監視対象と約束された日々【完結】   作:砂糖ノ塊

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皆さんお久しぶりです。砂糖のカタマリです。
さて、今回はやっと後日談ですよ!でもまあタイトル通りの世界なんですが……
後日すぎだろ!って思った方、俺もそう思います。
今回は成長したキャラクター達が登場します。苦手な方はブラウザバック推奨です。

それでは後日談、どうぞ。



After Story."23歳"神代 真言

「12月25日、夜のニュースをお伝えします」

 

「世界に多大な影響を与えている大企業、弦巻グループのCEOである弦巻 こころ氏が今日、アメリカ訪問からの帰国の際、空港で何者かに襲撃された模様です」

 

「弦巻氏に怪我はなく、襲撃者はボディーガードに取り押さえられた後、現在警察が捜査を進めているそうです」

 

「襲撃の一部始終を空港の防犯カメラが捉えていました。その映像がこちらです、どうぞ」

 

「弦巻氏を一目見るために空港へ集まった人だかりに、弦巻氏が笑顔で手を振ったその直後……」

 

伏せろッ!!

 

「この後銃声が二発鳴り、弦巻グループのボディーガードが襲撃者を取り押さえ、事なきを得たそうです」

 

「それでは次のニュースです」

 

「若者を中心に現在人気が爆増している、話題の女性5人組バンド『Roselia』がクリスマスの今日、今年最後のライブツアーを無事に終えました」

 

「東京公演から始まったこのツアーは、全国7箇所を巡り──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パンッ、パンッ、

 

 乾いた銃声が二発。方向はさっきの不審な男の方向。やっぱりあいつ、何かしてくると思ったら銃撃ってきやがった……!

 

「ボスは!?」

黒服A「こころ様はご無事だ!こちらの損害はゼロ!我々A班はこころ様を安全な所まで連れて行く!」

黒服A「B班は襲撃者を追跡せよ!決して逃がすな!!」

「「「了解!」」」

黒服A「K!別方向から先回りして奴を捕えろ!!」

 

 やれやれ、日本に帰ってきて早々これだよ……でもまあこれが今の俺の()()だしな。

 

 それにやっぱり護衛ってのはただ立ってるだけでつまんねぇからな。

 

 久しぶりに暴れてやりますか!

 

真言「了解!」

 

 神代 真言23歳。

 

 職業、黒服(ボディーガード)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待て!」

「くっ……早い……!」

 

 襲撃犯は人混みをすり抜け、悠々と逃げていく。

 

真言「随分と身軽だな……」

 

 黒服の二人が懸命に追いかけてはいるがぐんぐん突き放されていく。このままじゃもう少しで奴を見失ってしまう。

 

 別方向から先回りしろと言われたものの、この人だかりじゃそれもキツそうだ。

 

 そう思った俺はとりあえず無線を起動させ連絡を取る。

 

真言「あーこちらK。ターゲットは一人、仲間はいない模様。逃げる動きを見るにその辺のチンピラってわけじゃなさそうだ。アメリカ(向こう)じゃなくて日本(こっち)に帰ってきた直後を狙ってくるあたり…………十中八九()()()()だろうな」

黒服A『なるほど……』

真言「FとGはそのまま真っすぐ追ってってくれ。この人混みの中、できるだけ奴が直線的に逃げていくように」

黒服G『りょ、了解……ですがK、あなた今どこに……』

黒服F『私達のことが見えているんですか?』

真言「まぁ…………天井」

黒服F・G『『天井?』』

 

真言「今、天井にぶら下がって状況把握をしてる。だから二人は俺の指示通り追跡を続けてくれ」

 

黒服F『……………了解』

黒服G『一体いつそんなところに……』

黒服A『Kが無茶苦茶なのは今に始まったことではないでしょう。追跡の続行を』

 

 ……相変わらず失礼な同僚だ。

 

真言「んー……あと少しってとこか」

黒服A『K、あなた何を狙っ…………て!?あなた今逆さまで宙づりになってませんか!?』

真言「流石、そんな遠くからよく見えましたね」

黒服A『まさかK……!』

真言「F、G、そこで止まれ」

黒服F・G『『了解』』

 

 ここから襲撃犯までの距離なら、()()が二つもあれば十分だ。

 

真言「今からそっちに飛ぶ。足場になって俺を奴まで届かせてくれ」

 

黒服F・G『『りょうか…………』』

 

黒服F・G『『ハァ!?』』

 

 

真言「先ずは俺に近いFからだ。行くぞ」

黒服F『ちょ……私はKが豆粒ほどの大きさにしか見えないくらいの距離にいますけど!?』

真言「つべこべ言うな。行くぞ3…2…1…!」

 

 天井を思いっきり蹴り飛ばし、仲間の黒服に向かって飛んでいく。ロケットのように……この場合斜め下方向に飛んでいってるから魚雷か?

