GWに投稿できなくて済みませんでした。
Twitterを見てくれた人なら分かると思いますが、ホントに色々とあったんです。
今年のGWは色んな意味で大変でした。
とまあ、そんなことはさておき、
第七話をどうぞ!!
『あ、帰って来たんだね』
「...うん、ただいま」
気が付くと、私はあの不思議な空間へと戻っていた。
涙はもう出ていない。
頭の痛さも今は収まっていた。
そして不思議と体が軽いように感じる。
『それで、記憶は思い出せた?』
アヤカはそう尋ねてくる。
彼女はというと、私が扉に入る前には絶対なかった、椅子に座っていた。
そしてその前に机が置かれ、その上には飲みかけのティーカップが置かれている。
「....思い出せたよ。私の情報だけね」
『情報....ということは、経験したこととかは思い出せていないってことかな?』
「うん」
『そっか、じゃあ残りがあの扉の向こうにあるんだね』
そう言いながら、アヤカは扉の方へと目線を移した。
私も釣られて、扉の方に目線を向ける。
そこには明確な変化があった。
私が入ったのは一番左の扉。
それ以外の扉は相変わらず、鎖が扉に巻かれていて入れなくなっている。
だけど入った扉は、入る前と変わって中から光が溢れ、扉が開いたままになっていた。
『....順調かな』
「えっ? 何か言った?」
『いや、ただの独り言だよ。それより....』
と、アヤカがそこまで喋った時だった。
この空間全体が震えた。
「なっ.....きゃあっ!!」
悲鳴を上げ、
その場に膝をつき、体が倒れないように支える。
そしてアヤカの方を見るために視線を上げると、驚愕した。
「なっ?空がっ!?」
この不思議な空間の空が────崩れ始めた。
青空がパズルのピースのように崩れ落ちる。
『大丈夫だよ、沙綾。』
「アヤカ!?」
アヤカはこの地響きなど、何ともないように私の前で立っていた。
『これは恐らく君が、現実世界で目覚めようとしている証拠だよ』
「えっ、それって....って体が!!」
そこまで話していると、更に驚愕する現象が起こる。
急に私の体が崩れている空の上に向けて体が浮いていく。
『大丈夫だよ、本来君は此処に居ては.....いや、キッカケがないと此処に居てはいけない場所。だからその現象も目覚めようとしている証拠だよ』
「何を....言って....」
アヤカが何か言っているが、そうこうしているうちに私と地面の差は、五メートル以上離れている。
足をジタバタさえ浮くのを抗おうとするが、全くの無意味だった。
それどころか浮くスピードは上がっている。
もう時間の問題だ。
私はもう結構離れているアヤカに叫ぶ。
「色々とありがとう!! また来るね!!」
『───て、───よ!!』
アヤカの声は聞こえなかった。
そしてそのまま私は浮いていき意識を失った。
──────────────────────
『はっ!! 』
意識が覚醒する。
視界に映ったのは夕焼けの空。
そして感じたのは背中の硬さ。
どうやら、私は寝ている態勢らしい。
目覚めると同時に荒い息を繰り返す。
(戻って....きた?)
「お、ようやく起きたか」
その声を聞いて安心する。
『...うん、...ごめんね、迷惑かけて』
「まあ、あそこで倒れた時は正直焦った」
荒い息を整えていると、
私の頭上から声が聞こえてきた。
意識を失う前に覚えているのは店の中で倒れる自分。
だけど、今私がいるのは完全に屋外だ。
きっと彼がここまで運んできてくれたのだろう。
上体を起こし、声の主の方へと顔を向ける。
そこには、ちょうどパンを食べ終えている希月君が居た。
『ねえ、私ってどれくらい寝てたの?』
気になったので聞いてみる。
「うーん、....三十分も経ってないかな。 それより、大丈夫か? 体調は?」
『ああ、うん。それはもう大丈夫』
「それなら良かった」
どうやら、私があの場所で過ごした時間は、現実の世界での時間の流れ方は同じらしい。
体感的にあの不思議な空間に居たのは、三十分くらいだと思う。
そうあれは、さっきの出来事は夢ではない。
(覚えてる....ちゃんと、私の名前は....)
