ネタ短編集   作:龍牙

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ハイスクールG&V×D ②

 『何故こんな事に!?』……勇輝の認識による“自称”堕天使の男……正真正銘の堕天使であるドーナシークはそう思わずには居られない。

 偶然見つけたはぐれらしい悪魔を狩ってやろうと思っていたら、邪魔するように現れた人間に……堕天使である事を全否定された挙げ句、妙な姿に変身したと思ったら、笑い声を上げながら此方の攻撃はかわすわ、分身するわ、分身でドームを作って閉じ込めるわと……心の中で『なんだあの化け物は!?』と絶叫していた。

 

「サンクロン……ソーサー!」

 

(ひぃぃぃぃぃぃい!?)

 

 全力で作り出した光の槍も腰の鎧が変形した巨大な手裏剣に簡単に粉砕されて、手裏剣に真っ二つにされそうになる。

 ……さて、ドーナシークの実力がラッシュハンターズのハンティングの対象である怪獣の……三分の一の実力があるかと聞かれれば『無い』と即答するしかないだろう。……勇輝とバレル本人の差を考えても……勝ち目など有る訳が無い。

 ドーナシーク本人は気付いていないかもしれないが、一手一手確実に追い込まれている。……勇輝にとっての不安材料は一誠へと攻撃が向かう事。だからこそ、致命傷を与えるタイミングを計りつつ、こうして引き離しているのだ。

 

 狩人だったはずが狩の獲物となった現状に対して『何故』と言う言葉しか浮かばない事だろう。そんな戸惑いと恐怖の感情が最大限に高まった瞬間が、勇輝の望んでいた好機の時だった。

 

「白色……」

 

「どう言う状況なの?」

 

 一気に勝負を決めようとした時響いた第三者の声、その声に気が付いてドーナシークと勇輝は其方へと視線を向ける。

 

(三年の……グレモリー先輩?)

 

「……あ、紅い髪……グレモリー家のものか……」

 

 肩で息をしている姿と微かに足が震えて居る事から……寸前まで味わっていた恐怖が良く分かる……。

 

「『リアス・グレモリー』よ、堕ちた天使さん。この子に手を出すなら容赦はしないわ」

 

「これはこれは。その者はそちらの眷属か。……だが、その化け物に変身した人間は何者だ!?」

 

「私も知らないわ。でも、この子を守ってくれていた事には感謝するしかないわね」

 

 会話が終る程度は待っていると言った様子で武器を構えているバレルの姿の勇輝を見た瞬間、涙目で絶叫するドーナシークとそう言いながら彼を睨むリアス。

 

「この街は私の管轄なの。邪魔をするなら容赦はしないわ」

 

「その言葉、そっくりそのまま返そう。それと眷属の放し飼いは止める事だな」

 

「ご忠告痛み入るわ」

 

「我が名はドーナシーク。再び見えない事を願う。そして、そこの人間、何れかならずこの屈辱、貴様を消す事で晴らす!!!」

 

「ああ、怖い怖い。じゃあ、そうされる前に先に消しておくか」

 

「「え?」」

 

 声が重なるドーナシークとリアス。少なくとも好き好んで人間を襲う奴に良い奴は居ないと言う持論がある勇輝にとって……ここで飛び去ろうとするドーナシークを見逃す理由は無い。

 新たな被害者が出る前に何としても倒すと言う判断をするのは当然であり、其処に見逃す理由などありはしない。

 

「ひぃ!」

 

 慌てて逃げようとするドーナシークだが、

 

 

《ウルトライブ! ガッツガンナー・ガルム!》

 

 

 バレルの姿からラッシュハンターズの頭脳であるベテランハンター《ガッツガンナー・ガルム》へと姿を変える。

 

 そして、十字架型の銃を構えながら、

 

「ホークアイ……ショット!!!」

 

 飛び去ろうとするドーナシークの翼をそのまま打ち抜く事に成功する。だが、翼を打ち抜かれてそのまま『あぁ~』と言う悲鳴を上げて墜落していくドーナシーク。

 

「くっ、外したか」

 

「ちょっと、何て事をするのよ!」

 

「はぁ?」

 

「貴方ね、自分が何したか分かってるの!?」

 

 ガルム(の姿の勇輝)はリアスの言葉に戸惑いつつドーナシークの墜落した方向へと視線を向ける。

 

「何って、倒し損ねたけどあの自称堕天使を倒そうとしただけだけど……」

 

 少なくとも、背中から羽を生やして光の槍を打ち出してくるのが人間な訳では無いと判断。ああ言う輩は同じ事を繰り返す、そしてその時は余計な犠牲が増える。……『その時はまた叩き潰す』ではダメなのだ。

 

「貴方ね……悪魔の管理する土地で堕天使が死んだら……」

 

「……あのさ、グレモリー先輩……。悪いけど、そう言うのは付き合えないぞ……」

 

「え?」

 

 明らかに勇輝の視線が変な人を見る目になって、一歩ずつ後ろに下がっている。……演技とは思えない態度に改めて確信する。『こいつ、何も知らない』と。

 流石に悪魔も真っ青な姿に変身して堕天使を一方的に追い詰める事が出来る物が、三大勢力の事を何も知らないとは思っても居なかったのだから仕方ない。

 

