ネタ短編集   作:龍牙

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ハイスクールV×D ライド9

 

「何の用だ、変態?」

 

「部長がお前と朝田を呼んでんだ、部室まで来てくれ」

 

 四季と一誠の間に流れる険悪な空気に周囲の生徒達は二人から距離を取っている。此処に天使や悪魔等に無関係の生徒が居なかったら、神器を出しての戦闘に入りそうな程度には二人の間に流れる空気は不穏な物になっている。

 

「断る。それにもう関わらないって言う 約束契約だっただろ? 随分と早く 約束契約を破るんだな?」

 

 グレモリー眷属には仲間になる利は無い程度の認識だったが、一誠に関してだけは 大切な人詩乃に対する暴言で完全に敵としてみなしている。あの日から《人殺し》と何も知らないで彼女を悪く言う連中に対しては数え切れないくらい怒りを覚えている。何故何も悪くない彼女がそんな風に悪く言われて傷付かなければならないのかと。

 

「オレはお前らなんか連れてきたくないんだよ! でも、部長が……」

 

「奇遇だな、オレもお前の変態面は見るに耐えないと思っていたところだ」

 

 一誠の言葉に四季が挑発をぶつける事で更に空気が重くなる中、

 

 

『何やってるのよ?』

 

 

 突然響く呆れと言う感情の篭った第三者の声。その声に四季の纏っていた不機嫌な空気は霧散される。一誠から向けられる敵意を一切無視して後ろから聞こえてきた声の主……詩乃の姿が有った。

 

 殺気混じりで交わされていた雰囲気が霧散した事に心底安心しているクラスメイト達の姿が視界に移ると、詩乃へと感謝している、詩乃と仲の良い四季のクラスメイト『桐生 藍華』の姿が有った。

 恐らく四季を何とかできるであろう詩乃を呼んだのだろう。感謝している藍華に『気にしないで』と言う様子で手を振っている詩乃の姿に、彼女に友達が出来た事に心底喜んでいる。駒王学園で友達と言えるのは四季も詩乃も二人くらいだが。

 別に女イッセーとか言われていても、四季にとっては詩乃と仲良くしてくれているならそれで良い。

 

 重ねて言うならば四季も詩乃も学園の外には友達は居る。学校内での交友関係が狭いだけだ。

 

(うん、良かったな。友達が出来て……)

 

 ある意味本人に聞かれたら怒られそうな事を考えている。ふと、一誠の方に視線を向けるとアーシアが一誠側の仲裁に入っていた。ふと思う。……詩乃に似た過去がアーシアにもある。流石にその事について触れる気は無いが、もし四季がその事を言っていたら、一誠も四季と同じ様に怒っていただろう。

 

「それで、なんでこうなったのよ?」

 

「大した事じゃない、あいつのご主人様が早速約束を破ってくれた事と、あいつの変態面は見るに耐えないって思ってただけだ」

 

「はぁ」

 

 何故そんな風に四季が思っているのか検討が着いたのだろう、詩乃は呆れた様に溜息を吐くがどこか嬉しそうに見える。

 

 似たような空気もアーシアが纏っているのが見えるが、四季の視界の中には詩乃しか入っていない。

 

 まあ、その後の流れは特に揉める事は無く今回だけと言う条件付きで四季と詩乃の二人は一誠達と共にオカルト研に行く事になったのだ。

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「遅れてすいません、五峰の奴が中々……!!!」

 

 オカルト研究部のドアを開けた瞬間、一誠の表情に驚愕が浮かぶ。其処に居たのはオカルト研究部の他の面々だけではない。駒王学園の生徒会長、黒髪をボブカットに揃え眼鏡を掛けてスレンダーで凛とした佇まいの美女。

 

 リアスや朱乃に人気では一歩劣るものの学園内では第三位の人気を誇る生徒会長『支取 蒼那』。付け加えるならば、過去の事件で距離を取られ……四季が恋人と言う立ち居地に居る為にそれなりに詩乃も男女問わず人気がある。

 

「せ……生徒会長……?」

 

「ソーナ会長と匙?」

 

