異聞大正怪異譚   作:てーけー。

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先ずは(真の)主人公目線、という話。


剣柱 劔桃晴 外伝

ここは蝶屋敷。

怪我を負った鬼殺隊の隊士が治療と機能回復を兼ねて入院する病院と道場を一つにした様な施設だ。

 

那谷蜘蛛山での一件にて大怪我を負った竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助ら三人はここに入院する事になった。

 

 

 

入院して暫く経ち、明日から軽めの回復機能訓練が開始する旨を伝えられた夜、竈門炭治郎は禰豆子をあやして木箱の中へ誘導していた所にある人物がやって来た。

 

 

「あら、炭治郎くん、こんばんは。明日から回復機能訓練なんだってね。頑張ってね。」

 

「あ、()()()()()。こんばんは。はい、そうなんです。なので今日は早く寝ておこうかなと。」

 

 

俺、竈門炭治郎は病院施設の夜ということもあって、いつもより出来るだけ小さい声で返事をする。

 

 

この人は()()()()()さん。この蝶屋敷の住人で、主に回復機能訓練のお手伝いをしてくれている人だ。

今は怪我で引退しているけど、元柱の凄い人だと聞いている。

普段から穏やかで暖かい匂いのする可憐な女性って感じで禰豆子もとても良く懐いている。禰豆子に構い過ぎてよくしのぶさんに怒られてるけど…

 

 

「そう、それじゃお邪魔しちゃったかしら。ほんの少しだけ伝えたい事があったのだけど…」

 

「いえ、少しなら全然構いませんよ。何かあったんですか?」

 

 

それじゃあ、少しだけ。

そう言ってカナエさんは俺にいつもの穏やかな表情のまま話し掛けた。

 

 

「炭治郎くん、(もも)くんにはもう会ったかしら?彼、貴方のこととても心配してたから…」

 

(けん)(ばしら)(つるぎ)桃晴(ももはる)さん、ですよね。実際にお会いしたのは柱合会議が初めてなんですけど、お話出来なくて…。鱗滝さんと冨岡さんと一緒に禰豆子の身を庇ってくれたいい人なので…俺、会えたらお礼を言いたいんです!」

 

 

〈桃くん〉という愛称の人なら多分その人の事だろうと当たりをつけて、俺は返事をする。

ここへ来てからカナエさんがそう呼ぶ人の話を度々聞かされていて、彼女の妹であるしのぶさんに誰のことなのかは聞き及んでいた。

 

 

「そうなの。じゃあ丁度良かったわ。炭治郎くんが回復機能訓練を受けている間にここへ来る手筈になっているから会うと良いわ。優しい人だからきっと仲良くなれると思うの。」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

 

ウフフ、とカナエさんは花も綻ぶような笑顔を俺に向けて、その人を紹介してくれると言う。

 

それだけ言うと、カナエさんはおやすみなさい、と一言告げて帰っていった。俺は中途になっていた妹の誘導を再開する。

 

「(どんな人なんだろう…)」

 

柱合会議の時は確か遅れて参上して来た人だ。妙に禰豆子が懐いていたのが気になるけど…

 

 

「なぁ、禰豆子。禰豆子は剣柱の劔桃晴さんって人知ってるか?ほら、お館様の前で禰豆子の頭を撫でてた人だよ。」

 

俺は猿轡を噛んでいる妹に語りかける。

 

「むー?むーんー!」

 

禰豆子はよく知っていると伝えたいようで両手を挙げて笑顔になる。この感じを見るに、どうやら本当に優しい人みたいだ。

 

「早く会いたいなぁ。お礼もしたいし。」

 

 

 

鬼殺への道のりを歩き出したばかりの竈門炭治郎少年。

その少年は今後様々な出会いを果たし、多くの物語を紡ぐ事になる。この後に出会う剣柱との一幕もその内の一つである。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

炎の様な男が今、燃え尽きようとしていた。

側には三人の()()が看取っている。

 

 

「…それから、竈門少年。剣柱(けんばしら)(つるぎ)桃晴(ももはる)へ教えをこうがいい。ヒノカミ神楽とやらを彼が知っているかは分からないが、彼も特殊な呼吸法をつかう。何かの役に立つやも知れん。」

 

 

「…はい、はい!分かりました!会いに行きます!」

 

「それでいい。彼は強いぞ。俺と違い上弦と三度も戦って生き残っている、まさに鬼殺隊の希望だからな。」

 

「煉獄さんだって乗客二百人全員を護りきったじゃないですか!俺、絶対煉獄さんみたいに強くなってみせます!」

 

「…ははは、有難う。そう言ってくれると嬉しい。…心を(つよ)く持て、少年。さすれば願いは必ず叶う。」

 

「はい!…はい!煉獄、…さんっ!」

 

 

 

涙が溢れる。偉業を成した英雄に、オレは力強く返事をして、その最期を見届ける。

 

呆気ないなんて言わせない。あの凶悪卑劣な鬼に正々堂々と立ち向かった目の前の強く熱い漢が託したモノを必ず繋いでみせる。

 

 

