監視対象と約束された日々【完結】   作:砂糖ノ塊

7 / 70
皆さんどうもです。

たくさんのお気に入り登録、そして評価、本当に感謝しております。なんとまたもや☆10評価をいただきました!ありがとうございます!

お気に入り登録をしてくれた人にも、そうでない人にも、楽しんでいただける作品になるよう、頑張っております。

……前置きが長くなる前に切り上げます。

☆10評価 rain/虹 様
お気に入り登録 ROMを 様 ダイキ・リハヴァイン提督 様
うらりんりん 様 六連星 桜桃音 様 赤紫の彗星天宮 様
夕緋 様

今回も新キャラ登場回………………です。



06.マニュアル対応だけじゃどうにもならない客もいる

「「ありやとやっしたー」」

 

 とある日のコンビニのレジ前。俺はここで今日もアルバイトに勤しんでいる。

 

 今もちょうど一人しかいなかったお客を送り出したところだ。

 

リサ「二人ともちょっと適当すぎじゃない?」

 

 適当な挨拶をしていたら姐さんから注意が飛んできた。もうおわかりかと思うが姐さんもここのコンビニで働いている。

 

 俺と隣のレジにいる少女は生意気にもリサの姐さんに反論する。

 

「そんなことないですよ〜リサさん」

真言「いいじゃないですか、客もいなくなりましたし」

リサ「いや、そういう問題じゃないでしょ…」

 

 まったく…ギャルみたいな見た目して根はすっごい真面目なんだから……

 

リサ「今なんか失礼なこと考えなかった?」

真言「イエ?ナンデモアリマセンヨ?」

「はっはーマコくんは嘘が下手だね〜」

真言「やめてくださいよセンパイ」

 

 

 

 この人も俺のバイトの先輩、青葉 モカ(あおば もか)さん。Afterglowというこれまたガールズバンドに入っているらしい。

 

 俺はセンパイと呼んでいるが、年は俺と変わらないそうだ。

 

 何で俺がそう呼んでいるのかというと……

 

 

 

 〜〜またまた2年の初め頃〜〜

 

 

 

 コンビニでのアルバイト初日。

 

真言「始めまして、神代真言といいます」

モカ「よろしくーモカちゃんは青葉モカちゃんだよー」

真言「……よろしくお願いします」

 

 ………なんか、掴みどころのない人だな。

 

 ゆらゆらしてるというかふわふわしてるというか……

 

モカ「特別にマコくんにはモカ先輩と呼ばせてあげよう〜」

 

 マコくん……

 

真言「………ウス」

 

 なんだこの人?

 

 

 

 ──とまあこんなことがあって俺はこの人をセンパイと呼んでいる。

 

 最初のうちはマジで年上だと思ってたんだけどな……

 

モカ「んー?どうかしたのかなー?マコくん?そんな熱い視線を送って、まったく〜照れちゃいますな〜」

真言「なんでもないっすよセンパイ、全部気の所為です」

 

 俺のことを"マコ"と呼ぶのはセンパイを除けば姐さんと有咲くらいだ。

 

 いい人なのは間違いない。それははっきりわかる。

 

 

 

 

 

真言「そういや、センパイは姐さんと同じ高校でしたっけ」

 

 はおか?はねおか?学園とかいうのだっけ?

 

モカ「そうだよ〜同じ羽丘だねー」

 

 あ、『はねおか』か。

 

真言「高校での姐さんってどんな感じなんです?」

モカ「聞きたい〜?」

真言「ええ、興味がないと言えば嘘になります」

リサ「ちょっとー?何アタシのいないとこでアタシの話しようとしてるのかなー?」

モカ「いいじゃないですか〜」

真言「暇なんですよ」

リサ「だからってアタシを話のダシに使わないで!というか暇ならアタシの品出し手伝ってよ!」

真言「うぃーす」

 

 レジはセンパイに任せて、姐さんの手伝いに回る。と言ってもレジからはそこまで離れてないので会話は続く。

 

真言「それに俺が知ってるのはRoseliaの姐さんだけで、羽丘の姐さんのことは全然知らないんですよ」

リサ「それを言うならアタシだって花咲川での紗夜とか燐子のこともよく知らないよ?」

 

 うーん……それは確かにそうだな……

 

真言「よし、それではお話しましょう花咲川生徒会で、燐子先輩がどれほど活躍しておられるのかを!!」

リサ「あ、これは地雷踏み抜いちゃった感じかなー?」

モカ「マコくんの面倒くさいスイッチ押しちゃいましたねーリサさん」

 

 面倒くさいとは失礼な。

 

真言「ではまず始めに普段の燐子先輩の仕事ぶりから……」

 

 テテテテテテー↑テテテテテテー↓

 

リサ「いらっしゃいませー!」

モカ「しゃーせー」

 

 ちっ、邪魔が入ったか。非常に残念だがこの話はまた今度に………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………ん?こいつ、なんか変じゃね?