 

 グングンFの驚いた顔が近づいてくる。向こうからすれば恐怖でしかないだろうな。

 

真言「(でもまぁ……)」

黒服F「重ッ………!」

真言「(できるって分かってるから飛べるんだけどな)」

黒服F 「ッ……!!」

 

 Fの組んだ掌に着地した俺はそのまま襲撃犯が逃げた方向に向かって投げ飛ばされる。

 

黒服F「行ったぞ!」

黒服G「了解!」

 

 再び空高く舞い上がった俺の身体は、一直線にもう一人の仲間の元へ飛んでいく。

 

 そして先程と同じように……

 

真言「よろしく」

黒服G「ぐっ…………!」

 

 投げ飛ばされる。奴の背中に届くまで。

 

 寸分の狂いもない。俺の射程距離だ。

 

 そして着地直前、驚いた顔でこちらを見る奴と目が合う。

 

「!?」

真言「Freeze(動くな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜【弦巻グループ・本社】〜〜

 

真言「はー……疲れた」

 

 襲撃騒動の後始末も終わり、休憩室のベンチに腰を落ち着ける。

 

 後始末……と言ってもほとんど俺は何もしてないけど。

 

 ちなみに俺のロケット作戦についてはAからキッチリとお叱りを受けた。解せぬ。

 

真言「それにしても……今日はクリスマスだったんだな」

 

 二ヶ月もあっちで仕事してたから日にち感覚がおかしくなってるのも仕方ないか。

 

 折角のクリスマスも、もうすぐ終わってしまうのか……

 

 まあ明日から数日休みを貰ったんだ。うちのボスにも「ゆっくり休め」と言われたことだし、久しぶりの故郷を満喫することとしようか。

 

真言「………………お?」

 

 突如目の前にブラックの缶コーヒーが差し出される。

 

「お疲れ様」

真言「なんだ秘書様か」

「やめてよ、その秘書"様"って……私達同い年でしょ」

真言「一応あんたは上司だからな」

「ならそれなりの言葉遣いを心がけたらどうですか?黒服さん?」

真言「生憎だけど俺はもう仕事を上がった。だから今は黒服じゃねぇ」

 

 隣に座ってきたこの人は俺の……俺達黒服の上司と言うのだろうか。うちのボス、弦巻 こころの専属秘書だ。

 

 本当ならこんな風に俺が対等に話せる相手ではないのだが……実はこの人、俺と同い年である。しかもここに入社したのは俺のほうが先だったりもする。

 

真言「仕事の方はどうだ?そろそろ慣れた頃だろ」

「んー……まぁそれなりに。毎日大変だよ」

真言「うちのボスは一筋縄じゃいかねぇからな。付いていけるのもあんただけだ」

 

 俺は一介の黒服なのに、後から入ったこいつがこころの専属秘書という職業に就いている理由はそこにある。

 

 新しく就任したボス、そして黒服の推薦。その二つがあってこいつは今の地位にいる。

 

「入社試験ほんっと難しかったけどね」

真言「そこらの国立大学より難しいって話だぜ」

 

 こころはセンスで物事を捉えるから、あいつが考えていることを俺達一般人でも分かるように通訳するのがこの秘書様の仕事というわけだ。

 

「でもスゴいよね。あたしは大学出てるけど、神代くんは花咲川を卒業してそのままここに就職したんでしょ?」

真言「…………まあ」

 

 俺の場合、ほとんど騙されて黒服になったようなものだけれど。

 

 俺がここで黒服をしている経緯は、燐子先輩達が卒業し、俺が花咲川学園の最高学年になったときにまで遡る。

 

 当時の俺は燐子先輩ロスと進路の板挟みにあっていた。

 

「あ、やっぱり当時から燐子先輩教に入信してたんだ」

真言「当たり前だろ」

「何故そこで胸を張る」

 

