Y.U.I.~都市伝説ファイル~   作:ドラ麦茶

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消えた友達 第3話

 閉店ぎりぎりにホームセンターに飛び込んだあたしは、大抵の落書きは落とせるというスプレーの落書き落としを買い、その足で堀北中学に向かった。

 

 もうすぐ10時30分。校内は真っ暗だ。もう誰もいないのだろう。当然校門は閉ざされている。でも、あたしたちは中学時代、しょっちゅう夜中に校内に忍び込んでいた。秘密の抜け道があるのだ。そこをくぐり、校内への侵入に成功。

 

「なんか、久しぶりでワクワクするね」嬉しそうな明奈。

 

「そんなこと言って……見つかったらただじゃ済まないよ。もう子供じゃないんだし、こんな時代だからね」奈々は少し心配そうに辺りを見回す。

 

「で? いったい何なの? そろそろ説明してもいいんじゃない?」旧校舎を目の前にして、明奈が言った。

 

「うーん……」言い淀むあたし。勢いで飛び出しては来たものの、少し冷静になって考えると、あまりにバカバカしいことを考えていたような気もする。「笑わないで聞いてほしいんだけど」

 

「まあ、それは内容によるけど。で、何?」

 

「あのね、さっき、パソコンで見たじゃない。悪魔を召喚する方法。あのページに、魔法陣の絵が描かれてあったでしょ?」

 

「うん。あったね」

 

「あれ、どこかで見た覚え、ない?」

 

 あたしがそう言うと、奈々と明奈は顔を見合わせ、腕を組んで考え込む。「うーん。そう言われると、見たことがあるような無いような」

 

「昔のことだから、あたしも記憶があいまいで、確かなことは言えないんだけど」あたしは、旧校舎の4階の教室を指差した。「あの絵、この旧校舎に描かれてあったと思う」

 

「――――」

 

 言葉なく、旧校舎を見上げる2人。

 

「あれは確か、中学3年の冬だったと思う。受験が終わって、あたしと奈々と明奈と梓の4人で、この旧校舎で肝試しをしたよね?」

 

 奈々と明奈、同時に「あっ!」と、声を上げた。

 

 そう。あの、死神事件のときだ。4階の教室の床に魔法陣が描かれてあり、明奈と梓は大喜びだった。でも、それ以外は何も無く、あのときは別に気にしなかったけれど。

 

 もしも。

 

 1983年11月24日。堀北市内の中学生10人が悪魔召喚の儀式を行い、失踪した事件。

 

 その儀式が行われたのが、この旧校舎だったとしたら!?

 

 旧校舎は、様々な怪現象が起こっている場所だ。あたしたちは何度も、ここで幽霊や怪現象を目撃した。

 

 全ての原因は、あの、4階の教室の魔法陣にあるのかもしれない。

 

 あの魔法陣は、悪魔の住む世界に通じている。あれを通り、悪魔がこの世界に出入りしているとしたら。

 

 1983年の事件以降、堀北の街では、原因不明の失踪事件が相次いでいる。こんな小さな田舎街で、東京を上回るくらいの失踪事件が。

 

 それはすべて、悪魔の仕業なのかもしれない。あの魔法陣から悪魔が現れ、堀北の街の人をさらっているのかもしれない。魂を手に入れるために。

 

 悪魔――神に敵対する者。魔界や地獄に住み、人を堕落させる魔物。人の魂を奪い、集めることを目的に、この世界で活動しているという。

 

 美沙子も、その犠牲になったのではないだろうか?

