ……じゃあ断れませんね……」

黒服A「ご理解いただきありがとうございます」

 

黒服A「さて神代様、今日一日あなたは"黒服K"として我々と行動を共にしてもらうことになりますが……」

 

黒服A「今から勤務時間終了まで"神代様"ではなく"K"と呼ばせていただきます」

真言「いや別にいいんですけど、俺今まで黒服A,B,Cさんくらいにしか会ったことなくて……いきなり俺がKですか?」

黒服A「……"M"でもいいんですよ?」

真言「Kでお願いします」

 

 親愛なる祖父へ、

 

 マジで余計なことしやがりましたね。

 

 そのニヤつく嫌味な顔面に一発ブチ込んでやりたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜【いつもの回想・神代宅】〜〜

 

有咲「だから!これがこうなってこの式になるからここがこう解けて答えが出るんだよ!」

真言「あ"ーーーーー」

有咲「おい聞いてんのか!もう同じとこ教えんの5回目だぞ!?」

真言「ん"ーーーーー」

有咲「…………ダメだこいつ。この暑さと嫌いな数学で完全に脳みそがダウンしてやがる」

 

 ピンポーン♪

 

有咲「あ、おい誰か来たぞ」

真言「み"ーーーーー」

有咲「奇声を発しながら出るのやめろ。ヤバいやつだと思われるぞ」

 

 ガチャ

 

黒服A「おはよう御座います、神代様」

真言「あ、黒服さん。今日はお一人なんですね」

有咲「(戻った……)」

真言「まあ、とりあえず上がってください」

 

 

 

 

真言「それで?今日は一体何の用で?」

黒服A「単刀直入に言います。今日は神代様にアルバイトの依頼をしに来たのです」

真言「アルバイト?」

黒服A「はい、この夏休みの間にぜひ神代様にご協力していただきたいと……」

真言「バイトって……一体何のバイトなんですか?」

 

黒服A「こころ様、及びハロー、ハッピーワールド!のサポートです」

 

有咲「それって…………」

真言「……俺に黒服になれってことですか」

黒服A「そういうことになります」

真言「……一つ質問が」

黒服A「なんでしょう」

真言「なんで俺なんですか?黒服さん達に俺みたいな一般人が交じるなんて、足手まといになること間違いなしですよ」

 

 黒服さん達は""あの""弦巻こころを裏で支えている人達だ。ハッキリ言って普通の人間に務まるものではない。

 

黒服A「実はある方からの推薦でして」

 

 推薦?俺をか?

 

真言「一体誰から……」

黒服A「そのお方はこころ様が生まれる前からボディーガードとして臨時で弦巻家に雇われていたり、若い頃は用心棒として世界各地を飛び回っていたとか」

有咲「な、なんかすごい人ですね……」

黒服A「なんでも武器を使わない格闘技でテロリスト集団を一晩で壊滅させた、という伝説まであるそうです」

 

 怖っ!なんだそいつバケモンじゃねぇか!

 

 てかボディーガードが仕事じゃねぇのかよ。なんでテロリストと…………

 

黒服A「現役を引退してからは田舎の実家に帰り、現在では孫夫婦と旅館を経営しています」

真言「ん?」

黒服A「二人の孫のうちの一人は上京し、花咲川学園に通っている高校二年生」

真言「ちょ、ちょっと待ってくださいその人……」

 

黒服A「神代様を推薦されたその方の名前は神代 清正、」

 

有咲「神代…………ってまさか!」

真言「ああ、そのまさかだよ…………」

 

 なんでそんな人と繋がってんのかなぁ弦巻家……

 

黒服A「神代様のお祖父様です」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真言「まさかじいちゃんが弦巻家と繋がりがあったとは……」

黒服A「仕事中ですよK、集中してください」

真言「……すみません」

 

 今、俺と黒服さん達は弦巻家の大広間の飾り付けをしている。

 

 うわぁ……黒服さん達仕事早すぎだろ……一人で俺三人分くらいの仕事してるわ…………

 

真言「(というかまず、これ何の飾り付けなんだ?)」

 

 まるで誰かの誕生日みたいな……?