 大学に進むべきか。それとも就職か。やりたいことが見つからなかった俺は、進路の事を黒服のバイト先でポロッとこぼしてしまった。

 

 それを聞いた黒服さんが……

 

 

 

 

 

黒服A『神代様、これを』

真言『……【推薦状】?』

黒服A『清正様からお預かりしているものです』

真言『ああ、確か俺がバイトをするキッカケになった……で、これが?』

黒服A『それをお読みください』

真言『[私、弦巻家身辺警護特別監督、神代 清正は神代 真言を身辺警護人として推薦する]じいちゃん達筆すぎるな…………でも至って普通の推薦状じゃないんですか?』

黒服A『そこにアルバイトの文字はありますか?』

真言「いや、無いですけど…………え?」

黒服A『はい、そうです』

 

黒服A『その推薦状は本来、神代様が高校卒業後、弦巻家に黒服として就職をするという物です』

 

 

 

 

 

真言「俺になんの連絡もなしに就職先を勝手に決めるとか、本当……めちゃくちゃな爺さんだよ」

「あはは……」

真言「でもあいつの"世界を笑顔にする"って夢を手伝うのも悪くないって思ったのも事実だからな……その辺については後悔してない」

「………………」

真言「どうしたんだよ、そんな暗い顔して」

「………大丈夫なのかな……今日もこころ、危ない目にあったんでしょ?」

 

 こころは今や世界に影響を与えている。強すぎるその力を抑えようとする輩も一定数いるわけだ。

 

 表側にも。裏側にも。

 

 だから秘書様の心配はもっともだ……それでも、

 

真言「心配ねぇよ。俺が必ず守るから」

 

 大切な人を傷つけさせない。あの日俺はそう誓った。

 

 いくら時間が経っても、変わらない約束。

 

真言「こころが世界を笑顔にするのなら、その世界の中に俺の大切な人達が入ってるのなら、俺は命をかけて守り通す」

 

真言「きっとその世界の中にはあんたも入ってる。だからそんな顔すんなよ。あいつが悲しむ」

「…………そっか。そうだよね」

 

 そう言って、穏やかな笑顔に変わる。

 

 花咲川にいたときから変わったこともある。

 

 けど俺も、こころも、大切なものは何一つ変わっちゃいない。

 

真言「ん、そろそろ行くわ」

「……もう行くの?」

真言「どうやら雪が降り始めてきたらしいからな。電車が止まったら帰りは歩きになっちまう。ここから更に疲れるのはごめんだ」

「神代くんだったら徒歩の方が速い気がするけど」

真言「あ、それと……」

 

真言「今度からブラックは勘弁してくれ。俺はコーヒーが飲めねぇんだ」

 

「………………子供舌」

真言「ほっとけ」

 

 

 

真言「じゃあまたな奥沢」

 

 

 

 今の上司であり、花咲川学園の同級生でもある奥沢 美咲(おくさわ みさき)秘書に手を振り、俺は帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真言「雪……結構降ってるな」

 

 何とか家の最寄駅まで到着した俺を出迎えたのは真っ白な雪だった。

 

真言「さて……二ヶ月ぶりの我が家に帰りますか!」

 

 俺の家は高校の時住んでいたところと変わらない。

 

真言「変わらない…………か」

 

 奥沢にはああ言ったものの、俺の心の中には疑念が渦巻いている。

 

 何も変わっていないように見えて、その実何もかも変わっているのかもしれない。そのことに俺は目を背けているんじゃないか。

 

 …………こういうことを考えるのは高校生の時から変わってねぇな。

 

 でも"変わっていない"というのも決して悪いことではないのかなとも思う。

 

 俺と燐子先輩はあの日から恋人として日々を過ごしている。

 

 けれど燐子先輩が高校を卒業してから…………Roseliaとして本格的に活動を始めたときから、確実に一緒にいる時間は短くなった。

 

 俺が就職してからも、仕事でお互い遠くに行くことが多くなった。

 

 遠距離恋愛……とは少し違うか。

 

 もちろん俺の気持ちは変わっていないし…………まぁそれに関しても昔一悶着あったけど。

 

真言「はぁ…………」

 

 吐息は白く、空に消えていく。

 

 昔より好きな人と一緒にいる時間が減り、他のRoseliaのメンバーとも会う機会が少なくなった。

 

 当然と言えば当然のことだ。

 

