#予告殺人   作:夏野 雪

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#11

 刑事とシェリンのやりとりを聞いていた舞元は腕を組み何かを考えている様子だった。

「でもシェリン。なら毒は、どのタイミングで入れられたんだ? 」

「え? ああ。舞元さん。そうなんですよね。僕も考えてるんですが...。」

「だよな。シェリンの言う通り、事前に毒を入れるのは難しいだろうな。でも、そうなるとだ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()入れられたことになるよな。

でもさぁ。そっちの方が難しくないか? 」

舞元の言う通りだった。事前に混入していなければ、配られた後に毒が入れられたことになる。

ゼリーは力一の目の前に置かれていた。周りには他のメンバーも居た。

その全員に気づかれずに毒を入れる事は、事前に毒を入れる方法よりも困難に思えた。

事件後の所持品確認でも毒のようなものを所持しているものはいなかった。

警察到着前にトイレなどで部屋の外へ出た者も居たため、トイレや廊下も捜索されのだが、

何か不審なものが見つかることはなかった。

「事前に毒を入れることは難しい...配られてから入れるのも難しい...。

なら、どうやって入れたんだ。毒は本当にゼリーに入ってたのか? 」

シェリンが独り言を呟いていると、刑事の携帯が鳴った。

「どうした...えっ? 」

刑事が少し驚いたような表情を浮かべた後に室内にいる一人の顔をジッと見つめていた。

「わかった」と一言だけ言い電話を切ると、刑事は社と尊が話している方へ向かい歩いて行った。

自分たちの元へ近づいてくる刑事に気づき、話を中断し刑事に目を向けた。

「社さん。」

刑事の言葉に対して社は何を言うでもなく静かに刑事を見ていた。

その表情はやけに落ち着いているようにも見えた。

「あなたが黒岩楼沙の二人の子供の内の一人だという情報が入ったのですが、

その件についてお話を伺いたいので署までご同行をお願いできますか? 」

刑事の言葉に当本人以外は驚きの表情や声を上げていた。シェリンもまた例外ではなかった。

「なんだって...。」

シェリンは社を見つめて無意識に言葉を漏らしていた。

「わかりました。」

「待ってください。刑事さん。社さんの座っていた位置的に犯行は難しいでしょうし、

前回の犯行だって...。それにその情報はどこから。」

連れて行かれる社を止めようとシェリンが刑事に詰め寄った。

刑事は軽くシェリンの方へ視線だけを向けた。

「わかってます。黒岩楼沙の話を聞くだけですから。情報源は言えませんが、

複数名からの情報提供です。」

「シェリン。大丈夫だ。ありがとう。」

尚も何か言おうとするシェリンを悲しそうな目で笑う社が止めた。

社は何かを反論するわけでもなく、抵抗するわけでもなく、静かに立ち上がった。

皆の様々な感情が込められた視線が入り乱れる室内の中をくぐり抜けると

刑事と社は共に何事もなかったかのように部屋を出て行った。

急転直下の衝撃的な出来事は、まるで静かな森の中を吹き抜けるそよ風のように

室内を静かに、あっという間に通り過ぎていった。

「社さんが...嘘だろ? 」

力一も驚いた様子で立ち尽くしていた。

しばらくの間、その場から動けるものは現れなかった。

 

社が連れて行かれてから残った刑事たちにより聴取が行われたのだが、

新たな事実が発見されるということは特になかった。

結局、毒がいつ入れられたのかということの結論は出てないままであった。

その後の収録や予定がある者も居たため、この日は社以外のメンバーは解散となった。

シェリンは社が連れていかれた警察署へと急いで向かった。

 

 

 




 警察署を出た時に時間を確認しようと僕はスマホを取り出した。
全く気が付かなかったのだが、ある人からの着信が何回も残されていた。
この人から電話が、しかも何度もかけてくるなんて珍しいことだった。
僕の記憶の中にある限り初めての出来事だと思う。
僕は慌ててかけ直してみた。
『おかけになった電話は電波の届かない場所にいるか電源が入っていないため
かかりません』
どうやら電源を切ってしまったようだ。
こんなに何回もかけてくるなんて急用に違いないのに申し訳ないことを
してしまった。
僕も慌ただしく動く状況に振り回され、気づくのが遅れてしまった。
笹木さんには申し訳ないことをしてしまった。
あとで謝らなくては...。
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