え?前回が二ヶ月前だって?
気のせい、気のせい
とまあ、茶番はここまでにして、
いや本当に申し訳ございませんでした。
書く気力とこの後の展開や諸々と悩んでたらこうなっていました。
諸事情により暫くはこちらに時間が取れそうなので、更新頻度は上がるかもです。
それでは第十話をどうぞ!!
目の前の光景に驚き過ぎて動けない。
沙綾と出会って二ヶ月。
常人に説明したら信じて貰えないようなような体験をしておきながら、
俺が驚愕した理由、それは俺の目線の先。
『何だその、鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしてるんだにゃ。お前らは』
喋る猫が居るのだから。
──────────────────────
事の発端は少し前に遡る。
俺は学校から逃げるように帰宅していた。時刻は昼前、今日は夏休み前の最後の登校日だった。普通の学生なら、遊ぶ計画を立てながら帰ったりするのだろうが、俺が考えていたことは別の事だった。
先日の彼女の言葉が蘇る。
──今を一生懸命生きようよ。 その方がきっと笑って生きていけるよ
夏休みなんて中学生の頃から、さっさと宿題を終わらしてずっと家でゴロゴロしたり、友達に呼ばれて遊びに行くような毎日だった。だけど、去年上京してからは友達と遊ぶことすら無くなった。まさに何の目的もないまま自堕落な毎日を過ごしていた。きっとこのまま俺は、何も目的がないまま、親と比較されながら面白くない人生を送るのだろうそう思っていた。
だけど沙綾と出会ってから。
幽霊になってもひたすら前を向こうとしている彼女を見て、
少しづつその考え方が変わり始めていた。
以前なら考えなかった、夏休みという期間を.....これからの時間を有意義に過ごそうと考えていた。今の俺にとっての有意義、それは沙綾の記憶を思い出させる事。だから沙綾の記憶の思い出せせる方法について思案していた。そうこうしていると、普通だった通学路からもう特別な場所になりつつある仔猫を助けた場所へと戻ってくる。
そしてそこには。
『あ、希月君』
沙綾が塀の上へと座っていた。
.....膝にここら辺では見かけない黒い猫を載せながら。
「沙綾、なんでここに居るの?」
別に今日は彼女と会う約束はしていない。
そう言えば前にもこんな事があったような気がする。
『えーとね、あの白猫に会いに来たんだけど.....』
そこまで言うと彼女は膝の上に黒い猫を撫でる。猫は特に何の反応を示さずに黙って撫でられていた。
『今日はあの猫ちゃんが居なくて、代わりにこの子が居たんだ』
「黒猫....この辺で見かけないよな」
『うん、そうなんだよね。それで不思議に思って近づいてみたら何か懐かれちゃって』
沙綾が少しだけ困ったような顔を浮かべた。
「なるほどな」
沙綾の膝に座っている猫に目を移す。沙綾と会話をしている間も猫は、もしかして寝ているのではないかと思うほど身じろぎをしないでいた。
──あれ?
とここである事に気付く。この黒猫、首に何か──
「なあ、沙綾。この猫、首に何か付けてないか?」
『うん、私も気付いたんだけど、この子首に鈴をつけてる。 だけどこの子頑なにその鈴を見せてくれないんだ』
「鈴.....という事はやっぱりこの猫は、飼い猫なのか? 」
『多分、そうかも』
野良猫でもこんなに人にべったりすることはないはず、それどころか普通は人間を見たら警戒して近寄らないとは思う。そんな状況からこの猫が飼い猫ではないかと結論付ける。となると今やるべきことは、鈴を確認すること。そこにおそらく記してあるこの子の住所を見て、飼い主のもとに届ける事。
「よし。なあ.....」
そのことを沙綾に提案しようとしたその時だった。
『──この鈴には触らないで欲しいにゃ』
「『え?』」
辺りに見知らぬ声が響く。沙綾と一緒に辺りを見回すが何処にも人の影が見当たらない。そしてやがて俺達の目線は、あるものに向く。いや、そんなはずはない。目線の先、そこに映っているのは沙綾の膝の上に大人しくしている黒猫だった。
「ま、まさかな」
『.....まさかじゃないにゃ』
また見知らぬ声が響いた瞬間、沙綾の膝の上から黒猫が地面へと飛び降りた。そして、こちらに向きを変えて座り直す。その猫の行動に動揺を隠せなかった。
──まさか、本当にこいつが....?
