さて、第二話目です。
本来ならこの話は第一話目とのセットの投稿予定でしたが、
普通に無理でした。
そして今回からヒロインの名前が分かりますんで、最後までお付き合いお願いします。
それでは、第二話をどうぞ!!
「うん、もう右手の方は大丈夫だね。それじゃあ、ギプス外そうか」
右手のレントゲン写真を見ながら、自分を担当してくれた先生がそう言うと、
自分の右手のギブスを取り外す準備をしている。
そんな先生に、俺は意を決してあることを質問した。
「あ、ありがとうございます......あの、先生一つ聞いてもいいですか?」
「うん? 何だい」
「.....この病院で働いていて幽霊って見たことありますか?」
その質問に先生の顔がキョトンとした。
だが、直ぐに顔が戻り、あははと笑い出す。
「あはは、凄い質問するねー? うーん、幽霊か。あいにく見たことはないなー」
「....そ、そうですよねー、幽霊なんて居ないですね」
と肯定的な返事を一旦返す。
何故なら......、
『ねえ、やっぱり聞こえてるよねー? ねえ───』
その件の幽霊が今この部屋に居るからだ。
ちょうど、僕と先生の中間に......。
──────────────────────
『ねー君? 聞こえてるんでしょー』
診察室から出ると、聞こえてくる音に無視を決めこみ
真っ直ぐ受付へと向かう。
実はこのやり取りは初めてではない。
病院でこの幽霊少女を見かけてから、一ヶ月がたった。
一ヶ月前のあの後、直ぐに俺はあの場所から逃げるように立ち去り、
直ぐにベッドへと決め込んだ。
(うん、あれは夢だ。そうに違いない)
とまあ、病院で見た景色を忘れるように布団を頭から被った。
そして次の診察の日。
この前とは違い、平日ではなく土日の祝日。
右手の調子を見てもらう為に病院へと来ていた。
病院の中へと入る道への途中、先日あの幽霊と遭遇したベンチへと
差し掛かる。
「い、居ないよな........」
慎重に足を進める。
(もし、居たら今日は帰って、別の病院探そ......)
と、思っていたのだが。
ベンチの方に.....幽霊はいなかった。
「.......居ないじゃん」
ホッと溜息をつく。
どうやら、幽霊は居ないようだ。
(そうだよな、幽霊なんて非科学的な存在いるわけないよな、きっと疲れから生み出した幻惑だよな、うん)
と思っていたのだが、やはりあれは幻ではなく.....。
『何が居ないの?』
「いや、あの時の幽霊が........って!?」
『わぁ、ビックリしたー』
突然真横からの言葉。
思わず飛びのく。
そこには、首を傾げた幽霊少女が佇んでいた。
とまあ、かれこれ二度目の出会いから
今の今まで何故か付きまとわれている。
それと、二度目の出会いで奇声を挙げなかった自分を誰から褒めて欲しい。
相変わらず話し掛けてくる幽霊は無視し、
受付で診察料を払い、病院の外へと出て、足早に例の中庭を横切り病院の敷地から出る。
『ねー、君ってなんで私の姿見えるの?』
勿論、あの幽霊少女も一緒に。
そう、驚いた事にこの幽霊は普通に俺の後をつけてくるのだ。
そして、これが恐らく最近目線を感じやすくなってる原因だろう。
でも、いつも最後までこの幽霊少女は着いてくることはないけど。
(......やっぱり地縛霊とかでは無いのか)
こうして着いてこれる以上、病院で亡くなった幽霊とかでは無い。
そんな事を思う。
最初の頃は普通に少女の姿とはいえ、この幽霊が怖かったりしたが、今ではそんなに怖がってない。
これが慣れというやつのだろうか、人間のこういう部分は本当に恐ろしいとつくづくそう思う。
でもまあ、慣れたからといって100パーセント信用している訳では無いので、安易に話し掛けるのを避けている。
とりあえず、二三ヶ月は意思疎通することはないだろう...........と思っていたのだが、この予想を大きく外れることとなる。
──────────────────────
病院からの帰り道、とあるY字路へと辿り着く。
いつもこの道は不気味だ。
昼間だというのに、日がささず人通りも少ない。
何時もはここで、別れ道に入ると幽霊少女はいつの間にか居なくなってしまう。
だけど、今日は.....。
『.......やっぱりか』
何故だか、今日は居た。
何か喋っているようだが小さすぎて聞こえない。
別段気にせず歩いていると、小さな交差点へと出る。
向こうへと渡るために、信号が変わるのを待つその瞬間だった。
目線を感じる。
じっと誰かが、自分を監視するような視線。
そしてそれは、
(まただ、またこの目線だ)
初めてではない。
ここ最近からだ。
こういった目線を感じるようになったのは。
普通はこんな目に合うと、怖がるのが一般的だろう。
ただ、俺はある二つの理由により別段と怖がっていない。
というか、これも正確には
ただまあ、
(落ち着かないけどね)
そんな感じで幾分、幽霊少女と同じように気にしてなかった。
とここで、信号が変わる。
そんな時だった。
ガシッと、服の裾を捕まれる。
「えっ......!?」
突然捕まれたことにより、一瞬思考が停止する。
後ろを振り返る。
それもその筈、
掴んだ相手は、あの幽霊少女だった。
『.....渡らない方がいいよ、連れてかれるから』
幽霊少女が口を開く。
「え....連れてかれるって何処に?」
俺の問いに幽霊少女は意味深に笑みを返した。
その返し方にハッとする。
彼女が言う連れてかれる、それは俺が......。
立ちすくんでいると、歩行者の信号が変わり車が動き出す。
そして幽霊少女はゆっくりと手を離し、口を開いた。
『.....きっと、あなたが私を見つけてくれたから自分も見つけてもらいたかったんだね』
そういうと彼女は、歩行者信号機の傍に座り込む。
『寂しかったんだね』
と何もない所に話しかける。
はたから見れば、高校生位の子が空間に向かって話しかけるという、
不思議な光景だが、彼女は幽霊。
俺以外には多分見えない。
そして俺には見えないが、きっと彼女が話しかけているのは幽霊だ。
『......うん、そう。......お兄ちゃんは連れてっちゃ駄目だよ』
(お兄ちゃんって.......)
