「おはよー、みんな」奈々と一緒に教室に入り、みんなに挨拶する。時計を見ると、7時45分。今日はいつもより5分ほど早い登校だ。
「あ、結衣、おはよー」教室の奥に見慣れない人を発見。明奈だ。
「あれ? どうしたの、明奈? 今日は超早いじゃん」奈々が言う。明奈は朝が弱く、いつも遅刻ギリギリに駆け込んでくるのだ。
「まあね。なんだか今日はお腹がすいちゃって、早く目が覚めちゃったのよ」
ああ、ナルホド。なんとも明奈らしい理由だ。2人で納得する。
「そこで納得されると、あたしとしては不本意なんだけど」明奈、少し拗ねた顔。あたしたちはゴメンと言って笑った。
「おはよー。結衣、奈々」梓が教室に入って来た。「あれ、明奈も来てるんだ。早いね」やっぱり明奈がいることにちょっと驚く。
「何よ、みんなして。いいでしょ、別に? あたしだってたまには早く来るわよ」
「あはは。ゴメンゴメン。でも、ちょうど良かったわ。聞いてよ! 昨日、ディスク1が終わったんだけどさ、何でエアリスが死んじゃうの? あり得ないでしょ!? あの展開!!」
梓、かばんを机に置くと同時に、急にテンションが上がる。何? 何の話?
「ああ、あれね。あれはあたしも衝撃だったわ」明奈が応える。
「衝撃どころの騒ぎじゃないわよ! 主人公と準ヒロインとの微妙な三角関係が良かったのに。なんだかあたし、やる気が無くなっちゃったよ」
今度は一気にテンションが下がる梓。
「ねえ。これ、何の話?」なんとなく置いてけぼり感が漂ってたので、あたしは奈々にそっと訊いた。
「あれじゃない? FF7。テレビゲームだよ」
ああ。ナルホドね。ファイティングファンタジーとかいう、国民的大作RPGだ。たしか、1年くらい前に発売されたやつ。それまでの2D表現から3D表現になったからスゴイとか何とか、明奈が言ってたっけ。梓、今あれをやってるんだ。
明奈と梓はテレビゲームが大好きで、特に明奈は、超が付くほどのマニアである。あたしも小学校の頃はそれなりに遊んでいたけど、いつの間にかあまりやらなくなった。多分、奈々もだろう。
ガックリと肩を落とす梓に、明奈は優しく声をかける。「大丈夫、安心して。エアリスを生き返らせる方法はあるから」
「ホント!?」瞳に輝きが戻る梓。
「ええ。『水中呼吸』というマテリアを手に入れるの。詳しく言うとつまんないだろうから、あえて言わないけど、とにかくそれを探し出すのよ。頑張って」
「判った。『水中呼吸』ね。よーし。やる気出てきたわ。また頑張ろう」
嬉しそうな梓を見つめる明奈の目。「しめしめ」という感じで、笑っているように見えた。
「ねえ、明奈」
「ん。何?」
「今言ったこと、ウソでしょ?」あたしは、ズバリ言ってみた。
「へ? な、なんで?」明らかにうろたえる明奈。
はあ。やっぱりね。明奈は昔から、こういったゲームの怪しいウワサを広めるのが好きだった。記憶に新しいところでは、FFシリーズと並ぶ大作RPG、DQシリーズの5作目。最後の敵を倒すと、隠れボスと言うべき敵が登場するのだけど、この隠れボスを10ターン以内に倒すと、仲間にできる、と言うのがあった。あの頃はあたしもまだゲームをやってたから挑戦してみたけど、10ターンで倒すどころか逆に返り討ちにあった。それであたしは早々に諦めたから良かったんだけど、中にはかなりの時間をかけて取り組んだ子もいたようだ。でも、結局10ターン以内で倒しても仲間になることはないことが判り、明奈はみんなからブーイングを貰っていた。
「あれはあたしも被害者よ。そもそも、ウソだと証明したのがあたしなんだから。参ったわよあれは。地道なレベルアップと綿密な戦略、そして、ほんのわずかの運を駆使し、あたし、あいつを7ターンで倒したのよ? それでも仲間にならなかったあのときの絶望感、結衣に理解できる?」
ま、ゲームをやりこむことが無いあたしには理解できない。でも。
