ネタ短編集   作:龍牙

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ハイスクールD×A 鋼翼の反逆者 その8

「今日はプライベートだ、楽にしてくれ」

 

 跪くリアスの眷属一同に気さくにそう言いながら、ソファーに腰掛けるが勇気は内心で先ほどのサーゼクスの言葉を思い出す。

 

(『予定より早い』?)

 

 まるでアザゼルが駒王町に来る事を知っていたかのような言動……それが引っかかる。

 

「お、お兄様はどうしてここへ?」

 

 そんな兄に問いかけるリアスだが、それは勇気も思っていた疑問だ。……四人の魔王の一人が出てくると言う事態が思い浮かばないのだが、

 

「何を言っているんだ?」

 

 そんな勇気の疑問を他所にサーゼクスは胸ポケットから一枚のプリントを取り出す。

 

「授業参観が近いのだろう? 私も参加しようと思っていてね。是非とも妹が勉学に励む姿を間近で見たいものだ」

 

 100%プライベートな理由で思わずずっこける勇気とゼノヴィアだった。

 

「そ、そう言えばそろそろそんな時期だったけど……」

 

「い、良いのか、そんな理由で魔王が……」

 

「ははは、新しく現れたと言う二代目のライディーンに興味も有ったからね」

 

 朗らかに笑いながら告げられる言葉に、改めて自分が受け継いだ名が重すぎる物だと言う事を理解する。確実に正式に存在を明らかにしてしまった事で天使、堕天使、悪魔の三勢力から強い注目を集める事は、間違いないだろう。

 そんなライディーンと現在、友好的な関係を築いているのは天使側ではなく、悪魔側のソーナと言うのだから、それぞれの勢力はリアクションに困る事だろう。

 

(あー、そう言えば父さんも有給取ってまで来ると張り切っていたな。俺じゃなくてアーシアを見る目的で……)

 

 内心でそんな事を思い出す一誠。彼の家での一誠の扱いの差が良く分かる意見である。

 

「そう言えば、君はどうなんだ、勇気?」

 

「いや、流石に来れる距離じゃないしな……」

 

 海外で仕事中の放任主義な両親に対してそんな事を思う。実際、現在進行形でゼノヴィアを居候させている状況をなんと説明するべきかとも思うが、それはそれ……何時帰ってくるか分からないので、それまでに考えれば十分だろうと思う。

 

「グ、グレイフィアね? お兄様に伝えたのは」

 

「はい、学園からの報告はグレモリー眷族のスケジュールを任されている私の元へ届きます。むろん、サーゼクス様の『女王(クィーン)』でもありますので、主へ報告致しました」

 

 所々混ざっている単語は兎も角ある意味で学生と保護者らしい会話を繰り広げるリアスとグレイフィア。

 

(……へー、あの美人さんグレイフィアさんって言うのか)

 

 何処か場違いな事を思う勇気……本能的にその事を察したであろうゼノヴィアと意識がないはずの眠り姫に不機嫌な物が浮かぶ……。

 

「安心しなさい、父上もちゃんとお越しになられる」

 

「そ、そうではありません! 魔王が仕事をほっぽり出して一悪魔を特別視されてはいけませんわ!」

 

 リアスの言い分は最もだが、授業参観に来られるのを嫌がっていると言う気持ちも見え隠れする言動でもある。そんな妹に苦笑を浮べながら、サーゼクスは言葉を続ける。

 

「いやいや、これは仕事でも有るんだよ、リアス」

 

(仕事?)

 

「実は“悪魔・天使・堕天使”の“三竦みの会談”をこの学園で執り行なおうと思っていてね。会場の下見に着たんだよ」

 

『ッ!!! 駒王学園(ここ)で!?』

 

 サーゼクスのその言葉に勇気は先ほどの言葉の意味を真に理解した。……つまり。サーゼクスがアザゼルがこの町に現れる理由を知っていた。それもその筈だ……予め各勢力に連絡済だったのだろう。

 

「ここを会談の会場にするとは本当ですか、お兄様!?」

 

「まあ、妥当な線だろうな。此処を会談の会場にするのは」

 

 驚愕を浮べて叫ぶリアスに対して驚愕も落ち着いた勇気が納得しながら呟く。

 

「妥当な線と言うのは、何故だ?」

 

「ああ。元々人間はある意味じゃ三大勢力対して『中立』と言うべき立ち居地にある」

 

