異聞大正怪異譚   作:てーけー。

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オリジナル下弦は便利、という話。


悪欲五色〜下〜

「こんばんは、お二方。この街では見ない方ですね。近頃は物騒ですから、夜間の外出はお控え下さい。」

 

 

人当たりの良い顔で笑みを浮かべて俺達にそう促す人間に擬態した鬼へ、巌山峠岬が切り返す。

 

 

「御託は結構、正体を現しなさい。貴方が鬼である事は見抜いています。」

 

 

 

「…鬼殺隊は優秀な人間がオオイなぁ。」

 

 

この展開を読んでいたという風にニタリと口角を上げて嗤う警邏隊の男。

男の左眼には下弦、右眼には参の文字。

 

 

「下弦!…来ますよ、桃晴!」

 

「…来い、殺してやるッ!」

 

「そう焦らず。自己紹介でもドウです?僕は下弦の参、鐚梵天(びたぼんてん)というモノです。お見知りオキを。…君達が喰われるまでの、ほんの僅かな時間デスがね。」

 

 

余程の自信があるのか、余裕の笑みを浮かべたまま立ちつくす下弦の参鐚梵天に、取り合うつもりはないと俺は突貫する。

 

 

「死晒せ」

 

 

風の呼吸壱の型 塵旋風・削ぎ

 

 

真横へ吹く嵐が如き剛風を纏いながらの突進。地面を削りながら突っ込んで来る俺を、鐚梵天とやらはひらりと躱す。

 

 

「おおっと、…危ナイ危ナイ、僕は直接戦闘は苦手でシテ。…争いなんて辞めまセンかぁ?不毛デスよ。ククク…」

 

「貴方が人を喰わないというなら考えましょう。…あと桃晴、考えなしに突っ込み過ぎです。相手は下弦ですよ。……桃晴?」

 

「………」

 

 

「ククククク…効いてきまシタかねぇ。」

 

「…ぐ、ぅううううあああああ!!」

 

「桃晴!…何をしたのです!」

 

「嫌デスねぇ、僕は何もしてまセンよぉ。ただ少し背中を押してアゲタだけ。僕の血鬼術 獣欲覚醒は既に辺りに充満していマスよ?その者の内なる欲望を開花サセる。僕に近づくだけてこの有様なのデス。その身で触れればどうなるか、見たいデスかぁ?見たいデスよねぇ?ククククク」

 

 

「(精神攻撃の血鬼術!?不味い、この子には効きすぎる!)」

 

 

山の呼吸漆の型 天落の波濤(てんらくのはとう)

 

 

岬は空中で槍を回した後、両手でしっかりと柄を握り込むとその(きっさき)を地面へと叩きつけた。

 

固い地面がめり込む程力強く突き刺さった衝撃が、地を伝って辺り一面を震わせる。

 

咄嗟に鐚梵展は空中に逃れ事なきを得たが、何らかの精神攻撃を受けたと思われ頭を抑えて唸る桃晴は、伝って来た振動の波によって強く弾き飛ばされる。

 

桃晴はそのまま地面を数回跳ねた後、意識を失ったのか地に伏せたまま動かなくなった。

 

「(意識を刈り取れましたか。…危なかった)…嫌らしい術を使いますね。此処に来た鬼殺隊員にも同じ事を?」

 

「ククク…ええ、そうデス。無様に惨たらしく殺し合ってくれマシタ。どうです僕の血鬼術、素晴らしいでショウ?」

 

両手を宙に掲げて恍惚の表情を浮かべる鐚梵天。

 

「ジワジワと少しずつ使えば人を操り人形にも出来るんデスよ。僕を殺しにきたバカにはいきなり致死量を与えてその身に宿る欲望という欲望を爆発させてやっていマス。」

 

例えば食欲など極限まで刺激してやれば人が人を襲って食うなんて地獄絵図を展開するんデスよ。

 

などと得意げに自身の血鬼術を自慢する鐚梵天。

 

「僕はお前達がどんな醜い欲望をその身に宿してのか観察するのが大好きなンダ!クククククク!」

 

 

「…外道ですか。いいでしょう。貴方には地獄へ堕ちてもらいます。」

 

「出来ませんよ」

 

「それはどうでしょう、っね!」

 

 

山の呼吸壱の型 剛衝方天戟(ごうしょうほうてんげき)

 

 

岬は空中へ飛び上がり長く持った十文字槍をその勢いのまま鐚梵天の頭へ振り下ろす。

 

ドカッと激しい音と共に地面に大穴が空く。

 

鐚梵天は一撃で頭からまともにこれをくらい、押し潰されてしまった。

 

岬は土煙を上げる足元に鬼の死体を確認しようと槍を引き抜いた所で、背後の声に驚嘆する。

 

 

『…呆気ない、と思いましたね?』

 

「!?…幻覚ですか!」

 

「正解!言いましたヨォ、辺りに僕の血鬼術が充満シテイルと!もう貴方も既に僕の血鬼術の術中!本当の位置は分からナイ!さぁ、踊り狂って下サイ!地に頭を擦り付けて懇願すれば痛みも消してあゲボァ!?」

 

 

