Y.U.I.~都市伝説ファイル~   作:ドラ麦茶

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女神と鬼神 #1

 4月。日曜日の昼下がり、あたしは、明奈ちゃんと亜弥ちゃんと一緒に、駅前の、堀北中央公園に遊びに来ていた。堀北で一番大きなこの公園は、あたしの家から自転車で20分くらい。結構遠いけど、おっきなすべり台とか、つり橋とか、広いグラウンドとか、あたしの家の近くの公園と違って、とにかく、遊ぶところがいっぱい。少しくらい時間がかかっても、この公園で遊ぶ方が、絶対楽しいの。あたしは明奈ちゃんと亜弥ちゃんと3人で、遊具で遊んだり、ボール遊びをしたり、鬼ごっこをしたり、バトミントンをしたり、疲れたら芝生以外のところで休んだり(この公園で唯一気を付けなければいけないのが、芝生の上で仲のいい子と寝転がってはいけない、ってことなの)、あっという間に時間が経って、夕方になったけど、まだまだ全然遊び足りない。春になって暗くなるのも遅くなってきたし、あたしももう6年生だし、まだまだ大丈夫。

 

「じゃあ、次、何して遊ぼうか?」あたしは2人に向かって言った。ほとんどの遊びをやっちゃったから、後、何があるかな

 

「うーん、そうだね……」考える明奈ちゃん。「サッカーは、どう?」

 

「えー? サッカーって、男の子の遊びだよ」

 

「そんなことないよ。女の子だって、サッカーやってるよ? オリンピックでも競技になってるし、ワールドカップだってあるんだもん。そのうち、日本の女子チームだって、ワールドカップで優勝するかもしれないよ?」

 

「そうなの? うーん。まあ、やってもいいけど……亜弥ちゃん、どう?」

 

 あたしが訊くと、亜弥ちゃんは、「別に、やってもいいよ」と、小さな声で答えた。基本、亜弥ちゃんは他の子の意見に反対したりはしない。

 

「そっか。じゃあ、サッカー、やろう!」

 

 そう言って、あたしは自転車のかごに入れていたボールを取り出した。女の子だけでサッカーをやるなんて、もしかしたら初めてかもしれない。そう思ったら、なんだかワクワクしてきた。

 

 あ、でも、1つ問題があるな。

 

「ねえ。チームはどうしようか?」

 

 あたしは2人に言った。今、ここには3人しかいない。サッカーは2チームに分かれて戦うから、どうしても1対2になってしまう。あたしは明奈ちゃんと亜弥ちゃんを交互に見る。明奈ちゃんは、勉強よりも運動の方が得意だろうな。亜弥ちゃんは勉強は得意だけど、運動はニガテな方だ。あたしも、運動は得意な方じゃない。

 

「じゃあ、あたしと亜弥ちゃんがチームになるから、明奈ちゃんは1人チームね」

 

 あたしがそう言うと、明奈ちゃん、目を丸くする。「えー? なんであたしが1人なの? ズルいよ」

 

「だってサッカーやろうって言ったの明奈ちゃんだよ? 運動も得意そうだし。じゃあ、いくよ?」

 

 ボールを地面に置き、キックオフの体勢。

 

「あ、ちょっと待って」明奈ちゃんがタイムをかける。「ねえ、あの子、入れようよ」

 

 そう言って、明奈ちゃんはグラウンドの隅の方を指差した。

 

 そこには、芝生の上に座って、じっとこっちを見ている女の子がいた。知らない子だった。

 

「明奈ちゃん、あの子のこと、知ってるの?」あたしは訊いてみる。

 

「ううん。知らないけど、さっきからずっとあたしたちの方を見てたから、入れてほしいんじゃないかな?」

 

 そうだったんだ。遊びに夢中で、全然気が付かなかった。

 

「あ……あの子……」と、亜弥ちゃん。

 

「知ってる子?」

 

「うん……あたしの家の近くに住んでる、島本未来ちゃん。5年生」

 

 5年生か。あたしたちより1つ下だ。だから知らないのか。あたしたちの通う堀北小学校はそんなに大きくはないけれど、それでも学年が違えば、知らない子がいても不思議じゃない。

 

「あ、でも、学校は違う。確か、市川の小学校に通ってる」亜弥ちゃんが付け加えた。

 

 へ? 市川?

 

 市川は、あたしたちの街、堀北からは、電車で2時間くらいのところにある街だ。なんでそんな遠いところに、わざわざ通ってるんだろ?

