監視対象と約束された日々【完結】   作:砂糖ノ塊

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親愛なる化け物へ


55.Dear monster

真言「弦巻が…………誘拐された…………?」

 

 は……?誘拐……?なんで…………

 

黒服A『我々が通行人に気を取られていた隙を狙われてしまいました!現在こころ様は行方不明です!』

真言「行方不明……GPSとか持たせてないんですか!?」

黒服A『誘拐された場所に内蔵されていた携帯ごと壊されていました……!』

 

 何だよ……まるで事前に練られたみたいな手口じゃねぇか……!

 

黒服A『今は一人でも多くの人手が必要です!どうかご協力を!!』

 

 こんなに焦ってる黒服さん、俺が知ってる限り初めてだぞ……

 

真言「……わ、わかりました。すぐ行きます」

黒服A『誘拐された現場の位置情報をそちらにお送りします!何かあればすぐにご連絡を!』

真言「………………」

燐子「真言くん……弦巻さん、大丈夫なの……?」

真言「大丈夫です。それより燐子先輩」

燐子「うん……あこちゃん達にはわたしから直接言っておくね……!」

真言「お願いします」

 

 仕方無い……緊急事態だ。燐子先輩への告白は帰ってきてからにしよう。人命救助が最優先だ。

 

真言「(あの野郎…………ちょっと見ねぇ間に妙な事件巻き起こしてんじゃねぇよ……!)」

 

真言「じゃあ行ってきます!」

燐子「気をつけてね……」

 

 こっからなら屋根を伝って行ったほうが早い!

 

真言「っ!」

燐子「…………すごい」

 

燐子「(でも…………"大切な話"って……何だったんだろう……?)」

 

燐子「あ……そろそろ時間かな……?CiRCLEに行かなきゃ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真言「くそっ……!あいつどこに連れ去られたんだ……!」

 

 人様の家の屋根を渡り歩きながら俺は悪態をつく。

 

 黒服さんから送られてきた情報によると、弦巻をさらった奴らは二人組の男、黒いワゴン車で逃げているらしい。

 

真言「こんな昼間に黒いワゴン車ならすぐに見つけられるはずなのに……」

 

 何だこの仕組まれたような感覚は……?俺やあの黒服さん達がこれだけ必死で探して見つからないなんて、はっきり言って異常だ。よほど綿密に練られた計画じゃないとそんなことは…………

 

真言「もし誰かが予め計画した誘拐なら……なぜ弦巻を狙う?」

 

 大金持ちの家のお嬢様だから?

 

 いや、だとしてもリスクが高すぎる。黒服さん達のガードをくぐり抜けることですら容易ではないのに。

 

 拐ったのが弦巻家の人間だったということを知らない?

 

 それはない。犯人は確実に何かしらの作戦を立てている。じゃないとまず黒服さん達の目を盗み、弦巻を誘拐すること自体不可能だ。

 

真言「あぁもう!考えれば考えるほどわかんねぇ!!」

 

 あと考えられることと言えば………

 

 プルルルルル プルルルルル

 

真言「はい、神代です」

黒服A『神代様、例のワゴン車を発見しました』

 

 流石黒服さん……俺いらねぇんじゃねぇの?

 

黒服A『奴らは通りを直進していきます!今の神代さんの位置ならば回り込めるはずです!』

真言「え、なんで俺の現在地知ってるんですか」

黒服A『何とかして足止めをお願いします!総員!こころ様を、弦巻家を敵に回した輩を絶対許すな!!!』

『了解!!!』

 

 ブチッ!

 

真言「……切れた」

 

 2つの意味で。

 

真言「と、とにかく俺が一番奴らに近いみたいだな」

 

 でもこの方向だとCiRCLEとは真逆だぜ。はぁ……もうちょっとだったのにな……

 

真言「えっと、黒のワゴン車……黒のワゴン車……」

 

清正『マコ、お前はもっと視野を広く持て。戦場ではどんな方向から攻撃が飛んでくるかわからんぞ』

 

 集中しろ…………辺りの異変を見逃すな…………!

