秋桜が咲く頃に   作:AKI1500guri

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数ある二次創作を見て、自分もと思った次第であります。

文才の問題により、多々お見苦しい所があると思います。

暇つぶし程度に眺めていただければ幸いです。

では、よろしくお願いします。


第一話 劣等感

「______もうだめだよ、だめだ」

 

そう言って出雲秋明は倒れた。度重なる鍛錬と、自分への諦めのためである。

 

「なんじゃ情けない。あと少しじゃ、頑張りんさい。」

 

秋明の育て親であり、師範である祖鬼の堅剛はため息混じりに、しかしどこか愉快そうに言った。

 

「なんでじいちゃんそんなに強いのに我こんなに弱いんかなぁ。」

 

「…安心せい、わしが強くするでな。これが終わったら買い出しにと雅が言っておった。これも鍛錬じゃ。行ってきなさい。」

 

鍛錬を終えた秋明は東北妖怪団の里からかなり離れた家から渋々向かった。

里につき、店まで歩いていると周りの妖怪たちが避け、ひそひそとこちらを見ながら話している。いつものことだと平気な顔をして歩いていく秋明にどこからか飛んできた石が当たった。

 

「弱い奴なんかいなくなれ!」

「人間みたいなお前はいらないんだ!」

 

つい拳を握って睨んでしまう。

そう、秋明は妖怪というにはあまりに弱く、そして人間寄りの容貌をしていたのである

 

(わかってるよ、んなこと)

 

そして店に着いた秋明は頼まれたものを次々とカゴに入れ、買い物を進めていく。

ここの店は秋明が追い払われない唯一と言っていいほどの店である。

 

「おや、秋明じゃないか。ご苦労様。また堅剛さんにしごかれてきたか。」

 

店主の筋骨隆々の祖鬼が声をかけてきた。その声には先程のような嘲りのような感じは一切感じられない

 

「おっちゃん、会計お願い。…我が弱いからダメなんだ、じいちゃんはこんな我でも稽古をつけてくれるんだ、ありがたいよ。」

 

「いや、お金はいらないよ、秋明。堅剛さんには返したくても返せないほどのものを貰ったんだ。まあ、頑張んな、辛くなったらいつでもきていいからな。」

 

「ありがとう。じゃあまた。」

 

店を出た秋明は出来るだけ妖怪がいない道を選んで家に帰っていた。すると突然「秋明」

と声をかけられた。

 

「はぁ…はぁ…は、速いよ秋明」

 

そこには里で秋明が気を許した友達の1人、アマビエの彩が息を乱していた。

 

「彩じゃないか、どうした、何か用?」

 

「見てたぞ、また散々なこと言われてたじゃないか。なんで毎回言い返さないんだ。僕の方がイライラしてきちゃったよ。」

 

「…事実だからしょうがないだろ。堅剛さんに鍛えてもらっても、つくのは悪態とため息くらいだよ。」

 

「それでもだよ、僕は頑張ってるという言葉では足りないほど一所懸命な秋明を知ってるもの。」

 

「…ありがとう。その言葉でまた頑張れるよ。そろそろ我も帰らないといけないから、じゃあね。」

 

「…うん、じゃあね。またお話ししようね。」

 

少し軽くなった気持ちと買ったものを持って家の戸を開けると、殺伐とした雰囲気になっているじいちゃんとばあちゃんを見てため息をついた。

 

「あんたねェ、あそこまで秋明を追い込んでどうするつもりだい?あの綺麗な顔に傷でも着いたらその四肢無くなると思いな…。」

 

「いや、聞いてくれ雅、前々から言っているが、秋明を強くするためにはしょうがないんじゃ。秋明が格好よくなると思って勘弁してくれんか。」

 

「…あぁ、あの秋明が身長も伸びて体ができてきたら…はぁ、あたし直視できないかも…。」

 

(また我のことで喧嘩してるよ、ばあちゃんの一方的なものだけど…。はぁ、我が弱いのがいけないんだけどなぁ。まあ、心配してくれることは嬉しいことだな。)

 

「帰ったよ、じいちゃん、ばあちゃん。」

 

「おう(あら)、お帰り。」

 

我はこのあったかい場所が大好きだ。ずっとこうして過ごしていたい。僕は妖怪でよかった。そう思っていたんだ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ある日、堅剛から東北妖怪団の棟梁である祖鬼の頑国さんに届け物を頼まれた秋明は、里に行くことになった。

頑国と堅剛は幼馴染であり、江戸時代の終わりに起こった妖怪大戦争を背中を預けて戦った戦友でもあるのだ。

そのせいもあり、頑国は秋明をかわいがってくれているのである。

 

里に行くと、毎度のように避けられる。聞こえる声に嫌気がさしながら頑国のもとへ歩いて行った。

 

「頑国さ〜ん、じいちゃんから届け物で〜す。」

 

家の前でノックと共に用件を言い、誰か出てくるのを待っていると

 

「秋明く〜ん」

 

そう言って飛びついてきたのは頑国の娘の凛華。

活発で優しく、誰にでも分け隔てなく接する彼女は里の中でも上位に入るほど強い。

強さが重要なこの社会では強い女性はより魅力的なのである。

そのため、彼女に言い寄る男性は多い。

ただ、全てこっぴどく振っているようである。

 

「や、やめてくれ凛華。恥ずかしいから!」

 

「もう〜、全然会えないんだからいいじゃない〜。かわいい秋明を満喫したいの。」

 

「はあ、頑国さんいる?届け物あるんだけど。」

 

「了解了解!おとうさーん、秋明くんが用事があr「秋明〜ッ!」」

 