 

 黒い帽子にマスク、両の手にはめられた手袋、格好もさることながら何よりおかしいのはそいつの目だ。普通の客の目とは違う。

 

 こいつ、やっぱり変だ。

 

 俺の中の第六感がそう言っている。

 

 そいつは真っ直ぐセンパイのレジへ向かっていく。

 

真言「センパイ、俺代わりま──」

 

「おい」チャキ

 

モカ「え?」

 

 

 

「金を出せ」

 

 

 

 

 センパイの前に突き出される、銀色に鈍く光るナイフ。

 

 そこまで大きくはないがそれでも人を傷つけるには十分すぎる。

 

 

 

 強盗。 

 

 

 

真言「(嘘だろ、おい)」

リサ「マコくん……あれ……」

真言「姐さん、少し下がってろ」ピリ

リサ「う、うん……」

 

 

「さっさとしやがれ!!!」

モカ「ひっ……」

 

 だいぶ興奮してやがる、センパイは……ほぼパニック状態で動けないな、無理もない。

 

 

 どうする?俺はどうすれば………

 

 

 

真言「どうかされましたか?お客さん?」

リサ「ちょ、マコくん!?」

 

 止める姐さんを一瞥し、ゆっくり後ろから強盗に接近し続ける。

 

 まだだ、ここからじゃ遠すぎる。もう少し……もう少しだけ近づけば……

 

真言「お客さん?」トコトコ

「なんだてめぇは!!」

真言「それ……ナイフですよね?危ないですよ?」

「女ァ!さっさとしろ!!」

 

 無視ですか、そうですか。

 

真言「まあまあ一旦落ち着いてくださいよ、ね?」ポン

リサ・モカ「!!!」

 

 強盗の肩に手を置いた。強盗を挟んで正面にいるセンパイが驚いたように目を見開いている。

 

 後ろの姐さんも驚いているかな。

 

「触んな!てめぇ刺し殺すぞ!!」バッ

 

 強盗がこちらを振り向いて、ナイフを俺の目の前に突き出す。

 

 よし、注意が完全に俺に逸れたな。

 

 目でセンパイに少し下がってと伝える。……ギリ伝わったぽい。休憩室に逃げていった。

 

真言「刺し殺されるのは嫌ですねぇ、俺痛いの嫌いなんすよ」

「てめぇナメてんのか??」

 

 ナイフをギラつかせながら威圧してくる。

 

 おお、怖い怖い。

 

真言「いやぁナメてなんかいませんよ?」ガシ

「は?」

 

 

 

 

 

 俺は目の前に突き出されたナイフを掴んだ、もちろん素手で。

 

 掴んだ手からは血が滴ってくる。あ、思ったより痛いねこれ。

 

「は、離しやがれ!!」

真言「無理ですよーだってこれ使って暴れるかもしれないじゃないですかー」

 

 なるべく刺激しないような話し方してるつもりなのにあんま効果ないかな?

 

 ま、いいや。こいつの今の様子見る限り別の武器がある訳でもなさそうだし。

 

「この野郎…!!」

 

 必死にナイフを抜こうとしているが、抜けない。だろうね。

 

 流石にこんな奴に力勝負で負ける気はしない。これでも腕っぷしにはちょっとばかし自身があるんで。

 

「てめぇ、イカれてんのか!素手でナイフを…」

真言「イカれてなきゃ、今頃俺は'監視対象"なんて呼ばれてねぇよ」

「何言ってやがんだ!!」

 

 武器も封じた。姐さんは俺のはるか後ろ。センパイも休憩室に退避した。

 

 んじゃもうあんな喋り方じゃなくて良いよな?

 

真言「あんた、一つ忠告しといてやるよ」

「………?」

真言「俺はな……今あんたの命なんかより数万倍大切な約束をしているんだよ」

 

 "自分の命よりも"、だ。

 

真言「その約束のせいで……俺はあんたを殴ることも、蹴り飛ばすことも、ナイフ奪ってあんたをメッタ刺しにすることもできねぇ」

「……………」

 

 強盗がたじろぐ。

 

真言「だからな?このまま何もせず大人しく警察に突き出されるなら俺も何もしねぇ」

 

真言「けどもし、これ以上あんたが俺の先輩達に何かしようってんなら──」

 

 

 

 

 

真言「──約束の効力が終わり次第、俺があんたを殺す」

 

 

 

 

 

真言「どこに逃げようと、どこへ隠れようとも、見つけ出して絶対に殺す」

「ひっ……そんなハッタリ……」

 

真言「選べよ。このまま警察に突き出されるか、死ぬか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真言「いやー大人しく捕まってくれて良かった良かった」

 