 今やRoseliaは若者を中心に大ブレイクしている超超超人気ガールズバンド、同僚に彼女らの友人だと言っても信じてもらえないくらいだ。

 

 もう、昔のようにはなれないのかもな。

 

真言「こうやって家に帰るのも久しぶり…………」ガチャ…

 

 家が荒らされていないことを祈りながら、二ヶ月ぶりに帰る我が家の扉を開ける。

 

あこ「おかえりまっくん!」

友希那「お風呂にするかしら?ご飯かしら?」

リサ「それとも………………ほら燐子!」

 

燐子「わ…………わ…………///」

 

 パタン……

 

真言「………………」

 

 ゆっくりと扉を閉めた。

 

あこ「なんで閉めた!?」ガチャ!

真言「あ、すみません。ちょっとビックリして……」

 

 家の扉が勢いよく開き、中から師匠が出てくる。

 

あこ「もう……折角驚かせようと思ったのに……」

真言「久しぶりですね。師匠」

あこ「まっくんもね!あれ、ちょっと背伸びた?」

 

 昔の師匠なら何とも思わなかったセリフだが、今の師匠から、それもニヤニヤしながら言われると皮肉に感じる……というか皮肉ってるのだろう。

 

 俺は()()()()()()()

 

真言「ふんっ!」

あこ「いった!?」

 

 そして額にデコピンをかました。

 

 ()()()()()()()()()()()

 

あこ「え、急に何!?」

真言「ちょっとイラッときたんで。ごめんなさい」

あこ「理不尽!?でも即謝罪!?」

 

 変わらない話し方。変わらないこの雰囲気。でも師匠は確かに変わった。

 

 特に身長。

 

 高校時代からグングン伸びていき、Roselia1の高身長に、そして遂には俺よりデカくなりやがった。

 

 まさか師匠に背の高さで負けるとは思わなかったから、当時の俺はかなりショックを受けた。いや、今も結構…………

 

真言「はぁ……」

あこ「どうしたの?ため息なんかついて」

真言「いや、師匠が大きくなったなーって」

あこ「ふふん♪でしょ!?」

真言「ちょっと前までは『闇の魔法がー』とか言ってたのに……」

あこ「やめて。怒るよ」

 

 今の師匠に昔の師匠の話題も禁句になってしまった……

 

リサ「もー二人とも何やってんのー?うわさっむ!外雪降ってんじゃん!」

真言「姐さん、お久しぶりです」

リサ「うんうん久しぶり〜♪って寒いから早く入って入って!」

あこ「いらっしゃーい!」

真言「俺の家なんですけどね……」

 

 てかなんであんたらここにいんの……家の電気ついてるからおかしいなとはまさかとは思ったけどさ……

 

友希那「燐子から今日真言が帰国すると聞いてたから、Roseliaのライブツアーの打ち上げも兼ねてここで準備していたのよ」

 

 そう俺に告げるのはRoseliaのリーダー、湊さん。お元気そうで何より。

 

真言「俺の家でする必要あります?それ」

リサ「まぁ……ここなら安全っていうか……ファンの人達に話しかけられることもないし」

あこ「いざって時はプロのボディーガードもいるしね!」

友希那「事務所にも許可を取ったわ」

真言「なんで許可出すかな……」

友希那「弦巻家の名前を出したら一発よ」

真言「職権を乱用するのやめてくれませんか!?」

あこ「まっくんの職権だけどね」

 

 久しぶりに会う皆と小気味いい会話を繰り広げながら玄関を上がり、扉を開けてリビングに入る。

 

燐子「お……おかえりなさい……」

 

 エプロン姿の女神が出迎えてくれた。

 

真言「ただいま帰りました!」

あこ「うわすっごい笑顔」

真言「燐子先輩✕エプロンは人を殺せる」

リサ「アタシたちも同じ格好してるのに何も言わないんだね」

真言「え?あぁ、言われてみればそうですね」

リサ「扱いが雑!」

真言「てかそれどっから持ってきたんですか……うちにはエプロンは燐子先輩の分しかありませんよ」

リサ「これは自分達で……ってなんで燐子のだけはあるの」

あこ「そりゃあ…………ねぇ」

リサ「あ、そっか」

 

リサ「二人は同棲中だったね♪」

 

燐子「…………///」

真言「同棲ってのもちょっと違いますけどね」

 

 正確に言えば俺の家を好きにしていい権利(合鍵)を燐子先輩に譲渡しただけ。俺も燐子先輩も仕事で出かけることが多くなった今、少しでも二人でいる時間を長くしようと考えた結果だ。

 

 だから……半同棲状態と言うのが正しいのか?