『.....うん、イケナイことだから駄目だよ。.....その代わりに私が遊んであげるから、ね?』
.....話しかけている子はおそらく、子供の幽霊.....なのか。
話しかけ方を見る限り、そんな風に感じる。
そしてもう一つ、何というか幽霊少女は子供に対する接し方が上手な気がする、
そう思った。
『.......うん、分かった。 じゃあまた明日』
幽霊少女が最後にそう言うと、俺が感じていた視線は消え去った。
そして、幽霊少女はゆっくりとこちらに振り返った。
──────────────────────
「......そのさっきはありがとう。 俺を助けてくれて」
幽霊少女に自分から話し掛ける。
少女は一瞬キョトンとした顔をするが、すぐに頭を振る。
『いやいや、その.....君がさっきの子に連れてかれそうになったのは、もしかして私のせいかもしれないから......』
「そう、それ!! どういう意味なんだ?」
幽霊少女がそんなこと言うが、
俺は話を遮り、自分の疑問をぶつけた。
(何故俺が連れていかれると彼女は言ったんだ......?)
交差点から離れ、俺と幽霊少女は場所を夕暮れ時の公園へと移していた。
そしてベンチの隣に、俺を助けてくれた幽霊少女が座っている。
『あ、えーとね、何故だか君は私のことが見える思うんだけど.....』
「ああ、そうだな......何故見えるかは分からないんだけど」
『それは私にも分からないな、.....まあそれは置いといて、その私のせいっていうのは......』
幽霊少女が話してくれた内容はこうだった。
まず、俺が連れてかれそうになった理由は、
『君が私を見れるようになったことが原因かも』と、そう言われた。
俺が幽霊の彼女を何らかの原因で、見れるようになったことにより、
こちらの世界つまり現世側と、あの世側との境界線で俺の存在自体があやふやになっていた.....
つまるところ、
つまりあの時、あのまま横断歩道を渡っていれば、今頃俺は......。
考えただけでも恐ろしい。
『それで、君の存在があやふやになったのは、「私のせいかも」って思って、病院に来るときは君の周りにずっと居たんだ』
「あー、そういうことだったんだ........じゃあもしかして別れ道まで来てたのもその為?」
『うん、そう。 これも不思議なんだけど、君は病院に来る時だけ存在があやふやになってるの。その後は、徐々に存在感が現世側へと戻っていってるの』
「ほう、ということは通常生活に問題はないのね」
『そう、その筈......』
「......うん、分かった。 何はともかくありがとう。君のおかげで助かったよ」
『うん、良かった』
そう言うと俺はベンチから立ち上がる。
辺りはもうすっかり暗くなっていた。
『ねえ、私からも質問......というよりかお願い事していい?』
「えっ.....ああいいよ」
初めて女の子にそんなことを言われて焦るが、
顔には出さず、ポーカーフェイスで答える。
『えっとねー、偶にでいいから私の話相手になってくれないかな? 幽霊って暇だからさ』
「ああ.......うん、それくらいならいいよ。助けてもらったお礼もあるし」
『ホント!! ありがとう。あ、そういえば名前言ってなかったね、私の名前はね.......』
そう言うと、彼女が自分の名前を口にする。
この時までは知らなかった........、
「
「えっ......多分って?」
『あー、実は私.....』
彼女が.....、
『
記憶喪失ってことを......。
ということでヒロインは沙綾でした。
自分の小説で沙綾が出すのは珍しいんで、もしかしたら口調可笑しいかもしれない点は、ご了承ください。
※ここで第一話の冒頭部分と、夢での内容のセリフを合わせてみましょう。
そしてこの小説のもう一つのテーマのある要素を出しました。
まあ、タイトル見れば一発でわかると思いますが.......。
それではここまでお読みいただきありがとうございました。
次のお話でお会いしましょう、それでは。
(ツイキャスやってみたけど楽しかったね)
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