 

「市川の、すごく勉強が難しい学校。うちのお母さんも、あたしをその学校に通わせたかったみたいなんだけど、すごくお金がかかるから、諦めたって言ってた」亜弥ちゃんはそう言った。

 

 へえ。あたし、学校って、家から一番近いところに通うのだと思っていた。それに、学校によって勉強が簡単だったり難しかったりとか、お金が違ったりとかも、初めて聞いた。いろんなことがあるんだなぁ。

 

 ま、いいや。確かにその子、じっとこっちを見てて、遊んでほしそうだ。

 

「おーい、未来ちゃーん」

 

 あたしは手を振って、大きな声で呼んだ。

 

 未来ちゃんは、突然呼ばれたことにびっくりしたのか、最初は戸惑っていたけれど、あたしと明奈ちゃんが手招きすると、こっちに向かって走ってきた。

 

「あ……結衣ちゃん、明奈ちゃん、ゴメン」

 

 と、いきなり亜弥ちゃんが謝る。

 

「え? 何、亜弥ちゃん」

 

「あたし、お母さんから、あの子と遊んじゃダメ、って言われてるの」

 

「へ? 何で?」

 

「わかんない。でも、お母さん、怒ると怖いから、言うこと聞かないといけないの。今日は帰るね。ホント、ゴメン」

 

 そう言って、亜弥ちゃんは走って行ってしまった。

 

 どうしたんだろう、一体。亜弥ちゃんのお母さんって、会ったことないけど、そんなに怖いのかな? まあ、お母さんって、怒ると大体怖いとは思うけど、でも、何であの子と遊んじゃいけないんだろ? そんなに悪い子なのかな?

 

 亜弥ちゃんと入れ替わる形で、未来ちゃんはやってきた。長い髪を2つに分けて三つ編みにし、両耳の横で輪っかを作ったかわいい髪型。黒地に白と赤の3色のチェック柄のワンピース。リボンのついた白い靴下とピカピカの黒いクツ。戸惑いながらもぎこちなく笑うと、ほっぺたにえくぼが浮かんだ。かわいい女の子で、とても悪そうな子には見えない。

 

「えっと、島本未来ちゃん、だよね?」

 

 あたしがそう言うと、未来ちゃんは、こくん、と頷いた。

 

「あたし、宮崎結衣。こっちは明奈ちゃん。未来ちゃん、よかったら、一緒に遊ばない?」

 

「え……いいの?」

 

「もちろんだよ。ね? 明奈ちゃん?」

 

 明奈ちゃんはにっこりとほほ笑んで頷いた。

 

「でも、いいの? あたしと遊んで? お母さんに怒られない?」未来ちゃん、声のトーンが少し下がった。

 

「……なんで? なんで未来ちゃんと遊ぶと、怒られるの?」

 

「…………」

 

 未来ちゃんは、うつむいてしまった。

 

 うーん。亜弥ちゃんも未来ちゃんも、どうしたんだろ? 何で未来ちゃんと遊ぶと、怒られるんだろ? あたしは明奈ちゃんと顔を見合わせる。明奈ちゃんは、さあ、と、首をかしげた。

 

「もしかして、あたしたちと遊びたくない?」

 

 あたしがそう言うと、未来ちゃんはブンブン首を振った。「ううん! 遊びたい!」

 

「じゃ、決まりだね」

 

 あたしと明奈ちゃんがにっこりとほほ笑むと、ようやく未来ちゃんも、にっこりと笑ってくれた。

 

「あ、でも、スカートじゃ、サッカーできないよね」

 

 明奈ちゃんが言う。確かにそうだ。あたしたちは体を動かしやすいハーフパンツだけど、未来ちゃんのワンピースは、完全にお出かけ用といった感じだ。そもそもサッカーとかやるような活発な子に見えない。

 

「そうだね。じゃあ、別の遊び、やろうか」

 

 あたしは考える。公園で体をあんまり動かさずにできる遊びって、何があるかな? うーん。思いつかない。

 

 そうだ。未来ちゃんに決めてもらおう。

 

「ねえ、未来ちゃんは、何して遊びたい?」

 

 あたしが訊くと、未来ちゃんは、また戸惑った表情になる。「え? えーっと、えーっと……」

 

「何でもいいよ? ボール遊び以外にも、バドミントンもあるし、あっちの、すべり台とか、つり橋とかの方に行ってもいいし。何でも言って」

 

「……ホントに、何でもいいの?」

 

「うん! 何でもいいよ。言ってみて」

 

 あたしも明奈ちゃんも、笑顔でそう言った。もう、今日の主役は未来ちゃんだ。せっかくお友達になれたんだから、未来ちゃんのやりたいことは、何でもやってあげよう。そう思っていた。

 

 未来ちゃんは、少しもじもじした後で。

 

「あたし……ナースエンジェルごっこ、したい」

 

 本当に小さな声で、そう言った。

 

「……へ? ナース……エンジェル?」

 

 あたしと明奈ちゃん、思わず絶句。いろんな遊びを予想していたけれど、これは想定外だった。

 

