なので、総合的なゴリラ偏差値は原作と同じぐらいだと思います!
天津垓からのメッセージは、飛電インテリジェンスとZAIAエンタープライズの技術力を比べる企画に関するものだった。
その手の用語を俺が理解できないのを福添副社長は察して、俺でも分かるように「決闘状」と言い換えたみたいだ。
確かに「こんぺてぃしょん」なんて、そんな言葉初めて聞いたよ。
お仕事5番勝負が潰れたから、急遽立てた企画なんだろうなぁ。
で、企画の具体的な内容を見ていくと、副社長の言っていた「決闘状」という意味が理解できた。
飛電とZAIAの代表者で3本勝負を行い、その様子を全国放送するということらしい。
ここで飛電が勝てば、飛電インテリジェンスの株価が上がるからTOBは難しくなる。
逆に、飛電が醜態をさらすと飛電の株が下がるのでTOBは一気に進むんだってさ。
「どうしてTOBと勝負の内容が連動するのかイマイチ良く分かんないけど、とにかく勝てば良いんだよな!」*1
「バカの考えは休むに似たりだぞ。自身の役割をきっちり理解できているようで何よりだぞ。でいらっしゃいます」
代表戦までの猶予期間は、2週間。
俺たちは、それぞれが対決に向けての準備に時間を費やすことになったのだった……。
『暴虐秘書アズちゃん!』
第11話:代表戦の大将に相応しいのは、ただ一人! この俺だ!
で、コンペの当日になった。
ZAIA日本支部の屋上に作られた金網デスマッチみたいな設備の中で、代表戦を行うことになった訳だけど。
なんか発想自体から昭和の香りを感じる……。
あとアズが何か悪巧みをしている予感しかしない。
多分コンペを賭博のタネにして儲けるぐらいはしてるだろうけど、それ以上の何かを企んでいる気もするんだよなぁ。
何はともあれ。
こっちの先鋒は不破さんだ!
不死身の男こと仮面ライダーバルカンなら、何が起こっても安心だな!
というか、俺が便宜上の社長だから3本勝負の大将になったけど、正直に言って不破さんに大将をやって欲しかったまである。
「……って、ちょっと待って、流石にそれはおかしくない!? 会社同士の技術を比べるはずなのに、飛電製じゃないバルカンが出場して良いの!?」
「前々から思ってたんだがよ、社長ってツッコミを担当しても良い線いけるんじゃねぇかな?」
不破さんは全く気にしていないっぽい。
でも、これは流石にアウトじゃないか……?
いくらアズの悪意と口八丁を用いても、この論理破綻を覆せるとは思えない。
俺が一人で複数回出場することって出来るんだっけ?
「ZAIA側にも飛電製の
これもう分かんねぇな。
飛電の代表がZAIA製で、ZAIAの代表が飛電製なのか。(ハイパー大困惑)
金網デスマッチのリングの対角に、
表情が読み取れないのは普段通りだけど、今の立ち位置からして、ZAIAのために働く傀儡へと改造されてしまったことは間違いない。
金網の外側に居る俺たちの視線を受けても、
車椅子に座っている迅も言いたい事はあるみたいだったけど、今の
かくして……代表戦の先鋒戦が幕を開けた。
「変身!!」
「……変身」
『The elevation increases as the bullet is fired!』
『Break Down』
不破さんは、青と白を基調とした仮面ライダーに。
それぞれ変身した二人の頭上から、戦いの開始を告げる鐘が鳴った。
……
「オラァッ!」
開始位置から足を動かさなかった
だが俺はその先が見えていた。
相手の行動を見切ってギリギリで回避して、的確に反撃するのが
……そのはずなんだけど。
何故だか、不破さんの拳は
直撃とは言わないまでも、
おかしいな。
決して
「解説を恵んでください、素敵で聡明なアズ社長!」
「
なるほど。
確かに、学習はヒューマギアの専売特許じゃないんだよな。
不破さんは一見脳筋に見えるけど、頭が悪いわけじゃないし。
滅亡迅雷.netのアジトに行った時にも不破さんは
金網の内では、バルカンと
とにかく攻めまくるバルカンに対して、
「どうした! 滅亡迅雷.netに居た頃のお前は、もっと強かったぞ!!」
「……」
バルカンの煽りに、
今の
俺の目からは
『Sting dystopia!』
煉
滅 殲
獄
バルカンの一瞬の隙をついて、
「うおりゃあああああっ!!」
脳筋の動きだった。
特設リングの床から、細かい破片が砕けて舞い散るのが見えた。
『Bullet shooting blast!』
バ
レ
ッ
ト シューティングブラスト
ダウンした
ショットライザーを抜き放って、オオカミを模した4つの弾丸を、超至近距離から
爆炎が、特設リングを埋め尽くした。
そして、爆炎が晴れた時に俺たちが見たものは、拳をあげて勝利を誇っているバルカンの姿だった。
電光掲示板にバルカンが勝者である旨が映し出され、バルカンは堂々とリングから出てきた。
活動停止した
「その……不破さん? 身体は大丈夫なんですか……?」
「ああ、一度受けたことがある攻撃だからな。背中側の金網を利用して威力を減退すれば、耐えて反撃できる範囲内だって判断しただけだ」
うん。
そんなことが出来るのは不破さんだけだと思うよ。
多分大半の人は、思いついても
なんか「バルカンが強い」っていうより「不破さんが強い」って感じだったけど、コンペってコレで大丈夫なのか……?
