私たちは誰ひとり、
救いに出会うことはない。』
信じたくない光景だった。
コレを自分の弟子がやった事だとは思いたくなかった。
この子は優しい子だから。
「…桃晴、どうして殺したのですか。」
「あんたが斬ろうとしないから
俺が代わりに殺っただけだ」
「私は斬れとは言っていません。」
「あんたコイツらが改心するとか思ったろ。
そういうのは無駄だから斬った。
…それだけだ」
「桃晴、鬼殺隊の本分を理解していますか」
静かに怒気を向ける師に、俺は答える。
「鬼を殺し、民を護る。だろ」
「今貴方は民を護りましたか。」
「護ったよ。
コイツらが次に出す被害から」
今回の事件の全貌。
つまりは民間人に鬼の共犯者が居たのだ。
いかに巡回する警邏隊といえど毎度毎度、40件も夜の犯行となれば警邏隊の警備を疑わしく思う輩も出てくる。そういう噂をかき消すのに一役買って出ていたのだろう。
鬼殺隊の二組がやられたのも恐らくコイツらの裏切りだ。俺は師匠と違って
新聞の記事に金品の強盗が含まれていたのもコイツらが喰われた人の家を漁ったからだ。
誰かを犠牲にして得る快楽を覚えた者は、簡単に豹変する。
元が善良だったかは関係がない。
何より俺から言わせれば、誰かを食い物にする人間と鬼の何が違うのかわからない。
「っ!!まだ罪を犯したと決まっていないでしょう!私は怪しきは罰せなどとは教えていません!
なのに何故殺したのです!」
「同じ事をするからだ。コイツらは次も鬼に協力するよ。」
「どうしてそう言い切れるのですか」
「するさ、必ず。もう味を占めちまった。次も自分の快楽の為に誰かを犠牲にする。
コイツらはやるよ、また同じ事を。
今度はもっと知恵をつけて狡猾になる。
本当にまだ更正の余地はあったか?山柱」
「桃晴…」
長い時間が掛かるかもしれないけれど、共に歩んであげれば、いつかその日が。
そう言おうとした所で、私は桃晴の気配が復讐に燃えていた頃に感じたものに近づいているのが分かり、とっさに言い返す事が出来なかった。
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その後の事は端的に言えば、揉み消した。
鬼殺隊の本分は殺人では無く鬼殺だ。
鬼殺隊は鬼を殺す事が本分なので、血鬼術どころか鬼の存在を一般には知られない以上、如何なる理由があっても人を殺す事を許されてはいない。
俺は緊急で救えない人間と判断して、そこに集まっていた全員を殺したが、柱の命令でもなし、それは許されざる行為だった。
俺は継子の称号を剥奪され(幸いにも鬼殺隊を除籍にはならなかったが)、逃げる様に産屋敷の家から出て行った。
山柱巌山峠岬とは以来会っておらず、お館様である耀哉の呼び出しも無視して藤の家を転々としながら全国へ鬼殺の旅をしている。
「ポー…桃晴…大丈夫カ?クルッポー」
「大丈夫だよ、旭丸。この通り傷は癒えてから任務に出てるだろ?」
「ソウジャナイ…ポー」
旭丸は優しい奴だ。継子の件なら元よりそこまで気にしてない。柱になるのに絶対に必要な称号でも無いしな。
耀哉との約束は果たす手柄はもう充分かも知れないが、いかんせん鬼は今も何処かに居る。西へ東へ走りは斬って回るからなかなか屋敷へ顔を出せないだけだ。もうちょっとだけ待っててくれ。
「さ、もうじき夜だ。今日も一狩り…いや、五狩り位しに行くぞ!旭丸、いつもみたいに鬼が多く出る方角を指定してくれ。」
「…クルッポー…北東、北東…」
現在の階級は乙。下弦はあの鐚梵天とやらを含めて6体倒している。新しい呼吸法も様になってきたことだし、そろそろ本格的に呼吸を乗り換えてもいいかもしれない。
北東といえばあの時の事件に近い位置になりそうだ。別に敬遠してた訳じゃ無いがなんだか少し気不味い。
いや、気にしても仕方がない。俺はあの人とは違う考えで鬼を斬るだけだ。そんな奴鬼殺隊の中にも沢山いる。
金の為、人の為、正義の為、己の為…
いかな理由であれ、悪を絶つことは悪じゃないと思うからこそ、…そうでなければ続けられない。
俺はマイナス思考になりがちな自分の頭を振って思考を切り替える。アレからもう一年は経つ。強くなった自分はもう誰かに教えを乞う立場じゃない。力なき者を守るために、この力を奮うのみだ。
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ある場所に、
上下左右無限に続く畳と木の廊下在り。
名は無限城。
鬼舞辻無惨の居城、
魑魅魍魎の巣食う城である。
城の主がまだ来ていないのをいいことに、頭から血を被ったかの様な優男が一体の鬼に話し掛ける。
「ねぇねぇ、
「そうなん。初めて聞いた名前やわぁ。」
「えぇ〜そうだっけ?オレがこないだ鬼にした元神父だよ。覚えてない?面白い血鬼術を使う鬼でさ、下弦の参まで上り詰めたのに…勿体ないなぁ。あの御方も気に入ってただけにお怒りだ。」
「ふぅん、ウチ、興味の無い事にはとんと覚えが悪いさかい、堪忍な?」
「奈落様が謝る事じゃないさ!