 ナースエンジェルとは、女の子の間で大人気のテレビアニメだ。女の子が変身して悪の組織と戦う、いわゆる美少女戦士もの。あたしが幼稚園の頃からやっていて、毎年タイトルと設定が変わり、今は確か7作目の『ナースエンジェル・マックススターズ7』を、日曜の朝に放送中だ。小さい頃はあたしも明奈ちゃんたちとよくごっこ遊びをしたし、今でも時々放送を見ることもあるけど、さすがに小学校高学年でごっこ遊びは、ちょっと、ね。

 

 と、困惑するあたしたちの顔を見た未来ちゃん。「……ダメ、かな?」

 

 寂しそうな顔をする。

 

 そういう顔をされると、何でもいいと言った手前、ちょっと断りづらいな。でも、ナースエンジェルごっこかぁ。あたしにできるかなぁ。変身ポーズは、小さい頃さんざんやったから、今でも覚えているけど、でも、それはかなり前に放送されたやつだ。今の変身ポーズは全然違うはず。どんなんだっけ? なんとなくは覚えているけど、正確にはわかんないや。やっぱり別の遊びにしてもらおうかな。

 

 と、思っていたら

 

「よし、やろう、ナースエンジェルごっこ!」

 

 明奈ちゃんが言った。その途端、未来ちゃんの顔が、ぱっと明るくなる。すっごい笑顔だ。

 

「ホント? やったぁ!!」ぴょんぴょん飛び跳ねる。そんなに喜ぶ姿を見たら、さすがに断れない。

 

「じゃあ、未来ちゃんがエンジェルレッド。結衣ちゃんがルシファーブラック。あたしは監督。じゃあ、アクション!」

 

 ぱん! と、大きく手を叩く明奈ちゃん。

 

 ……て、明奈ちゃん、それは卑怯だぞ。

 

「ダメ! 明奈ちゃんもちゃんとやって! 明奈ちゃんは、えーっと、エンジェルブルーで」と、未来ちゃん。気のせいか、しゃべり方がさっきよりはきはきしてきたような。

 

「うーん、しょうがない!」と、明奈ちゃん、1歩前に出る。「ピーリカピリララ・パラレルパラレル・ウェディングフラワー! ムーンプリズムパワーで、ナースエンジェルに、ホーリーアーップ!!」

 

 明奈ちゃんは、呪文を唱えてくるっと1回転、左手は腰、右手は指を3本立てて額に添えて、ポーズを決めた。結構ノリノリじゃないか。

 

「明奈ちゃん、それ、古いよ。今は、こう!」

 

 そう言って、未来ちゃんは最新作の変身呪文とポーズを決める。おお? さすがに言いだしっぺだけあって、かなりサマになってる。こりゃ、あたしも負けてられないぞ。

 

 と、まあ、最初はちょっとイヤだったけど、やり始めると結構楽しくなってくるっていうのはよくあることで、未来ちゃんはもちろん、あたしも明奈ちゃんも役になりきって、バトルシーンや、恋愛のシーンなんかも、役と設定をいろいろ変えながら再現していく。

 

 と、そこへ。

 

「お前ら、いい歳してナースエンジェルごっこかよ。恥ずかしくないのか?」

 

 聞き覚えのある声。

 

 見ると……やっぱり。

 

 現れたのは、あたしたちと同じクラスの、岡部君と石塚君。いわゆるガキ大将で、あたしたち女子の天敵だ。よりによって、一番見られたくない人に見られてしまった。

 

 岡部君は、にやにや笑いながら、あたしと明奈ちゃんを見る。まるで、面白いおもちゃでも見つけたかのよう。

 

 未来ちゃんが、あたしの後ろに隠れた。すごく怖がっているみたいだ。

 

「大丈夫。こういう時は、明奈ちゃんが頼りになるから」

 

 あたしは、そっと未来ちゃんに耳打ちした。

 

 明奈ちゃんはあたしたちクラスの女子のリーダー的存在で、男子とケンカになったときは、いつも明奈ちゃんが先頭に立ってくれるのだ。これまで何度も、からかってくる岡部君たちを、追い払ってくれた。

 

 明奈ちゃん、1歩前に出る。さあ、やっておしまい!

 

 でも、明奈ちゃんが何か言う前に。

 

「おい、岡部……あれ……」

 

 と、石塚君が、小声で岡部君にささやいた。あたしの方……ではなく、あたしの後ろに隠れている未来ちゃんを見ている。

 

「……あ。ヤバイな」岡部君、何かに気づいた様子。「あー。まあ、せいぜい、頑張れよ。じゃあな」

 

 そう言うと、2人はそのまま行ってしまった。

 

 ……どうしたんだろ? いつもだったら、ここで岡部君と明奈ちゃんの口喧嘩が始まって、たいてい岡部君が負けて、捨て台詞を残して行ってしまうのが、お決まりのパターンなんだけどな。

 

 …………。

 

 まあ、考えるまでもないかな。岡部君は、未来ちゃんの姿を見て、行ってしまったんだ。

 

 でも、一体、何でだろう?