 

 まあ燐子先輩が愛しいから何でもいいや。

 

燐子「真言くん……?急に黙っちゃって………どうしたの……?」

 

 あれだけ何にも無かった家が、今じゃ見違えるほどに思い出で満ち足りている。

 

 二人で撮った写真、互いに送りあったプレゼント、どれも幸せの結晶だ。

 

燐子「…………?」

紗夜「いつまで白金さんに見惚れているつもりですか」

真言「……っは!」

紗夜「まったく……変わらないですねあなたは」

真言「お久しぶりです、紗夜先輩」

紗夜「ええ、お久しぶりです」

 

 紗夜先輩もお変わり無いようで何より…………

 

真言「……料理してるんですか?」

紗夜「はい、キッチンを使わせてもらっています」

真言「別にそれはいいんですけど…………」

紗夜「湊さんには一切触らせていません」

真言「なら良かった」

友希那「ちょっと」

 

 兎にも角にもこれで二ヶ月ぶりの全員集合か……なんか感慨深いものがあるな。

 

真言「手伝いますよ紗夜先輩」

紗夜「いいから座っていてください。神代さんも仕事で疲れているでしょう」

真言「それを言うなら紗夜先輩達だってライブ終わったばっかじゃないですか」

燐子「料理はわたし達がやるから……」

リサ「マコくんも今日いろいろ大変だったんでしょ?」

あこ「ここはあこ達に任せて!」

真言「む……………」

 

 頑なに俺をキッチンへ入れさせてくれない。調理器具や調味料の場所は燐子先輩が知っているからいいけど……

 

友希那「仕方ないわ。向こうは紗夜達に任せて、私達はやれることをやりましょう」

真言「達観してますね」

 

 仕方なく湊さんとテーブルに食器を並べる。新しく買い替えたので六人分の食事も余裕で置ける大きさのテーブルだ。

 

真言「(まさか寸法間違えて買っただけのテーブルが、今になってこんなにも役に立ってくれるとは……)」

友希那「食器はこんな感じかしら」

真言「いいんじゃないですか…………湊さん、それ……」

友希那「これ?来る途中で食材と一緒に買ってきたのよ」

 

 湊さんが持っているのはシャンパン、お酒だ。

 

友希那「他にもワインとか──」

真言「……………」

友希那「……露骨に嫌な顔するわね」

 

 当たり前だ。俺が酒をあまり好まないというのもあるが、Roselia……特に湊さんは知り合いの中で一番一緒に酒を飲みたくない人だ。前に飲み比べをして酷い目にあった。

 

友希那「酷い言いようね。あれはあなたの自業自得でしょ?」

真言「ちなみに二番目は紗夜先輩です」

紗夜「私がどうかしましたか?」

真言「ナンデモナイデス」

リサ「料理できたよ〜☆」

 

 テーブルに並べられる豪華な料理の数々。流石姐さん、どれもめちゃくちゃ美味そう。

 

リサ「みんなグラスの準備はいい〜?」

あこ「はーい!」

真言「飯…………」ジュル…

燐子「真言くん……目が怖いよ……」

紗夜「早くしないと、神代さんがそろそろ限界ですよ」

友希那「そうね。それじゃあ皆、ライブツアーお疲れ様。そして…………」

 

 

 

 

 

Merry Xmas!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜30分後〜〜

 

 ここから先は(真言にとって)地獄である。

 

 ヒロインが酔っぱらい、主人公に抱きつきながら言葉にならない言葉を発する……そんな展開は存在しない。

 

「ふへへ……へへ…………」

 

 何故なら彼女らはRoselia……酒豪軍団である。

 

 そんな彼女たちの宴の中に、酒に絶望的に耐性がない男が一人。

 

 そう、誰であろう神代 真言その人である。

 

真言「りんこしぇんぱぁーい……だいしゅきでゆよぉ…………♡」

 

 この男、シャンパンを三()飲んだだけでこの様子である。先程からずっと恋人をホールドしながら呂律が回らない口で愛の言葉を吐き出し続けている。

 

