最終選別を経て晴れて鬼殺隊に入隊した俺は"癸"と書かれた右の掌を満足げに見た。
それから左手に視線を下げ、届いた日輪刀がしっかり布に包まれ隠されていることを確認し、顔を上げて自分に遣わされた
「待ちなさい。」
「ぐえっ」
ぐいっと急に襟首を掴まれたせいで、慣性の法則に従い俺の首が
「げほっげほっ…んだよ師匠、人が折角気持ち良く任務に赴こうってのに出鼻くじきやがって。心配なら要らねーよ、明日までには無事に任務こなして帰ってくるっての。いい加減弟子離れしろよ。
なぁ、
「ポー、桃晴、バカ、桃晴、南東ニムカエ、南東ニムカエ、クルッポー」
「今馬鹿って言った?」
"
「…はぁ、全く。貴方はせっかちですね。
「んなこと言ってたか?」
「…今からでも最終選別を不合格にするだけの権力が
「本当にすみませんでした」
「…浮き足立つ気持ちも分かりますが、そんな事では本当に危ないんですからね。初任務での殉職率は再三言って聞かせたでしょう。」
「…わかってるよ、…ただ東京なんて都会の街に出掛けたことが無かったから興奮してただけだ。」
「分かっているならよろしい。…さて、引き留めた理由は先も言った通り継子の貴方には普通の任務は与えられないからです。」
継子とは即ち柱の直弟子。いずれ柱になる才能を認められた人間だけが持つ称号の様なもの。いわゆるコネ。
継子になれば
いや待て、
「はいその通り。やっと思い出しましたか。貴方は
「はぁあああ!?」
「あ、でも当然これからは手伝ってもらいますよ。隠との連携から鬼の捜査方法、一般人の被害を最小限に抑える為の配慮等はその場でレクチャーしていきますので身体で覚えてください。あとは、…鬼狩りも。」
「な、なんだ実質合同任務と同じか…また着いてくだけで何もするなって言われるかと思ったぜ。」
「それでは本当にただのコネじゃないですか。あと明らかに癸の隊士が赴く任務の内容じゃないでしょう、コレ。初見で気付きなさい、全く。」
確かにまあ初任務にしては…って感じではあったが。
『現在東京府内街近くの商人街で強盗目的と思われる連続殺人が起きている。犯人は捕っていない。凶器は見つかっておらず、単独犯か複数犯かもわかっていない。現在の被害件数は40件を超え、被害者の自宅は全件荒らされ金品は全て持ち去られた模様。
これが世間に公表された内容。
新聞の一面に記されたものだ。
鬼殺隊に流れてきた情報はこうだ。
『
「ここ数週間で40件の被害を出し、挙句遺体一つ見つかっていないなど異常です。それに隊士も何人か行方不明…間違いなく下弦並みの鬼かそれ以上が居ます。心して掛かって下さい。」
「…ああ、分かった。」
確かに普通の事件ではない。死体の処理をこれまで一度も人に見つからずにやり過ごすなどどう考えても無理がある。何より、二度も向かわせた鬼殺隊員が
「なぁ、鎹鴉は一匹も報告に帰って来なかったのか?
「ええ、
互いに考察を交わしながら道中を進むことにした。
今はまだ日が登ったばかり。
耀く太陽が俺達の背中を照らす。
まだ肌寒く感じるこの時間帯にも関わらず暖かさを覚える陽光は、二人の長い陰を写す。
俺達は陰の射す方向へ、この奇怪な事件の手掛かりを探るべく旅立つのだった。
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「それにしても、桃晴の日輪刀の色は不思議な色合いでしたね。」
道すがら、暇潰しに隣りの上司が話しかけて来た。
「
「特にどの呼吸が得手不得手ってのは無いはずなんだがな。個人的には風の呼吸が一番使いやすい。風刃でリーチを
「分からないものですねぇ。私が初めて日輪刀を手にした時には素直に今と同じ山吹色になったものですが。…あ、捻くれているからこの様な…」
「…一言多いんだよあんたは…」
本日は晴天、日差しが眩しい午後の太陽。
山柱の巌山峠岬とお付きの俺は二人して街の入り口に立つ。来た理由は当然鬼の居場所を探る情報収集だ。
東京近郊の街だけあって人通りが多い。隣りにいる山柱は任務で此方の方に赴いた事があるようで、俺にいつもよりは賑わいがない方だと教えてくれた。
それにしてもこの街についてからというもの、なんだか妙な違和感がある。
こう、喉の骨に引っかかって出てこないが、とにかく違和感があるのだ。それが何か今のところは自分にも分からないが。
隣にいる柱にはそんなものないのか、スッと街へ入って行くもので、俺は一旦それを忘れて山柱に遅れじとついて行く。
