「……とは言ったものの…具体的に何をすればいいんだ…?」
後々冷静になってからそう思う。実際問題、俺は人殺しを非日常として今の今まで生きてきたため、『はい!殺し合いです!殺してください!』と振られても、『あ、自分、一般ピーポーなんで』と理性が踏みとどまるに違いない。
「さて…どうしたものか……」
とりあえず突っ立ってても何も始まらないので、前へと進みながら思考を巡らせる。
まずは敵とエンカウントを果たさなきゃならないが…こんな無人島で、しかも人数が全く分からない状況な為通常ステージのはぐれメタル並に確率が低い。
案外無人島自体の面積が少ないのかとも思ったが、前に進んでも一面木々だらけで、全く開けた場所に出ない。…かれこれ1時間以上は歩きっぱなしでなんの景色も変わらないとなると、相当デカい無人島になるわけだ。
それに、たとえ敵とエンカウントを果たしても、その時の俺の対応がどういう対応になるのか…自分自身でも分からない。
まず一番典型的な足がすくんで動けないタイプなのか、ジャンプの主人公ばりのすぐ戦闘モードに入るタイプなのか、裏切り率80%のとりあえず話し合おうタイプなのか…全く予想出来ない。
個人的には主人公並のすぐ戦闘モードに入れるタイプが理想なのだが……そもそもそんな考えをしてる時点で入れないのは分かってる。そして話し合おうタイプでも多分ない。今の今まで人から距離を置く生き方をしてきた俺が、いきなり他人に大して『まて!俺は敵じゃない!』と言えるか?いいや言わないね。
そもそもルール説明が書かれた置き手紙に『全員が敵』と書かれてる時点で、敵も味方もクソほど意味が無い。よって話し合いは不可能。閉廷。
「足竦んで動けないタイプかぁ…くそ雑魚じゃん…」
必然的に残った動けないタイプだとわかった瞬間、自分の無能さに乾いた笑いが出てしまう。考え事はいっちょ前の癖に、行動をしてこなかったのが裏目に出てるな…これは…
世の中には『逃げるは恥だが役に立つ』という陰キャにおあつらえ向きなありがたい言葉があるが…人間、逃げ続けてたら生き恥の役ただずに成り下がるらしい。知りたくなかったよこんな極限状態で。
「っ。水の音…」
遠くから、微かに川の流れるような音が聞こえてくる。というか、少し前から聞こえてはいたが、あまりにも遠すぎるのか、時々しか聞こえなかったのだが、だんだんその音が鮮明になってくる。
「……運が回ってきた…で、いいのか…?これは…」
深い森を超え少し開けた場所に出る。目の前には魚が泳ぐのがわかるほど透き通った川が広がっており、上流から下流へと流れていた。
そんな近くには身を隠してくださいと言わんばかりの洞窟のような縦穴があった。そんな洞穴の中に入る。中はちょっと寒いぐらいだが、耐えられないほどではなく、敵が来たであろう痕跡も何も無かった。
「…仮拠点…来たな。これ。」
しかも現在はもうすぐ夕暮れ時と言う時間帯だ。そろそろ寝床を見つけとかなきゃやべぇーぜって時にこれは相当ありがたい。
俺は適当にそこら辺の木を持って焚き火をする。おりゃおりゃと木を投げつけていく。
「マッチで助かったぜ。これライターだったら火起こしとか無理ゲーだからな」
ライターだとただ木を無駄に炙るだけだからな。ジッポなんて物があったら、話は違ってくるが、生憎バックパックにはそんな物が無かった。
それに、洞窟内での焚き火で恐らく危険視する密室による二酸化炭素中毒…何てものも心配要らなそうだ。焚き火の煙の半分ほどは外の方へと流れて言ってるからだ。
これがもし、外の方ではなく、洞窟の方だったら、ちと危なかったかもしれない。最悪この洞窟の奥の方に溜まってるガスで大爆発…なんて起こらないと否定出来ないからな。
さて、仮拠点をゲットした為、後はここに引きこもるだけでも充分構わないのだが、そうは問屋が卸さないというわけだ。遅かれ早かれ、殺し合いをしとかなくちゃならない。
何もしなくていいなら、何もしなくていいでありがたくこの洞窟で一緒眠りこいてられるが、それは3日でこのゲームが終わるという確証がある前提だ。水の心配は無くなったが、食料問題は全く全然大問題だ。
物資を漁る…つまり敵を殺す。物資を得る…結果、敵を殺さなきゃならない。
それに、これが国上げての事なら、何もしない無能は、たとえ運良く敵と会わずに生き延びても、役ただずだと言われポーイってされちゃうかもしれない。それこそ本末転倒と言うやつだ。
多少の整理整頓、今日一日の振り返りをしてから、俺は支給品である寝袋にくるまり、眠りにつく。何時でもどこでも眠りに付ける習慣つけといて今は助かるぜ…
「はーはっはっは!!第4の選択肢があったわ!それは!」
『てめっ!ごらまて!』バンッッ
「ひょっ!?にぃぃげるんだよぉぉぉ!!」
…そういえや俺、主人公の名前決めてなくね?あっ
まぁ、そのうち勝手に呼ばれて、勝手に定着するだろ。