監視対象と約束された日々【完結】   作:砂糖ノ塊

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親愛なる……


54.Dear……

 10月17日 日曜日 本日は晴天なり。

 

 そしてここは都内某所、CiRCLE内。

 

真言「…………………」

 

 神代 真言。花咲川高校2年生。

 

 神の代わりに真実を言うと書いて神代 真言。

 

 生徒会の監視対象。

 

 ……まぁ俺が俺について語れるのはこのくらいだろう。

 

 そして今日は俺の恩人である白金 燐子先輩の記念すべき誕生日……いや生誕祭。

 

リサ「生誕祭って……」

 

 この日のために俺は全てをかけて準備してきたと言っても過言ではない。

 

紗夜「人の誕生日はうろ覚えのくせに」ボソッ

あこ「りんりんの誕生日()()はちゃんと一ヶ月くらい前から準備してましたもんね」ボソボソ

友希那「燐子の誕生日を忘れてなかっただけ良しとしましょう」ボソボソ

真言「ばっちり聞こえてんですよ」

紗夜「聞こえるように話してるんですよ」

 

 まったく……久しぶりに俺の名前の由来とかを自由に語れる俺の語りTIMEだと思ってたのに……はぁ……

 

あこ「何言ってんのまっくん……」

真言「とにかく!今日は燐子先輩の誕生日なんです!」

友希那「知ってるわよ」

真言「俺がこの日をどれだけ待ったことか……!」

リサ「君、この数日ずっと様子が変だったからね」

紗夜「白金さんが最近神代さんが挙動不審だと心配していましたよ」

友希那「いつものことよ」

あこ「あこもそう思います!」

真言「なんか今日当たり強くないですか!?」

 

 気持ち3倍くらい俺に辛辣だぞこの人達!

 

友希那「当たり前よ。私達が今日までどれだけあなたに協力してきたと思っているの」

真言「それは……その……ありがとうございました」

紗夜「プレッシャーをかけてるんですよ」

あこ「ぷれっしゃああああ…………」

真言「何の呪いですか師匠」

リサ「まあここまで来たなら後は当たって砕けるだけだよ♪」

真言「…………はい」

 

 そう、今日は俺にとっても大切な日なのだ。

 

 

 

 

 

 俺は今日、燐子先輩に告白する。

 

 

 

 

 

真言「ふぅ…………」

 

 今日のためにRoseliaの皆にはいろいろと協力してもらった。

 

 情けない限りだが、服装のセンスも流行りの「は」の字も知らない俺じゃ悲惨な結果になることは目に見えている。

 

 持つべきものは頼りになる先輩方だ。

 

紗夜「そろそろ時間ですね……それでは作戦の最終確認をします」

 

 姐さんと師匠と選んだ服に袖を通し、

 

紗夜「まず神代さんが白金さんを家まで迎えに行く、そして家についたタイミングで宇田川さんが白金さんにメッセージを飛ばし、少し遅れてくるよう伝える」

リサ「それで例の告白スポットに燐子を誘導して…………」

あこ「あとは…………!」

 

真言「……あの、やっぱり言うタイミング皆で誕生日祝ったあとの方がいいんじゃ……」

紗夜「なぜですか?」

真言「なぜって…………断られたらその後の事とかが……」

あこ「まっくんなら大丈夫だよ!」

紗夜「まぁ、もし断られたらプレゼントだけ渡して帰ってください」

真言「きっっつ!!」

 

 紗夜先輩と計画した作戦で、

 

友希那「真言。私の言ったこと、覚えてるわよね?」

真言「『中途半端な答えで燐子先輩を傷つけたら絶対に許さない』ですよね」

 

真言「大丈夫です。俺はもう覚悟を決めました」

 

リサ「おお〜……」

あこ「まっくんカッコいい!」

友希那「……なら心配いらないわね」

 

友希那「真正面から想いを伝えてきなさい」

真言「はい!」

 

 湊さんに背中を押され、

 

 俺は今日、燐子先輩に告白する。

 

真言「行ってきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサ「行っちゃったね……」

あこ「まっくん、大丈夫かな……」

紗夜「大丈夫ですよ、流石にこんな大事な場面で逃げるような人ではありませんから」

友希那「でも驚いたわ。まさか私達に助けを求めるなんて……てっきり全部一人でやろうとするものだと思ってたから」

紗夜「彼なりに思うところがあったんでしょうね」

リサ「気合い入れてコーデしたから今日のマコくんはだいぶキマってたでしょ☆」

あこ「うん!さすがリサ姉!」

紗夜「それにしても…………」

友希那「…………疲れたわね」

あこ「まっくんとりんりんだから、告白の結果的には大丈夫だと思うけど…………」

友希那「恋人もいないのに子供ができた気分だわ……」

紗夜「全く同感です」

あこ「…………やっぱりあこ、どうなるか気になります!見に行きましょうよー」

友希那「ダメよ」

あこ「えぇーなんでですか〜?」

友希那「二人の邪魔になるもの」

リサ「上手く行きますよーに……」

紗夜「まあ気長に待ちましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真言「…………………………」

 

 やばい。

 

 やばいやばいやばいやばいやばい。

 

真言「くっそ……動け……動けよ……!!」

 

 なんでだ……身体が全く言うことを聞かない……!