 

清正『"視野を広く"と言ってもな視覚だけに頼ってはいかん。聴覚、触覚、そしてお前の持つ驚異的な第六感とも呼ぶべき危機察知能力……全てを使いこなすんじゃ』

 

 音を、風を、悪意を、感じ取る。

 

真言「………………いた」

 

 黒のワゴン車!アレだ!

 

真言「絶対逃がさねぇ!!」

 

 俺の告白を延期させた罪、しっかり償ってもらうぜ!

 

 

 

「よし……もうあの黒い奴らは追ってきてねぇな……」

「……ん?なんだあれ…………」

「ひ、人だ!人が家の屋根を伝ってこっち向かってきてるぞ!しかも速え!」

こころ「ん、んん……」

「とにかくさっさとこいつを例の場所に置いて逃げんぞ!」

 

 

 

真言「あいつらどこに向かって走ってんだ……?」

 

 俺には気づいてるみたいだけど、撒こうとしているってわけじゃ無さそうだ。

 

 どこかに目的地があるのか?

 

真言「(普通に走ってたんじゃあの車には絶対に追いつけない。先回りして止めてやる!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら……あの屋根走ってたやついなくなったぜ……」

「よ、よし……なんだかよくわかんなかったがもうすぐ目的地だ」

「くそが……こんな仕事引き受けるんじゃなかったぜ……」

「あぁ、全くだ……まさかこのガキが弦巻家とかいうヤバい一族の娘だったとはな……」

「……!?おい!前!前!!」

「は?前……?」

 

 走行するワゴン車の目の前に突如として現れたのは、先程まで後ろから追いかけていたはずの男、神代 真言その人だった。

 

真言「どうやら間に合ったみたいだな」

「ば、バカが!!死にてぇのかこいつ!!」

「ぶつかる……!」

真言「(ここは狭い路地。轢き殺しに来るか?いや…………)」

 

 

 

清正『護身に必要なのはどれだけ最低限の動きで相手の動きをいなせるかということじゃ』

 

清正『相手が次にどう攻めてくるか、どんな技を繰り出してくるか、それらを予測し最低限の所作のみで躱す』

真言『…………力も体重も俺の方が上なのに、じいちゃんが俺をぶん投げれるのはその"予測"のおかげってことか』

清正『まぁ、それだけではないがな』

真言『え?』

 

 

 

「くっそ……がぁ!!!」

真言「よっ……と」

 

 車体がぶつかる直前、車のハンドルが切られ、同時に身体を翻し衝突を避けた。

 

真言「知ってたさ、あんたらが俺を轢く気が無いってことくらい。俺が出てきたときからちょっとスピード落としたろ?」

 

 車は壁にぶつかりながら少し進んだところで完全に停止した。

 

「ってめぇ……!」

「いってぇ……」

 

 車から二人組の男が出てくる。どうやら衝撃で身体を打ったらしい。

 

真言「さて、へっぽこ誘拐犯諸君、あんたらが拐った金髪マッドサイエンティストガールを返してもらうか」

「へっぽこ!?」

「ガキが……舐めやがって……!」

 

 男の一人が激情して殴りかかってくる。

 

真言「(予測通り……!)」

「死ねやあ!!!」

 

 

 

清正『ワシがマコを軽く投げられる理由はな……半分はマコ、お前のおかげじゃ』

真言『???』

 

清正『確かにワシはお前より力も劣っておる。正面から戦ったのでは絶対にワシの負けじゃ。……もう年じゃからな』

 

清正『でもな……マコちょっとワシに殴りかかってきなさい』

真言『えぇ……』

清正『安心せい、絶対に食らわん』

真言『…………こう?』

清正『ほいっ』

真言『うおっ!?』

 