 

 未来ちゃん、歳の割にナースエンジェルごっことか、ちょっと、幼いところはあるけど、別に悪い子じゃないし、怖い子でもない。なのに、亜弥ちゃんだけでなく、岡部君と石塚君まで、避けるように行ってしまった。いったい、なんだっていうんだろ?

 

「何だったの? あいつら」肩透かしを食らった明奈ちゃん。ちょっと残念そうな口調だ。「ま、いいか。よし! 続きやろう、続き!」

 

 再びテンションを上げる明奈ちゃん。そうだね。考えたって、わかんないや。「よし、未来ちゃん、ううん、エンジェルレッド! 今日こそ覚悟しなさい!」

 

 あたしが再びルシファーブラックになりきると、未来ちゃんも笑顔に戻り、エンジェルレッドになりきる。そのまま必殺技を出すけど、あたしはそれをかわし、反撃のビーム!

 

 なんてことをやってるうちに、あっという間に陽は暮れて、辺りが暗くなってきた。時計を見ると、6時前だ。そろそろ帰らないといけない。遅くなると、お母さんに叱られちゃう。

 

「ごめん、明奈ちゃん、未来ちゃん。あたし、そろそろ帰るね」2人に言った。

 

「そうだね。結衣ちゃんの家、ちょっと遠いもんね」と、明奈ちゃん。

 

 すると、未来ちゃんは明らかにがっかりした顔になった。まだやり足りないのかな、ナースエンジェルごっこ。

 

「ごめんごめん、未来ちゃん。また今度、やろうね――」

 

 学校で、と言いかけて、気が付いた。未来ちゃんは堀北小学校じゃないんだった。

 

「えっと、未来ちゃんは、堀北の小学校じゃないんだよね?」

 

 未来ちゃんは、こくんと頷いた。

 

「市川の小学校に通ってるって聞いたけど、毎朝堀北から通ってるの?」

 

 未来ちゃんは、プルプルと首を振ると、「いつもは、市川のおじいちゃんの家から通ってる。今日はたまたま、こっちに帰ってきたの」

 

「そっか。次はいつ、こっちに戻って来るの?」

 

「わかんない。多分、ゴールデンウィークは大丈夫だと思うけど」

 

 ゴールデンウィークか。確か、今月の27日の土曜からだ。結構先だな。もしかしたらお母さんとどこかに出かけるかもしれないけど、多分、1日くらいなら大丈夫だろう。

 

「じゃあ、27日に、またここで遊ぼうか?」

 

 あたしがそう言うと、未来ちゃんは目をキラキラさせる。「いいの? ホントにいいの?」

 

「もちろんだよ。ね、明奈ちゃん」

 

 明奈ちゃんも、にっこりと笑って頷いた。

 

「じゃあ、あたしその日、行きたいところがあるんだけど、いいかな?」未来ちゃんが言った。

 

「行きたいところ? どこ?」

 

「まだナイショ。じゃあ、絶対、絶対、27日ね! えっと、お昼からなら大丈夫だと思うから!」

 

「判った! じゃあ、27日の1時、ここに集合、ね!」

 

 あたしと明奈ちゃんと未来ちゃんは、指切りをする。そして、自転車に乗り、あたしたちは公園を後にした。未来ちゃんは、あたしたちの姿が見えなくなるまで、ずっとずっと、手を振っていた。

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

 家に帰って時計を見ると、6時15分。外はもう薄暗くなっている。ひょっとしたら、帰りが遅いってお母さんに叱られるかな? とも思ったけど。

 

「お帰り、結衣。今日は、どこに行ってたの?」

 

 明るい声。良かった。お母さん、怒ってないや。

 

「えっとね、今日は、駅前の公園で、明奈ちゃんと亜弥ちゃんと遊んだの。亜弥ちゃんは途中で帰っちゃったけど、そこでね、新しいお友達ができたよ。島本未来ちゃん」

 

「島本未来……ちゃん?」

 

「そう。あ、でも、あたしたちの小学校に通ってるんじゃないみたい。なんか、市川にある、すごく勉強ができる学校に通ってるんだって」

 

「…………」

 

 その時、お母さんの顔が、ちょっとだけ曇った気がした。

 

「……お母さん、どうかした?」

 

「うん? 何でもないわ。お友達ができて、良かったわね」

 

 お母さんは、すぐに笑顔に戻った。

 

「あ、でもね。亜弥ちゃんのお母さんが言うには、未来ちゃんとは、遊んじゃいけないって言うの」

 

「――――」

 

「岡部君と石塚君も、なんだか未来ちゃんのこと避けてたみたいだったし、何かあるのかな?」

 