 

 そう考えると、思い当たることもある。

 

 美沙子が転校する前、おかしなことを言っていた。

 

 

 

 ――旧校舎の前で、親切なおじさんに会ったの。そのおじさんね、城田君に会う方法を教えてくれたの。今度、城田君に会うんだ、あたし。城田君、元気にしてるかな? 楽しみだな。

 

 

 

 死んだ城田君に会うと言って、消えた美沙子。

 

 美沙子が言った親切なおじさんとは、誰だったのだろうか? もし、この世界に現れた悪魔だったとしたら、死んだ城田君に会わせてあげることも可能だったのかもしれない。死んだ人に会う方法――美沙子自身も死ぬ、とう手段で。

 

 そして、こんな話もあった。

 

 あたしたちが中学3年の春、1人の女子生徒が、旧校舎の屋上から飛び降りをしたらしい。警察の調べによると自殺だったらしいけれど、遺書等は見つかっておらず、自殺にしては不自然な点も多かった。学校側はよからぬウワサが立つのを恐れ、女子生徒は転校したことにし、この事実を隠匿した。その女子生徒は今でも夜になると旧校舎の中をさまよっていると言う。

 

 確か、明奈がした話だ。例の死神事件のときだったと思う。あまりにもウソ臭いから、気にも止めなかったけれど。

 

 この話の女子生徒とは、美沙子のことではないのだろうか。中3の春に転校。死んだ城田君に会うと言って、突然転校した美沙子。そして、旧校舎。

 

 全てが、ピタリと一致する。

 

 全ての発端は、1983年11月24日に起こった、堀北市内の中学生10人が失踪した事件。

 

 10人の生徒はオカルトマニアで、教室で悪魔召喚の儀式を行った。彼らが本気で悪魔を呼び出そうとしたのか、単なる冗談だったのかは判らないけれど、儀式の結果、本当に悪魔が現れ、生徒9人の魂を奪って行った。

 

 この事件が起こったのは、あたしたちの通った堀北中学の、この旧校舎だったのだ。幽霊が出るとウワサの絶たない場所だ。その4階の教室には、今も魔法陣が描かれている。そこから悪魔が自由に出入りし、堀北の街の人の魂を奪っている。

 

 美沙子も、その犠牲者の1人。

 

 あたしは、全ての推理を話した。2人とも、目を丸くして聞いている。驚いているのか、呆れているのかは判らない。

 

「ゴメンね。変な話して。やっぱ、こんな話、信じられないよね?」あたしは、自信なくそう言った。あまりにも荒唐無稽な話だ。現実主義者の理名が聞いたら、きっと鼻で笑い飛ばすに違いない。理名でなくても、こんな話を信じる人はいないだろうな。

 

 でも。

 

「ふむ……なかなか面白いわね」明奈が言った。

 

「面白い? 冗談でしょ? そんな怖いことが起こってるかもしれないんだよ?」不安そうな奈々。

 

 2人とも、笑ったりしない。

 

 そうだ。

 

 あたしたちは、根っからのオカルトマニアなのだ。中学を卒業し、もう何年にもなるけど、今でもそれは変わらない。科学では決して解明できないであろうことを、あたしたちはこれまで、何度も目撃してきた。誰も信じないかもしれないけれど、それは、まぎれもない事実なのだ。だから、悪魔がこの街に現れている。そんな荒唐無稽なことだって、起こっていないとは言えない。確かめるのは、あたしたちしかいない。

 

「それで、どうするの?」明奈が訊く。

 

「もちろん、これ以上行方不明者を出さないためにも、行くわ。4階の、あの教室に」あたしは、旧校舎を見上げた。「そして、魔法陣を消す」

 

「ナルホド。それで落書き落としってわけね」納得した顔の明奈。

 

「大丈夫かな?」と、奈々。

 

「うん。大丈夫だと思うよ。お店の人も、すごく強力な落書き落としだって言ってたから」あたしは、さっき買った落書き落としを見せる。「下地を傷める恐れもあるって言ってたけど、別に構わないでしょ。旧校舎だし」

 

「ううん、そうじゃなくて――」奈々の表情が、ますます不安そうになる。「その悪魔が、いないかなって、思って」

 

「――――」

 

 言葉を失うあたしたち。

 

 そう。判ってはいたことだけど。

 

 これは、ものすごく危険なことだ。

 

