Amnesia Ghost   作:ワッタン2906

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どうも、ワッタンです。
お待たせしてごめんなさい!!
色々とリアルが忙しくて、中々執筆できませんでした。

でも空き時間でなんとか、書けたので投稿です。

それでは、第五話をどうぞ!!


第五話 記憶の欠片

店の扉をくぐる。

入った瞬間、焼き立てのパンの匂いに包まれた。

思わず辺りを見回すと、色とりどりのパンが棚に陳列されていた。

 

時間帯がお昼時だろうか、中にはお客は一人も居なかった。

そしてレジにも。

店の奥の方に居るのだろうか、奥の方から話し声が聞こえる。

 

「誰も居ない」

 

ポツリそう呟き、

隣へと目線を移した。

 

俺の隣──沙綾はというと店内を頭を抑えながら、物珍しそうに見渡していた。

そんな彼女の様子に、確認の意味も込めて声を掛ける。

 

「本当に、この店に見覚えがあるのか?」

 

『....うん。初めてこの店を、見たんだけど....この場所を私、知ってる。でもなんで』

 

戸惑いの顔を浮かべながら、呟いた。

ついさっき商店街のメインストリートを外れ、横道に逸れた沙綾を追いかけこの店に辿り着いた。

辿り着くと、さあやが『ここを知ってる』と言ったので、店の中へと入ったのだが....、

 

『そこに置かれてるパンの種類も、商品の配置も....全部知ってる....』

 

彼女はこの店を知ってる証拠を淡々と挙げた。

 

沙綾はこの店を知っている.....もしかして。

ここである一つの説が浮かび上がってくる。

 

もしかするとこの店に生前来たことがあるのか....?

 

沙綾がこの店を知ってる理由に考えを巡らせていたその時だった。

証拠をある程度挙げたさあやは頭を抑えながら、床へと座り込んだ。

その顔は苦痛の表情を浮かべていた

 

「....!! 大丈夫か!?」

 

『う、うん、ちょっと頭痛いけど.....』

 

床に崩れ落ちた彼女に手を貸してあげる。

その手は、しっかりと沙綾の冷たい温度の手によって握られた。

 

『....やっぱり、触れるね』

 

「ああ、本当になんでだろうな」

 

普通幽霊と聞いたら、人間の常識だと見えなくて触れないものと思うだろう。

しかし、この前俺が子供に連れていかれそうになったとき、沙綾は俺に触れていた。

 

そのことについて、学校への登校中に聞いてみた。

彼女曰く、どうやら幽霊側の常識では、

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

らしいのだが、現に沙綾にこうして俺は触れている。

 

(これも、沙綾を見えるようになった事と原因があるのだろうか?)

 

『希月君?』

 

その言葉で思考の海に入りかけた俺は、現実へと引き戻される。

どうやら彼女の手を握ったまま、思考の海に入っていたようだ。

 

「あ、ゴメン」

 

『ううん、大丈夫だけど....どうかした?』

 

「いや、何でもないよ。それよりどうするもうちょっと見てみるか?」

 

さあやに向かって、そう言った時だった。

 

「あ、ごめんなさい。気づかなくて」

 

厨房のスイング扉が開かれた音が店内に響いた。

響いた瞬間、そちらの方へと振り返り、

 

息を呑んだ。

開かれた扉の前に居たのは、髪をサイドテールに纏めた、優しそうな女性が居た。

だけど、心なしかその顔はとことなくやつれていた。

そして、その女性はさあやに似ていた。

 

「あ、えと、......だ、大丈夫です、お構いなく」

 

「......?」

 

思わず、変な声で返してしまった。

それくらいさあやに......、

彼女が成長したら、こんな感じの女性になる、そう思えるほど似ていた。

 

って、今はこんなことを考えてる場合じゃない。

早くパンを買わないと、迷惑になってしまう。

そう思い、近くにあったトングとお盆を取るために振り返った時だった。

 

『っ!! ゔっ、頭が!!』

 

振り返った直後、さあやが頭を抑えて蹲っていた。

 

「だ......!!」

 

「大丈夫か!?」という、さあやと二人きりだったら迷わず叫んでいたセリフを言いそうになるのをぐっと堪える。

ここには、さあやが見えない第三者が居る。

もし、ここで叫んでしまったら怪しまれる。

 

叫ぶ代わりに、低い棚の場所にあるパンを選ぶフリをしながら、彼女にこっそり耳打ちをしながら手を貸す。

 

「大丈夫か、直ぐにパンを選んで出るから、苦しいなら俺の肩に手を掛けろ」

 

『ゔ、うん....ありがと....』

 

手を貸し立ち上がらせた後、沙綾は俺の肩に右手を置いてきた。

かすかに彼女の冷たい温度が、俺の肩から伝わってくる。

しっかりと沙綾が肩を掴んだのを確認し、適当にパンを二つ三つ、見繕いレジへと持っていく。

 

「すいません、お会計お願いします」

 

「はい、ありがとうございます」

 

と、お盆を店員さんへと渡した。

渡している間も背中から、沙綾の苦痛な声が聞こえてくる。

 

(沙綾.....)