「……うーん。まあ、みんなの家にはそれぞれ事情があるし、お母さんは、何とも言えないな」

 

 お母さんにもわかんないか。まあ、そりゃそうだよね。

 

 そのとき、ルルル、と電話が鳴った。

 

「あ、あたし出る」

 

 そう言って、リビングの電話を取る。「はい、宮崎です」と出ると、「あ、結衣ちゃん?」と、明奈ちゃんの声。

 

「明奈ちゃん、どうしたの?」

 

「うん。さっきね、お父さんに、未来ちゃんのこと話したら、お父さん、未来ちゃんのこと教えてくれたの」

 

「そうなの? お父さんはなんて?」

 

「それがね、未来ちゃん、なんか、市長の娘らしいよ」

 

 市長の娘?

 

 市長と言うのは、市で一番偉い人。学校で一番偉い人が校長先生、みたいに、あたしたちの住むこの堀北市で一番偉い人が、市長だ。クラスのいろんなことをクラス会議で決めるみたいに、この堀北市のいろんなことを決める人、と、社会の時間に習ったと思う。

 

 それが理由で、亜弥ちゃんや岡部君たちは、未来ちゃんを避けたのだろうか?

 

「でも、何で市長の子供だと、遊んじゃいけないの?」あたしは疑問に思ったことをそのまま口にした。

 

「うーん。わかんない。お父さんは遊ぶなとは言わなかったけど、あんまり遊んでほしくはなさそうだったかな。『ケガはさせるなよ』って、言ってた」

 

 ケガ? うーん、よく判らないなぁ。まあ、ケガをするような遊びはしないけど。

 

「じゃあ、明奈ちゃんどうするの? もう未来ちゃんとは遊べない?」

 

「ううん。約束しちゃったし、27日は、行くよ。別に『遊ぶな』って言われたわけじゃないし」

 

「うん、判った。じゃあ、また明日ね」

 

「うん。また明日」

 

 あたしは受話器を置いた。未来ちゃんが市長の娘というのは判ったけど、それがなぜ遊んではいけないのかは判らないままだ。

 

「ねえ、お母さん」あたしはキッチンに戻ると、お母さんに話しかけた。「今、明奈ちゃんが未来ちゃんのこと教えてくれたんだけど、未来ちゃん、市長さんの娘なんだって」

 

「……そうなんだ」

 

「市長の娘だと、遊んだらいけない?」

 

「どうしてそう思うの?」

 

「うーん。わかんないけど、遊んでてケガをすると、大変だから?」

 

 あたしがそう言うと、お母さんは料理の手を止めた。

 

 そして、あたしの前でしゃがみ、じっと、あたしの目を見る。すごく真剣な顔だ。こういうとき、お母さんは、すごく大事なことを言ってくれる。

 

「結衣。確かに、遊んでいて、もし未来ちゃんがケガをしちゃったら、大変だと思う」お母さんは、優しい口調でそう言った「でも、それは未来ちゃんに限ったこと?」

 

 …………。

 

 それは……そうじゃない、かな。

 

 そうだ。

 

 未来ちゃんだけじゃない。明奈ちゃんだって、亜弥ちゃんだって、あたしだって、ケガをしたら大変だ。

 

「そうね。でも、だからと言って、結衣は明奈ちゃんや亜弥ちゃんと遊ばない、なんてことは無いでしょ?」

 

 それはもちろん、そうだ。あたしは今まで、明奈ちゃんや亜弥ちゃんたちといっぱい遊んできた。これからも、ずっと遊ぶと思う。

 

 あたしたち、ケガをするような危ない遊びはしない。まあ、そりゃ、転んですりむいたりするくらいはよくあるけど、でも、よく消毒してバンソウコウを張っておけばすぐに治るし、大変なんてことは無い。

 

「――いい、結衣? 結衣が誰と遊んで、誰と遊ばないか。それは、お母さんが決めることじゃない。結衣が決めることよ。結衣が、未来ちゃんと遊びたいって思うなら、誰にも遠慮することなく、遊びなさい」

 

 お母さんは、あたしの頭をなで、笑顔でそう言った。あたしも笑顔で、「うん!」と、返事をした。

 

「さて、夕ご飯はもう少しかかりそうだから、結衣、先にお風呂に入っちゃいなさい」

 

「はーい!」

 

 あたしは手を上げてそう言うと、2階の自分の部屋に行き、お風呂の準備を始めた。

 

 そうだね。

 

 お母さんの、言う通りだ。

 

 市長の娘とか、そんなのよく判らないけど、関係ないよ。

 

 あたしは、未来ちゃんと遊びたい。

 

 だったら、誰にも遠慮することなく、遊んだらいいんだ。

 

 よし、27日は、未来ちゃんとたっぷり遊ぶぞ! うん。

 