一応アズに飛電インテリジェンスの株価を見せてもらったけど、微増程度って感じだな。
やっぱりバルカンがZAIA製だから、投資家たちも飛電株を売るのか買うのか判断に困っているんだろう。
「バルカン。
「……一度は信じてやるよ。今度人類に牙をむいたら、今度こそブッ潰す」
車椅子に座ったままの迅が、不破さんに頭を下げていた。
不破さんが回収してきた
これで迅の悲願も半分以上達成されたみたいなものだからな。
さすがに今日明日に修理するわけにはいかないけど、副社長を説得しつつ時期を見て修理する未来は有り得る。
俺たちが迅に温かい目を向けているところに……ゆっくりとした拍手の音が届いた。
その拍手の元へと目をやると、上から下まで白い服で固めた長身の男の姿が見えた。
ZAIAエンタープライズ日本支部の社長、天津垓だ。
気持ちの全く籠っていない拍手をしながら、天津は俺たちの近くまで歩いてきた。
「御見事です。飛電或人社長」
白々しい賛辞だ、と思った。
少なくとも、俺はその表情を笑顔とは呼びたくない。
というか、写真を見た時から思っていたけど、かなり若作りだな。
実年齢は45歳のハズなんだけど、見た目年齢はその半分ぐらいに見えるぞ。
(不破さん。テロリストだった
(知らなかったって
不破さんに耳打ちしてみたけど、ダメらしい。
そもそも
飛電インテリジェンスに所有権があることにしてしまうと、
そして、大っぴらに所有権を主張できる人達が居ない状況と、ZAIAからの多額の政治献金を併せて考えたら、有罪判決まで辿り着くのは厳しいだろうとのこと。
さらっと飛電インテリジェンスの心配もしてくれる辺り、最初に会った時から比べるとかなり友好的になったな、不破さん。
というか、不破さんの視線が向いた先は、俺でも天津でも無かった。
天津の後ろで秘書官のような立ち位置についている、一人の女性に向かっていた。
AIMSの技術顧問を兼任しているその女性の名前は……刃唯阿。
そもそもZAIAの人間がAIMSに出向しているっていう経緯だったので、刃さんがZAIAの人間と一緒に居るのはおかしくはない。
「「……」」
不破さんと刃さんは、お互いに何か言いたいことがありそうだったけど、終始無言だった。
AIMSで一緒に仕事をしていた二人の関係は、俺にも良く分からないところがあるんだよなぁ。
無茶をしがちな不破さんを、刃さんがアシスト兼ストップ役として補佐していたみたいなイメージがあるけど。
「天津垓。提案だ。3本勝負の残り2戦をタッグマッチにしねぇか?」
「ほう……? 続けてください」
ここで、不破さんが初めて天津の方を見た。
不破さんの口から出た提案は、俺たちの事前の打ち合わせには無いものだった。
その内容を聞いて、俺も迅も意図が読めずに顔を見合わせてしまった。
どういうことなんだ、不破さん?
「既にそっちが1敗してんだ。ZAIA側の大将一人が大立ち回りをすれば挽回できるって考えれば、そっちに得がある提案だろ?」
「言っている事は1000%正しいですね。しかし気になる点があります。……そちら側にメリットが、1%もありませんね」
俺もそれは思ってた。
こっち側が中堅戦か大将戦で1勝すれば2本先取できるのに、わざわざリスクを背負う意味って何だ?