 

背中からの苦しい声を紛らわすために、店内の色々なところに目線を泳がす。

と、ふとレジに置かれている写真立てに目が行く。

どんな写真を飾っているのか、飾られている写真に目を通したその瞬間、

 

 

衝撃が走り、

思わずその写真立てを手に取った。 

 

 

写真には五人の高校生くらいの女の子たちが写っていた。

その内の一人が、自撮りをするように内カメラで撮影するような構図だった。

その中の代表して写真を撮っている子......髪をポニーテールに纏めているが、

見間違えるはずがない、その子は

 

沙綾だった。

 

 

「沙綾....?」

 

『はぁ、はぁ...え....?』

 

背中から彼女の怪訝そうな苦しい声が聞こえてくる。

沙綾にも、この写真を見せようとした時だった。

 

「え?」

 

思わず呟いてしまった言葉に、

パンを袋に詰めていた店員の女性が怪訝そうな声を出した。

 

「あ、いや。何でもないです.....あのこの写真は?」

 

「え、ああ....うちの娘が撮った写真です。」

 

背中から動く気配がする。

 

「娘?」

 

「はい、この写真を撮ってる子が、うちの娘です」

 

と写真の中の一人の女の子を指さしながら、そう言った。

そして重要な一言。

うちの娘と言って、沙綾を指差した。

 

この人はさあやのお母さんだ。

そう思った瞬間、背中から崩れ落ちた音が聞こえた。

 

──────────────────────

 

頭が割れるように痛い。

あのスイング扉から、女性が出てきてからだ。

最初は頭痛程度の痛さだったのが悪化して顔を上げることさえできない。

 

なんとか、希月君の肩を借りて辛うじて立ってるけれど、物凄く辛い。

そして彼の力を借りないと、歩けないそんな状態だった。

 

そんな私の様子を察して、希月君は急いでパンを選んでいるのが分かる。

 

(ほんと、お人好しで優しいんだね)

 

痛さで何も考えられる中、辛うじてそんな事を思えた。

希月君がレジへと歩いていく。

そんな彼の肩を持ちながら、私もゆっくりと足を進めた。

しかし、

 

(何....で? さらに頭が痛く....!?)

 

レジへと進むごとにさらに頭が痛くなる。

そして意識が朦朧としだし、平衡感覚がなくなりそうになる。

ただ、希月君の肩からはしっかりと手を離さない。

 

「沙綾....?」

 

『はぁ、はぁ...え....?』

 

そんな中、私の名前を不意に彼が呟いた。

ここからは何も見えないが、彼の右手には何かを持っていた。

力を振り絞り、少しだけ浮いて、彼の持っているものを見た。

 

(あれは....写真?)

 

彼が持っていたのは、写真立てだった。

そしてその写真に写っていたのは....。

 

(え.....わた...し?)

 

写真の中には、笑っている姿の私が写っていた。

でもなんで、こんなパン屋に私の写真が....?

そんな疑問が浮かんだが、頭の痛さで何も考えられない。

 

「え、ああ....うちの娘が撮った写真です。」

 

娘....?

レジの女性が、写真をみてそんな言葉を発した。

その時初めて、女性の顔をしっかりと見た。

髪をサイドテールに纏め、優しそうなその顔を見た時、

さらに頭痛がひどくなる。

 

(何で....また!?)

 

必死に頭を抑える。

そして女性は写真の一人の女の子を指をさした。

 

「この写真を撮ってる子が、うちの娘です」

 

そうやって指したのは、笑っている私。

それが最後に見た光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは....?」

 

目を開けると、綺麗な青空だった。

まるで、どこまで飛んでいけるようなそんな空だった。

ゆっくりと体を上げ、あたりを見回す。

そして驚愕する。

 

「えっ、何....これ?」

 

空は一面の青空。

地面は湖の水面のように、空を反射していた。

不思議なことに、私が地面に触れている場所は何故か濡れていない。

そして、そんな光景に存在する目の前の"異物"

 

私の目の前にあったのは、五つの扉。

真ん中の扉は他四つの扉よりサイズが大きかった。

 

そして真ん中を含めた四つの扉は鎖が巻かれていたが、

一番左の扉は鎖が外れていた。

 

「どうなってるの....?」

 

状況がつかめず、困惑していたその時だった。

 

 

『ようこそ、ここは君の心の中』

 

「!?」

 

突然背後から話し掛けられ、慌てて振り返る。

そこに居たのは、ヒーロー物?のお面を被った、白いローブを纏っている人物がいた。

 

「えっ、誰!?」

 

その言葉に目の前の人は反応せず、言葉を紡いだ。

 

 

『さあ、君の記憶を取り戻そう』

 




今回の話から、徐々に亡くした記憶へと近づいていきます。
一応この小説は、夏には終わる予定ですので、それまでお付き合い頂けると幸いです。

そしてもう一つ、自分の小説の世界観?(非科学的なこと)をちょっと出してみました。
お気に召したら幸いです。

それでは次のお話でお会いしましょう。

(週二投稿は疲れるのです)

もう一つの小説

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