 

黒服A「飾り付けは終わりましたか?」

真言「あ、はい終わりました」

黒服A「(意外と言っては失礼ですが仕事が早いですね。それでいて丁寧……)」

真言「黒服さん?俺は次に何をすれば……」

黒服A「ではこちらへ」

 

 黒服さんに連れられ、大広間から出たところで今後の説明を受けた。

 

黒服A「今からここにハロー、ハッピーワールド!の皆様がいらっしゃいます。我々はこころ様のご希望に沿うため、ここで中の様子をうかがいながら待機になります」

真言「わかりました」

 

 ここに来る前に「ハロー、ハッピーワールド!」とやらの軽い説明をされたが、どうやらRoseliaと同じ五人組のガールズバンドのようだ。

 

真言「その五人が集まるって……バンド内のミーティングとかですか?」

黒服A「…………………」

真言「黒服さん?」

 

 サングラスをかけているから表情がよくわからないが、いま一瞬驚いたのか?

 

 

 

 

 

黒服A「……ミーティングなどではなく、今日はこころ様のお誕生日です」

 

 

 

 

 

真言「へー…………え?」

 

 は?あいつ今日誕生日なの?

 

黒服A「知らなかったんですねK……いえ、神代様……」

真言「…………………」

 

 …………後でなんか適当に買ってこよう。大丈夫、あいつの俺の誕生日プレゼント、チョ○ボールだったし。

 

黒服A「こころ様達がいらっしゃいました」

真言「………………」

 

 俺も黒服さん達に習って並んで横に立つ。

 

 そこに現れる金髪ロングヘアマッドサイエンティストこと弦巻こころ、とその御一行。

 

 水色のやつ、オレンジのやつ、帽子のやつ、紫のやつ……こいつどっかで見たことあるな……何処だっけ?

 

こころ「あら?あなた見ない顔ね!新しい黒い服の人かしら?」

真言「え、あ、はい」

 

 俺だって気づいてないのか?…………黒服黒グラサンだから無理もないわな。

 

こころ「ん?あなた真言に似てるわね!」

 

 

 反応しないほうが…………いいよな。

 

こころ「まあいいわ!またね!新しい黒い服の人!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒服A「自分の正体を明かしませんでしたね」

真言「……今は"神代 真言"じゃなくて"K"ですから」

黒服A「律儀ですね」

真言「仮にも仕事なんで」

黒服A「……あなた本当に高校2年生なんですか?」

 

 

 

 

 

こころ「今からライブをしましょう!」

 

 

 

 

 

 大広間の中から弦巻の(いつも以上?に)元気な声が聞こえてくる。

 

真言「またなんかめちゃくちゃなこと言ってるよあいつ………………………ん!?」

黒服A「全黒服に連絡!直ちにライブ会場の設置、及び機材と衣装の用意を!」

真言「や、やるんですか今から!?」

黒服A「当然です。こころ様の要望に答えるのが我々の、今日はあなたの仕事でもあります」

 

 さっき「仕事ですから(ドヤッ)」とか言っちまったからな…………仕方ないか…………

 

真言「………………A、俺にも指示を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真言「ライブ会場、ほんとに出来上がっちまったよ……」

 

 恐るべし、黒服。

 

こころ「あら!あなたはさっき会った黒い服の人!」

真言「どうも、(えっと…………)こ、こころ様……?」

こころ「あなたも会場を作るのを手伝ってくれたのね!ありがとう!!!」

 

 なんかこいつのこんなに明るい笑顔を向けられると、自分が消えそうになるんだよなぁ。

 

 こう……太陽に近づきすぎてる感じ?