 

 

 

 

 

 で、あっという間にゴールデンウィークになった、4月27日の土曜日。

 

 お昼、あたしは約束通り、堀北中央公園へやってきた。時間は12時30分。約束の時間には少し早いけど、未来ちゃんはもう来ていた。あたしを見つけると、ぴょんぴょん跳ねて手を振る。あたしは、未来ちゃんの所にかけて行った。

 

「未来ちゃん、早いね」

 

「うん! だって、待ち遠しくて!」

 

 すっごい笑顔で応えてくれた。そんなに喜んでくれると、あたしも嬉しい。

 

 その後、1時を少し過ぎた頃、明奈ちゃんもやってきた。ちょっと遅刻だけど、未来ちゃんは全然怒らなかった。むしろ、約束通り来てくれたことを、すごく喜んでいた。

 

「で、未来ちゃん、行きたいところがあるって言ってたけど、どこに行きたいの?」

 

 明奈ちゃんが訊くと、未来ちゃんは目をキラキラ輝かせた。「あのね、あたし、堀北中学校に行きたい!」

 

 堀北中学校?

 

 堀北中学校は、その名の通り、この堀北の街にある中学校だ。この公園から、歩いて10分もしない所にある。小学校卒業後は、あたしたちが通うことになる学校だ。

 

「いいけど、何で堀北中学に行きたいの?」明奈ちゃんが訊く。

 

「あのね、今日はね、堀北中学校演劇部の、お披露目公演があるんだ!」

 

 未来ちゃんは、さらに目を輝かせて説明してくれた。

 

 堀北中学校の演劇部は、県内でも名の知れた、伝統ある演劇部なのだそうだ。

 

 毎年秋、市川で大きな演劇の大会があり、県内の中学校の演劇部が集まるのだけれど、堀中の演劇部は、その大会で何度も優勝しているらしい。

 

 そのとき演じる劇は、『ディアナとミネルヴァ』というタイトルで、堀中演劇部に代々伝わる、由緒ある演劇らしい。

 

「『ディアナとミネルヴァ』は、女神ディアナと、鬼神ミネルヴァが、最初は対立しながらも、やがてお互いを認め、そして、力を合わせて国を護る、ってお話なの。あたし、去年の秋の市川の大会を見に行ったんだけど、すごくおもしろかったんだ! 特に、主人公の女神ディアナが、とってもかわいくて、かっこいいんだよ!!」

 

 未来ちゃん、大興奮で説明してくれる。もう、その姿を見てるだけで、演劇が大好きで大好きでたまらない! ってのが伝わってくる。この前ナースエンジェルごっこに普通じゃないこだわりを感じたけど、そういうことだったんだね。あれは単なるごっこ遊びじゃなくて、演劇の1つだったんだ。

 

「今日の堀中の公演は、『今年はこの配役でディアナとミネルヴァをやります』っていう、お披露目の公演なの。4月の初めに配役を決めて、それから練習し始めるんだって。期間がすごく短いから、演劇の完成度は低いそうなんだけど、でもあたし、どうしても、もう1度見たいの!」

 

 熱く語る未来ちゃんを見ていると、演劇のことなんて全然知らないあたしと明奈ちゃんも、なんだかすごく見たくなってくる。だから、反対する理由なんてない。あたしたちは堀北中学校へと向かった。

 

 堀北中学に到着すると、あたしたちはまっすぐ、公演が行われる体育館へと向かった。堀中の体育館は、あたしたちの小学校の体育館よりもずっと広かった。正面に幕が下りた舞台があり、その下に、観覧者用のパイプ椅子が並べられている。席は100席くらい。開演予定の2時まではあと30分くらいあるけど、席はもうほとんど埋まっていた。堀中の生徒だけでなく、演劇部員のお父さんお母さんらしき人、また、堀中とは違う制服を着た生徒たちもたくさんいた。多分、他の中学校の生徒だろう。さっきの未来ちゃんの話によると、今日の公演は、秋の市川の大会に向けたお披露目公演。いわば予行演習、運動部で言えば練習試合みたいなものだと思うけど、それでもこんなに人が集まるなんて、よっぽど注目されてるんだろうな。

 

 あたしたちは何とか空いている席を見つけ、座ることができた。

 

 しばらくして。

 

「それではこれより、堀北中学校演劇部、第73回・春のお披露目公演を行います」

 

 アナウンスに続いて幕が上がり。

 

 そして、『ディアナとミネルヴァ』が、始まった。

 

 

 

 

 

 

 ディアナは、天界のはずれの小さな村に住む、位の低い女神だった。

 

 しかし、小さな事件をきっかけに、主神ベルンの15番目の妻に選ばれ、神々の聖地・ターラへと招かれる。

 

