Y.U.I.~都市伝説ファイル~   作:ドラ麦茶

14 / 99
明奈の都市伝説ファイル

第1話 雪女

 

 

 

4月8日(水) AM 7:45

 

 

 

「おはよー、みんな」

 

 教室に明奈が入ってきた。みんな、それぞれ朝の挨拶。これで全員集合。

 

「はあ、今年もこのメンバーか。ま、よろしくね!」

 

「うん! よろしく!」

 

 今日は中学2年の始業式。クラス替えがあったけど、あたし、奈々、明奈、美沙子、亜弥の5人は、今年も同じクラス。腐れ縁ってやつですな。ま、このメンバーでないと学校に来たって気がしないしね。

 

「ふあああ。それにしても、ねむー」美沙子、レディーであることも忘れて大あくび。

 

「ちょっと、はしたないよ」奈々が呆れた顔。

 

「だって、春休み中ずっと夜更かししてたんだもん。急にこんな時間に起きろって言うのが無理なのよ。ただでさえ、春は眠いのにさあ」

 

「ま、確かに。実はあたしも結構眠いのよね」奈々もあくびをする。「ねえ明奈。何か眠気の覚めるような話、ない?」

 

「あるけど……聞きたい?」明奈、急に声のトーンを下げる。

 

「何々? 話して」奈々と美沙子、目を輝かせる。

 

「いいけど――これ、本当に恐いよ。心臓が凍りつくくらいに……」

 

 明奈は不気味に微笑んだ。その笑顔に、不吉な物を感じる。

 

 明奈、どこに情報網があるのか、いつも新しい怪談話を仕入れてくる。中にはホントに恐いものも多い。その明奈が、ここまでもったいぶるなんて、相当なものに違いない。

 

「……いいよ。話して」美沙子が促す。

 

「いいけど、後悔しないでね」

 

 みんな、身を乗り出した。

 

「これから、死後……つまり、死んだ後の世界の話をするんだけど――」

 

 ごくり。その場にいる全員が、息を呑んだ。

 

 

 

「あのよー」

 

 

 

 …………。

 

 確かに、心臓が凍りつくかと思った。

 

 

 

第2話 雪の女王

 

 

 

9月1日(火) AM 7:45

 

 

 

「おはよー、みんな」

 

 教室に明奈が入ってきた。みんな、それぞれ朝の挨拶。これで全員集合。

 

「はあ、2学期もこのメンバーか。ま、よろしくね!」

 

「うん! よろしく!」

 

 今日は中学2年の2学期最初の日。もちろんあたしたち、あたし、奈々、明奈、美沙子、亜弥の5人は、2学期も一緒。ま、このメンバーでないと学校に来たって気がしないしね。

 

「ふあああ。それにしても、ねむー」美沙子、レディーであることも忘れて大あくび。

 

「ちょっと、はしたないよ」奈々が呆れた顔。

 

「だって、夏休み中ずっと夜更かししてたんだもん。急にこんな時間に起きろって言うのが無理なのよ。ただでさえ、夏は眠いのにさあ」

 

「ま、確かに。実はあたしも結構眠いのよね」奈々もあくびをする。「ねえ明奈。何か眠気の覚めるような話、ない?」

 

「あるけど……聞きたい?」明奈、急に声のトーンを下げる。

 

「何々? 話して」奈々と美沙子、目を輝かせる。

 

「いいけど――これ、本当に恐いよ。心臓が凍りつくくらいに……」

 

 明奈は不気味に微笑んだ。その笑顔に、不吉な物を感じる。

 

 明奈、どこに情報網があるのか、いつも新しい怪談話を仕入れてくる。中にはホントに恐いものも多い。その明奈が、ここまでもったいぶるなんて、相当なものに違いない。

 

「……いいよ。話して」美沙子が促す。

 

「いいけど、後悔しないでね」

 

 みんな、身を乗り出した。

 

「これからする話は、『蛙の怨霊』っていう話なんだけどね――」

 

 ん? なんか前にこんなことがあったような? まさかこれって、デジャ・ヴってやつ?

 

「ある若いカップルが、夜中にドライブをしていたの。男は街を離れ、近くの山の中にある湖の側で車を停めた。実は男の車、ここに来る途中、1匹の蛙を踏み潰していたんだけど、そのことに男も女も気がつかなかった。月の綺麗な夜だったわ。水面にも対をなして揺れる月が映っていて、車内にはカーステレオからロマンティックな曲が流れてる。2人のムードは最高に盛り上がった。そして、見つめあう2人の唇が重なろうとしたとき、どこからか、蛙の鳴き声が聞こえて来たの。その鳴き声はどんどん大きくなっていって、車内の音楽が聞こえなった。これじゃ、ムードぶち壊し。男はカーステレオのボリュームを上げようとした。でもそのとき、女が言ったの――」

 

 ごくり。その場にいる全員が、息を呑んだ。

 

 

 

 

「変えるの? 音量?」

 

 

 

 …………。

 

 冬はまだ遠いのに、教室の中は、遭難しそうなほどの吹雪で荒れていた……。

 

 

 

第3話 ホワイトアウト

 

 

 

1月11日(月) AM 7:45

 

