近くて遠くてやっぱり近くて   作:鴨南蛮ver.2

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誤字や読みにくい点がある作品ではありますが、見ていただけると幸いです。


ワタシから見たアンタ

「こうくんGo-Go♪」

 

信号が青になると同時に、背中から聞こえてくる楽しげな声とやわらかく、温かい感触。そしてワイヤーの少し固い感触を感じながら溜め息をつく。

 

「茉莉花がもう少し早く用意すればもっと余裕があったんだけどな…」

「…てへへ♪」

「それでごまかせると思ったら大間違いな」

「うぅ…ごめんねぇ」

 

笑ってごまかすが通じないとなると、速攻で泣き落としの体制をとる茉莉花。

だが俺は幼馴染みである。さおりのような押せば押すだけチョロい系女子と違いその手は食わない。

 

「しゃーねぇな、ちゃんと捕まっとけよ」

「えへへ、は~い」

 

その手は食ってないのよ?単純に俺が茉莉花に甘いだけですのよ?

 

どのくらい甘いかというと彼女とデートしてる最中に茉莉花から連絡来たら普通にとるし、用があるってはなしならデートを切り上げて茉莉花のもとに駆けつけるくらいには甘い。そして彼女にフラれるくらいには茉莉花に甘い。

 

自分で思い出すと自分でドン引きだなこれ。

 

「どんだけ茉莉花のこと大好きなの、こうくん?」

 

人の思考でも読んでるのかとでも思うような茉莉花の声が後ろから聞こえてくる。

 

風を切り走るなかでも聞こえるくらい近い距離感。

その距離を容赦なく首を後ろに倒すことで離す。

茉莉花のヘルメットと俺のヘルメットがそこそこの音でぶつかるのを感じる。

そんな俺の無言の抗議も知らんぷりし、ヘルメットtoヘルメットなんて何のそのとまたよってくる茉莉花。

 

そうさなぁ…

 

「茉莉花が俺を好きなくらいには大好きだな」

「お揃いだね♪」

 

そうだな、そして誰に説明するわけでもないが、俺たちは確かにおもい合っているんだろう。

だけどそれは男女のものではない。

家族としてのものである。

 

俺と茉莉花は家族ではない。ただの幼馴染みである。家族のように近い関係ではあるが、家族では、血の繋がりはない関係である。

 

それでも俺たちは、お互いを家族としておもい合っている。

 

そこに遺伝子の繋がりがなくても、そこに血の繋がりがなくても、そこに姓の繋がりがなくても…それでも俺たちは家族としておもい合う。

 

 

端から見ると酷く歪んだ、歪な関係だろう。

けどその関係を、俺たちは受け入れ続けている。

 

 

 

そうこうしているうちに見えてくるMerm4idの打ち上げ御用達のカフェ。そしてそこに向かい急ぐ見慣れたツインテールの女…性?

 

そういや、大学生って女の子なのか?女子なのか?それとも女性なのか?いや、生物的にはどれも間違いではないんだろうけど、そこはかとなくどれもしっくり来ない。

そんなどうでもいい思考は放り投げ、その見慣れた姿のそばにスクーターを寄せる。

 

「オッス、リカ。お前も遅刻か?」

「やっほ~リカっち、お疲れ様~」

「コウヘーに茉莉花じゃん!ワタシは朝から走ったのに茉莉花だけスクーターで楽するとかズルくないっ!」

「ふっふっふっ…持つべきはこうくんなのだよ」

「ムー、ワタシも乗せてって!」

 

そんなスクーターで3人乗りというアホみたいな提案をしてくる、その赤茶の髪を2つにくくったアホの子は瀬戸リカ。

Merm4id結成の、茉莉花含めた4人を引き寄せた楽天家である。

 

「あほか、3人乗りなんてやるわけないだろうが。こっからは茉莉花も歩いてけよ」

「ブーブーp(`ε´q)、少しくらいいいじゃん!」

「そーだそーだー♪」

「そんな少しな距離しかねぇからいってんだよ」

 

もう歩いても5分もたたずに目的地まで着く位置に俺たちはいる。むしろ乗った方が手間だろって距離の癖にブー垂れるリカに、それに便乗する茉莉花。

 

茉莉花が被ったままのヘルメットを外してやり、こっからは歩けよアピールを強くする。

 

「ほら、あとちょっとくらい歩けよ。体力落ちたらダリアのトレーニングメニューが待ってるぞ」

「「うっ、それはやだぁ」」

「んじゃ俺は講義でてくるわ、またな」

「うん、またねこうくん、講義頑張ってね」

「バイバ~イ」

 

そういって手を振るふたりをおいて俺は大学に向かう。

さてと…講義に間に合うか微妙なライン。ここから本当のデッドヒートが始まる!

絶対に遅刻をしない時間に起きてたのに遅刻とか俺は認めんぞ!

 

 

Side:Rika

 

 

エンジンをふかして去っていく背中を見送り、さっきから気になってることを茉莉花に問うてみる。

 

「ねぇねぇ、またねって?」

 

茉莉花に言うならわかるけどアタシにもいってたよね?そんな意図を込めて投げ掛けた質問に茉莉花は今日の朝のはなしをしてくれる。

 

「ってこは今日の夜はコウヘーも一緒なんだ」

「うん、こうくんも晩御飯をいつも作るのは大変らしいしね」

 

境耕平。ワタシにとってアイツは見守っている人、保護者のような人だって認識だった。最初に会ったときからズッット、茉莉花の近くにいて世話を焼いてたし、茉莉花の彼氏だと思った。

 

けど付き合ってないって聞いてこのふたりの関係がよくわからなくなった。

 

だってワタシがカレシとしてたこととか、カレシ持ちの友達がしてきた惚気話に出てきたことを当たり前のようにしているんだもん。

 

 

 『幼馴染みだから、兄妹みたいなものだから』

 

 

そんなふうに言われたから兄妹のいる友達に聞いてみたり、幼馴染みについて聞いてみたんだけど…

 

普通兄妹はそんなになかよくなくて、一週間で1回でも会話したら多い方だと言われたし、幼馴染みとの関係なんて残ってないって話しがほとんどだったんだよね。

 

だからストレートにコウヘーにきいてみちゃったんだよね、

 

『なんで茉莉花と付き合ってないの?』

 

そのときのコウヘーの顔は今でもハッキリ思い出せる。

 

『俺じゃない誰かに、誰よりも幸せにして欲しいって思うんだよ…そう心から思うんだ』

 

それってもう家族への感情だろ?って笑うコウヘーの顔はスッゴい優しくて、スゴく……

 

 

 

 

 

 

■■■■だと思った。

 




端から見ても歪な関係だし、自分でも歪だと思っている関係ですってお話でした。

その歪さは正されることはあるのか、それとも歪なままになるのか、、、


ってとこで次回へ続くです。
そしてうちのとこの瀬戸リカさんはゲームほど完全無欠徹頭徹尾楽天家ではありませんので悪しからず
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