Amnesia Ghost   作:ワッタン2906

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どうも、ワッタンです。

三週間振りかなぁ...?
三週間に一本は投稿するって言ってたけど、投稿する順番がバラバラになってしまったのは、本当にごめんなさいです。

それでは第十二話をどうぞ!!


第十二話 猫と幽霊と夏休み初日

 

あと二ヶ月、クロはそう言った。

日付にすれば六十日弱、沙綾が怨霊になってしまうまでのタイムリミット。これが短いのか長いのかは、俺には分からない、だけど今までの記憶の取り戻し方からすると......あまり時間がないかもしれない。

 

沙綾と出会って二ヶ月弱、最初の一ヶ月は幽霊の沙綾に怯えていてその期間をカウントしないにしても、一ヶ月で記憶の五分の一しか取り戻せていない。単純計算でもこのままのペースでいったとしても後四ヶ月は掛かる計算、絶対に間に合う訳がなかった。

 

座っていた椅子から立ち上がり、ベッドへと潜り込み枕元にある充電器にスマホを差した。

目に映るのは間接照明のほのかに明るい光と部屋の天井のみ。そして考えることはやっぱり沙綾の事だった。

 

──これは明日から一秒たりとも無駄にはできないな

 

ただ幸いにも俺は明日から夏休み。

夏休みの課題とかはあるものの、夏休み前の1週間に全教科貰って、少しだけ進めていた為、一週間のアドバンテージはある。最悪、後回しにするばいい。人の記憶と自分の内申、どちらを優先すべきかはハッキリだ。それよりも、一つだけ......改めて状況を吟味し整理した事で気になる事がある。

 

それは俺が見た夢。

あの夢を見た直後からだ、沙綾が一つ目の記憶を取り戻した。そして言い方を帰るとすれば、あの夢を見た事がトリガーとなって記憶を取り戻した。つまり......

 

だがそこで俺に限界が来た。

瞼が自分の意志とは関係なく落ちていき、意識が途切れ夢の中へと飛び立った。

 

そして翌朝、 改めて自分に気合いを入れるように、いつも通りの時間に起き、頬っぺを叩いた。......そしてリビングへと向かったのだが.....目の前に広がる光景に、早くもその覚悟が薄れるように感じる。

 

『ちょ、辞めるんだニャ!!』

 

『ほらほら、遠慮しないでー。うわぁ、クロって結構フワフワなんだね〜、凄い気持ちいい』

 

『そりゃあ、身だしなみは猫として当然の嗜み......って、頭を撫でるニャ!!』

 

『遠慮しないでよ〜』

 

クロが沙綾にモフられながらブラッシングされていた。

口では拒絶しているクロだが、モフられながら猫特有の行動、つまりリラックスしている時のゴロゴロ音を鳴らしていた。

 

(死神猫って言っている割には、普通の猫の反応もするもんだな──案外、マタタビとかも効くんじゃな......っていやいやそうじゃない)

 

頭を振って場違いの考えを自分から追い出し、二人に声を掛けるべく口を開いたのだった。

 

──────────────────────

 

『昨日言った筈にゃ、仕事が終わったらすぐに合流するってにゃ。とりあえず三日間は一緒に居られるがその後はもう一回だけ別の仕事がある。これはまあ、...すぐ終わるから問題ないにゃ』

 

目の前に置かれた机に座り、俺に説明した。

先程までの、撫でられて気持ちよさそうな声とは違い、どこか威厳漂うような声で。

取り敢えず、一応家に他人がいるので最低限の身だしなみということで俺は部屋着から着替えていた。 

 

「なるほど、クロの言い分は分かった。その仕事が早く終わって駆けつけてくれたのは非常にありがたい」

 

そこで一旦言葉を区切る。

「...で、だ。なんで、沙綾がここに?」

 

クロに向けていた視線を外し横に向ける。

視線を向けた先には小さなソファーに座って居る沙綾。座って居る沙綾の表情はどこかバツの悪そうな顔をしていた。そしておずおずといった様子で口を開いた。

 

『えーと、希月君怒ってる......?』

 

「...少しだけ」

 

と沙綾に言うが、別に怒ってはいない。

前に家に連れてきたのは自分だし、幽霊なんだから通り抜けも出来ると知っていた為、もしかしたらここにふらっと来るかもとは考えていた。

だが、敢えてここはこう答える事で沙綾が家まで来た理由を聞こうとしたのだ。

 

『うっ、その...ごめんね。記憶を取り戻すなら時間ないかなって思ったから、早めに合流しようと......』

 

そして俺の思った通り、沙綾は勝手にここへ来た事の罪悪感からかここへと来た理由を語った。

 

「なるほど........別に怒ってないから安心してくれ。ただ、来る時はせめてインターホン押すなりしてくれ、流石に家にいきなり居るのは驚く」

 

