「下手打ちやがって!連中にアジトを抑えられたら、計画実行までどこに身を潜めれば良いんデスか!?」
ホジホジ、ポイっと。
戦闘機に備蓄されていたキャロットパンの人参をほじくりだし紙皿に捨てる。既に紙皿の中には小さなオレンジ色の山が出来上がっていた。
「バイス、リバイ、ファングメタルにニューオメガまであるのかよ…」
「胸糞悪いデス」
撤退した後、切歌がウェルに怒鳴り散らしている間にパン片手にカードの整理をしている。
え、全部のカードを把握して無いのかって? 気が付いたらカード増えるんだ、全部しきれるか!
と言うか、全然知らないライダーのカードが有るんだけど……
なに?リバイとバイス、ピンク色じゃん。ファングメタルって、ファングはハーフチェンジ出来なかったよね?ニューオメガに関しては、カメンライドできるのね…
「兎陸、人参も食べて。」
あ、調がこっちに来た。
「お姉ちゃんが食べさせしてあげるからね?」
しかも、お姉ちゃんムーブ中か……
F.I.S.に居た時は一番幼い枠だったから、俺に対してお姉ちゃんムーブをかます事が有る調(と切歌)。いや実際、肉体年齢的には10歳なんだが、中身は
「ほら、アーン!」
どこからか出した使い捨てのプラスプーンで人参をすくい口元へと持ってくる。そーっと体勢を変え調に背を向ける状態に。そのまま流れでブッカーの中から一枚カードを取り出し確認。
「アム。人参、甘くておいしいよ。」
調はわざわざ俺の正面までやって来て、人参が美味しいアピール。イヤイヤ期の子供を相手にするかのように立ち振る舞う。……あ、シャドームーンのカードもあるんだ。
「ムー……どうやったら、食べてくれるのかな?」
(口にはしないが)言っとくが、俺は前世の時から人参が嫌いだ。男手一つで育ててくれた父さんには言わなかったがな。この身体になってから食べ物の好き嫌いが激しくなっている気もする。取り合えず、むくれている調と機嫌の悪い切歌の姿をカメラに納め、二個目のパンの人参をほじくり始めた俺なのであった。
◆◆◆◆
一方、二課の潜水艦の中では……
装者は戦いの疲れを癒すために眠りにつき、裏方の大人が作戦室でコーヒー片手に会話を広げる。
「この兎陸と呼ばれる一番幼い少女が、一番厄介ですね……」
そうボヤくのは男性オペレーターの藤尭朔也。常人に比べ高い情報処理能力の持ち主で通信管制・情報収集・分析と多岐な業務をこなす。
「そうね。装者全員で戦っても臨機応変に反撃する点や状況に合わせて容姿や衣装を変え、特殊な力を使い分ける適応力。戦闘センスでは言えば翼ちゃん以上かも…」
朔也の言葉に返すのは女性オペレーターの友里あおい。二課の数少ない女性員で装者に同姓として寄り添う事のできる人物。
「門矢兎陸。日本生まれの北米育ちの少女で誕生日は10月10日。」
ふたりの会話に入って来るのは緒川慎次。ツヴァイウィングのマネージャー兼二課のエージェントをやっている近代忍法の伝承者。慎次は自分の調べてきた兎陸の経歴を話していく。
「マゼンタの二眼レフを持ち歩き、服装や持ち物にマゼンタの物を好む趣向にあるみたいです。彼女は天才児の様で5歳の時には大学卒業資格を入手、それ以降は何でも屋として生計を立てている模様。」
「何でも屋?」
「はい。ホントに何でもやっているみたいでペット探しに浮気調査・子供の遊び相手に代役記者。三ツ星レストランでのピアノ演奏と言った物や、護衛任務などの対人戦を想定した物など幅広くやっているみたいです。」
「なんと言うか、あの年でそこまでやれるのってすごいですね………」
慎次の説明を受け、苦笑いを浮かべながらコーヒーを口に含む朔也。
「でも不思議な事に、経歴はあるのに生まれた直後から一定の月日までの具体的な情報が一切なく、まるで突然世界に現れたかの様に具体的な情報が散見されるんですよね」
大人たちの雑談はこの後もしばらく続いたのであった…
[オマケコーナー・DCD簡易解説?!]
使用したカードが無いため休み