 あたしは、あの中3の事件のとき、死神に追われ、危うく屋上から飛び降りるところだった。

 

 あのときの死神。もしかしたら、あれが悪魔だったのかもしれない。

 

 あんな思いは、もう2度としたくない。

 

 2度と、この旧校舎には入りたくない。

 

 でも。

 

 それでもあたしは行かなくちゃいけない。このまま放っておくなんてできない。このまま放っておけば、この街の失踪者は増えるばかりだろう。

 

 そして何よりも、美沙子がこの事件の犠牲になっているかもしれないのだ。あたしの親友が。危険だからと言って、何もせずにいるなんて、できるわけがない。

 

「危険かもしれないけど、行くよ」決意を込めてそう言った。「2人はここにいて。あたし1人で大丈夫だから」

 

「何言ってんの! そんな楽しいこと、結衣1人にさせるわけないでしょ!」なぜか楽しそうな明奈。

 

「そうだね。怖いけど、中学生の頃は何度も来てるもんね、ここ。あたしも付き合うよ」怖がりのくせに、奈々も気丈にそう言ってくれる。

 

「ありがとう。2人とも」笑顔で応えるあたし。

 

 そして。

 

 あたしたちは、旧校舎の中へ入った。

 

 落書き落としのついでにホームセンターで買っておいた懐中電灯を点ける。安物なのですごく心細い明りだけど、月明かりも差し込んでいるのでなんとかなりそうだ。階段を上がる。2階にたどりつき、懐中電灯で廊下を照らした。あのとき死神が出たのはこの階だった。見回すけど、特に何も無い。ひとまず安心し、さらに階段を上がる。3階でも辺りを見回すけれど、何も無かった。そのまま4階へ上がり、そして、目的の教室にたどりついた。そっとドアに手を触れる。あの日と同じく、鍵はかかっていなかった。開ける。床に、血のような赤い塗料で描かれた魔法陣。あの日と同じだ。

 

「なんだ。何にも出なかったね。つまんないなぁ」明奈がポテトチップスを食べながら言った。

 

「……って、あんた、何ポテチなんて食べてんのよ」

 

「だって、お腹空いたんだもん。さっきのホームセンターで買っておいたの。食べる?」

 

「いや、いい」

 

「そう? おいしいよ? ゴールデンアップル味」

 

 どんな味だよ、それ。ポテチなのにアップル味? しかもゴールデン? 意味が判らん。まったく。緊張感が無いな。まるで遠足にでも来たかのようだ。

 

 まあいい。お腹が空いたのはあたしもだ。さっさと片付けて、ご飯でも食べに行こう。落書き落としのスプレーを取り出す。カタカタと振りながら、魔法陣を見た。どうやら油性ペンで描かれているようだ。これなら簡単に落ちるだろう。

 

 と、そのときだった。

 

「あれ? お母さん?」突然、明奈が言った。

 

 は? お母さん?

 

 明奈のお母さんが、なんでこんな所にいるのだろう? 辺りを見回す。誰もいない。

 

 明奈を見ると。

 

 虚ろな目で、教室の入り口を見ていた。

 

 もちろん、そこには誰の姿も無い。

 

「明奈、あんた、何言ってんの?」どうせまた冗談でも言ってるんだろうと思い、適当にあしらおうとしたけど。

 

「どこ行くの? 待ってよ――」廊下に出る明奈。

 

「ちょっと、明奈?」奈々が明奈の手を取った。

 

 パシッと、その手が振り払われた。

 

 すごく冷たい感じだった。

 

 目は相変わらず虚ろで、何を見ているのか判らない。

 

 ポテトチップスの袋が床に落ち、中身がこぼれた。

 

 明奈はそのまま階段を上がっていく。ここは4階。その上は、屋上。

 

 イヤな予感がした。慌てて追いかける。「ちょっと明奈! どこ行くの? しっかりして! お母さんなんていないよ!?」

 