 エクソシストや神父、シスターに代表される天界に味方する者。

 悪魔と契約を結ぶ者達に代表される悪魔側に味方する者。

 はぐれエクソシストの様に堕天使に味方する者。

 それら以外にも、様々な考えの元で人は天界・冥界……その他の人ならざる者達に様々な感情を向ける。創意は無く真なる意味で『中立』と言えるのは人間の世界だろう。会談と言う物を行なうのは中立地帯と言うのは相場が決まっている。

 更に言うならば此処最近駒王では堕天使側による侵略……宣戦布告とも取れる行動が二度に渡って行なわれている。天使側の立会いの下で堕天使側の真意を問い詰めるには向いているだろう。

 

「ああ、彼の言う通り、この学園とは何かしらの縁があるようだ」

 

 以上の説明にサーゼクスも同意する。

 

「私の妹であるお前と、伝説の赤龍帝、聖魔剣使い、ライディーンの後継者に、ライディーンとなったデュランダル使い、魔王レヴィアタンの妹が所属し、コカビエルと白龍皇が襲来してきた」

 

 人間界は広い。日本と言う島国に限定しても決して狭くは無い。リアスとソーナ、リアスの騎士である木場に彼等の存在を知った上で転校してきたゼノヴィアは兎も角、一誠と勇気は別だ。

 

「これは偶然で片付けられない事実だ」

 

 そんな広い世界・国の中でこれほど多くの者達が所属している駒王学園は異常と言って良いだろう。特に完全な偶然で赤龍帝ドライグとライディーンイーグルが所属しているのは、だ。

 

「様々な力が入り混じり、うねりとなっているのだろう」

 

 千莉のゾディアックオーブの目覚め、勇気のライディーンの覚醒もそのうねりの中の一つ。

 

「そのうねりを加速度的に増しているのが、兵藤一誠くんと鳳勇気くん。赤龍帝とライディーンイーグルだと思うのだが」

 

 そう言って二人へと視線を向けるサーゼクス。勇気はその言葉に心の何処かで納得する。強い力……特にドラゴンは多くのものを引き寄せる。勇気と一誠の二人が同じ町で生まれてしまい、勇気は双子座のゾディアックオーブを宿した千莉と幼馴染として育った。

 その結果……ドラゴンの引き寄せる悪意ある物の犠牲にならないように、双子座のゾディアックオーブを宿した者を守るようにと、ライディーンの残留し念と言うべき物が、勇気のライディーンイーグルへの覚醒を加速させた。そう考えれば納得できる部分がある。

 

「さて、これ以上難しい話を此処でしても仕方が無い」

 

 そう言ってサーゼクスが話を切り上げる。急な来訪だった様子で既に夜中となっているために宿泊施設は開いていないだろう。そんな中で一誠が自分の家への宿泊を勧め、サーゼクスも快く快諾するに至った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、そんな話が終わった後、ゼノヴィアはジト目で勇気を見ながら呟く。

 

「……ところで君はああ言う人が好みなのか?」

 

「えっと……まあ、ああ言う大人の魅力のある美人って憧れるけどな……」

 

 飽く迄憧れであって恋人とかそう言う対象ではない。……年頃の男の子としては当然な感情だろうと思う。……決して変態三人組の一人の様にロリコンではないのだし。

 

 勇気のその発言で眠っている筈の眠り姫に#マークが浮かび上がる。……一年前から時の流れから取り残された彼女だからこそ、勇気の言葉に感じるものがあるのだろう。……無理も無いが。

 

「まあ、グレイフィアさんみたいなタイプってのは憧れるというだけで恋人とかそう言う感情じゃないな」

 

 どちらかと言えばその感情は、テレビの画面の向こうに……或いはステージの上に居るアイドルに向ける物に近く、恋人とか彼女にしたいタイプではない。

 

「そ、そうか」

 

 どこか喜色の浮かぶ声で答えるゼノヴィア……。そんな彼女の態度に疑問を浮べながらも、別れ際にサーゼクスから聞かされた言葉を思い出す。

 

 

『ミカエルも君達に是非会いたいと言っていたよ』

 

 

 元々教会……天界側の勢力に属していたゼノヴィアがその名前を聞いて驚愕を浮べたのも無理は無い。当然では有るが先代イーグルの知識の中にもその姿がはっきりと残っている。聖書の神亡き今、天界のトップ……天使達の長を詰める者の名だ。

 三竦みの戦争の最中では戦友の一人でもあった四大天使の事は記憶に強く焼きついている。

 

 神を討ったかつての勇者にして最大の反逆者……堕天の免除と言う特権を与えられながら、神の殺害と言う大罪を犯したかつての戦友の後継者に対して何の用かと思う。

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