 拳がじいちゃんに当たる寸前、腕を掴まれ俺の体は宙を舞った。

 

清正『マコ、お前がワシに殴りかかってきたときの力を利用したんじゃよ』

真言『お、おれの……ちから……?』

清正『自分以外の力を利用する、それもまた護身じゃ』

 

 

 

「な……!」

 

 今まで俺は攻撃を避けずにひたすら受け続けてきた。

 

「くそ……くそくそくそ!なんでだ!!」

 

 燐子先輩との約束を守るため、反撃しないようにするのが精一杯だった。

 

「なんで一発も当たんねぇんだ!!」

 

 けど、今は違う。俺は決めたんだ……前に進むって……!

 

真言「(捌く、躱す、護る!)」

 

 

 

真言『でもじいちゃん……俺まだじいちゃんの攻撃一発も捌き切れてねぇんだけど……』

清正『当たり前じゃ、ワシはまだまだ現役じゃわい』

清正『安心せい、ワシのような戦闘のプロなんてもんはそうそうおらん。今のお前ならそのへんのチンピラの拳など──』

 

 

 

 止まって見える。

 

 

 

「ハァ……ハァ……くっそ……!」

真言「どうした、息が上がってるぜ?」

「……っらあ!!」

真言「(ここだ!)」

 

 相手の攻撃に合わせて身体を流し、そのまま相手の腕を掴んで……!

 

 

 

清正『自分の身を護り、そして相手も護る。それこそが護身!』

 

 

 

真言「(相手の力を利用し、なるべく傷つけずに……倒す!!)」

「んな!?」

 

 足元をすくわれ、地面に仰向けに倒される誘拐犯。

 

真言「終わりだ」

「や、やめ……!」

 

 そして正拳突きが脳天に…………

 

真言「……なんてな」

 

 拳が当たるギリギリの所で止まった。

 

「あ…………あ…………」

真言「……おい、そこのお前」

「は、はい!!」

真言「……お前もやるか?」

「い、いえ……やめておきます……」

真言「賢明な判断だな」

 

真言「そろそろ黒服さん達が到着する。そのまま大人しく寝てるんだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒服A「ご協力感謝いたします。神代様」

真言「いいんですよ。それより弦巻は?」

黒服A「車の荷台で眠らされておりました。怪我はありませんが念の為病院に」

真言「そうですか……」

 

 駆けつけた黒服集団によって誘拐犯達は拘束され、俺の仕事もこれで一段落と言ったところだ。

 

真言「そういえば黒服さん」

黒服A「なんでしょう」

真言「弦巻家の方に身代金の要求とかはあったんですか?」

黒服A「いえ、それがそういった類のものは一件も来ていないとのことでして……」

真言「…………じゃあなんで弦巻は拐われたんでしょうか」

 

 今回の弦巻誘拐事件には不可解なことが多すぎる。誘拐した動機もそうだが、あの誘拐犯達もだ。

 

 俺と戦った一人目の男は、ずっと素手で俺に攻撃をしてきた。結局あいつらからナイフの一本も出てこなかったみたいだし……そして二人目の男に至っては俺と戦おうとすらしてない。

 

黒服A「細かいことは本人達に直接聞きましょう」ギロッ

「「ひっ……!」」

 

 あーあ、一番怒らせちゃいけない人達怒らせちゃった……

 

黒服A「どんな手を使っても構わん、情報を聞き出せ」

黒服集団「はっ!」

真言「おいお前ら、言っとくけどこの人達、多分俺の10倍強いし100倍怖ぇぞ」

 

黒服A「神代様、この度は本当にありがとうございました。このお礼は必ず……」

真言「とにかく弦巻が無事で良かったです。よろしく伝えといてください」

黒服A「もしかしてお急ぎの用が……」

真言「あぁ……まぁ……今日は燐子先輩の誕生日なんです。ただでさえここからCiRCLEは遠いんで早く行かなきゃ」

黒服A「では我々がお送りします」

真言「大丈夫ですよ、黒服さんはそいつらをよろしくおねがいします。真相がわかったらまた教えてください」

 