「あんたの場合は他にも色々言ってたでしょ?」あたしは記憶をめぐる。「例えば、あの敵は256発弾を撃ち込めば破壊できるるとか、あのゲームは24週目のヒロインが真のミスターXだとか、名人の16連射はインチキだったので警察に逮捕されたとか、シンシアと野球拳ができるだとか」
「ああ。そんなのもあったねぇ。懐かしいわ。ま、確かにどれれも本当のことではなかったけど、そういうウワサが発生した背景を調べてみれば、実におもしろいとが判のよ。例えばバギュラに256発のザッパーを打ち込めば破壊できる、というやつは、一見理にかなってる。256という数字は、コンピューターの世界ではすごく切りがががいいいい数字なの。当時のゲームはまだまだ容量が少なかったから、よくゲ
ーム内の最大の数に使われていた。つまり、耐久値を見ています。あなたに見ていますので注意してください。あなたの後ろは縮合多環芳香六員環二次生成粒子分子なのです。私には判ります。私も後ろで見ています。彼女が。あなたをずっと見ています。それは環芳香六員環二次生成粒子分子があなたの後ろに出るからだと思います。苦しいです。きっと苦しいです。だから注意してください。きっと汚染されています。あなたも私も汚染されています。汚染は宇宙からのコントロールが血を流しいます。だから苦しいです。きっと苦しいです。私は助かりたいのですが彼女が見ているから苦しいです。彼女はずっと、あなたの後ろで見ています。環芳香六員環二次生成粒子分子があなたの後ろだから見ています。あなたが苦しいと証拠があります。私はみんなに助けを求めましたが、私の声は宇宙から聞こえるのでだれも聞こえません。頭が割れました。血が流れました脳に針が刺さられてもあなたが刺します。きっと刺します。血が苦しいと思います。たくさん血が苦しいと思います。でも生きています。しかし、私は生きます。脳が割れて血が針に流れても死ねませんが苦しいときに刺さります。針が刺さります。彼女が刺したのです。見ています。彼女はずっとあなたの後ろの環芳香六員環二次生成粒子分子で見て刺しています。触れてみてください。あなたの首の後ろに環芳香六員環二次生成粒子分子が触れてみてください。もしそれが手を伸ばして針を刺したらもう苦しいです。きっと私と同じです。あなたも私と同じです。でももし、首の前がふりかえるときにそれがあったなら、早く消した方がいいでしょう。私は針が刺さってもう苦しいことになれませんでした。はがしてもそれはまたはられてきっと血が出ます。とても苦しいです、。だからすぐに消しましょう。私は、あなたが救われることを願います。したがって、振り返らないでください。どうしても振り返らないでください。私が振り返るとき、脳は頭から現れます。ずっと見ているのです。だから早く消しましょう。今ならまだ間に合うはずです。だから消しましょう。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間に合う。今ならまだ間最大の256にプログラムすることで、現実的に破壊不能にしている、ってわけよ。でも、最近の研究では、これはあり得ない、ってことになってる。なぜなら、そもそもあのゲームの敵に耐久値という概念は無いの。全ての敵は、弾1発で倒せる。つまり、プログラム上では、ザッパーが当たったときに破壊できるかできないかの判断しかしていないのよ。プログラム的にはその方がはるかに簡単。でも、当時のゲーマーたちは――」
何を言ってるのか理解できないことを永遠と喋り続ける明奈。ああ、完全にスイッチが入ってしまった。こうなると誰にも止められない。もう、放っておくしかないな。
その後、梓はFF7をクリアしたが、当然のごとくエアリスが生き返ることは無かった。
騙されたことに怒り狂うかと思ったけど、意外にもそんなことは無く、
「ずっと生き返ると信じていたのに生き返らなかった。そのもどかしさが絶妙で、素晴らしいシナリオだったよ」
と、梓は言っている。
てか、あたしたち受験生だろ。いいのか? ゲームなんかしてて……。
(ゲームの都市伝説より)