きららファンタジア~ランプ攻略編(体験版)~ 作:匿名にしました。
主人公君を書いてみた感想
「なんやねんこの堅物。喋り方とかRPGに出てくるボスかよ」
「ここか、ランプ!」
俺は喫茶店───ラビットハウスのドアを大きな音が出るほど力を込めて開ける。
店には「いつものか」とでも言いたげの店員と、勢いよく入ってきた俺に視線を向ける数名の客。そして、俺の幼馴染みであり、探していた『ランプ』の姿があった。
「あっ」
彼女は何か言いたげだったが、冷や汗を流して俺と対峙するようにゆっくりと、正面に立つ。
この喫茶店の入り口は俺の後ろにあるこのドア一つだけだ、正確には店員用の裏口があるが、ランプは場所を知らないだろうから必然的に脱出場所はここに限られる。
「えっ、えっと……それでは!」
俺の間を通り抜けるように走り抜ける彼女を捕まえようとするが、ここに来るまでに走り回って体力が尽きていた俺はランプを捕まえることが出来ず、そのまま逃げられ───
「あだっ!」
──ることはなく、新たに入ってきた人物にぶつかり、ランプは尻餅を付いた。ぶつかった相手は壁のように一切よろめいたりすることはなく、ランプを見つめていた。
「ランプ」
ドタバタとしてた店内に、低い女性の声が響く。ランプの名を呼んだだけであるが、その声はどこか重く聞こえ、心なしか体が重く感じる。
「せ、先生……」
一メートルは離れている俺でさえこれなのだから、間近に、しかも名前を呼ばれたランプがどうしてるかは見えなかったが、声が震えてジリジリと後ろに下がっているところを見ると、その恐怖は俺と比べ物にならないだろう。
「早く来い。まだ覚えることは残ってるぞ」
「た、助け」
そう言うと、先生と呼ばれた女性はランプの首根っこを掴んで何処かへと連れていこうとする。ズルズルと引きずられるように、外へ連れ出されるランプは俺の方を見て助けを呼ぼうとする。
「…………」
俺はスッと目を逸らして見なかったことにした、ランプは絶望した顔を浮かべて女性に連行される。途中、欲しい本が買えてないやら、まだお茶をしたいやら聞こえたが、俺は何も聞かなかったことにした。
「む~」
女性の説教が終わり、ベンチに座ってる俺の隣にフラフラと歩きながら座ってきたランプ。その頬は風船のように膨らんでおり、指で押せば口から空気が溢れ出てきそうなほどである。
「機嫌を直してくれランプ」
彼女は何かしらの物真似をしているわけではなく、ラビットハウスで助けなかった俺に対しての不満や怒りを表していた。
「確かにアルシーヴ先生に連行されるのを見なかった振りをしたが、あれはランプも悪い」
女性、ランプの先生である『アルシーヴ先生』は怒るととても怖いのだ。生徒からは「怒ると誰も手を付けられない」や「最強先生おばさん」や「伝説の勇者や召還士よりも強いヤベー奴」と呼ばれている。ちなみに、おばさん呼ばわりした生徒は個室に連行されたと聞いた。
「確かに勉強をサボった私も悪いですけど……」
勉強をサボったりする彼女であるが、根はちゃんとしてるのだ。しかし、何処か納得がいかないのはまだ精神が成長してないからだろう。
どうすれば彼女の機嫌が良くなるか……そう考えてると、あることを思い付いた。
「ランプ」
彼女の名前を呼ぶと、少し怒った声で「何?」と聞いてきた。どうやら俺が思った以上に機嫌が悪いようだが、この言葉を聞けば多少は機嫌が直るだろう。
「君に何かプレゼントを買ってやる」
「いらっしゃい」
店に入ると、店員である『コルク』が挨拶をしてくる。俺とランプは「こんにちは」と返事を返すと、品物を見始めた。
ソラ様の人形に、クロモンの人形、幸運のお守りなど……ジャンルを問わず、様々な物が置いてあった。食べ物であるツンツーンまでも置いてあったのを見ると、少しばかり苦笑いが出たが。
「ランプ、何か欲しい物は……」
俺だけで選ぶのは難しいと判断したため、ランプに選んでもらうことにした。元々はランプにあげるために来たのだから、本人に聞いても問題はないだろう。