燐子「ふふっ……真言くん……かわいい……」

真言「へぁ?」

あこ「まーたやってるよ……」

リサ「ふたりともwwwくっつきすぎwwwwww」

紗夜「今井さん……大丈夫ですか?」

リサ「ぜんぜんだいじょうぶwww」

友希那「…………」●REC

紗夜「……何してるんですか湊さん」

友希那「今の真言を撮っておこうと思って」

紗夜「鬼ですかあなたは!」

友希那「ほら、真言こっち向いて」

真言「……?いぇーい!ぶいぶい!」

リサ「さいっこうwwwいいよマコくんwww」

紗夜「それ、本人が見たら発狂しますよ……」

燐子「後で送ってください…………」

紗夜「あ、私にもお願いします」

友希那「任せて」

リサ「wwwwwwwww」バンッバンッ

あこ「リサ姉机壊れちゃうよ……」

 

あこ「(まっくんお酒全然飲めないのに絶対に断れないんだから……それにしても)」

 

燐子「真言くん……寝顔かわいい……赤ちゃんみたい……♡♡♡」

真言「zzz…………りんこせんぱい…………」

 

あこ「(…………いつかりんりんに襲われても知らないからね)」




【成長後ステータス】(作者個人の妄想です)

酒豪レベル・・・100を基準とする。



・神代 真言(23歳)

元・花咲川学園の監視対象。現在は弦巻グループの黒服(主に殲滅担当)。白金 燐子と恋人関係。

酒豪レベル:2

一口飲めばテンションがおかしくなり、二口飲めば燐子にデレデレに甘えだし、三口飲めば人語を発せなくなり、一杯飲みきれば気を失う。起きたときには記憶が全く無い。(度数は比較的高くないものを使用しております)

初めてお酒を飲んだ職場の飲み会で救急車を呼ばれた。



・宇田川 あこ(23歳)

Roseliaのドラム担当。驚異の成長力で遂に身長が真言を抜いた。厨二病卒業済み。

酒豪レベル:100

Roseliaの泣き上戸。よく高校時代の厨二病黒歴史をイジられて泣く。すぐ寝る。

Roseliaの中で一番お酒に弱い。



・今井 リサ(23歳)

Roseliaのベース担当。高校時代から変わらず世話好きのお姉さん。でも真言にはそろそろ姐さん呼びをやめてほしいと思っている。

酒豪レベル:120

Roseliaの笑い上戸。ずーーーーーーっと笑っている。箸が転んでもおかしいらしい。とても楽しそう。途中で笑い声が急に止んだら危険。すぐにお手洗いに連れて行こう。

頭痛が後日に残るタイプ。酔ってたときの記憶はあまりない。



・白金 燐子(23歳)

Roseliaのキーボード担当。高校時代から真言と付き合っている。半同棲、半遠距離恋愛状態。ちなみにラブラブ。

酒豪レベル:1000

飲むと少しだけ口数が増えて上機嫌になる。ほとんどそれだけ。酔うまで飲まない。なので記憶もしっかり残る。自分にベロベロで甘えてくる真言の写真や動画を撮るのが好き。でも可愛そうだから本人には秘密。



・氷川 紗夜(23歳)

Roseliaのギター担当。なんだかんだ言って今も真言のことを心配している。卒業してからも自分のことを「先輩」呼びをする後輩が可愛いということを認めたくない。

酒豪レベル:530000

真言曰く、一緒に飲みたくない人ナンバー2。恐ろしく強い。度数強い酒も顔色一つ変えずにバカバカ飲む。

基本的に酔って倒れた人の介抱担当。よく真言とあこがお世話になっている。



・湊 友希那(23歳)

Roseliaのボーカル担当。バンドの頼れるリーダー。真言への心配は高校時代に解消されたので特に気にしていない。真言の良き友人兼燐子の保護者的役割を担っている。

酒豪レベル:測定不能

もはや人ではない。





これにて「監視対象と約束された日々」本編完結です!皆様改めてご愛読ありがとうございました!最後に評価や感想をいただけると嬉しいです!

これからは今までより不定期更新で真言くん達の小噺を書いていきたいと思っております。
現在私の相棒であるrain/虹 くんの小説「人見知りの幼なじみは俺にだけデレデレ」で真言くんが暴れています!ぜひ一度ご覧ください!

rain/虹「人見知りの幼なじみは俺にだけデレデレ」→https://syosetu.org/novel/253378/


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