「あー……そう言うのは速めに卒業した方が良いと思うぞ、先輩」

 

 

《ウルトライブ! バルタンバトラー・バレル!》

 

 

 リアスの弁明も聞かずにさっさと宇宙忍者に再変身してその場を離れていく。……と言うよりも全力で逃げた。後に残されたのは事態についていけない一誠と勇輝の中で『色んな意味で関わりたくない人』と認定されたリアスだけだった。

 

 

 

 その日の夜……

 

『ふむ、堕天使星人か』

 

「まあ、あの時は嘘だと切り捨てたけど……今になって考えると……オレが戦ってる時に現れたリアス・グレモリー先輩の事を警戒していた事や、あの先輩の妙なビョーキの様な発言から考えると案外嘘じゃないかもな」

 

『なるほど。グレモリー先輩がビョーキじゃないとしたら本当かもしれないな』

 

 電話越しに聞こえる亞理栖の返事に考え込む。

 

『……まあ、オカ研なんて言う部に所属していてるなら、面白い噂を流せるかもしれないいが……』

 

 顔を見なくても分かる。確実に哂っている。

 

「おーい、亞理栖さーん」

 

『ああ、すまない』

 

「お前って、グレモリー先輩のこと嫌いか?」

 

『嫌いでは無いが好きでもないな。私は男女問わず可愛い物が好きなんだ。……そして、可愛い物を泣かせる変態は大嫌いだな』

 

 うん、だから一誠達三人に厳しいのかと改めて理解する。……リアス・グレモリーと言う先輩は美人には分類できても『可愛く』は無い。……嫌いでは無いが特別好きと言う訳でも無いと言う事だろう。

 勇輝もリアスの事は美人だと思うが好みのタイプではなかったりする。

 

『ああ、勇輝くん、君の事は大好きに分類しているから存分に喜んでくれ』

 

「それはありがとう」

 

 いつもの事ながら何処まで本気か分からない口調で言ってくる亞理栖にそう言い返す。最初は敵対した間柄だけに仲間になった今では嫌われてないのは幸いだ。

 

 

 

 翌日……

 

「……どう言う状況なんだ?」

 

「さあ?」

 

 教室の窓から外を覗き込んでいる勇輝と亞理栖の呟きが響く。……一言で言うと登校途中の一誠が殆どの生徒達から注目を浴びている。

 まあ、元々変態三人組として悪い意味で有名な一誠ではあるが、悪いやつでは無いことはわかっている。……何時も亞理栖の粛清対象になるが、そもそも連日の変態行為が原因のために原因が本人に有るし、それが彼が悪い意味で勇名となっている由縁だ。

 その為彼の友人の松田と元浜の二人と共に『変態三人組』と呼ばれているわけだが……寧ろ、元々女子高で女子の比率の高い学校で堂々とそんな方向に全力疾走できる点は有る意味尊敬出来る。しかも、入学のための動機はハーレムを作る、らしい。……その目的のために変態行為を表に出さない様にするべきでは無いだろうかと思ったのは、一度や二度ではない。

 

「できると思うか?」

 

「無理だな」

 

 と、亞理栖に一誠から聴いた、彼の駒王学園への入学動機を話した時に一言で切り捨てられていたり居る。

 

 その対象である女子から変態として嫌われている点で寧ろ目的から全力で逆方向に疾走しているだけだ。と言うのが彼女の弁だ。

 

 後で聞いた話では先日の逆さ貼り付けも他の二人の不用意な発言が原因で……徹底的にやられたらしい。女子達にしてもかなり怒りが溜まっていた様子でも有るし……。

 

(遠いだろうな、アイツの夢が叶う日は)

 

 叶ったら叶ったで迷惑を被る人が多そうな夢を応援するべきか本気に悩む所だ。……それ以前に、

 

「何で縄を用意してるんだ?」

 

「変態に対する処罰用だ」

 

 あっさりと言い切る亞理栖に恐怖を覚えるのだが……流石に処罰に行く程のマネもそうはしないだろう。

 

「それにしても、あの二人の接点は……」

 

「あの後何か有ったんだろうな」

 

 堕天使星人(仮名)の一件と言う事だろう。本物の堕天使なのかも知れ無いと言う予想をしているが、情報も各章も無い為に判断は付け辛い。

 

(闇の支配者の事も有るのに、別の事件に巻き込まれるなんてな……。悪くは無いけど、疎かにはできないよな)

 

 奴が人の幸せを壊すような輩ならば戦うだけだが、飽く迄優先すべきは闇の支配者とその配下の闇のエージェントと戦うことと結論付ける。

 勇輝と亞理栖にとって脅威度の高さでは圧倒的にそちらの方が上なのだから。

 

 

 まあ、

 

「や、どうも。リアス・グレモリー先輩の使いで来たんだ。ぼくについてきて欲しい」

 

 厄介事は向こうからやってきてくれた様子だった。

 

 

 

 

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