 主神ベルンを護衛するのは、その勇猛果敢な姿から、鬼神と呼ばれる女神・ミネルヴァ。

 

 聖地ターラはたびたび悪魔の侵攻を受けていた。女神ディアナと鬼神ミネルヴァは、聖地ターラを、そして、国の民を護るため、悪魔と戦うのだけど。

 

 その考え方は、まるで違った。

 

 女神ディアナは、全ての人々を等しく救うために努力した。

 

 鬼神は、聖地と民を護るためならば、時には仲間の犠牲もいとわなかった。

 

 考え方の違いから、2人の女神は激しく衝突する――そんなストーリー展開。

 

 あたしは、すぐに『ディアナとミネルヴァ』の世界に引き込まれた。

 

 特に。

 

 女神ディアナを演じる生徒が、すごい。

 

 女神というくらいだから、普段は優しくて、温厚なんだけど。

 

 鬼神ミネルヴァと対立するシーンでは、その姿が豹変する。仲間を犠牲にしたミネルヴァに、激しく感情をぶつける。

 

 その鬼気迫る迫真の演技は、とても中学生の――それも、練習期間が極めて短い未完成の演技だとは、思えなかった。

 

「堀中演劇部には、ある言い伝えがあるの」

 

 女神ディアナの演技を見ながら、未来ちゃんが言った。

 

「言い伝え?」

 

「うん。秋に市川で行われる演劇大会で、堀中は何度か優勝しているんだけど、優勝したとき、女神ディアナを演じていた生徒には、T.A.D.という称号が与えられるの」

 

「T.A.D.?」

 

「うん。True Actress Diana.『真の女優ディアナ』、って意味なんだって。その称号を得た生徒は、将来、日本アカデミー賞の主演女優賞を獲得できるって、言われてるの!」

 

 そう語る未来ちゃんの瞳は。

 

 今までで一番綺麗で、輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 演劇は1時間ほどだったけど、あたしたちは時間を忘れて、食い入るように見ていた。

 

 劇が終わり、幕が下りる。体育館内は割れんばかりの拍手に包まれる。再び幕が上がると、演技を終えたばかりの部員たちが一列に並んでいた。声援と拍手に応えるように、一斉に頭を下げた。拍手と歓声はさらに鳴り響く。観客全員が、席を立って舞台上の部員たちを称えていた。いつまでもいつまでも、鳴りやまなかった。

 

 

 

 

 

 

「ああ! おもしろかったぁ!! やっぱり素敵だったなぁ、女神ディアナ!」

 

 公演が終わり、堀中を出たあたしたち。帰り道、興奮が収まらないのは、何と言っても未来ちゃん。祈るように手を組み、天を仰ぐその姿は、まるで恋い焦がれる乙女のようだ。

 

「確かに、すごかったよね。みんな、本物の女優さんみたいだったよ」明奈ちゃんが言った。あたしはひょっとしたら明奈ちゃんは途中で寝ちゃうんじゃないかと思い、心配でチラチラ様子を見てたんだけど、意外なことに明奈ちゃんも『ディアナとミネルヴァ』の世界にガッツリハマってしまったようで、ずっと真剣な表情で見ていた。

 

 と、未来ちゃんが。

 

「『随分立派なのね、国を護るって。あなたみたいに、心も持たない冷たい人に、護ってほしくなんかないわ!』」

 

 そう叫んで、あたしたちの方を見る。なんだ? いきなりおかしなところにスイッチが入ってしまったのか? 突然のことに、あたしと明奈ちゃんは、目をぱちくりして、未来ちゃんを見つめる。

 

「もう。結衣ちゃんも明奈ちゃんも、ノリが悪いなぁ。ちゃんと、『あなたに私の何が判るの!! 私はあなたとは違う! あなたみたいに同情したり慰めたりできれば、そりゃあ気が楽でしょうけどね、そんなんじゃ、国は護れないのよ!!』って、言い返してくれないと」

 

 それは、さっきの『ディアナとミネルヴァ』のワンシーンだ。確か、物語の序盤、2人が対立シーンで、そんなセリフがあったような気がする。

 

「そんな細かいセリフまで覚えてないよ。って言うか、未来ちゃん、よく覚えたね」

 

 あたし、素直に感心する。まあ、未来ちゃんはあたしたちと違って『ディアナとミネルヴァ』を見るのは初めてじゃないんだろうけど、それでもあんなにすんなりセリフが出てくるなんて、凄いと思う。未来ちゃんって、ホントに演劇が好きなんだな。

 

「ああ、いいなぁ。あたしも中学に行ったら、演劇、やりたいなぁ」未来ちゃん、また空を見上げて祈った。

 

「やればいいよ! 未来ちゃん、凄く演劇部に向いてると思うよ!」あたしは、心の底からそう思ったので、正直に言った。

 