「いるよ……ほら……呼んでるもん……お母さんが……行かなきゃ……」うわごとのように呟き、なおも階段を上がろうとする。

 

 これはまずい。あたしは羽交い絞めの格好で、明奈を止める。

 

「離して……離してぇ!」ものすごい力で無理矢理引きはがされた。足が滑り、あたしは階段を転げ落ちる。

 

「結衣!!」奈々が駆け寄ってくる。

 

 あちこち打ったけど、幸い低いところから落ちたので、大したことはなさそうだ。

 

 明奈は、あたしのことなんて気にすることなく、そのまま階段を上がっていく。

 

 はっと、廊下の奥を見る。

 

 黒い人影があった。

 

 フードの付いたボロボロの服。右手に持つ長い棒の先に、月明かりを反射して怪しく光る三日月形の刃。それを持つ手、そして、フードの中の顔は――骨。骸骨だ。

 

 あのときの死神――。

 

 やはり明奈は!?

 

 明奈を見る。踊り場を曲がり、さらに階段を上がる。

 

「待って! 明奈! 待って!!」

 

 立ち上がり、階段を駆け上がろうとしたけれど、足に激痛が走り、立てなかった。くじいてしまったらしい。

 

「奈々! 明奈を止めて! 早く!」

 

 奈々は頷き、階段を上がり、明奈を止める。それを振り払おうとする明奈。

 

 このままじゃ大変なことになる。明奈が屋上から飛び降りちゃう! なんとかしなきゃ!!

 

 とにかく魔法陣を消そう! そう思った。落書き消しを探す。さっき階段から落ちたときに手離してしまった。少し離れた場所に落ちていた。拾おうとしたけれど、また足に激痛が走り、転んでしまう。落書き消しが指先に当たった。

 

 ――しまった!

 

 弾かれた衝撃で、落書き落としは、耳障りな金属音を立て、階段を転げ落ちた。

 

 がちゃり。

 

 屋上のドアが開く音がした。

 

「明奈! やめて! 明奈ったら!!」

 

 奈々の悲痛な叫び声。もう時間は無い。この足では、落書き落としを拾いに行けない。どうしよう!? どうにかして、あの魔法陣を消さないと! 何か消すもの! 何か……。辺りを見回す。

 

 床に、明奈が食べていたポテトチップスが散らばっている。

 

 

 

 ――子供の頃、落書きを消すのに、ポテトチップスを使ってたよね。

 

 

 

 いつだったか、亜美がそう言ってたのを思い出した。あのときはあまりの怪しい話に聞き流してたけど、亜美の言うことだ。間違いであるはずが無い。

 

 あたしはポテトチップスの袋を取り。

 

 痛む足を引きずり、教室へ戻る。

 

 魔法陣は、薄く光っているように見えた。

 

 ポテトチップスをひとつかみ取り。

 

 そして、魔法陣にこすりつけた。

 

 すぐに、線がにじんでいくのが判った。いける! 亜美に感謝しながら、ひたすらポテトチップスを床にこすりつける。全部消す必要はないはずだ。こういうのは、全体の形が重要だ。少しでも形が崩れれば、その効果を発揮できないはず。そして、おそらく最も重要なのが、この文字のようなものだ。あたしはそこを重点的に消していく。

 

 と。

 

 背後に、気配を感じた。

 

 月明かりに照らされた影が、魔法陣にくっきりと映る。

 

 その影が、大きな鎌を振り上げた。

 

 あたしはただ、魔法陣を消す。

 

 ――お願い! 間に合って!

 

 影が、鎌を振り下ろした。

 

 でも、その前に。

 

 ――――!

 

 魔法陣が、眩しい光に包まれた。思わず目を覆う。

 

 光が、鎌を持つ影を飲み込む。背後で、低い、獣が唸るような声が聞こえた。それは、断末魔の悲鳴のようでもあった。

 

 眩しい光は、教室を、そして、校舎中を包み込んでいく。同時に、校舎内にいつも漂っているあのイヤな感じが消えていく。

 

 それはまるで、浄化の光のようだった。

 

 やがて、光が消える。

 

 背後に気配は感じない。

 

 ――どうなったの?

