「さて、やっと着きましたね」
三浦さんから肉まんも恵んでいただき、電車に乗る前には食べ切った私。
そんな私は、電車で目的の駅に到着すると意気揚々と降り立ちました。
この駅はどうやらその駅名のままに、すぐそこに大学があるというなんとも便利な駅です。
私はこの大学といえば、文京区の方をパッと思い浮かぶのですが、1・2年生の間は駒場の方で学ぶようです。ですがその駒場にあるこちらでさえも、なんだか敷居の高さが感じられる気がしてしまうのは、私がまだまだだからでしょうか……
なんて私が考えていると、由比ヶ浜さんがお腹を押さえて呟きます。
「う〜ん。来てみたはいいけど……なんだかお腹空いてきちゃった」
「ああ確かに。この肉まんお化け以外はまだ食べてなかったもんね〜」
「三浦さん……五月にわざわざ肉まん奢ってもらってごめん」
「いいよ全然。あーでも確かにお腹空いたかも、、結衣〜早いとこ雪乃に連絡取れないん? そしたらみんなでご飯いこーよ」
「そうですね。私もお腹が空いてきました」
それに続けて、二乃、三玖、三浦さんがそれぞれ述べていきました。最後に私も少し思ったことを呟きます。……なんとなく特に二乃と三玖は私に呆れの目を向けている気がします。三浦さんと由比ヶ浜さんは私に驚愕の目を確かに向けていました。
しばらく唖然としていた由比ヶ浜さんでしたが、頭をブンブン振ってスマホに目を落とすと、今度は少し困った顔で三浦さんを見つめます。
「んん……それがね、ゆきのんにさっきからライン飛ばしたり電話してるんだけど、反応なくて……やっぱり授業がいそがしかったりするのかも」
「ああ、まあそうかもね。じゃあまずはみんなでご飯食べに行かない? 食べ終わってからあそこに入ってみればいいし」
その三浦さんの一言により、私たちは駅から一度離れて食べ物屋さんを探して進みます。しばらく歩くと、サイゼリヤが見えてきたため、私たちは入ることにしました。
イタリアンですか……
ふふふ
どんとこいですっ
だから二乃と三玖はそんな目で私を見ないで下さいっ!
* * *
「な、なんか……あったのかな」
私たちが店に入ると、奥の方の席が封鎖されていたり、店員さんが慌ただしくしていたりで、何かがあったのがすぐに分かります。
由比ヶ浜さんが困惑気味に思わず口にしたのも分かるというもので、その封鎖されている席のテーブルには、何本ものワインボトルやビールが入っていたと思われるジョッキが置かれていて、どうしてあの席が封鎖になっているのかが大体想像できてしまいます。
ハァ……でも、なんか、、アレを見ると……
「まさか、あの子こんなところで飲んでないわよね」
「は、ははは……まさか。それに、どう見ても一人でなんとかできる量じゃない。二人分はある」
……二人とも私と同じような事を思っているのでしょう。
二乃も三玖も額に汗を浮かべながら、アルコールに猛烈な弱さを誇るウチの四女について話していました。
そうです……四葉のことです。
あの娘、、ハチャメチャにアルコールに弱い上にすぐ吐くから、姉妹の間では四葉に対してだけは絶対にアルコールは与えない事。そして四葉がいる前ではアルコール飲料は飲まないことにしたいう経緯があります。だって、四葉にアルコール飲料を与えると、、大体あの席のようになるので。
まあ、、ないですよね?
三玖の言う通り、あれどう見ても四葉一人でいける量じゃないですし。私でもちょっときつい量です。
しばらくして店員さんがいらっしゃり、私たちに店の惨状について謝罪を述べながら席に案内していただきました。
そうしてしばらくは五人で席に座り、料理を美味しくいただき、色々なお話を由比ヶ浜さんや三浦さんと交わします。二乃と三玖、由比ヶ浜さんと三浦さんはとても話が盛り上がっていて、あまり食べ物を口に運べていないほどでした。
ですが、まだ卓にあるパスタとハンバーグに集中している私は、そのお陰というべきか、とある声を耳に入れることが出来ました。
「先程は、大変申し訳ございませんでした。改めて謝罪をと思いまして……」
「自分も、彼女を止める事が出来ずに、申し訳ございません」
あれ? この片方の声……
私は不審に思い、思わず食べ物を喰らう手を止めて顔を声のする方へ向けます。
「ふ、ふへぇふひふぅん!? 」
私が顔を向けた先には、知らない男性と共に店員さんに頭を下げる、上杉君がいました。