黒服B「おい貴様ら、なぜこころ様を拐った」

「………………」

黒服B「答えないのならこの電極を……」

「た、頼まれたんだよ!おかしな奴に!!」

黒服C「頼まれた?」

黒服B「誰にだ?名前は?そいつとお前達にはどんな関係がある」

「名前は…………知らねぇ」

黒服B「やれ」

黒服C「了解」

「本当だ!!嘘じゃねぇって!!」

 

真言「…………うっかり殺さないようにしてくださいね」

黒服A「ご安心を。万が一が起こっても弦巻家の医療チームは優秀です。情報を吐かせるまで死なせはしません」

真言「全く安心できないんですが……」

 

 その辺のヤクザが可愛く見える……

 

「本当に何も知らねぇんだよ!」

黒服B「ではなぜそんな名前も知らない人間の言うことを聞いた?」

「どうやらそいつ、相当な金持ちみたいでよ……あのガキを拐って指定の場所に運べば大金を貰えるって言われて……」

黒服B「その指定の場所はどこだ?一体何がある?」

「あんたらの後ろにある空き地だよ。見ての通りなんにもねぇ……って待て待て!その電極を下ろせ!!」

 

 どうやら真相究明はかなり難航するようだ。

 

真言「じゃ俺はもう行きますね」

黒服A「お気をつけて」

 

黒服B「では貴様らにこころ様誘拐を依頼した奴はどんなだ?さっさと答えろ」

「ったく…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「顔にでけぇ痣のある気味の悪い女だよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真言「顔に……………………痣?」ピタッ

 

 顔に痣のある、気味の悪い女……………

 

真言「……………………」

黒服A「神代様……?どうかされたので──」

 

 俺の脳裏を嫌な記憶が黒い閃光のように駆け巡る。

 

真言「おいテメェ!!!」

「!?」

真言「本当にそいつには顔に痣があったんだな!?」

「お、おお……」

 

()()()()()()()()()()()()()でけぇ痣だったけど……それが何だよ!」

 

真言「う……そだ…………」

 

 そんなこと……絶対に有り得ない……有り得るはずがない……!!

 

『久しぶりね、元気だったかしら?』

 

『あら?顔色が悪いわよ?』

 

『この化け物』

 

真言「あああああああ!!!!!」

黒服A「神代様!?」

黒服B「貴様ら!神代様に何をした!!」

「し、知らねぇよ!そいつが勝手に……」

真言「っ!!!」

 

 殺気立った様子で再度掴みかかる。

 

真言「なんでだ!!なんで奴が弦巻を拐わせたんだ!!答えろ!!!」

「し、知らねぇよ!目的までは聞かされてねぇ!!」

黒服A「神代様!落ち着いてください!」

「っ……まぁ、とにかく頭のおかしい奴だったぜ。ずっとよくわかんねぇ独り言呟いてたしよ」

真言「…………どんな……独り言を」

 

「『化け物……』とか『これでやっと……』とか。はっ、厨二病もあそこまでいくと恐ろしいね」

 

 間違いない……その女は…………

 

真言「あいつだ……」

黒服A「え?」

「なんだ、あんたの知り合いなのか」

 

 知り合いなんて生温い関係じゃない。俺とあいつは……

 

黒服A「神代様、その"あいつ"とは……」

真言「俺が監視対象になった直接の原因、それにそいつの言う『化け物』は……俺です」

黒服A「なっ……!」

 

 つまりあいつは、俺を陥れたあの女は、再び……いや三度、俺への嫌がらせをしてきたことになる。

 

真言「以前、あいつと道で出会ったときに、あいつは俺に知らないはずの俺と燐子先輩との約束のことを知ってました」

黒服A「では今回も神代様と交流のあるこころ様を調べ上げ、嫌がらせのために誘拐させたと……?」

真言「考えたくないですけど…………」

 

 こいつの話に出てきたあの女が言っていた独り言というのは間違いなく俺に向けてだ。

 

 あの女は俺に並々ならぬ憎悪を抱いている。誘拐くらい平気でやるだろう。

 

真言「化け物は俺のことだ……じゃあ『これでやっと……』って……何のことだ?」

 

 『これでやっと……』なんだ?あいつは何をしようとしている?それが弦巻を誘拐することと何か関係があるのか?