そう言って出てきた頑国は棟梁とは思えないほど顔と雰囲気が緩みきっており、威厳も何も感じないほどである。

 

「どうした〜。私に何か用かね?」

 

「じいちゃんから、はいこれ、中身は知らんけど渡してこいって。」

 

「おお、ありがとうな。どうだ?今日は泊まっていかんか?いつもすぐ帰ってしまうだろ?」

 

「いや、稽古があるからね、気持ちだけ受け取っておくよ、ありがとう。」

 

「ええ〜、秋明くん泊まっていかないの〜?もっと一緖にいたいのになぁ〜。」

 

「凛華は人気者なんだから我なんかと一緒にいたりしたらダメだよ、もっと強い奴なんか余るほどいるんだから…。そういうことで頑国さん、お仕事頑張ってくださいね。じゃっ。」

 

そう言って走り去って行く秋明の背中を見つめる

 

(秋明くん。私は強さじゃなくてその優しさがいいの。)

 

前と同じように目につかないところを選んで帰っていると、珍しく声が聞こえてきたので、少し驚き、耳を傾けてしまった。

 

「あの弱虫が頑国さんの所に行ったんだってよ。」

「弱いだけのあいつに頑国さんが優しくする理由がわかんないな。あと凛華さんにも気に入られてるし、俺たちが喋りかけてもそっけないのに。」

 

いつもの悪口かと半ば呆れながら帰ろうとすると、ある言葉が耳に入り、体が固まってしまった。

 

「はっきり聞いたわけではないけど、あいつマジの人間かもしれないぜ」

「は?どこの情報よ、それ」

「親父たちが話してたのを小耳にはさんだんだ、確かめようとしてもなぜかはぐらかされんだけどもよ。」

「信憑性あるな、みんなに広めてやろうぜ」

 

その会話を聞いた時、普段はなんとも思わないのだが、妙に納得してしまった自分がいた。

みんなの様に強くならない身体、人に似た見た目、角や尻尾、嘴などの特徴のある部位もない。

 

なぜ、なぜ、なぜ、なぜ?

 

気づいたら家の前に着いていた。我の頭にはその確認のことしか頭になかった。

家に帰ると、じいちゃんしかいなかった。

 

「なんじゃ、帰ったのか秋明。おかえり。」

 

「じいちゃん、我、聞きたいことがあるんだ」

 

「どうした?いつになく真剣な顔をして。」

 

「嘘偽り無く話してくれ、じいちゃん。我は人間なのか?」

 

堅剛は目を見開き、いつもの気怠そうな雰囲気はなく、気持ちの悪い、ひどく圧迫感のある沈黙が秋明たちを包んだ。

 

「………なぜそう思ったのじゃ」

 

「里の奴らの親が言ってたらしいんだ。それにそのことに妙に納得してしまった自分がいる。だからだ。」

 

「………お前を拾った時、妖怪は皆持っているであろう妖力というものが感じられなかった。幼少の頃はわからないほど少ない奴もおるからの…そのうち感じられるほど多くなってくるだろうと思っとった。」

 

目を瞑り、眉間に皺を寄せて重々しく語るその言葉を一言一句聞き逃すまいと、そして語り終わるまで何も言うまいと秋明は思った。

 

「5、6年経つ頃には絶対と言うほどあるものじゃ。今年12になったお前にはそれは望めん。自分でもわかってるじゃろうて。…この際正直に言おう。お前は人間じゃ。わしらは言う機会を見定めているうちに、機会を逃してしまった。勇気を出せんかったわしを許してくれ。すまんかった。」

 

そう言って黙り込んだ堅剛と秋明の間にまた深い沈黙が訪れた。

その時、秋明は自分の感情を整理できていなかった。

自分の弱さへの理解と裏切られたという悲しみと怒り、そして自身の未来への不安と絶望が入り混じり、気づくと家を飛び出し、山の中へ駆け出して行った。

 

(悪かったのう、秋明。わしには追う資格もない、人里に戻るならわしは止めはせん。)

 

堅剛は俯き、いつもは感じない身体の重さに身を委ねていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ハァッハァッハァッハァッハァッ

 

森の中に響く呼吸音。

 

日が暮れていたことに気がつく。

 

逃げ出したことに疑問を覚える。

 

疲れと空腹と絡まった感情によって座り込んでしまう。

 

ひどい眠気だ

 

このままだと人間の我は死んでしまう

 

まあ、それでも、いいかな

 

 

そう言って意識を落とした。

 

 

 

 

「…おや、珍しい。人間の子だ。」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

薪拾いを終えて我が家に帰ってきた雅は夫の普段では有り得ない様子にただならぬ気配を感じ、また、日が暮れて帰ってきていない秋明のことに気がつき、堅剛に飛びついた。

 

「あんた…秋明はどうしたんだい⁉︎稽古は⁉︎秋明は、秋明はどこだい⁉︎」

 

堅剛の胸倉を掴み、容赦なく前後に揺さぶる。されるがままの堅剛は、俯いたままぽつりぽつりと言葉を繋いだ。

 

「秋明は…自分が人間ではないのかと言ってきたんじゃ。…いつか言わねばならんことを今日言っただけじゃ。わしらには待つことしかできぬ。帰ってくることを願うことしかできぬのじゃ。」

 

雅は堅剛の言葉に大体のことを察した。

秋明は耐えられずに逃げ出したのだ。

ひたむきな子だった。

正義感の強い子だった。

そんな子を裏切ってしまっていたんだと改めて理解する。

そして、せめて帰ってきた時、いつものように迎えられる様にしておこう。

 

そう思い、静かに夕食の準備を始めた。




どうでしたでしょうか。

少しづつ頑張っていきたいと思います。

では、また。
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