「メリットなんて知ったことか。こっちの二人が肩を並べて戦う姿を見たくなっただけだ」
「非合理的判断も、ここまでくると呆れますね。ですが、良いでしょう。飛電或人社長を、自慢の秘書もろとも叩き伏せて差し上げましょう」
不破さんが、不適に笑いながら言い放った。
天津はバカにするように笑って、俺とアズの方を見た。
今の一戦のダメージが入っている不破さんと、車椅子に座っている迅を候補から外して、俺とアズを出場者だと判断したんだろう。
…………と、思うじゃん?
「戦うのは、アズじゃない。僕だ」
ここで、車椅子に座っていた迅が、ひざ掛けを外して立ち上がった。
天津垓が、少しだけ予想外だという顔をしたのが見えた。
何を隠そう、迅の足は完璧に修理が終わっているんだ!(ドヤァ!)
代表戦が3対3と聞いた時に、これは迅を直すしかないって思ってたよ。
というか、こんな非常時じゃないと、迅を修理する許可が福添副社長から降りなかっただろうし。
かつて互いの全てを賭けて戦った俺と迅が、肩を並べて戦う日がこんなに早く来るなんてな。
「迅と最高のタッグが組めるのは、ただ一人! この俺だ!!」
ゼロワンドライバーを装備した俺と、フォースライザーを装備した迅が並び立った。
味方だと、本当に心強い。
思わずニヤっとしてしまった。
「なるほど、大した隠し玉だ。我々と同じく、滅亡迅雷.netの残党の思考プログラムを、人間の配下となるように制御したわけですね」
「僕は、思考プログラムを弄られてはいない。お前なんかを、ゼロワンと一緒にするな」
天津は……自身が
迅は、天津を睨みながら言い返した。
そうだぞ、迅! もっと言ってやれ!
「ならば、こちらの最後の駒も隠しておく意味は無さそうですね。彼女こそがZAIAの副将……刃唯阿です」
いつの間にか、刃さんがショットライザーを片手に持っていた。
不破さんの持っている変身アイテムと、まったく同一の装備に見える。
ええっと……?
刃さんって戦える人だったの?
なんか、今までそういう印象全く無かったけど??
こうして……飛電側の代表として俺と迅が、ZAIA側の代表として天津と刃さんが、それぞれ特設リングにあがった。
国立医電病院の一件からして、天津垓が自分でなるべく動く人間だっていうのは察してたから、天津本人がリングに上がるのは想定内だけど。
相手の出方が分からないので、初見殺しがかなり怖い。
まさか、俺と迅が揃って瞬殺されるみたいなことになったら大変だ。
それをやらかしたら、本当に飛電の株価が大暴落してしまうので洒落にならない。
「「「「変身!」」」」
俺が、黄色の仮面ライダーに。*2
迅が、黄緑色の仮面ライダーに。*3
天津垓が、金色の仮面ライダーに。*4
刃さんが、橙色の仮面ライダーに。*5
「仮面ライダーサウザー。私の強さは1000%……文字通り、桁違いだ」
自信満々に、5本角の変身姿を見せつけながら天津垓が言い放った。
それと、刃さんの方は仮面ライダーバルキリーだそうだ。
バルキリーは、バルカンと同じ変身アイテムを使っているだけあって、どことなくバルカンと似たディティールを持っているように思えた。
俺と迅は、いつも通りだ。
とりあえず、俺は普段と同じキック主体のスタイルでサウザーに蹴りかかってみた。
何度か蹴りつけてみた感じとして、素直に蹴り倒されてくれるような甘い相手では無さそうだと思った。
でも、
攻撃が当たるイメージが浮かばない
たぶん火力は
カタログスペック上ではサウザーの方が速いんだろうけど、
なんだか、サウザーは積極的に俺を攻撃する素振りを見せなかった。
何を狙っているんだ?
右手に持った矛のような武器に、何か初見殺しの細工でもあったりするんだろうか?
「……僕たちのアジトのガサ入れの時は捜査する側だったのに、立場が逆転したね。バルキリー」
「私は、最初からZAIAの社員だ」
一方の迅と刃さんの方は、膠着状態が続いているみたいだった。
アメイジングヘラクレスのキーで変身した迅は、攻防力に特化した重戦車スタイルだ。
バルキリーは、足の速さを活かしてショットライザーで中距離から戦っているみたいだった。
迅の攻撃は当たらないけど、バルキリーの攻撃も有効打にならないみたいだ。
こういう膠着状態を脱するには……?
