さて、何とか完成しました、第三話。
予想以上にこの話を見ていただけてうれしいです。
こっちのバンドリ小説も気合い入れて書くのでよろしくお願いいたします。
それでは、第三話をどうぞ!!
人の記憶には二種類ある。
「意味記憶」と「エピソード記憶」
この二種類。
前者の記憶は、一般的な知識の記憶......つまり、「買い物にはお金が必要」、「赤信号は渡らない」、「箸の使い方」といった、一般常識の記憶のことを指す。
後者の記憶は、時間や場所、感情などといった、個々の経験や体験の記憶を指す。一言でいえば、「思い出」ということになる。
そして、大半の記憶喪失の人は、この「エピソード記憶」の障害によって記憶を失う......。
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「......んっ」
バスの窓に、もたれかかせていた頭をゆっくりと上げる。
どうやら、昨日夜遅くまで調べ物をしていたツケが来たらしかった。
気がつけば、降りるバス停の一つ前だった。
意識がまだ半覚醒の中、肩からかけているポーチからスマホを取出し時刻を確認する。
スマホを確認すると、午後一時前。
バスに乗ったのが
つまり、乗ってから三十分は寝ていたということになる。
「うん、寝すぎだな」
そうこうしている内に、降りるバス停が近づいてくる。
そそくさと降りる準備を済ませ、バスから降車する。
そして、目の前にある建物を見あげる。
目の前に映るのは、総合病院。
「......さて、行くか」
もう、この場所に来ることは基本ないのだが、
約束があるので、この場所に来ていた。
バス停から中庭の方へと足を向ける。
用があるのはあの場所だ。
(さて、どこにいるのかな)
中庭へと辿り着き、彼女の姿を探す。
普通の人から見ると、すごく危ない人だと思われるなのだが、
今は気にしない。
『お、ほんとに来てくれたんだね』
見渡すこと数秒、目的の主の声は上から聞こえた。
聞こえた瞬間、空を見上げ言葉を呟く。。
「.....一応、約束したからな」
見上げたそこにいたのは、
白いワンピースを纏っている、
あの時俺を助けてくれた、幽霊少女『さあや』だった。
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『でも、なんで来てくれたの?』
さあやが、俺の隣で首を傾げながら尋ねてくる。
「さっきも言ったじゃん、暇つぶしに付き合ってくれって。 自慢じゃないけど約束を破ったことはないよ」
『ふーん、そっか。ありがとう』
場所は『さあや』を初めて見た、中庭のベンチ。
そこで座って話をしていた。
そして気になっていたことを質問する。
「ところで、『さあや』はいつからこの場所にいるの?」
『え、私? いつからかー、.......大体一か月前?位かな 』
「一ヶ月前......」
俺がさあやに助けられたあの日、あの日から何故さあやが見えたのかを考えていた。
さあやが少なくともこの世界からいなくなったのは一ヶ月前。
そしてさあやと出会った時に見た夢。
今はもう朧気にしか覚えていないあの夢が、この前起きた大規模なトラック事故と関係あるのかは分からない。
そしてこれだけは言える。
それが今考えたの俺の結論だった。
なぜ、あの夢を見たのかは分からないが......。
『ねえ、私も君に聞きたいことがあるんだけど.....って聞いてる?』
「.....うん? あ、ごめん。考え事して聞いてなかった」
『何考えてたの?』
「ちょっとね、でどうしたの?」
考え事をしていたら、さあやから話し掛けられた。
慌ててさあやとの会話に集中する。
『あ、うん。えっとね、まだ君の名前を聞いてなかったなーって』
「あれ? あ、そっかまだ教えてなかったけ?」
『うん、そうだね』
さあやにそう言われ、自分の記憶を辿る。
確かに、さあやからは名前を教えて貰ったが、自分の名前は教えてないことに気づく。
「そっか、.....じゃあ、改めまして希月光輝です」
『希月光輝......じゃあ、希月君って呼ぶね。 それで希月君はさ、一ヶ月前のあの日どうして病院に来たの?』
さあやにそう尋ねられる。
「ああ、猫を助けた時にちょっとね」
『猫?』
「うんそう、実は.....」
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『....それでケガをしたと』
さあやに自分が病院に居た理由を聞かれたので、