「まずは街の人に話を聞きます。これだけ人の多い通りですから手分けして噂などを聞いてまわりましょう。集合場所はここで、時間は日が落ちる前までには。いいですか?」
「了解。」
「迷ったら街の人に訊けば教えてくれますからね。分かりましたか?」
「幾つだと思ってんだ…」
「ふふっ、冗談です。ではまたここで。」
「ほいよ」
それだけ言って俺達は別れた。
さて、俺はコソコソと噂を集めに行くかね。聞いたってガキ相手に真面目に答える奴の方が少ないだろうからな。
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「遅いですね…」
日が傾き、日没まであと1時間程。
軽い情報収集にしてはそれなりに時間が経っている。
桃晴は明らかにこういった細々とした役割よりも実践、つまり鬼狩りに精を出すタイプ。情報収集なんて早々に切り上げてここでサボっていると思ったので早めに来たものの、アテが外れてしまった。
一体今頃何処に居るのだろう。まさか本当に迷ったのか?などと考えていると、おーい、と声が聴こえた。桃晴だ。
「遅いですよ桃晴、待ちぼうけをくらいました」(モグモク
「モグモクじゃねーよ、何してんだあんた!情報収集は!?」
「当然してきました。十分に終わったからここに居るのです。」(ズズー
「クソ、真面目に情報収集してきた俺が馬鹿みたいじゃねーか。おい、お茶飲むのやめろ。情報共有するぞ。」
「そう急ぐ必要はありません。鬼は日没までは出てきませんし、何より…
貴方も私の弟子なら当然分かっていますよね。という風に俺を横目に見る。
「そうだな。
鬼は間違いなく
つまり俺達はここで巡回に来た奴を調べればいい。」
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「一応、そこに至るまでの経緯を説明しておきましょう。」
日没までまだ少しだけ時間があるので、と言って山柱巌山峠岬は答え合わせを行う。
まず犯人を絞り込む要素として、死体の処理です。夜にしか鬼は出ないからといって、これまで誰にも見つからないというのはおかしな話です。
故に見つからなかったのではなく、
得られた情報では、殺人現場は全て夜に見つかっていました。であれば第一発見者は誰だったのか…警邏隊です。警邏隊の誰かが巡回中にそれらを全て発見していました。
確かに、発見が全て警邏隊だったとしたら、夜に殺害が発覚するのはおかしくありませんね。
恐らく鬼は擬態が上手い鬼なのでしょう。顔を別の警邏隊の一人に変えて、同じ人物が同じタイミングで発見したのでは無い様に見せかける工夫もしています。簡単なトリックに見えて意外性のある事件です。何も分からず鬼殺隊員がやられてしまう例として、あり得ない訳ではありません。
どうでしょう、推理小説っぽかったですか?などとおどけてみせる山柱に俺は突っ込みを入れることにする。あんたの推理はガバガバだと。
人が良いにも程がある。そんなお人好しだからもう一つの大事な要素に辿り着かないんだ。
「あんたなぁ、…忘れてる事があるぞ。それも二つ。一つはその推理じゃ鬼は一匹だとは判明しない事。もう一つは…」
そこまで言った所で急に陽が無くなった。雲に隠れたのだ。この時間にあの大きな雲じゃあこのまま夜が来る。
それには二人とも考え至っていたので、既に戦闘を開始出来るよう準備を整えた。
俺は鞘に左手を添えていつでも抜刀出来る様に。
隣りの上司は右手を背中の十文字槍へ。
既に隠れ蓑は取ってある。戦いには邪魔だ。
辺りはヒューと風が吹いている。いつの間にか人通りは無くなっていて、そこには俺達だけがポツンと残されていた。
まもなく夜が来る。
巡回に来たと思われる警邏隊が、俺達に話しかけて来た。
異聞大正こそこそ小噺
さて、初任務だね、継子の立ち位置が正確なのかどうかは分からないけど、今作品では柱に付随して任務に遂行することにしているよ。鎹鳩の旭丸も長い付き合いになりそうだね。そう言えば鳩は平和の象徴って聞いたことはないかい?平和を愛する桃晴君にはピッタリだね()。
へ〜それでfgoやら空の境界やらBLEACHやらの要素はいつになったら出てくるの?
そんなことよりサラッと出てきたけど桃晴君の日輪刀は玄(赤黒)色だよ。fgoで両儀式のスキル"直死の魔眼"がそんな色だったからそうしたよ。単純だね。
へ〜それでfgoやら空の境界やらBLEACHやらの要素はいつになったら出てくるの?
次回
「ダメ、ゼッタイ。」