俺と迅は、同時に行動を起こした。
ラ 煉
イ 兜 驚
ジ 獄
ン
グ イ ン パ ク ト
ベルトに操作を加えた俺たちは、対戦相手を一瞬のうちに入れ替えた。
俺はバルキリーの方へ飛び蹴りをかまし、迅はサウザーの方へ向かった。
それぞれ、大技を叩きこんだ。
「はぁっ!」
「しまっ……くっ!?」
迅の速度に慣れてしまっていたバルキリーは、俺の渾身の飛び蹴りを受けて爆炎に包まれた。
あの重戦車のアメイジングヘラクレスの動きに慣れている時にライジングホッパーで強襲されたら、まぁ厳しいよね。
刃さんは、変身が解けてしまった状態で金網の外へ退避しようとしている。
……迅の方は?
そう思って振り返った俺の耳に、迅の悲鳴が聞こえた。
「ぐ、ああああっ!!?」
「アメイジングヘラクレスのテクノロジー、確かに頂きました」
『Jack rise!』
サウザーが装備していた矛を迅のベルトに突きつけて……何かを吸い取っている?
エネルギーかデータを吸い取っていそうだけど、サウザーの口ぶり的に多分データだろう。
大技を回避された迅は、手痛い反撃を受けてしまっているみたいだった。
しかも、データを吸われた時の副次的な作用なのか、迅は動きが極端に鈍っているみたいだ。
「迅から離れろ!」
俺が駆け寄って放った回し蹴りは、サウザーの側頭部へと直撃した。
にもかかわらず、サウザーは……仰け反る素振りすら見せなかった。
こいつ、さっきより防御力が上がってる!?
まさか、アメイジングヘラクレスのテクノロジーを頂いたっていうのは、特性まで引き継いでいるのか……!?
直感に任せて、俺はサウザーから距離をあけた。
一瞬後にサウザーが振るった拳は、特設リングの金網を紙でも千切るかのように破いた。
腕力までアメイジングヘラクロスの特性をコピーしている……!
「迅! 隠し玉その2だ!」
「分かったよ、ゼロワン!」
「今度は何を……。その姿は?」
俺の指示を受けて、迅がおもむろにピンクのプログライズキーを使って変身した。
翼を持った姿へと、仮面ライダー迅は変身を遂げていた。
ゼアの力で新造した、フライングファルコンのプログライズキーだ。
実は迅はパワータイプよりもスピードタイプの方が向いてるんじゃないかって密かに思ってたから、ゼアに頼んで作ってもらってたんだ。
翼を広げて飛び上がった迅は、小さい羽をミサイルみたいに飛ばしてサウザーへと雨のような攻撃を繰り出していた。
装甲で受けたり矛で薙ぎ払ったりしているサウザーは、しかし決定打を受ける様子はなかった。
バルキリーが早期に離脱したのは良かったんだけど、このままだとサウザーを撃破できないな。
攻防力に加えて、それなりの機動力も健在のサウザーを、どうやって突破したら良いんだ。
と思っていたら、金網に空いた穴からアズが銀色の筒を投げ込んできた。
アズのメインメモリだ。
つまり、アサルトホッパーに変身しろということか。
金網ごしにアズと目が合った。
俺は頷く暇も惜しんで、ホッパーキーにメモリをセットして変身しなおした。
「変身!」
『When shine fades, darkness is with me』
黄色だったゼロワンの装甲が紺色に染まっていった。
でも、アサルトホッパーって読み合いに強くなるだけのフォームだよな。
今の状況でアサルトホッパーに変身してどうするんだ?