 

夜明けの太陽が眩しく輝く。

 

竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助ら三人は鬼殺隊の柱の背中を見届けて、決意を新たにここから大きく成長することになる。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「桃晴か?ああ、良く知ってるぜ。何せ同期で柱になった奴だからな。ま、俺の方が派手に先輩な訳だが!」

 

鼻高々といった雰囲気でそう語る大男と共に夜の街を真っ昼間に行く。

 

何か気になる事でもあんのか?と興味を示した彼に俺は未だ会ったことが無い人の印象はどんなものか、と尋ねる。

 

 

「んー、どんな奴かって訊かれりゃ、ド派手にヤベェ奴だって答えるしかねぇな。初見じゃ気付きにくいが、とにかく派手にヤバイ奴だ。アイツの鬼の討伐数知ってっか?もうじき四桁だぜ、俺と同い年で。どうだ派手だろ?」

 

 

「はあ!?4桁!?ってことは1000超えるってこと!?どんなバケモノなのソレ!?鬼相手にそんな場数踏んでるって命が幾つあっても足りないじゃん!?柱って皆そんななの!?」

 

「ンガーーー!!俺の方が強ぇに決まってんだろ!よんけただかじゃんけんだか知らねーが俺が最強なんだよ!!勝負しやがれ桃丸とやらーーーー!!」

 

「バカ、お前バカなの!?勝てる訳無いだろ!柱だぞ!聞かれたらどーすんだ!」

 

 

相変わらず甲高い声で喚き散らす善逸と、雄叫びをあげて居もしない相手に威嚇する伊之助。宇髄さんの言った内容には俺も驚いたけど、二人が俺の分も驚いてくれたせいでなんだか出遅れた気分になる。

 

 

「アイツはガキには優しいから悪口言おうが鯉口切って挑発しようが地味に怒んねぇと思うぞ、多分。」

 

アイツにとっちゃ自分より年下全員ガキみたいなもんだしお前らは大丈夫だろ、付け加える宇髄さん。

 

ホント?ホントにホント?と疑心暗鬼に陥る善逸。

ガキ扱いすんなーー!!と更に勢いを増す伊之助。

 

賑やかなのは良い事だけど、この街の昼は割と静かだから悪目立ちしている。恥ずかしいからやめてくれ…

 

 

俺が二人を宥めていると、宇髄さんは真剣な顔になって語りだした。

 

「我妻が言う通り、そんだけの場数を踏むってのは即ち死ぬ可能性も高まるって事だ。文字通り命が幾つあっても足りねぇ。だがアイツはそれをやってのけた。そして歴代の柱の記録なんざもうとっくに塗り替えちまった。そう考えると派手にヤバい奴だろ?」

 

確かに。

宇髄さんは見た目からして二十歳そこらだ。同じ年齢で1000の鬼を倒すとなれば、俺と同期で入隊した(つまり十五で入隊試験を通った)としても5年間で1000体、年間200体倒してる計算だ。凄すぎる。

 

 

「…何より他の柱と違う点は、上弦と戦って三度も生き残ってるってとこだ。」

 

 

しん…と俺含め三人とも黙り込んでしまった。

あの普段から五月蝿い二人も固まっている。

 

 

そうだ。煉獄さんから聞き及んでいた話。

上弦の鬼と3回も出会い3回とも生き残った、という話。那谷蜘蛛山で俺達は下弦の伍とその配下と戦って死にかけている。下弦ですらあの強さなのに上弦と渡り合うとなれば話が変わってくる。蝶屋敷で修行して全集中を解得したりしてから多少は強くなったと思うけど、無限列車で出会ったあの上弦の参は今までの鬼とは比べ物にならない強さだった。今会っても瞬く間に殺される気しかしない。

 

 

ごくり、と生唾をのんで固まる俺達の頭をポンポンと軽く叩く宇髄さん。

 

 

「オイオイ地味に困るぜそんなんじゃあ。此処にはその上弦の鬼が出るって噂なんだからなぁ。」

 

 

 

「………エ?イマナンテイッタノ?」

 

「だから、出るんだよ、上弦。俺達はそいつを派手に狩りに出向いたって訳だ。」

 

「はぁああああああああ!!??何言ってんのこの人!?出るの!?ここに!?上弦が!?死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死んだ……」

 

善逸は気絶してしまった。

 

今は俺はそれどころじゃない。

聞き逃せない情報が耳に入ってきた。

 

「じょ、上弦が出るんですか!?あの物凄く強い!?」

 

「そうだよ、その上弦。言ってなかったっけか?」

 

「はい!聞いてません!」

 

「そうか、んじゃ今言った。俺様が派手にその上弦をぶった斬って勝ち鬨上げるからお前らは派手に盛り上げろ。」

 

「(ノリが軽いっ!?)よ、余裕があるんですね…俺は正直自信がありません…」

 

 

流石に立て続けに上弦の鬼と相対することになるとは思っても見なかったものだから驚いたのと同時に、上弦の参の事を思い出して身震いする。

 

この嫌な寒気はよく知ってる。恐怖だ。

俺は今、臆病風に吹かれて縮こまっている。

当然だ。直近で柱の煉獄さんがやられた所を目の当たりにしている。自分が戦えば善戦すら出来なかったであろう相手が迫っているのだから。

 

 

「あん?なんだ怖ぇのか?お前、確か上弦の参相手に生き残ったんだろ?それが戦って生き延びたのか、それとも逃げ延びたのか、はたまた逃がされたのかは知らねぇが、胸を張れ。結果は同じだ。桃晴と同じ事やってのけてんだよ、お前ら。」

 

 

普通の事を言っている、という感じでそう告げる宇髄さん。

 

今のは励ましてくれたんだろうか?