 でも、それまで太陽みたいに輝いていた未来ちゃんの顔に、少し影が差した。

 

「ありがとう。でもね、あたしが行く予定の中学校って、演劇部、無いんだ」

 

「え? そうなの?」

 

「うん。その中学校って、勉強が中心の、進学校なの。だから、部活動とか、あんまり盛んじゃなくて」

 

 そう言って寂しそうに笑った後、「あ、でも、受験があるから、まだその中学に行けると決まったわけじゃないんだけどね」と、続けた。

 

 うわぁ。中学校に受験があるのか。そう言えば亜弥ちゃんがこの前言ってたっけ。未来ちゃんの通う学校は、すごく勉強が難しい、って。あたしたちが来年通うことになる堀北中学校には、当然受験なんてない。

 

 と、明奈ちゃんが腕を組み、「うーん」と、唸り始めた。

 

「どうしたの、明奈ちゃん?」あたしは訊く。

 

「ん? えっとね、あたし、よく判らないんだけど」明奈ちゃんは、未来ちゃんを見る。「未来ちゃん、何でその中学校を受験することにしたの?」

 

「へ? 何で……って、言われても」突然の質問に、未来ちゃんは困惑している。

 

「だって、未来ちゃんは演劇がやりたいんでしょ? でも、未来ちゃんが受験する中学校には、演劇部が無い。それなのに、なんでわざわざ勉強してまで、その中学校に入りたいの?」

 

「それは……その、お父さんとお母さんが、そう言うから……」消え入るような小さな声の未来ちゃん。

 

「ちょっと、明奈ちゃん。よしなよ」あたしは、未来ちゃんをかばうように言う。「未来ちゃんの家には、未来ちゃんの家の事情があるんだし、あたしたちが何か言うことじゃないと思うよ」

 

「そう? でも、結衣ちゃんだっておかしいと思うでしょ? 未来ちゃんは演劇がやりたいのに、何でお父さんやお母さんが決めたからって、演劇部の無い学校に行くの? それって、お父さんお母さんが決めることじゃないよ。未来ちゃんが決めることだよ」

 

 明奈ちゃんは、当然のように言い切った。

 

 ふと。

 

 あたしの胸に、お母さんの言葉がよみがえる。

 

 ――いい、結衣? 結衣が誰と遊んで、誰と遊ばないか。それは、お母さんが決めることじゃない。結衣が決めることよ。結衣が、未来ちゃんと遊びたいって思うなら、誰にも遠慮することなく、遊びなさい。

 

 そう。

 

 これはたぶん、同じことだ。

 

 未来ちゃんが演劇をやりたいと思うなら、誰にも遠慮することなんてない。思い切って、やればいいんだ。

 

「そっか……そうだよね」

 

 未来ちゃんの顔に、また、太陽の輝きが戻ってきた。

 

 そして。

 

「あたし、帰って、お父さんとお母さんに、相談してみる。今日の堀中の演劇のことと、そして、あたしも演劇がしたい――堀北中学校に行きたい、って」

 

 未来ちゃんは、決意に満ちた目で、そう言った。

 

「うん! それがいいよ!」明奈ちゃんも笑顔で応える。

 

「あ、だったらあたしたち、再来年は同じ学校だね」あたしも笑顔で言った。

 

「うん! じゃあ、結衣ちゃんと明奈ちゃん、先に演劇部で待っててね。あたしも2年後には、必ず入部するから!」

 

「いや、あたしたちは演劇とかできないよ!」

 

 あたしと明奈ちゃんは、両手をブンブン振って、声をそろえてそう言った。

 

「えー。この前のナースエンジェルごっこ、結構上手だったよ? がんばればできるって」

 

「いや、ごっこ遊びと演劇は違うよ。あたしたちにあんな『ディアナとミネルヴァ』みたいな演技は、ちょっと無理かなぁ」

 

 あたしがそう言うと、未来ちゃんは「なんだぁ。残念」と、ほっぺたを膨らました。その顔がすごくかわいくて、あたしと明奈ちゃんはつい笑ってしまい、つられて未来ちゃんも笑った。

 

「――結衣ちゃん、明奈ちゃん、今日は、本当に、ありがとう。あたし、絶対お父さんとお母さんを説得して、堀北中学に行くから、待っててね」

 

「うん! 約束だよ」

 

 明奈ちゃんが、小指を立てて未来ちゃんの前に出した。

 

 未来ちゃんも小指を立て、明奈ちゃんの小指に絡める。

 

 あたしも同じく小指を立て、2人の小指に添え。

 

 そして、赤く染まりかけた西の空に向かって、高く高く掲げた――。

 

 

 

 

 

 

 思えばこの日から。

 

 未来とあたしたちの挑戦が、始まったんだ――。

 

 

 

(作者オリジナル)

 

 

 

 

 

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