しかし本人から返事はなく、変わりにある一つの雑誌をキラキラとした目で見ていた。
「これか?」
ランプはそのキラキラとした目で此方を見るが、何処か申し訳なさそうに目を伏せた。
なぜだろうか。そう考えながらも、買おうとするとかなりの値段であることに気が付いた。5000Gか、俺の所持金ピッタリではあるが、買えないわけではない。
「そうだけど、この値段は」
「コルク、この本を頼む」
ランプの言葉を無視してコルクに話しかけるとコルクは頷き、俺は金を払い商品を受け取った。
俺はランプに買った商品を渡すと、驚いた顔をしてその場を跳び跳ねる。しかし、すぐ正気に戻ったようで顔を赤くして、プレゼントした本で顔を隠した。
「ほら、早く行きますよ!」
彼女に袖を引っ張られ、バランスを崩して転ばないようにして、店を出た。
「…………」
「…………」
転ばないことに集中していたせいで、ここまでどうやってきたか覚えてないが、恐らくは先程のベンチだろう。
彼女は顔を赤くしてモジモジしており、何か言おうと口をモゴモゴしているが、後一歩、勇気が出ないようで言い出せないようだ。
「ランプ」
「あ、あの……ごめんなさい!」
何に対してだろうか。幼馴染みである俺も流石に主語もない状態で何を言いたいのかは分からない。
一人で怒っていたことだろうか、かなり昔に家の花瓶を割ったのを俺のせいにしたことだろうか、それとも昨日俺が楽しみにしていた団子を食べたことだろうか。ランプが今までにしてきた悪事が多すぎて検討が付かない。
「何がだ」
「八つ当たりしてしまったことや、本を無理に買わせてしまったことや……色々です」
そんなことか。俺はため息を付いてランプを見る、その視線に気が付くと彼女はビクッと体を震わせた。怒られると思ったのだろうか。
「気にしてない」
俺からすればランプは「妹」のような存在である。ワガママを言って、八つ当たりをして、それを受け止めるのが「兄」としての役割だと思ってる。最も、仮に俺が「兄妹」だと思ってなくても、彼女を許しただろう。
自分でも不思議に感じるが、それは自分にとって、彼女は無くてはならない存在だと感じるからだろう。
「うぅ~」
自分がしてきたことが恥ずかしくなったようで、俺の胸に顔を埋めてきた。俺は彼女を落ち着かせるように背中をゆっくりと擦る。どことなく速くなっている鼓動に疑問を抱きながら、彼女が落ち着くのを待った。
「キャンプに行きましょう!」
翌日、どうやら昨日の気持ちはスッカリと晴れたようで、今ではアウトドアを自らするほどである。
その行動力を少しは勉強に生かして欲しいんだが……そう思いながらも、グッと押し込む。
「準備や場所は大丈夫なのか」
「大丈夫です、問題ないです!」
不安だ。俺以外でも不安になるであろう言葉であるが、万が一の時は俺がしっかりとすれば問題ないだろう。念のためコルクの店に寄っていきたかったが、ランプが急かすのでテントやらの最低限の物だけしか持てずに、森へと来てしまった。
どうにか何もなく終わりますように、そう願いながらテントを立て始めた。
「えっ、えっとペスはこうやって打って……痛ッ!」
「貸せ、見てて危なっかしい」
どうやら俺の不安は的中したようで、ランプは上手くテントを立てられなかった。俺もキャンプはあまりしたことはないが、友人によく一人でキャンプをしている奴がいて助かった。その友人からキャンプのやり方を聞いていなければ、俺もテントを立てられなかっただろう。
「出来たぞ。それと、近くの池で指を冷ましてこい」
念のためにテントを立てる場所の周りを見ていて正解であった、指を口に入れるよりかは水で冷やした方が良いだろう。本来なら氷などを持ってきたかったのだが、急いでたので忘れてしまった。
「疲れた……」
やり方を知っていたとは言え、慣れないことは疲れるものだ。ランプが戻ってくるまで少しばかり時間がかかる。立てたばかりのテントで休むとしよう。
横になるだけ、横になるだけ。そう考えていく内に俺の視界は暗くなっていき───