 

…そうだった。煉獄さんも俺達に胸を張れって言ってくれた!俺達はあの人の背中に憧れて強くなるって決めたんだ!

 

 

「…はい!」

 

俺は改めて自信に満ちた返事をした。

今は凄く晴れやかな気持ちだ。

 

 

 

「それとアイツに出来て先輩たる俺様が地味に出来ねぇ訳がねぇ!ハーーッハッハァ!」

 

キランと額当てを輝かせて高らかに笑う宇髄さん。煉獄さんもそうだったが、柱の人達って皆キャラが濃いんだろうか…

 

ふと後ろに目をやると、こういう時にいつもヤンチャな伊之助が静かだった。

 

「……」

 

「…伊之助?」

 

俯いて震えている。

やっぱり伊之助でも流石に上弦は怖いのかな。

 

だが伊之助は震えを止めると両手を高く突き上げて興奮した様に吠え始めた。

 

「よっしゃーーー!!上弦!強ぇ鬼!倒したら桃丸より強いってことだよな!?掛かってこいやーーー!!」

 

良かった、いつもの伊之助だ。

 

 

「良い啖呵だ、派手に気に入った。特別にお前を鉄砲玉として一番槍に任命してやる。派手に散ってこい!」

 

「オレはてっぽうだまじゃねー!!伊之助様だーーー!!」

 

 

ここに至るまでの道中同様、わーわーとまたしても盛り上がってきた俺達四人(うち一人気絶)。

この後善逸が目を覚ましてより五月蠅くなるのだがそれはまた今度。

 

 

 

激戦となる予感が頰を撫でる。

冷たい死が迫るとは思えない程、

妙に暖かい風だった。

 




異聞大正こそこそ小噺

やぁ皆、作者のてーけー。だよ。今作は僕の初投稿となるから忌憚のない意見も罵詈雑言もウェルカムだよ。勿論進捗には影響するよ。やっぱり感想や評価って嬉しいよね。だから遠慮なく送ってきて欲しいな。

それで原作キャラはいつ出てくるの?

この作品は後に出てくるオリジナルキャラクター劔桃晴君が主人公として活躍する二次小説だよ。桃晴君以外のオリジナルキャラクターが出てきたり、原作である鬼滅の刃以外の他作品から設定を引用したりする場合もあるから、この作品を見るか見ないかは自分で線引きして決めて欲しいな。

それで原作キャラはいつ出てくるの?

本編で語られなかったストーリーやら設定などは後書きに小出しにしていこうかなって思ってるから読む人は読んでくれるとうれしいな。

それで原作キャラはいつ出てくるの?

因みに「この書き方ウザい」とか「いいからちゃんと書けや」とか中傷されてもこの後書きの仕方はやめないよ。これが一番書きやすいからね。ごめんね。

それで原作キャラはいつ出てくるの?

何度も言うようだけど、作者はドMだから誹謗中傷でも罵詈雑言でもウェルカムだよ。送ってくるってことはファンなのさ…僕のね。取り敢えず暇な人は読んでいってね。それじゃあ次回で会おう!


最後に主人公のプロフィール載っけときます


劍桃晴(つるぎももはる)

22歳183cm 72kg (柱合会議編時点)
7月30日生まれ 獅子座 A型

好きな食べ物は特に無い。
苦手な食べ物も特に無い。

好きなことは子供の遊び相手。
嫌いなことは子供が飢えること。

悪鬼には容赦無し待った無し加減無し。
年上の美人に弱い。
年下や子供にはとことん甘い。

柱としては悲鳴嶼の次に古株。
宇髄と同期でよく喧嘩してる。

剣柱(けんばしら)
剣(つるぎ)の呼吸を使う。

鬼殺隊最強と名高い隊士。
歴代の鬼殺隊の鬼との交戦記録を次々と塗り替えた猛者。炭治郎と初めて会話した時点では3回上弦と交戦して生き残っている。

日輪刀の色は玄(赤黒)色
本差と脇差の2本持ちで、別にある鬼を狩る為に用意した日輪刀を持っている。
その刀の全長およそ8尺(当時約2m40cm)。
持ち手にまで刃先が繋がっていて、鍔はなく、峰がそのまま持ち手になっている。
鉄地河原鉄珍作。
とにかく頑丈で重い。
街中に持ち運べない事には渡されて実際に使ってから気付いた。



次回「進捗が遅い!」パチーン
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