 

 

「おはよー、みんな」

 

 教室に明奈が入ってきた。みんな、それぞれ(中略)奈々もあくびをする。「ねえ明奈。何か眠気の覚めるような話、ない?」

 

「あるけど……聞きたい?」明奈、急に声のトーンを下げる。

 

「何々? 話して」奈々と美沙子、目を輝かせる。

 

「いいけど――これ、本当に恐いよ。心臓が凍りつくくらいに……」

 

 明奈は不気味に微笑んだ。その笑顔に、不吉な物を感じる……別の意味で。

 

 明奈、どこに情報網があるのか、いつも新しい怪談話を仕入れてくる。中にはホントに寒いものも多い。その明奈が、ここまでもったいぶるなんて、相当寒いものに違いない。

 

「……いいよ。話して」美沙子が促す。

 

「いいけど、後悔しないでね」

 

 みんな、身を乗り出した。

 

「これからする話は、あたしの死んだおばあちゃんの、1周忌のときの話なんだけどね――」

 

 明奈のおばあちゃんは今も元気で、毎朝の散歩や、週1回のゲートボールを欠かさないって、前に聞いたことがあるような気がするけど、そこはつっこまない。

 

「お寺での法要が終わり、親戚みんなであたしの家に集まって、ご飯を食べながら、おばあちゃんの話をして盛り上がってたの。でも、おばあちゃんは騒がしいのが嫌いな人だった。生きていた頃は、あたしが家で騒いだりすると、ものすごく叱られて、押入れに閉じ込められたりしたの。その日は、久しぶりに親戚みんな集まったから、大騒ぎになってしまって、夜遅くまで宴会みたいな状態だったわ。12時回ったくらいだったかな? 突然、おばあちゃんの位牌を飾った仏壇が、ガタガタ揺れはじめたの。もちろん地震なんかじゃない。揺れてるのは仏壇だけだった。みんな、おばあちゃんが怒ってるんじゃないかって、すごく脅えたの。あたしもすごく恐かったけど、でも勇気を出して、仏壇を調べたの。何か、揺れる原因があるんじゃないかと思って。で、仏壇を隅から隅まで調べて、そしたら――」

 

 ごくり。その場にいる全員が、上着を羽織った。

 

 

 

「ぶつだん変わった所は無かったわ」

 

 

 

 …………。

 

 凍りつく世界の中で、あたしは信じられない光景を目にし、更なる戦慄を覚えた。亜弥だけが、笑っていたのだ……。

 

 

 

第4話 デイ・アフター・トゥモロー

 

 

 

4月8日(木) AM 7:45

 

 

 

「おはよー、みんな」

 

 教室に明奈が入ってきた。みんな、それぞれ(もう、いいっての!)奈々もあくびをする。「ねえ明奈。何か眠気の覚めるような話、ない?」

 

「あるけど……聞きたい?」明奈、急に声のトーンを下げる。

 

「何々? 話して」奈々と美沙子、目を輝かせる。懲りない面々だ。

 

「いいけど――これ、本当に恐いよ。心臓が凍りつくくらいに……」

 

 明奈は不気味に微笑んだ。その笑顔に、あたしは呆れる。

 

 明奈、どこに情報網があるのか、いつも新しい与太話を仕入れてくる。ホントに勘弁して欲しい。

 

「……いいよ。話して」美沙子が促す。

 

「いいけど、後悔しないでね」

 

 みんな、身を乗り出した。

 

「これからする話は、親元を離れて暮らしている、あたしと妹の話なんだけどね――」

 

 明奈は実家に住んでいて、1人っ子だったはずだけど、そこは空気を読んでつっこまない。

 

「実はあたしの妹、夜になると首が伸びるの。ろくろ首ってやつ。毎晩毎晩首が伸びて、行灯の油を舐めるのよ? 恐かったわ。ある日、あたしはとうとう恐さに耐えかねて、実家に逃げ帰ることにした。帰る途中、友達に会ったの。どうしたの? って訊くから、事情を全て話した。そしたらその友達、すごく心配してくれて、でも実家に帰るのはいいことだ、って言ってくれた。そして――」

 

 ごくり。その場にいる全員が、ストーブやこたつを取り出した。

 

 

 

「友達はこう言ったの。『実家じゃお母さんが、あなたが帰ってくるのを、首を長くして待ってるよ』って。だめだ! それじゃ、実家にも帰れないじゃない!」

 

 

 

 …………。

 

 今回のは、ちょっとおもしろかったな……。

 

 

 

 

 

 

「って言うか明奈――」

 

「何?」

 

「このシリーズ、いつまで続ける気?」

 

「こんな話でよければ、後10個くらいはあるけど?」

 

「……勘弁してください」

 

「次回 明奈の都市伝説ファイル 第5話 『恐怖のみそ汁』 お楽しみに」

 

「やりません」

 

 

 

(第1話 駄洒落「死後の話」より)

 

(第2話 駄洒落「蛙の怨霊」より)

 

(第3話 落語「粗忽の釘」より)

 

(第4話 落語「ろくろ首」より)

 

(参考文献・白泉社・花とゆめCOMICS 「パタリロ!」)

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。