シェリンの思いもよらぬ仮説にスタジオ内が僅かな沈黙に包まれた。
「それは無理なんじゃないか? 」
沈黙を破り、反論したのは社だった。
「光源にルイスが居るだろうって言う理屈はわかるんだけど、
そこまで誰にも気づかれずに向かって、元の位置に戻るってのは...。」
「やしきずの言う通りじゃない? あんな暗い中じゃ無理よ。」
リオンも社に同意した。
「ルイス氏の頭の傷は、かなりの至近距離でこめかみを一発で撃たれている。
自殺以外には考えにくいと思うが、仮に殺されたんだとして、
犯人はどうやって犯行に及んだのかね? 」
刑事も訝し気にシェリンを見ているようだ。
「申し訳ないですが、それはまだわかりません。しかし、前日に僕はルイスさんに
会っているんです。その時に彼女は力一さんの配信でサプライズを頼まれたと
言っていました。この中の誰かに頼まれていたとしたら、その人物にだけは、
あの時間にルイスさんが部屋に入ってくることを知っていたことになります。」
「ほう。その人物の名前は言ってましたか? 」
「すいません。聞いてないです。」
刑事の触覚が僅かに動いたのを感じたが、それ以上の情報をシェリンには
出すことが出来なかった。
「刑事さん。」
そこに割り込んできたのは、何時になく真面目な表情をしたチャイカだった。
「えっと...。チャイカさん? ですね。どうしました。」
「私も話したいことがあるんです。これを。」
チャイカが差し出したのは自分のスマホだった。
スマホの画面に映っていたのは例のツイートの画像だった。
「これは? 」
「昨日のTwitterに投稿されたツイートです。ここに書かれている時間と
力ちゃんたちが撃たれた時間が一致しているんです。
刑事の目が鋭くなった。それもそうだ。誰がどう見ても犯人によるツイートで
あろうことは明確であった。
「それと『
チャイカの口から初めて聞く名前が飛び出した。
その名前が出た時に、シェリンの耳に誰かが小さく「えっ?」と言ったのが聞こえた。
だが、それが誰なのかはシェリンにはわからなかった。
「くろいわろうさ? 誰ですか? 」
「申し訳ないが、私の口からは話せない。」
刑事がそれ以上聞いても、チャイカが何か答えることはなかった。
「シェリンさん...。」
チャイカに気を取られていたシェリンは、背中から聞こえて来た声に驚き振り返った。
そこにいたのは天宮だった。
「どうしたんですか? 」
不安そうな天宮をあやすようにシェリンは優しく微笑みかけた。
「実は気になってることがあって...。でも、刑事さんに言うほどの自信はなくて...。
どうしようかなって思ってたんですけど、シェリンさんに解決してもらおうかなーって...。」
天宮はきょろきょろと辺りを見回して、何かを気にしているようだった。
シェリンに話しかける声も、まるで内緒話をしているように小さく囁きかけてきていた。
「何か気になることでも? 」
「電気が消えてた時なんですけどぉ。
「えっ? 笹木さんが? 」
「はいー。でも、でもですね。自信はないんです。そんな気がしただけで天宮の
勘違いかもなんで刑事さんには言わないで欲しいんです。」
天宮は慌てているのか、先ほどよりも少し早口になっていた。
シェリンは落ち着かせようと、自分自身は先ほどよりもゆっくりと話しかけた。
「ありがとうございます。私が笹木さんに聞いてみますから大丈夫ですよ。」
再び、ニッコリと微笑むとポンポンと天宮の肩を軽く二回叩くと、
笹木を探すべく、シェリンは室内を見渡した。
笹木は壁に寄りかかり、一人でスマホを見ているようだった。
「笹木さん。何見てるんですか? 」
シェリンが話しかけると、いきなり話しかけられ少し驚いたようだった。
「なんや。シェリンか。どないしたん? 」
「実は、お聞きしたいことがあって。」
世間話ではなさそうだと判断したのか、笹木はスマホをポケットにしまった。
「ん? なに? 」
「電気が消えてた時なんですけど、机の所に笹木さんが居なかった気がするんですけど。」
「は? 居ったよ。電気が点いた時にちゃんと居ったやんか。」
笹木は腕を組み怪訝そうな表情でシェリンを見ていた。
「ですよねー。いや、机のとこに影が三つしか見えなかった気がしましてね。」
シェリンは慌てて自分の容疑を晴らそうと取り繕った笑顔を浮かべて笹木をなだめようとした。
「ん? いや。そうや。そう言えば、うち
それで影が三つしか見えんかったんじゃない? 」
「しゃがんてた?」
「そうそう。消える直前な、うちリップクリームを机の下に落としてもうて、
拾おう思ってしゃがんだんよ。そしたら電気が急に消えて怖くなっちゃって、
今度は笹木が取り繕ったような笑顔を浮かべていた。
笹木の話を聞いて、シェリンも自分の記憶を呼び起こしていた。
シェリンが部屋に入った時、確か近くの机には...。三人。三人立っていた。
天宮さんに葉山さん、そして凛月さんだ。そしてブラックアウト。
シェリンの脳内の映像にも確かに笹木はいなかった。
そして電気が点いた。そこにいたのは...四人。
笹木は机の傍に立っていた。
正直に言えば、机の下に笹木がいたのかどうかは見えていなかったが、
他の三人に聞けば、はっきりするだろう。辻褄は合いそうだ。
その時、シェリンの脳裏に懐中電灯の光がフラッシュバックした。
「あれ? 」
その光線は水平に左右に振られていた。
左から右へ、右から左へ。
光が...水平に。
水平に...?
もしかして、笹木さんって...。
「どないしたん? 」
シェリンは目の前に笹木が居ることを忘れ、遠くを見つめたまま黙り込んでいた。
「あ。すいません! 笹木さんって、もしかして懐中電灯の光を浴びてないんですか? 」
「あ? せやね。丁度、机の下にいたうちの頭の上を照らしとったな。」
やはりそうだった。笹木は光の妨害の外。想定外なところに居たのだ。
「笹木さん。良く思い出してほしいんですけど、暗闇の中で何か見てませんか?」
「暗闇なんやから、なんも見えんやろ。普通。」
「いや。それはそうなんですが、暗闇の中で動いてる気配とか机の近くで何か見えたとか。」
笹木は、しばらく目を瞑り考えているような仕草をしていた。
「いやー。ないかなー? 」
「そうですか...。」
笹木との会話を終えると、警察も引き上げるところだった。
他のメンバーも散り散りに解散していく流れとなった。
外の世界が大変な騒ぎになっていようとは、この時は誰も知る由もなかった。
ブラックロック
@black rock
えっ?配信切れたんだけど。これ演出?
#ジョー・力一 #にじさんじ
さくらサブ
@sakura sub
怪盗ピエロキタ━(゚∀゚)━!?
#予告殺人 #怪盗ピエロ
FIRE600
@fire600
え? 力一無事なの?? 詳細求む。
八時半ぐらいに急にブラックアウトしたんだが
#常套句