あの日起きた出来事、猫を助けた顛末を全て話した。
「そうそう、まあ猫を助けられたから結果的に良かったよ。 ケガはしちゃったけど」
『ふーん、.....希月君って優しいんだね』
「.....そう、かな?」
さあやにそう言われ、首を傾げる。
優しいと言われても実感が湧かない。
『いや、だってさ.....』
そう言うと、さあやは空を見上げる。
『私ね、思うんだ。大抵の人はさ、困っている人を見ても遠巻きに心配してるか、見てないふりをして助ける行動に移せないんだよ、
「.......」
『でも、希月君はさ。 その降りられなくなった猫を見ても、見捨てようとせずに助けた。これってすごいことだよ。本当に優しい人は自分から行動を移すんだよ、だからね....』
さあやがそこまで言うと、空を見上げるのを止めて、
こちらに向き直り、微笑む。
その仕草にドキリとする。
『行動に移せる希月君は優しいよ。それに幽霊である、私に付き合ってくれるから』
「.....あ、ありがとう」
さあやにそう言わると、顔が赤くなっていくのが分かる。
咄嗟に、顔を逸らす。
するとさあやが、小悪魔的な笑顔を浮かべる。
まるで、「おもしろい物を見つけた」かのように。
『あれぇ? もしかして照れてる?』
「て、照れてない!!」
『また、またぁ』
さあやが顔をのぞこうとしてくるので、
顔を見れないように必死に顔を隠した。
ちなみにこの行為は十分ほど続いた。
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『さて、君をからかうのはこれくらいにしてと』
「この野郎......」
恨めしそうに呟く。
さあやがベンチから立ち上がり、背筋をのばす。
病院に来てから一時間ほどが経過した。
荷物を纏めてそろそろ帰ると口を開きかけた瞬間、さあやが口を開く。
『ねえ、その猫ちゃんを助けた場所に連れてってよ』
「え、それは別にいいけど。どうして急...『また、君の存在があやふやになってる』っ?」
さあやにそう言われ息をのむ。
そしてさあやを見つめる。
「ほんとに?」
『うん、現に君を見つめてる子達がいっぱい居る、気付かない?』
そう言われ辺りを見回すが、
この前感じたような、視線は見当たらない。
「全然分からない」
『.....恐らく害はないけど、念の為私がそばに居るよ』
「分かった、ありがとう」
『うん、それなら早く行こ!!』
そう言うと、さあやは病院の出口へと歩き出す。
俺も慌てて、荷物を纏めその背中に走っていって追い付く。
『ねえ、その猫って何色?』
「白色の仔猫だったな」
『へー、可愛いのかな?』
「まあ、居るかは分からないけど。というかさあやの姿って動物から見えるの?」
『見えるはずだよ、この前散歩中の犬に吠えられたから』
「なるほど」
そんな他愛もない会話をしながら、
幽霊少女と普通の少年という、不思議な関係の二人は仔猫会いに行った。
仔猫に会いに行くと綺麗な銀色の髪をした女の子が居たのは、また別のお話。
そこは学校だった。
入学式だろうか。
真新しい制服を身に包んだ学生達が掲示板の方を見ている。
『いい匂い......』
掲示板を見ていた生徒の一人が、
隣に居た生徒に向かって呟く。
『えっ!?』
『すっごい、いい匂いした。パンの!!』
そう言った直後、話し掛けた生徒のおなかが鳴る。
それを聞いた、話し掛けられた生徒は顔に笑みを浮かべながら飴を取り出す。
『ああ。 うち、パン屋だからね。居る?パンじゃないけど』
『いいの!! ありがとう!! ねえ、何組!?』
『A組だよ』
『ホント!? どこどこ』
飴を貰った生徒は、名前を聞いてないのに、
飴をくれた生徒の名前を探す。
そんな光景を微笑ましく思いつつ、ポニーテールの少女は名前を口にした。
『私は、────』
「はっ!!」
そんな声と共に意識が覚醒する。
目に映るのは、自室の天井。
外はまだ真っ暗だ。
ゆっくりと光輝は布団から起き上がり、今見た「夢」の内容を思い出す。
そして思い出すと、言葉を発した。
「今のは......さあや?」
今回の話の冒頭部分、
あれ、結構気に入ってます。(笑)
なんだろう、あんな感じの始まり方の小説は自分は好きです。
最近、ツイキャスでこの小説を書くキッカケになった人に、お礼いえてホッとしました。
さて、今回はこの辺で。
またお会いしましょう、それでは。
(もう少しで誕生日ですねー)
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