 

真言「(落ち着け……じいちゃんもこの前言ってた。こういう時こそ冷静に物事を対処できる者が戦いを制する……!)」

 

 大丈夫だ……ただこの右手の人差し指を立ててこの四角いインターホンのボタンを押す……ただそれだけのこと!!

 

真言「だあああああ!!!」

 

 ダメだ!!緊張で照準が定まんねぇぇぇえええ!!!

 

真言「落ち着くんだ神代 真言……そう、こういう時は素数を数えて……」

燐子「真言くん……?」

真言「んぎゃあああ!!!」

燐子「!?」ビクッ!

真言「りりり燐子先輩おはよう御座います本日はお日柄もよく…………」

燐子「お、落ち着いて……!」

 

 なぜ燐子先輩が……!

 

燐子「だってここわたしの家だし……それに外から叫び声が聞こえたから……」

真言「すみませんでした…………」

燐子「今ね……あこちゃんから連絡が来て……CiRCLEには少し遅れて来てだって……」

真言「ヘ、ヘェーソウナンデスネー」

 

 よ、よし……ここまではおおむね作戦通りだ……

 

燐子「真言くん……?」

真言「………………」

燐子「ねぇ……真言くん、最近なんか様子が変だよ……?大丈夫……?」

真言「………………燐子先輩」

燐子「……?」

 

真言「少しだけ…………一緒に出かけませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真言「……………」

燐子「……………」

 

 最近わたしの後輩……神代 真言くんの様子がおかしい。

 

 Roseliaの皆は「いつもの事だ」って言うけど……最近は特に彼らしくない事が多くなった……気がする。

 

 しっかりしていることが多かったけど……最近は生徒会でも……Roseliaの皆の前でも……ぼーっとしていることが多くなった……と思う。

 

 また何かあったのだろうか……心配……だな。

 

 それに………………前みたいに「燐子先輩!」って明るく言ってくれることも少なくなった……

 

 ちょっと……寂しい。

 

燐子「………………」ジーッ

真言「…………燐子先輩?俺の顔に何かついてます?」

燐子「!な、なんでもないよ……!大丈夫……」

 

 でも今日の彼は……一段と変だ。

 

 テレビに出てくる俳優さんみたいな服を着てて……いつもより真言くんが輝いて見える……

 

 もしかして……変なのはわたし……?

 

燐子「ねぇ……真言くん」

真言「なんですか?」

燐子「今……わたし達はどこに向かってるの……?」

 

 普段の彼なら「出かけよう」なんて言わないし……わたしと同じで彼も人の多いところは苦手なはず……

 

真言「……………燐子先輩」

 

 横を歩いていた彼の足が止まる。

 

真言「着きましたよ」

燐子「着いた……?」

真言「燐子先輩、何か考え事をしてたみたいでしたから……大丈夫ですか?坂道疲れませんでした?」

燐子「……?」

 

 坂道……?そういえばここは……どこ……?

 

真言「ほら、あっちを見てみてください」

燐子「………………!!」

 

 彼が指さした先にあったのは……

 

燐子「いい眺め……」

真言「ここからだと街が一望できるんです。人通りも少ないですし……」

燐子「こんな所……いつ見つけたの……?」

真言「前に建物を飛び移っ…………さ、散策してたら偶然見つけたんです!」

燐子「…………」

 

 今、"飛び移る"って言いかけなかった……?

 

燐子「でもここからの景色……まるで……」

真言「燐子先輩もそう思いますか…………はい、俺の故郷にある母さん達のお墓からの景色に似てるんです」

燐子「うん…………」

 

 以前真言くんの里帰りについていったときに見せてもらった……彼が作った……彼のお母さんとお父さんのお墓。

 

 そこからの景色も……こんなふうに周りを見渡すことができた。

 

真言「燐子先輩、大切なお話があります」

 

 いつにも増して真剣な顔をする真言くん……

 

 大切な話って……一体なんだろう……?

 

燐子「なに……?」

 

真言「あの…………俺…………!」

 

 

 

 プルルルルル プルルルルル

 

 

 

真言「…………………」

燐子「電話……鳴ってるよ……?」

真言「………………はい」

 

 苦虫を噛み潰したような顔になる真言くん……"大切な話"の邪魔をされたくなかったんだね……

 

真言「……黒服さん?はい、神代です」

 

真言「どうしたんですか?そんなに息を切らして……ちょ、一旦落ち着いてください」

燐子「……?」

 

 どうやら電話の相手は弦巻さんのお家の黒服さんらしい。

 

 そういえば真言くん……黒服さんのバイトをしてるって言ってたな……その電話かな……?

 

 でもなんか様子がおかしい……黒服さんが焦ってる……?

 

真言「…………………………………………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真言「弦巻が…………誘拐された…………?」




──to be continued……
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