 

「あ、あの……」

 

 もう一人の誘拐犯が話しかけてくる。

 

「これ……関係あるのかわかりませんけど……」

真言「いいから答えろ……!!」

 

「え、えっと…………『時間稼ぎが……』みたいなことを言ってました」

 

黒服A「時間稼ぎ?」

「それを言ってるときのその人……すごく不気味で……気持ち悪かったのを覚えてます」

真言「…………………」

 

 時間稼ぎ……誰の、いや何のための?

 

 あいつは何のために…………弦巻を拐って、俺の時間を稼ごうとした?

 

真言「………………ぁ」

 

 

 

 

 

『と、とにかく俺が一番奴らに近いみたいだな』

 

 この方向だとC()i()R()C()L()E()()()()()だぜ。クソ……

 

 

 

 

 

真言「だめだ…………」

 

 最悪の未来が……視えてしまう。

 

 

 

 

 

『ここからだと街が一望できるんです。人通りも少ないですし……』

 

 

 

 

 

真言「あいつの……本当の狙いは…………」

 

 

 

 

 

『うん……あこちゃん達にはわたしから直接言っておくね……!』

 

 

 

 

 

黒服A「神代様!?どこへ──」

 

 持てる力の全てで、俺はCiRCLEへの道を駆けていく。

 

 俺の、この最悪の推測が当たっているのなら、あいつの本当の目的は………………

 

真言「燐子先輩ッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あこ「りんりんとまっくん……遅いなー……」

リサ「もしかしてアタシたちの事忘れてるんじゃ……」

友希那「…………………」

リサ「友希那?」

友希那「何か……嫌な予感がするわ」

あこ「嫌な予感?」

紗夜「確かに……いくら何でも遅すぎます」

リサ「ま、まさか途中で事故とかにあったんじゃ……」

あこ「だ、大丈夫だよ!だってまっくんがいるんだよ?この前おじいちゃんと修行して更に強くなったみたいだし!」

友希那「………………」

紗夜「私、少し様子を見てきます」

 

 ガチャ

 

あこ「あ!来た来た!まっく…………ん?」

真言「ハァ……ハァ……ゴホ…………」

リサ「ちょ、ちょっとどうしたの!?」

友希那「尋常じゃないくらいの汗だわ……あなた、走ってきたの?一体何が…………」

真言「り……」

あこ「あれ……そういえばりんりんは?なんで一緒じゃないの?」

紗夜「神代さん、何があったんですか!」

 

真言「燐子先輩は……どこに……!!!」

 

あこ「え…………」

リサ「どこにって……」

真言「間に……合わなかった…………」

紗夜「神代さん!どういうことか説明してください!!」

真言「あ……ああ…………」

 

 ピロン♪

 

真言「……!?燐子先輩から……!!」

友希那「どうやら動画のようね……」

 

 送られてきた動画を再生する。そこに映っていたのは、忘れもしない……顔面の一部が俺のつけた大痣で覆われた女と──

 

リサ「なに……これ」

あこ「うそ……」

友希那「…………」

紗夜「この人……あの時の……」

 

『ごきげんよう、化け物。久しぶりね』

 

真言「き…………き…………

 

真言「貴様ああああああ!!!!!

 

 ──気を失い、椅子に縛り付けられている燐子先輩の姿だった。




悪意を込めて。
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