Amnesia Ghost   作:ワッタン2906

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どうも、ワッタンです。
さて、こっちも今日は同時刻更新です。
どちらかというと、今回はこっちの方に執筆時間持ってかれたね(笑)

それでは、第六話をどうぞ!!


第六話 記憶の歯車

「記憶を....取り戻す....?」

 

『うん、そう。 君が幽霊になる前の記憶をね』

 

男か女か判別がつかない、声を響かせながら目の前の人物はそう言った。

 

気が付いたら不思議な場所に居て、

そして白いローブを纏ったヒーロー物の仮面をつけた人物が、幽霊になった時に失った自分の記憶に関して何かを言ってきている、この状況。

 

ここに自分以外の人が、この状況を体験するならば絶対に私と同じ反応をするだろう。

 

(いや、どう考えても怪しいでしょ....)

 

この状況と、目の前の得体の知れない人物についての認識を思案していると、

その件の相手から再び声を掛けられた。

 

『あ、安心して。わた....ボクは怪しい人物じゃないよ』

 

「いや、十分に怪しいです」

 

そう言われるも、一応警戒しつつ言葉を変えす。

 

『わあ、心外だねー、....まあ、無理もないか。それでどうするの?記憶を取り戻すかどうかは、君次第だよ』

 

「.......」

 

私に微笑を向けながらそう言った。

こうして一言、二言、話してみた感じ、言葉が軽い、胡散臭さはあるものの、別に私に危害を加えてくるような感じもしていない。

そして、

この目の前の人物と話しているとなぜだろうか、安心感がこみ上げてくる。

そんな風に感じた。

 

 

───不思議な人。

 

いままでの言動から総括して、私はこの人物についてそう結論付けた。

それに私の記憶について知ってて、「取り戻す」という言葉を使ってる以上、もしかしたら失った原因についても何か知ってる可能性が高い...、でもその前に、

 

 

「...それは、取り戻したいに決まってますけど...というかこの場所ってどこなんですか?」

 

その前に、目覚めてからの疑問。

「この場所はどこか」について尋ねた。

このような場所は全然知らない。

 

 

『ああ、そうかまだ説明してなかったね。....ここはそうだね。』

 

そう言うと、空を見上げる。

私もつられて、空を見上げた。

映ったのは目覚めた時と同じ、どこまでも澄み切ってる青空だった。

 

『....ここは、強いて言うなら君の深層心理、君が経験したことや見たこと、が集まってる場所とでも言おうかな、そしてあれが....』

 

そう言うと、目の前の人物は目線を元に戻し、

奥にある五つの扉を指差した。

 

『あれが、君の失った記憶。正確にはあの扉は君が経験したことを格納している場所かな』

 

「あの、扉が.....でも、四つの扉は閉ざされてますよ? ええと....」

 

扉について質問を返そうとするが、相手の名前が分からず詰まってしまう。

あたふたしていると、「ふっ」と少し笑った。

 

『ああ、まだ名前教えてなかったね。うーん....「アヤカ」それが私の名前だよ』

 

「「アヤカ」さん?」

 

アヤカ....ということなら、女性なのだろうか。

だんだんと頭の中で人物像が更新されていく。

 

『普通に敬語じゃなくてもいいよ、で扉が閉ざされてる理由は、まだ君が思い出すきっかけに遭遇してないから』

 

「思い出す......キッカケ......っ!!」

 

そう呟いたとき、頭に激痛が走る。

たまらず、その場へと座り込んだ。

 

(頭が...、思い出すキッカケって....何なの... 希......月君......)

 

『....キッカケが思い出せてないようだね』

 

心の中で、唯一私が見える人の名を叫ぶが、彼はここには居ない。

苦痛で動けないまま、その場で痛みに耐えていると、急に温もりに包まれた。

 

『大丈夫だよ、痛くない』

 

耳元で囁かれる声。

そう言いながら、その声の持ち主は私の背中を優しくさすってくれる。

「アヤカ」だった。

 

『その痛みは、君が記憶を思い出そうとしてる証拠。......だけど、記憶はあの扉の中に一人で行かない限り、思い出せない。恐らくあの扉に入ると痛みがまたくるだろうけど......』

 

アヤカはそう言うと、背中の手を私の肩にしっかりと手を置いた。

肩に手を置かれ、反射的に顔を上げる。

お面越しでアヤカと視線がぶつかる。

 

『大丈夫、君はきっと思い出せる』

 

芯の通った声。

お面越しではあるが、真剣な目で見つめられる。

まだ会って間もないけど、今この瞬間だけは、

彼女の言葉を信じる理由には、十分だった。

 

「....分かった。 あの扉に入るよ」

 

 

 

 

鎖が外れた一番左の扉へと立つ。

近づいて分かる。

この扉の奥は明らかに、この場所と雰囲気が明らかに違うことを。

アヤカの方へと振り向く。

 

『扉を開けたら、ひたすら奥に進んで。その先に君の記憶がある』

 

「うん、分かった」

 

扉に手をかける。

手のひらから、冷たい温度が感じ取れる。

そしてアヤカの方にもう一回向き直る。

 

「じゃあ、行ってくるよ」

 

『うん、いってらっしゃい』

 

そう告げ、扉を開き中へと入った。

 

『....頑張って、沙綾』

 

その声は、閉められた扉に阻まれ、

私には聞こえなかった。

 

──────────────────────

 

扉の中は暗闇だった。

進めど、進めど暗闇だった。

だけど、アヤカの言葉を信じて進む。

そして直感的に奥に辿り着いたと悟った時.....それは、あった。

 

「これ....は?」

 

進んでいると、机が現れた。

そしてその上に、黄色の水晶が置かれてあった。

 

「黄色の水晶?」

 

反射的に水晶に触る前に、顔を寄せてじっくりと見る。

黄色...といっても、純正の黄色ではなく、まるでレモネードのような色だった。

そして水晶の中に何かの靄が見えた。

 

「何だろ、この靄?」

 

数十秒間じっくりと水晶を見つめた後、

意を決して、その水晶を持ち上げたその瞬間、

 

 

視界が白に塗りつぶされた。

手に取った水晶が、持った瞬間、光を放ちだした。

 

(何これ!? 眩しっ....)