鐚梵天の声がする方へ頭を向けていた岬はすぐ後ろでまたしても声が聞こえ、其方を向くと、

 

顎から上の無くなった鬼がつっ立っていて、その足元に失った顔面の上部が転がっているのを目にした。

 

 

「…もも、はる…?」

 

自分には何処に居るのかも判別出来なかった鬼を正確に斬ったのは自身の弟子桃晴だった。

 

やがて鐚梵天は綺麗に刈り取られた顎と同じく身体を隅々までバラバラに切り刻まれ、以降一言も発さずに砂へと消えて行った。

 

その斬撃の速度たるや目で追う事能わず。ましてや、つい先程まで10メートル先で伏していた筈だというのに。

 

「…」

 

 

嫌な気配と共に鬼は霧散した。

どうやら血鬼術も解けたらしく、自分たちの周りに数人の人が居るのに初めて気付いた。幻覚によって分からなくされていたのか。

 

 

まずは桃晴の安全を確かめないと。

 

「桃晴、今のは一体…」

 

安否を確かめようとしてつい気になった先程の目にも止まらぬ斬撃の事を聞こうとし、弟子の肩に触れた瞬間ゾッとした。

 

 

 

真冬の石に触れた様に冷たく、硬くなっていた。

 

 

 

「桃晴!?桃晴!これは一体!?」

 

 

 

「お、おいアンタら…鐚梵天様を殺したのか?」

 

幻覚が解けた事で存在が明らかになった数人の人間の中の一人が、岬に声を掛けてきた。…鐚梵天、()

 

 

「…え、ええ、もう大丈夫です。関係者の方々でしょうか?私は鬼殺隊という組織に属する者。鬼は先程消滅しました。もう安全ですよ。」

 

触れたままの桃晴の身体に体温が戻ってきている事を確認しつつ、周囲の人々に事情を説明する。

どうやら桃晴は無事の様だ。先から一言も話さないのが少し気になるが。

 

 

いつの間にかいたその町民達数名を代表して、成人男性が一人、前へ出て来て衝撃の一言を放つ。

 

 

 

 

「…なんて事してくれたんだアンタら…チクショウ!鐚梵天様の仇だァ!!」

 

 

 

そう言うと全員、背中に隠した包丁をかざして我々に襲いかかってきた。

 

 

「なっ!?やめなさい貴方達!?…まさか血鬼術が解けていないのですか!?」

 

必死に十文字槍で振りかざされる刃物を払い凌ぐ岬。どうやら奴の血鬼術は麻薬と同じ、使えば使う程依存性が増していくタイプの血鬼術だった。そういえば奴も「人を操り人形に出来る」とも言っていた。

 

この人達はあの血鬼術を使用されて、依存症を発症させた者達だ。

 

「くっ、落ち着きなさいっ!!」

 

 

山の呼吸弐の型 重芯(じゅうしん)振り子・円山(まどかやま)

 

 

襲いかかる刃物を持った人々を円を描く様に薙いで、まとめて槍の腹で吹き飛ばす。

鬼に加担する者を知らない訳ではない。

だが、自身の意志で加担する者は時に此方に被害を与えてくるケースがあり、尚のことタチが悪い。

 

柱になるまで鬼殺を続けていれば、そういう人達が居る事を知る機会があるかも知れないが、少なくとも今自分の隣にいる桃晴(この子)が知るには時期が早過ぎる。

 

 

 

「このガキも鬼殺隊だっ、殺せぇ!!」

 

「桃晴っ!!」

 

「…」

 

槍で払い除けた先から雪崩れ込む様に狂った民衆が襲いかかる。

流石に数が多く、柱といえど数十人をまとめて相手には出来ない。

民間人を斬る訳にはいかず、加減するには数の理が勝る。

払い損ねた数人が自分の後ろで立ち尽くす桃晴へ襲い掛かる。

 

 

 

 

その安否を確認しようと岬が振り返る先に、

桃晴はもう居らず。

 

 

 

一瞬、瞬きをした後には辺りは血の海だった

 

 

 

 




異聞大正こそこそ小噺

今回下弦の参、鐚梵天が使った血鬼術「獣欲覚醒」は自身の血の匂いを嗅いだ者の欲望を増減させる血鬼術だよ。食欲を極限まで増幅させれば人間が人間を見境なく襲って食べる所まで飢えさせる事が出来るんだ!

へ〜それでfgoやら空の境界やらBLEACHやらの要素はいつになったら出てくるの?

この鬼は頭の回る鬼だから、警邏隊の人間に化けたり、街の人間を喰わずに血鬼術で依存させて共犯者(操り人形)にして隠れ蓑にしていたんだ。

へ〜それでfgoやら空の境界やらBLEACHやらの要素はいつになったら出てくるの?

素の戦闘能力は雑魚そのもので血鬼術も鬼には効かないから下弦止まりだったけど、無惨様には名前を覚えて貰えるレベルには気に入られていて、実は彼には自分の食欲を増幅させる事で暴走状態にして戦闘能力を高める(但し暫く理性が無くなる)、という奥の手を持ってるよ。

へ〜それでfgoやら空の境界やらBLEACHやらの要素はいつになったら出てくるの?

次回
「劔は考えぬ刃であれ」
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