 

 振り返る。誰もいない。

 

 痛む足を引きずり、廊下に出る。死神の姿は無かった。

 

 明奈は?

 

 這うようにして階段を上がる。

 

 お願い。間にあっていて。

 

 祈りながら。

 

 階段を登り切り、屋上ドアの正面。金網のそばに。

 

 奈々と、そして、明奈が座り込んでいた。

 

 ――良かった! 間に合ったんだ!!

 

 足を引きずって明奈に近づき、そして、抱きついた。

 

「もう! あんたは何やってんのよ!」思わず怒鳴る。

 

「あ……結衣……あれ? あたし、何やってたんだろ?」何が起こったか判らないという表情で、きょろきょろあたりを見回す明奈。

 

「あんた、ここから飛び降りようとしてたんだよ!? もう、どうしようかと思ったよ!」奈々、泣きながら、明奈の胸をポカポカと叩く。

 

「へ……? そう言えば、なんか、金網の向こうで、お母さんが呼んでた夢を見てたような……」金網の外を見る明奈。遥か下に、コンクリートの地面が見えた。「うわ。マジで? こんなとこから飛び降りたら、ミンチだね。危なかったなぁ」

 

 どこか緊張感の無い明奈の声に。

 

 あたしと奈々は、思わず吹き出し。

 

 そして、3人で声を上げて笑った。

 

「ありがとう、結衣、奈々」明奈、急に声を改める。「2人が止めてくれなかったら、あたし、ホントに飛び降りてたかもしれないね」

 

「止めたのは奈々だよ。あたしは、魔法陣消してたの。お礼なら、奈々に言って」

 

「そんなことないよ。結衣が魔法陣消したから、明奈は助かったんだよ。お礼なら、結衣に言うべきよ」

 

 2人で手柄を譲り合う。それがおかしくて、また笑った。

 

「ちょっと待って」明奈、あたしと奈々の顔を交互に見た。「あたしを引き止めてたの、奈々だけなの?」

 

「そうだけど、それが何?」

 

「……ううん。別に、大したことじゃないんだけど」明奈両手をじっと見る。「なんだか、2人に腕を掴まれてたような感覚が残ってるんだけど」

 

「へ? 2人に?」

 

「うん。こう、両脇から抱えられような感じで」明奈は、あたしに右腕、奈々に左腕を掴ませた。

 

「気のせいじゃないの? あたし、ずっと教室にいたよ?」あたしはそう言った。

 

「だね。あたしは左腕しか掴んでないし」と、奈々も言う。

 

「うーん。そうなのかな」明奈、納得できないといった顔で右腕を見る。

 

「あ、でも、そう言えば」奈々、何かに気付いた顔。「明奈、階段を上がってるときは、ものすごい力だったの。これはあたし1人じゃ絶対止められない、って思ったんだけど。でも、屋上に出た途端、ふっと、力が軽くなったのよ。あのときは必死だったから考えてる余裕なんて無かったけど、あれ、確かに、もう1人誰と一緒に引き止めてる感じだった」

 

 ――――。

 

 もう1人、誰かいた?

 

 誰だろう?

 

 すぐに思いついたのは。

 

 ――美沙子。

 

 辺りを見回す。もちろん、美沙子の姿なんて無い。

 

 でも、なぜだろう。

 

 美沙子の気配を感じるような気がする。

 

 そうだ。きっと、美沙子はここにいるのだ。

 

 あたしの考えが正しければ、美沙子は、この場所から飛び降りたことになる。

 

 この場所に、美沙子は、今でもいるのかもしれない。

 

 ――ありがとう、美沙子。

 

 あたしは、心の中でお礼を言った――。

 

 

 

 

 

 

(作者オリジナル)

 

 

 

 

 

 

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