クスクスと扇に口元を隠して笑う童磨。
口で言った事とは真逆の余裕が見える。
「…へぇ、碧色の目玉ねぇ。」
ニタリと破顔う少女の鬼。その美貌には年相応には見えない妖艶さがある。
「…おや、珍しいなぁ、興味がお在りで?」
「…ふふっ、どおやろねぇ。」
べべんっ
突如として琵琶の音色が響く。
童磨は音の鳴る方に黙って膝をつき、首を垂れる。奈落は何もせず、手に持つ酒を煽って城の主を迎えた。
やってきたハイカラな格好の男は、目線を奈落へ向けると少々以外そうに口を開いた。
「…お前が来るのは珍しいな、
「ちゃうよ?ウチらは互いの邪魔はせんて約束やろ?せやから、ウチから干渉も協力もせんよ。」
「…ふん、まぁいい。お前には元より期待していない。私の邪魔をしなければそれでいい。好きにしろ。」
それだけ言うと無惨は集まった上弦の鬼達に向き直り、見下ろしながら言葉を告げる。
「鐚梵天が死んでいた。
顔に青筋を浮かべ、心底苛ついている様子で告げる無惨。
「その件やけど」
とそこへ、先程挨拶を交わした奈落童子から声を掛けられる。
「その
ニコッと小首を傾げて笑みを浮かべる。
「…なんだと?」
瞬間、ゴゴゴゴゴゴゴと地鳴りが響く。
「私の邪魔はしない契約だった筈だ」
「ウチの邪魔もせん約束やで?」
更に二人の圧力は増したいく。
ミシミシと
暫く二人の睨み合いが場を包む。
先に目線を切ったのは無惨だった。
「…私は確かに告げたぞ。」
部下達に最後に圧をかけると
鳴目、と一言告げて琵琶の音と共に去って行った。
「…相変わらずつまらん男やねぇ」
奈落童子が大きな漆の杯を呷る。
童磨は漸く頭を上げると海から陸へ上がった様に息を吐く。
「ぷはぁ。もう、相変わらずはオレ達の方だよ奈落様。あの御方と喧嘩するのはやめて欲しいなぁ。キツイんだよ?アレ」
キョロキョロと周りを見ると、既に同僚たる他の上弦達は居なくなっていた。
「なんやの童磨。ウチより無惨に着くん?つれへんわぁ。」
ケラケラと笑いながら話す姿は呑兵衛そのものだが、その姿でさえ侮れない恐ろしさが少女から漂う。
「そうゆうのもやめてほしいなぁ。オレ達があの御方に逆らえないの知ってるでしょ?っていうか、知ってたんじゃないか。碧色の瞳の子のこと。」
「いや?今知ったで。気になったから見てみたくなったんよ。」
「…へぇ、奈落様好みの美男子だといいね」
「そやねぇ、ふふ」
陽の光が届かぬ悪鬼の巣窟。
そこには嗤う鬼が二匹居た。
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藤の家は鬼殺隊の後援者の家系であり、その紋所である藤の花が描かれた家紋と暖簾は鮮やかな紫色が映える。
代々産屋敷家がその無限の財力で資金援助を行って来ただけに、裕福な家系が多く、その援助先は何らかの商店などを営業し、つまりは人の為に働く者達が集まっている。産屋敷の人徳が為せるものと言えよう。
ここはその藤の家の一つであり、鬼殺隊隊士が怪我や病気を負った時のために訪れる某所。普段は宿屋を営み、有事の際には貸し切りにして隊士が湯治に赴く銭湯でもある。
「……。」
ゴクリ、と喉を鳴らして緊張する二十歳程の美女が一人。
現役の山柱、巌山峠岬は今まで任務で何度も訪れては1ファンとなり、休みの日にはいつも利用するこの場所を前に、未だかつてない焦燥に駆られていた。
「(…今日は明け方、この場所を桃晴が宿とする情報はお館様より仰せつかっています。気まずいですが、勇気を出すのです岬!)」
今日ここに来たのは他でもない、
桃晴と会って話をする為。
あれ以降一度も会わず、継子を破門にした自身から会おうと決心したのは、