「きゃー!」
「!?」
森に響くランプも悲鳴で目を覚ました。
急いでテントを出ると、先程まで日の光りが入ってきて眩しかった森は、一切の光りを許さないほどの暗さになっていた。
しまった、ついつい寝過ぎてしまった。それよりも、ランプは何処だろうか。テントから灯りを引っ張り出して、周りを見るが姿が見えない。
「ランプ……!」
里に戻って助けを呼ぶことも考えたが、この森に戻るまでにランプに何かあってからじゃ遅い。なら俺一人で助けにいくしかない。
「待ってろよ」
悲鳴が聞こえた方向に全力で走り始める。
息が切れ、葉っぱや枝が引っ掛かり切り傷が出来るが、そんなものは数日もすれば治る。いつもの追い駆けっこで、体力には自身がある方だが焦っているのだろうか。息が切れるのが早く感じる。
早く、早くしないと……そう焦るが、落ち着かなければ何も解決しない。
すると、俺の右側からガサガサと草むらを揺らす音が聞こえた。
「ランプか!」
もしかしたら魔物の可能性もあるが、1%でも彼女である可能性があるため、俺は迷わず草むらに突っ込んだ。
するとその予感は当たり、魔物にジリジリと詰め寄られている彼女の姿を見つけた。
「うおおおおおお!」
俺は魔物に向かって体当たりをして、ランプから魔物を遠ざけた。しかし、俺程度の力では魔物を倒すことは出来ない。
「今だ、逃げるぞランプ」
倒せはしないが、怯ませることは出来る。今の内だと思い、ランプの手を引っ張り魔物から逃げようとする。
が、考えていたより早く魔物は起き上がり、此方に向かって体当たりをしてきた。
「危ない!」
不意の攻撃でかわせないと判断した俺は、彼女を庇うように魔物の攻撃を背中で受け、ランプと一緒に地面に転がった。
「……ッ……!」
ランプが俺を揺さぶって何かを喋ってるが、背中に受けた痛みで意識を保つことが出来ない。
俺はランプに怪我がホッとすると、その意識を暗闇へと落とした。
「ここ、は……」
閉じている目から入ってくる小さな光りに気付き、目を隠しながら状況を理解しようとする。
えっと、ランプとキャンプに行って、魔物に会って、ランプを助けて……そこまで考えて、体を勢いよく起き上がらせる。
「ランプッ!」
「は、はい!」
声のした方向を見ると、ランプが俺が寝ていたベットに体を預けており、先程まで寝ていたように見える。
ランプは周りをオロオロとして見ており、まだ状況を理解できないようだが、それよりも俺は聞きたいことがある。
「怪我してないか」
「大丈夫です!」
彼女は眩しい笑顔で俺の質問に答えた。
そうして彼女は答えてくれた。
俺が気絶した後、魔物を退治しに来たきららが偶然助けてくれたこと、あの森には魔物が増えてきていたこと。
「そうだったのか」
話し終わると、ランプは暗い顔で下を向いて何も言わなくなった。
俺に怪我をさせてしまったことを気にしているのだろうか、彼女を励まそうと何か言葉を投げようとすると、ベットのシーツが濡れていることに気付いた。
「ランプ……?」
彼女の顔から水が、正確には涙が滴り落ちていた。
「よ"か"っ"た"ぁ"、わ"た"し"、死ん"じ"ゃ"う"か"と"」
どうやら俺が死んでしまうのでは無いかと気が気ではなかったようで、ようやく安心したのかランプはわんわんと泣き始めてしまった。
「安心しろ、俺は何処にも行かない」
泣きじゃくるランプの頭を撫で、落ち着くまでずっと言葉をかける。
俺にとって彼女は「妹」として特別な存在だと思っていたが、何処か違うかもしれない。無意識に感じていた自分に気持ちを考えるが、疲れていたよう手間、いつの間にか眠ってしまっていた。
【主人公君】
名前は無い。
何処にでもいる普通の少年……の予定だったが、書いていく内に強キャラ感溢れる奴になった。
設定上は16歳なのに、20歳後半は行ってるやろ。なんやこいつ。
【ランプ】
ヒロイン。
個人的に、マッチが居ない状態のランプはよくやらかしたり、失敗したりするイメージ。