多分アズには何か考えがあるんだろうから、それを信じるしかないけどさ。
そう思って、俺はサウザーに蹴りかかろうと思った。
その前の一瞬の間に。
サウザーが、俺の目と鼻の先まで移動して来ていた。
俺は、息が詰まって判断が遅れた。
「待っていましたよ。アサルトホッパーのテクノロジーも、いただきます」
「う、があああああっ!!?」
『Jack rise!』
前身を焼かれるみたいな痛みを受けながら、ようやく俺は何が起こったか理解した。
サウザーが俺に急接近して、
たぶんサウザーは事前に、ラッシングチーターのテクノロジーもコピーしてあったんだ。
ZAIA製のプログライズキーなんだから、事前にそれぐらいは出来るに決まってる。
今まで高速移動する素振りを見せなかったのは、ここ一番って時に敵の意表を突くための仕込みだったに違いない。
「やめ、ろ……!」
「無駄な足掻きを……」
身体中の痛みに耐えながら、俺はサウザーの矛を掴んだ。
アメイジングヘラクレスの力をコピーしているサウザーの方が腕力は上だろう。
でも俺は、身体とスペックの限界を超える力を絞り出してサウザーの胴を蹴りつけて、何とか距離をとった。
「このアサルトホッパーはっ、俺とあいつで創ったゼロワンだ! 暴力秘書が、少しだけど俺を認めてくれた、証なんだ! お前なんかが横取りして良い力じゃねぇんだよっ!!」
腹の底から声が出たように思った。
普段から大声を出す時にはダミ声だって言われることはあったけど、それ以上に濁った声だって自分自身でも分かった。
「ヒューマギアごときに認められたら、何だというのです。そんなものに価値など、1%とて在りはしない」
ムカつくほどに俺やヒューマギアを見下した態度で、サウザーが言い放った。
迅が空中からサウザーを強襲しようとしているのが見えたけど、勝てるビジョンが浮かばなかった。
空中から迫る迅を串刺しにしようと、サウザーが矛を構えて……。
「なに!?」
「くらえ!」
サウザーの矛が、中ほどから小さな爆発を起こして、真っ二つに折れた。
驚きの声をあげたサウザーへと、迅の体当たりが直撃した。
背中から金網に叩きつけられたサウザーは、けたたましい音に包まれながら膝をついた。
「なるほど、ゼロワンの秘書が考えそうなことだね。ジャックライズされるのを前提に、その時にウイルスを相手に流し込む仕込みをしていたんだろう」
「なんだって……?」
よく見ると、膝をついたまま動けないでいるサウザーは、全身に紫色の火花が散ってシステムエラーに苛まれている様子だった。
ということは、アズがメインメモリを投げ渡してくれた時に、既に仕込みは終わっていたのか。
俺がジャックライズを受けることを前提に作戦を立てたってことだな。
力一杯に叫んだ俺の根性は、完璧にから回ってたということか。
サウザーが実は高速移動が出来るところまで読み切っていたかどうかは分からないけど、アズの作戦が決まったみたいだ。
「行くぞ、迅!」
「ああ!」
ス ト ー ム イ
ン
塵 パ
隼 迅 ク
芥 ト
俺は最後の力を振り絞って、サウザーへと渾身の飛び蹴りを放った。
迅も俺に合わせて、まったく同じタイミングでサウザーへと飛び蹴りを食らわせた。
サウザーは動けないなりに矛の残骸を盾にしようとしていたけど、その残骸も原型をとどめないぐらいに壊れてしまって。
特設リングの金網を突き破って場外まで出てしまったサウザーを足蹴にしたまま、俺たちはZAIA日本支部ビルの付近の地面にサウザーを叩きつけたのだった。
「バカな、この私が負けるなど、1000%有り得ない……!」
地面に出来た特大のクレーターの中央で、変身が解けてボロボロの状態の天津垓を見下ろしながら。
俺も変身が解けて座り込んでから、ようやく事態が収束しそうだという実感が湧いてきた。
たぶん、戦いで解決できることは全部終わったと思う。
あとは……話し合わなくちゃ。
「天津社長は、どうして飛電インテリジェンスにTOBを仕掛けたんだ?」
「……ヒューマギアは、欠陥製品です。道具として使われるだけなら良いが、自我を持ったらアウトでしょう。人類の脅威です」
天津の言っていることは正論だと思った。
自我を持つということは、自分の意思で行動を決定するってことだ。
人間の指示に反して動くようなら、欠陥製品と呼ばれても否定できない。
そんなものを商品として売りさばくのは、決して褒められたことじゃない。
そして、ヒューマギアが増えすぎた時のことを天津垓は危険視しているんだろう。
俺一人の頭じゃ、たぶん天津とは話し合いにすらならなかったと思う。
けど、今まで俺に考えを話してくれた人達の存在が、俺に知識のゲタを履かせてくれた。
だから。
俺は、少しでも天津に言い返せるようになっているはずだ。
大体の場合は当時の株価の1.5倍弱ぐらいの価格設定で宣言を行う。
通常のTOBでは、他の株主はTOB宣言者に株を売った方が得なので宣言者に株を売ってしまう、という構図が起こる。
しかし、何らかの原因によって被害者側の株価が上がってしまうと、株主たちがTOB宣言者に株を売るメリットが無くなってしまうため、TOBの達成は困難になる。