 あの後大人しくなった犯人は無事、警察に身柄を拘束された。

 

 高校生のガキに脅されてビビるような奴で助かった……

 

リサ「"良かった良かった"じゃないでしょ!」

真言「へ?」

リサ「右手!怪我してるから!ほらこっち来なさい!!」

真言「え、ちょ待っ」

 

 姐さんに無理やり休憩室に引きずり込まれる。いや、力強っよ。

 

 

 

 

 

真言「大丈夫ですよこんくらい、ちょっと切っただけじゃないっすか」

 

 休憩室で姐さんに応急処置をされる。

 

リサ「ちょっとって……血まみれじゃない!」

真言「あはは……」

 

 笑えてくるくらい血は出てるな……

 

リサ「もう!ホントに心配したんだからね!?急に犯人に近づいて行ったと思ったら、ナイフをわしづかみにして……」

真言「いやーまあ、握力なら負けないかなーって思って………」

 

モカ「まっくん……大丈夫ー?」

真言「あ、センパイ!センパイこそ怪我はないですか?」

モカ「あ、うん。あたしは大丈夫だよ……」

真言「?どうかしましたか?」

モカ「うん、その……ゴメンね……」

 

真言「え?」

 

 謝罪?何に対して?

 

モカ「あたし、あの時怖くなって…体が動かなくなっちゃって……あたしが犯人の言うことに従っていたら……マコくんは……」

真言「この手ですか?大丈夫ですよ!ほら、この通りなんてこと無いですから!」フリフリ

リサ「ちょ、まだ消毒してる途中だから動かさないで!」

 

モカ「でも……」

真言「別にセンパイが気に病む必要は無いですよ、俺が勝手に突っ込んで勝手に怪我してきただけですから」

モカ「…………優しいね、マコくんは」

 

 優しい……か……

 

真言「俺は」

モカ「?」

真言「俺はセンパイが思ってるような、優しい人間じゃないです」

 

 あの時、強盗がセンパイを脅したあの時、俺は、俺は一瞬……

 

 助けるかどうか、迷ってしまった。

 

 あの時、俺は燐子先輩との約束を破って後ろから殴りかかることもできた。

 

 そうすればあいつを無力化できたはずだ。

 

 けど俺が真っ先に考えたのは、

 

 "どうすればあいつを傷つけずに事を納めるか"だった。

 

 とんだ人でなしだな。センパイたちの危険と燐子先輩との約束を天秤にかけて、いや、天秤にかけるまでもなく、約束を守ることを選んだんだから。

 

 そしてあの場での約束を守るための最善策は………センパイを見捨てることだった。

 

 俺は優しい奴じゃない。俺はただ……

 

『この化け物!!』

 

真言「………俺はただ約束を守っただけであああーー!!!」

モカ「!?」

真言「痛い痛い!!姐さん!今俺の決め台詞!俺の最大の見せ場なんですけど!!??」

リサ「うるさい!意味分かんないこと言ってないで少し大人しくしてなさい!男の子でしょ!」

 

 見てみると俺の手が包帯でぐるぐる巻きになっていた。

 

 いや、流石にこれはやり過ぎですって姐さん!!

 

モカ「ありがとねマコくん」フフ

真言「どういたしましてセンパイ」

 

 ……まあ、感謝はありがたく受け取っておくとしようか──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜とある日のCiRCLEにて〜〜

 

リサ「──ってことが昨日あってね〜ホントに大変だったよ〜」

友希那「それは災難だったわね、リサに怪我が無くて良かったわ」

リサ「マコくんもあの後病院行ったけど『大した傷じゃなかった』って」

あこ「まっくんカッコイイ〜!」

燐子「……………」

紗夜「……………」

友希那「どうかしたのかしら?紗夜、燐子?」

紗夜「いえ、何でもありません」

燐子「……………」ついついついつい

あこ「りんりん?」

燐子「!何でもないよあこちゃん……」

 

 

 

──その頃の真言

 

 ピロン♪

 

真言「ん?燐子先輩からメッセージ?」

 

 『明日の朝一番、生徒会室まで来なさい。』

 

真言「!?」

 

 何で!?俺なんかした!?文面めっちゃ怖いんですけど!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の日……

 

紗夜「あなた自分がどんな危険なことしたかわかってるんですか!?興奮している犯人に向かって行って、しかもナイフを素手で掴むなんて、正気の沙汰ではありません!!」ガミガミ

真言「………………ゴメンナサイ」セイザ

燐子「……………真言くん」

真言「……………」

燐子「危ないことはしないで……?」

真言「はい……気をつけます……」

 

 先輩方からこっぴどく叱られましたとさ。




新キャラ登場回という名のシリアス回でした。

ちょこっとだけ真言くんの本気が見れましたね……

評価、感想、お気に入り登録をしていただけると作者が逆立ちして喜びます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。