 

「おーいこころー何やってんのー?」

 

真言「お呼びですよ、こころ様」

 

 ほら、あのステージの上でピンク色のクマが…………

 

真言「クマァ!?」

こころ「!?」

真言「何でもありません。とっととステージに上がりやがれください」

こころ「あ……うん!行ってくるわ!」

 

 そうして始まったハロー、ハッピーワールドの即興ライブ。

 

 Roseliaとは大分違った、というよりほとんど真逆の演奏だったが、明るく、元気な、弦巻 こころらしいライブだった。

 

 弦巻が唐突に企画した路上ゲリラライブだが、その明るい雰囲気につられてか、観客はみるみるうちに増えていった。

 

「ああ!実に儚い!!」

「ふぇぇ……」

「こころん!バク宙いくよ!」

こころ「ほら!ミッシェルも一緒に!!」

「いや!無理だから!!!」

 

真言「なんか騒がしい奴らだな……」

 

 これもまた弦巻の、人を集める力なのだろうか。

 

 ……あのクマ、キグルミなのにバク宙強要されてんの見てる分にはウケるな。俺だったら死んでもやりたくないけど。

 

黒服A「お疲れさまでしたK」

真言「黒服さん、お疲れさまでした」

黒服A「あなたのおかげで作業がかなり楽になりました」

真言「あんまり力になれたとは言いづらいですけどね。ほとんど黒服さん達の真似して指示に従ってただけですし」

黒服A「それでもあなたのおかげで迅速にライブの準備ができたことには変わりありません。ありがとうございました」

 

 結局、俺は今日一日黒服Kになって、何かわかったのだろうか……

 

真言「……黒服さん」

黒服A「はい」

真言「じいちゃんは……俺にこのバイトで何を学んで欲しかったんですかね」

黒服A「…………私にはわかりかねます」

 

 ワアアアアアアア!!!!!

 

黒服A「どうやらライブも終盤のようですね。最後の片付けまで、どうぞよろしくおねがいします」

真言「……黒服さん、ほんの少しだけ席を外しても?」

黒服A「?構いませんが……」

真言「ありがとうございます。すぐに戻りますんで」

 

 

 

 

 

こころ「みんなありがとう!!!!!」

 

 

 

 

 

 ワアアアアアアア!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライブが終わり、片付けも一段落したところで、俺の一日黒服アルバイトは終わった。

 

黒服A「お祖父様によろしくお伝えください」

真言「今日一日お世話になりました」

 

こころ「真言?あなたいつこっちに来てたの!?」

真言「あ…………」

 

 よかった。会いにいく手間が省けた。

 

こころ「もう少し早かったら私達のライブを見られたのに……」

真言「安心しろよ。いいライブだったぜ」

こころ「え?」

真言「そ、そうだ!ほい、これ」

こころ「これは…………?」

 

 それは俺がさっき急いで買ってきた、黄色のニコちゃんマークが全面に押し出された大きめの缶バッジだった。

 

真言「安い缶バッジだよ。誕生日プレゼント」

こころ「私に……?」

真言「チョ○ボールのお返しだ。取っとけ」

こころ「…………!!!!!」パァァ!!!

真言「……なんだよ、気に入らなかっ──」

こころ「ありがとう!!!!!大切にするわ!!!!!」

真言「声デカっ!耳キーンってなるわ!!」

 

 まったくこいつは…………こんな安いもんでそんなに喜んじまったら、あげたこっちが罪悪感に苛まれるっての…………

 

 弦巻、お前は多分いいやつなんだろうな。

 

 素直で、明るくて、友達思いで、自分の理想をとことん突き詰めて、やりたいことを行動に移せる、

 

 俺はそんなお前が…………

 

真言「ほんっと……羨ましい……」ボソッ

こころ「なにがかしら!?」

真言「いや、これは聞こえてんのかよ!!」

 

 やっぱお前嫌いだわ!!!




誕生日おめでとうこころ!これからも真言くんを実験台にめちゃくちゃやってください!!

お気に入り登録 はまはーま 様 片倉 様 ありがとうございます。

次回、コラボ回、の予定?(願望)
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