 序でに言うとこの学園に於ける四季の数少ない友人である『匙 元士郎』は生徒会の書記でもある。

 

「はい、こうして話すのは久し振りですね、四季君」

 

 ニコリと微笑みながら笑顔を向けられて不覚にもドキリとしてしまい、詩乃に背中を抓られる。

 

「まあ、匙とは結構会ってますけど、最近は喧嘩はしてないんで」

 

 小声で詩乃に謝りつつソーナの言葉に答える四季。その時にさり気無く彼女の手を握る。そもそも、匙とは詩乃に対するイジメが元で友人になった関係で有り、その時にソーナとも会っている。

 

「それで、このタイミングでソーナ会長が部長さんと一緒に居るって事は……」

 

「生徒会長も悪魔って事になるわよね」

 

 多少警戒するものの戦闘体制には入らずに居る辺り、二人のソーナに対する信頼の高さがよく分かるね。

 

「ええ。貴方との約束を守るためにもソーナにも貴方の事を教えておく必要が有ると思ったのよ」

 

 まあ、それを利用してなるべく接点を得たいと思っていたわけでは有るが。

 

「ソーナ、彼が正体不明の仮面の騎士で、彼女がそのパートナーよ」

 

「仮面の騎士って、あの!?」

 

「まさかお前が!?」

 

 リアスの紹介に驚愕を露にするソーナと匙。実力者と噂されていたどの陣営にも属していない正体不明のフリーの賞金稼ぎが、年代こそ自分達に近いと考えられていたが、まさかこんなに身近に居るとは思っていなかったのだろう。

 

「名乗った覚えは無いけどな」

 

 そう言って取り出すのは変装用の仮面。

 

「四季君、私の眷属になりませんか?」

 

「……行き成りそれですか?」

 

「ええ、悪魔になれば……朝田さんと長い間一緒に過ごせますよ?」

 

「っ!?」

 

 四季の表情に思いっきり動揺が浮かぶ。……眷属にもハーレムにも興味が無いが、長く生きられる種族に転生すれば、その分だけ詩乃と長く一緒に居られる。……そもそも、四季の中では結構評価が高いソーナである。

 

『ええっ!?』

 

 明らかに自分達とは違う態度に叫び声を挙げるグレモリー眷族の皆さん。

 

「え、えーと、流石に詩乃の意思を無視して……」

 

「わ、私も四季と一緒に居られるのは……」

 

 顔を真っ赤にしてそう答えてくれる詩乃さん。本人の意思も問題ない様子。

 

「いや、オレは詩乃以外を女王にする気は……」

 

 女王は眷属内の№2。四季にとって詩乃以外の誰かをそんな立ち居地につける気は無い。

 

「それでしたら、両親やお姉さまに相談しても良いですよ」

 

 女王の駒を既に使っているソーナでは無理だろうが、四季が悪魔に転生した場合一時的に別の誰かの女王として預かると言う事だ。四季が上級悪魔になれば未使用の女王の駒と交換すれば、問題ないと言う事だろう。

 

 リアスの時とは違い本気で前向きに考えそうになる四季である。

 

「ふふ、冗談ですよ。残念ながら、貴方は私の手持ちの駒では転生できそうにありませんし」

 

「そうですか」

 

 四季の声にちょっと残念な響きが含まれているのに気が付いてリアスの表情に焦りが浮かぶ。

 

「それから、貴方が探している人の事、私も協力させて頂いて良いですか?」

 

「……条件は?」

 

「いえ、リアスが貴方との交渉に失敗したようなので、あまり私達に敵意ばかり持ってしまわないように、と思ったので」

 

 ソーナとしても四季に敵意を持ってほしくは無いと言う意思も有る。

 

「それと……」

 

「分かりました、会長」

 

 何時の間にか話は纏まり協力者として生徒会……強いて言えばシトリー眷属に協力者となる事を約束する四季だった。まあ、四季が協力するならば詩乃も一緒に協力してくれることだろう。

 

 当のソーナは気付かない事だが、下手をすれば一大勢力なりそうな惑星クレイ由来の力を得ている彼の友人達も上手くすれば協力者に出来る所まで話を進められたのだ。

 

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