お館様が気を遣って今まで偶然任務でかち合わない様に根回しをしてくれていたが、最近になって漸く会う決意を決めたのだ。
「(…桃晴は私に会いたくないかも知れませんが、柱となる身としてお互いにケジメをつけましょう。そして出来れば以前の様な関係に戻りたい…)」
ふぅと一息ついてリラックス。
巌山峠岬は桃晴がもう居るであろう宿屋の暖簾をくぐった。
「いらっしゃいませ。」
「今晩は、おば様。山柱の巌山峠岬です。お変わりない様で何よりです。」
「岬様、此方こそ。また随分美人になられて。」
「…もう、おば様ったらいつもそれなんですから。4日前に来たばかりじゃないですか。」
いつも言われてしまうがいつ言われても照れてしまう。このおば様には叶わない。
「ほほほ、いいじゃありませんか。ささ、奥へ。お話はお館様より伺っております。桃晴様は今は湯浴みへ行っております。今夜は貸し切りで御座いますよ。」
「そうですか。では、桃晴が湯から上がったら私の部屋へ案内してくれますか?私はそちらで待たせて頂きますね。」
「…あら、それはいけませんわ。」
「…え?」
意外な言葉が返ってきたので私は鳩が豆鉄砲をくらった様に目を点にする。この老獪なおば様が準備不足などする由もない。
…何故なのか?
「今宵は男女の逢瀬。ここは女を出して行くべきですよ、岬様。」
キッと真剣な表情に切り替わったおば様が、ここで一手と言わんばかりに提案してきた。
…はい?
「…ちっ、違います!今夜は別にそんな理由で来たのではなくっ!弟し…劔桃晴にお館様よりの伝言を伝えに来たのです!」
「…あらそうなの。聞いた話と違いますわねぇ。分かりました。ですが折角ですしご一緒入られては?久しぶりに会うのでしょう?元弟子という事も聞いています。いきなり向かい合っては貴方も話のネタに困りましょう。…ほほほ」
やっとお相手が見つかったのかと…
とか
既成事実を…
とか
あわよくば…
とか言っているこの老婆心が過ぎるおば様を道中必死で弁明する。
本当に違うと理解させることに苦心しながらも、一緒に風呂に入るという案は明日の営業の事を考えて承諾した。私に下心はないったらない。
巻き布すら付けず裸一貫となった私は風呂の入り口に立つ。扉一枚隔てた先には誰かの気配が。
私はまたしても意を改めて勢いよく扉を開けるのだった。
「一緒にお風呂に入りましょう、桃晴!」
ガラガラー
「何入って来てんのあんたー!」
キャーーー
異聞大正こそこそ小噺
やっとフラグが建った(何話目だよ)
漸く本編の前段階まで漕ぎつけたよ!
長い闘いだった…本当に。満足してエタらないよう努力しよう。ここまで設定上(プロット)では数行なのに何という蛇足、マジで反省してどうぞ。
いいからいつになったらfgoやら空の境界やらBLEACHやらの要素出てくんだよ。
童磨と強そうな鬼が出て来ましたね。という訳でオリキャラ、酒呑童子もとい奈落童子さんです。姿の描写とセリフで匂わせたけどちゃんと描けたかな?勘のいい読者は気付いてるかも知れないけど、巌山峠岬さんのイメージ像は頼光マッマだよ。あくまで姿とか声だけだけどね。
いいからいつになったらfgoやら空の境界やらBLEACHやらの要素出てくんだよ。
奈落童子さんの事だけど、中身は全然酒呑童子ちゃうやんけってなっても勘弁してね。そのまま引用するつもりは元よりないからね。
いいからいつになったらfgoやら空の境界やらBLEACHやらの要素出てくんだよ。
奈落童子さんは今作のラスボスに近い位置です。雑魚キャラでも当て馬にもなりません。つよつよです。設定上は上弦より強いです。無惨並みのチートなんで期待してて下さい。
いいからいつになったらfgoやら空の境界やらBLEACHやらの要素出てくんだよ。
次回
「おねショタ!?大好物です!」