できる限り、声を高めにして怒ってない事をアピールしながら答える。

 

『う、うん。分かった、これからはどうにかして知らせるよ』

 

沙綾は俺の言葉に素直に頷き、表情を一転し笑顔を浮かべた、その様子に俺もつい笑ってしまいそうになってしまいそうになるのを堪える。やっぱり沙綾には笑顔が似合う。

 

『......幽霊にインターホンを押させるのはどうかと思うけどにゃ?』

 

対してクロは俺の言った言葉に疑問を抱いたらしい。

......まあ、確かに幽霊がインターホンを押したら傍から見たら心霊現象に見える、けどそれはもう今更な気もするし、気にしない事にする。

 

「いいんだよ、こういうのは礼儀だからな」

 

『......まあ、そういう細かい所を気にするのは人間という種族らしいにゃ』

どうやら俺の言葉に、クロはなんやかんやで納得してくれたようだ。

そしてクロはそう言うと、スッと歩き出し沙綾の隣に空いているスペースに降り立った。

 

『今日の朝早くまで仕事だったから少しだけ寝かせてくれニャ』

 

そう言うとクロは俺に背を向けて、顔を見られないようにして丸まった。

隣に座っている沙綾は、丸まったクロの背中を撫でる、がゴロゴロ音は聞こえてはこず、撫でられてもクロは微動だにしなかった。

 

「いや、寝るのはやっ!!」

 

『しーっ!! 』 

 

思わず大声で喋ってしまい、沙綾が口に手を当て静かにというジェスチャーをしてくる。

 

『起きちゃうから静かにね...にしても、こんなに直ぐに寝るという事はそれほど疲れてたのかな?』

そう話している間も沙綾は寝ているクロを起こさないようにゆっくりと撫でていた。

 

(...夢の事は起きたら伝えるか)

 

流石に眠たいクロに対して、こんな確証がない事を伝えるのは憚れた。だからこの事はクロが起きたら伝える事にする。

  

『というかクロの仕事って具体的にどうやるんだろうね?』

 

「あー、確か怨霊を消滅させる...って言ってたよな? 」

 

怨霊を消滅させる仕事、クロはそう言っていた。

もしフィクションとかなら、霊媒師なり陰陽師とかがお祓い棒とかお札を持って「悪霊退散」とか言うのだろうが、この世界はノンフィクション。そんな事があるわけもなく、更にを言ったら死神といってもクロは猫だ。お祓い棒なんて持てるはずがない。

  

『うん、だけど...こんな風に寝てる姿からは、そんなに凄いようには見えないんだけどね』

 

「確かに...っと、ごめん」

 

喋っていると、不意にポケットに入れていたスマホがアラーム音を鳴らした。

沙綾に断りを入れてから取り出して確認してみると、それは目覚ましのアラームだった。

夏休みだから設定した覚えはないのだが、つい癖で設定していたらしい。

 

ちなみに時刻は七時、いつもなら昨日の夜の残り物で朝ごはんを食べている時間帯。

だけど昨日はコンビニ弁当で済ませていたから残り物なんてない。つまり朝ごはんを食べるならなにか作らないといけい...けど。

 

『何のアラームだったの?』

 

「ん? ああ、目覚ましのアラーム、癖で設定してたらしい」

 

沙綾が尋ねてきたのでそう返す。

 

『ああもう、そんな時間なんだね』

 

「というか沙綾、何時から居たのここに?」

 

『うーん...一時間前くらい? 』

沙綾が一瞬考える素振りを見せ、俺にそう返す。

 

「あー、結構前から来てたんだな」

 

一時間前...という事は沙綾は六時くらいにここに来たということになるのか....。

それは非常に。

 

「...ゴメン気付かなくて」

 

沙綾に対して罪悪感が募ってしまう。

だけど沙綾は、そんな事なんて気にしていないっていうように、笑いながら俺に言葉を返した。

 

『ううん、押し掛けたのはこっちだから、それより希月君。今起きたってことは朝ごはん食べてないんだよね?』

 

「ああ、でも今日から夏休みだから、何の準備もしてないけどな」

そこまで言った瞬間、沙綾に突然、両手を掴まれた。

 

『じゃあ、私に朝ごはん作らせて!?』

 

「へっ....?」

 

朝のリビングに俺の間抜けの声が響いた。 




不思議な夏休み初日でした。
そしてもうちょっとだけこの部屋での話が続くのでお楽しみに。


それでは、今回もお読みいただきありがとうございました。
今回も異端でしたね。
感想、評価等貰えると凄くやる気出るので、是非とも清き一票を。

それでは、次のお話でお会いしましょう。

(さよつぐキター!!)

祝!! 奥沢美咲総合評価五位!!

来週の更新予定

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