そのこと裏付けるように、さっきの出来事は覚えている。
勿論、思い出した自分自身のことも。
『....ねえ、希月君。ちょっといい?』
そう言うと、彼は不思議そうな顔をした。
──────────────────────
『ちょっといい?』とさあやに言われ頷いた直後、
彼女が体験した夢のような出来事....そして思い出したという記憶を聞かされた。
普通の人だったら、鼻で笑うような内容だろう。
だけど、俺は笑えなかった。
幽霊が見えるという非現実的な経験をしたからともあるけど、
なにより、
自分が見た夢の内容が沙綾の記憶ということに驚愕していた。
「....それ、ほんと?」
『うん、本当にあったことだよ、私は少しだけど記憶を思い出してるよ』
俺の言葉に、彼女は頷き返す。
そんな沙綾に矢継ぎ早に言葉を投げかける。
「えーと、つまり要約すると沙綾が気絶した時に居た場所は、おそらく沙綾自身の深層心理」
『うん』
「んで、その場所には『アヤカ』っていう子がいた.....」
『うん』
「そのアヤカから記憶のことを聞かされて、その言葉を信じて、沙綾はそこにあった扉に入って記憶を取り戻したと....」
『うん、全部じゃないけどね』
沙綾が体験した事について、
自分の理解のために尋ねると彼女はその全てを肯定した。
改めてその内容を脳内で咀嚼していると、
今度は彼女から話しかけられた。
『....私だって信じられないけどさ、これだけは言えるよ』
沙綾はそういうと目線を空の方へと向ける。
俺はそのまま空を見ている彼女を見つめる。
彼女が見ているその空の色は、夢の中で見たものと同じような色だろうか。
俺には分からない。
『....『アヤカ』は悪い人じゃないと思う、そして私は少なくともあの場所に.....後、四回は行くと思う』
その意見には俺も同意する。
あと、四回。
その数は、きっとその不思議な場所にあったという扉の数から推測したのだろう。
「....うん、それは俺も思う」
『だからさ、希月君。勝手で悪いけどね.....』
そう言うと、沙綾は目線を空からそらし、俺の方へと向く。
薄く青がかかった瞳で真剣に見つめてくる、だけどその顔は困ったように笑っていた。
『....私の記憶を...取り戻す手伝いしてくれないかな?』
彼女の目をジッと見つめる。
.....答えは決まっている。
まだ、彼女とは知り合って短い仲だけど、目の前で困っているのなら、
出来るだけ俺は手を差し伸べる。
あの日からそう決めている。
「.....分かった。沙綾の記憶を取り戻すのを手伝うよ」
『え、いいの?』
そう答えると、沙綾が驚いた声を出した。
もしかして自分が断ると思っていたのだろうか。
そんな彼女に苦笑してしまう。
「良いも何も、沙綾は断って欲しかったの?」
そんな俺の言葉に、彼女は首をブンブンと降った。
『いやいや、思ってない、思ってない。....ただ迷惑かなぁと』
「....あのな、別に沙綾の事を迷惑だとは思ってないよ」
『....ホントに?』
「ホントです、何なら神様にも誓っていい」
『.....』
沙綾が黙ってしまう。
確かに、最初に病院で見かけたときは、
あまり良い気持ちではなかったとおもう。
でも、知り合った今となってはそんな事はない。
そんな事を考えていると、閉じてしまった口を彼女は開いた。
『....うん、分かった....ありがとね、希月君』
彼女はそう言いながら、笑った。
その顔はさっきと違って、安心したような笑顔だった。
そんな彼女に手を差し出す。
『えっと....これは何?』
「うーん、自己紹介.....かな?」
前々から決めていた。
さあやの名前が分かった時には改めて彼女の名前を....
俺を助けてくれた彼女の名前を呼ぼうと。
そしてもう一つ、これは凡人なりの俺の誓いだ。
俺を助けてくれたことの恩返し。
「ようやくさあやの名前を知れたからな」
『ああ、なるほど!!』
沙綾は納得したように頷く。
そして、
「うん、じゃあ改めて.....山吹沙綾さん。 君の記憶を取り戻そう」
『あはは、自己紹介なのに名前言ってないじゃん』
そう彼女は笑う。
俺の言った言葉に対する返事は、手のひらに感じた冷たい感触。
その温度は、とても心地よかった。
さて、重大なお知らせです。
この度実は新しい小説を書き始めました。
そしてしばらくは、その小説を優先的に進めていきます。
なので、
週週一投稿で、
新作+Memory or Ghost
をすると思われるので、誠に身勝手ですがご理解の程よろしくお願いします。
それでは、今回もお読みいただきありがとうございました。
感想、評価等貰えると凄くやる気出るので、是非とも清き一票を。
では、次のお話でお会いしましょう。
(ウマ娘の沼に両膝入ってます)
来週更新予定
新作
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