そして、もう疑いようのない事実が突き刺さった。
『初めましてだな、俺の事は.....『クロ』とでも呼んでくれにゃ』
──────────────────────
『いや、本当にお前らはいつまでそんな顔をしてるんだにゃ』
目の前の猫がそう話し掛けてきた。この猫の言う通り今俺の顔は、驚きで変な顔になっているのだろう。というかこの状況で普通な顔を保つ方が難しいと思う。そこまで考えたところで、ようやく俺は固まった口を開く。
「ね、猫が喋ってる.....」
『そんな事で驚いてるのかにゃ? それだったらお前の横に居る奴の方は驚かないのかにゃ? 』
目の前の猫が俺と沙綾の方を見比べながら尋ねてくる。
「いやそれは.....何というか....もう慣れたし」
『にゃるほど、やっぱり人間ってやつは凄いにゃ』
そこまで言うと猫は、沙綾の前へと移動する。
『それで、お前が山吹沙綾だな? 』
『は、はい!! そうです』
『お前も驚いてるのかにゃ、そんな姿になったというのに....』
黒猫が首を振る。それは人間でいうところの「ヤレヤレ」というポーズなのだろうかという疑問は浮かばず、別の事に関心が向いていた。
やっぱり夢じゃない。
これでハッキリとする、この猫は人語を理解でき喋る事ができる。
そして恐らくこの猫は、
「えーと、『クロ』さん? ちょっと聞きたい事が....」
『敬語はやめてくれにゃ、悪寒が走る』
「ああ、分かった。.....それじゃあクロ、お前は一体何者...いや、どこから来たんだ?」
『──ふむ、洞察力は中々あるようだにゃ。まあ、どの道お前らには教えてあげないといけにゃいしな』
とりあえず人気のない場所に移動するにゃとクロがそう言った後、俺達はクロの後について行った。その後ろ姿に、一途の不安を抱きながら。そして数分ほど歩き続け辿り着いた場所は神社だった。そしてそのまま本殿へと続く階段へと座るように促した。
『ここなら人は居ないはずだから、大丈夫だにゃ』
「それは分かったけど、なんで神社なんだ? 」
腰をかけながら『クロ』に尋ねる。
確かに平日の昼間に人が居ないと言ったら神社なのだろうが、昼間の神社は何というか、その場所だけ都会の空気からどこか遮断されたような少しだけ不思議な感覚を覚える。
『こういう話は、こういった場所でした方がいいからにゃ』
「『こういう話?』」
沙綾と同時に首を傾げる。
『そうだにゃ、じゃあまずは自分が何者なのかを教えるにゃ』
そう言うと『クロ』は背筋を伸ばして前足をそろえた姿勢で俺達の前に座り込む。その時にクロが首から下げている鈴の音が人がいない昼間の神社に響く。
『改めて俺の名前はクロだにゃ、お前たちの言葉でいうところの死神って奴だにゃ』
──死神!?
そう叫びそうになったがそもそもが言葉が出なかった。何故ならクロがその後言った言葉が、今の俺にとって重要な言葉だった。
『そしてこのままだと、山吹沙綾は山吹沙綾ではなくなるにゃ』
ということで、黒猫の正体が分かりました。
この黒猫がどう物語に関わるか楽しみにしておいてくださると幸いです。
それでは、今回もお読みいただきありがとうございました。
今回も異端でしたね。
感想、評価等貰えると凄くやる気出るので、是非とも清き一票を。
それでは、次のお話でお会いしましょう。
(水着沙綾、無事ゲット!!)
もう少しでお気に入り250!!
暫くお休み
しれっと書いてた新作
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