 

この場所の闇を全て晴らす様に、光続けた。

そして光が晴れた瞬間、

私は、

 

「....え!! 何処!? 」

 

どこかの芝生の上に居た。

 

──────────────────────

 

辺りを見回す。

見回すと、制服をきた女子生徒達が見える。

そしてよく見ると、大きな建物が見える。

ということは....、

 

「ここは、学校なのかな? でもどうして、こんな所に」

 

辺りを見回していると、生徒達が掲示板に集まる姿が目に入る。

その姿を目にした時、私は気づいた。

 

(この風景って、もしかして.....希月君が言ってた夢?)

 

この光景は、希月君が見たという夢の内容と酷似していた。

 

(えーと、何て言ってたけ、希月君)

 

彼が見た夢の内容を思い出そうとしたその時だった。

視界の端に、周りと同じ制服を着た髪型をポニーテールに纏めた少女が映る。

 

その姿は、私だった。

(あれって、わた....し?......っ!!)

 

 

その瞬間、頭に激痛が走る。

 

(頭....が....!!)

 

再び襲う頭の痛み。

だけど今回は歯を食いしばって、地面に落ちるのを耐える。

今ここで、私の姿を見逃したら、もう二度と思い出せなくなる、そんな気がしたからだ。

私は、私の後を追う。

 

 

ポニーテールに纏めてる私は、周りと同じように掲示板の方を見ている。

とそんな中、隣の生徒とぶつかった。

 

「あ、ゴメン」

 

制服を着た私は、その生徒にぶつかったことを謝っていた。

私は自分から目をそらし、ぶつかってきた隣の生徒を改めて見た。

 

(猫耳?)

 

その生徒は、髪型を猫耳みたいな感じでまとめていた。

そして前髪は、星の形のヘアピンでまとめていた。

 

謝った私は、再び掲示板に目を通していた。

 

「いい匂い......」

 

猫耳の生徒が、

隣に居た私に向かって呟く。

 

「えっ!?」

 

「すっごい、いい匂いした。パンの!!」

 

(パンの....匂い?) 

 

生徒が呟いた言葉に疑問を持つ。

その疑問に何かが思い出せそうが、思い出せない。

脳内に頭の痛みが断続的に響く。

 

猫耳の生徒がそう言った直後、その子からおなかが鳴る。

それを聞いた、私は、顔に笑みを浮かべながら飴を取り出していた。

 

「ああ。 うち、パン屋だからね。いる?パンじゃないけど」

 

「いいの!! ありがとう!! ねえ、何組!?」

 

「A組だよ」

 

「ホント!? どこどこ」

 

猫耳の生徒は、掲示板に目線を移す。

そこで、今のこの状況に気づく。

 

(もし.....かして、入学式...?)

 

だとしたら、生徒が掲示板を見ているのにも納得がいく。

だとしたら....私の名前があの掲示板に....?

そう思った刹那、

 

 

 

錆ついていた(忘れていた)歯車が始め、

運命(記憶)を思い出す。

 

『私は、()()()()だよ』

 

(えっ....)

 

 

 

それを聞いた瞬間、今までの比じゃないほど激痛が走る。

文字通り、頭が割れるほどの痛み。

 

(う゛ぅッ.....頭が....!!)

 

今回は耐えることなど、到底できない。

地面に手をつく。

そして頭の中に響くは私の声。

 

(山吹....沙綾...それが私の名前?)

 

自問自答を痛みの中で繰り返す。

痛みで意識を失わないように、強く、強く、

そして、固く閉ざされていた扉は開かれた。

 

 

『さーやって、カフェは好き-?』

パーカーを着た女の子が私に尋ねてくる。

 

──わた...しは...

 

 

『さーや、宿題手伝って!!』

髪色がオレンジの子から、頼まれる。

 

──わた...しの...なま..えは

 

 

『沙綾はどこで働いてみたい?』

髪を伸ばした、ストイックそうな女の子に、

 

『ありがとう、沙綾ちゃん』

おっとりそうな女の子に、お礼を言われ、

 

『お、今の所、いい感じじゃねーか? なあ、沙綾』

ツインテールの女の子に褒められる。

 

回想の中で見覚えがない彼女達に話しかけられる。

忘れてるだけで、みんな知り合いだ。

そんな気がする。

 

 

そして、回想の中に猫耳の少女が出てくる。

その瞬間だった。

痛みが治まり、涙が溢れる。

動き始めた歯車が、私に思い出させた。

経験したことはまだ思い出せないけど、

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

──ああ、思い出した。私の名前は...

 

──私は、....

 

猫耳の女の子が、光の中から私に手を差し伸べてくる。

『──やろうよ、さーや(沙綾)!! 』

 

 

 

──私は、山吹沙綾だ。




さーて、異端作品とは言ったけど、これはさらに異端になってきたねー。
ただ作者はこういう小説は大好物です。

実は今回この話のタイトルに若干納得いってないんですよね。
タイトルセンス欲しいな.....。

それでは、今回もお読みいただきありがとうございました。
感想、評価等貰えると凄くやる気出るので、是非とも清き一票を。(二回目)

では、次のお話でお会いしましょう。

(GWって毎日投稿した方が良いのかな?)

祝!! 同時刻更新!!

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