#予告殺人   作:夏野 雪

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#5

 警察と救急が到着したのは、それから間もなくしてからだった。

力一の怪我は大事には至らなかったようだったが、検査と治療のために

救急車で病院へと搬送されていった。

残されたメンバーの簡易的な事情聴取が順々に進んでいた。

ある程度は分かっていたことだが、重要な証言が出る事はなかった。

全員がスタジオ内の照明が消えてから再び点くまで、その場を移動したという証言も、

何か特別な物や人を見たという証言も得られなかった。

当然の事ながら警察もルイスが犯人であろうと考えているようで、現場の事実確認については

深く追及することもなかった。

 

「俺たちの机には照明が消えている間も四人いたと思うけどね。ルイスの方は光のせいで

何にも見えんかったな。」

警察に腕組みをしながら答えたのは舞元だった。上着の一部に赤い染みが出来ていたのだが、

力一へ応急処置をした際に付いた血の染みのようだ。

「確かに影は四つあった気がするな。俺もルイスや力一は全く見えなかったけど...。」

社も目を瞑り、暗闇での出来事を必死に思い出そうとしていた。

「あたしは怖くてずっと目を瞑ってたから、何も分らんかったわ。」

少し恥ずかしそうに証言する椎名の横で、チャイカは黙って何かを考えているようだった。

「わらわの隣には、ずっと誰かがおったよ。顔は見えんかったけど、

リオン以外にはありえんと思うのじゃが。」

「ですよね。あたしも隣にいるのは、わらわだと思ってたけど。」

尊とリオンは力一に一番近くにいたのだが、やはり何も見ていなかった。

ただ、二人がお互いを認識しあっていることから、途中でいなくなったり、

入れ替わったりするのは難しいと思われた。

シェリンも御多分に漏れず何も見ていなかったのだが、それが結果として一つの事実を

炙り出すこととなった。

照明が消えたのは、シェリンがスタジオに入って間もない事だったために、

期せずして待(・)機(・)ス(・)ペ(・)ー(・)ス(・)側(・)の(・)扉(・)を(・)塞(・)ぐ(・)こ(・)と(・)に(・)な(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)の(・)だ(・)。

「照明が消えている間に誰かが通ったり、扉が開けられたりすることはなかったです。」

そのことにより部屋を出て廊下を周り、ルイスの後ろに行くことは不可能となった。

「葉山も何も見てないです。」

「うちもやなー。」

葉山と笹木も何も見てないようだった。凛月は未だに下を向き泣いていたが、

ルイスの死を誰よりも悲しんでいる彼女なら新しい事実があれば、

いの一番で発言していることだろう。

チャイカと同じように天宮も首を傾げながら必死に何かを考えているようだった。

 

「一つよろしいですか? 」

シェリンが手を上げたのは警察が事件発生時の証言を一通り聞き終えたところだった。

刑事は予期せぬ発言者の顔を確認すると、手帳にメモをした名前を探した。

「どうしました? えーと...シェリンさん。」

「皆様に一つ聞きたいことがあるんです。この中でル(・)イ(・)ス(・)さ(・)ん(・)が(・)拳(・)銃(・)を(・)持(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)を

見た方は居ますか? 」

「それはいないんじゃないか? あんな光を当てられて、ルイスの姿すら見えてないんだから。」

そう言った舞元は反応を伺うように他のメンバーの顔を見渡した。

他のメンバーもお互いを見合いながら頷き合っていた。

「ですよね。ルイスさんは懐中電灯を持っていたというのは間違いない事実でしょう。

でも、必(・)ず(・)し(・)も(・)拳(・)銃(・)を(・)所(・)持(・)し(・)て(・)い(・)た(・)と(・)は(・)限らないのではないでしょうか? 」

「どういうことじゃ? シェリン? 」

微かに震えた声で答えた尊は不思議そうにシェリンを見つめていた。

「誰かが暗闇に乗じて、力一さんとルイスさんを撃った後で、ルイスさんに拳銃を

握らせたのかもしれないということです。」

 

 

 

 

 

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