ネタ短編集   作:龍牙

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仮面ライダー555 〜DESTINY of BLACK〜 前編

人間、何時かは必ず死ぬもんだ。結局の所、“死”って奴は誰にだって平等な物さ。だから、人間…今を楽しく生きてかないと損ってやつだぜ♪

 

 

 

“オリジナル”のオルフェノクなんてのは僅かに人生の延長戦を貰っただけ、化け物(オルフェノク)の力はその特典って奴かな? まっ、人もオルフェノクも人間で有る事には違いないって、解かってない奴がホントに多いよな。

 

 

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

『Φ』の文字をイメージさせる仮面と、その全身を流れる赤いフォトンブラッドのボディーを持った超金属のハイテク戦士『仮面ライダーファイズ』と対峙するのは、灰色の体を持つ動物を象った甲冑を纏った人間…否、人と動物を混ぜた様な怪物とでも言うべきだろうか…そんな姿の異形の怪物…オルフェノク。

 

 

 

『Exceed Charge』

 

 

 

「ま、待て…助けて…。」

 

 

「じゃあな~。」

 

 

助けを求めるオルフェノクの言葉にファイズは軽い口調でそう告げる。気軽く、同時に慈悲の無き断罪の言葉…。

 

 

電子音と共にフォトンブラッドがファイズの右足へと収束して行き、標的であるオルフェノクへと向けて右足を突き出すと、彼の右足に装着された『ファイズポインター』が赤い光線を放ち、命中すると同時にそれは円錐状に広がる。

 

 

「はっ!」

 

 

そこへ向けて空中へと跳び一回転し、赤い円錐へとキックの体制をとったファイズが突入すると、次の瞬間にはオルフェノクの背後へと着地する。

 

 

「ア・・アァァァァァァァァァア!!!」

 

 

「クリムゾンスマッシュ。ってな♪」

 

 

どこぞの“時を守る戦士”の“斧の姿”の様に己の必殺技の名を告げると彼の背後でオルフェノクが『Φ』の紋章を浮かべその全身を青白い炎に包まれ灰へと代わっていく。

 

 

「さて、帰るかな。」

 

 

今までオルフェノクだった灰を一瞥もせずにファイズはベルトを外し変身を解くとその場を立ち去って行く。

 

 

(人殺しは良くないぜ…結局、アンタも“人間”なんだからな♪)

 

 

彼、仮面ライダーファイズ…『風間(かざま) 浩平(こうへい)』は心の中で自身が葬ったオルフェノクへとそう告げながら、

 

 

(ま、来世じゃ長生きしてくれよな♪)

 

 

そう告げて振り返る彼の姿には狼の印象を持ったオルフェノク(ウルフオルフェノク)の姿が重なっていた。

 

 

 

 

 

人知れず行われているファイズ、カイザ、デルタ…三人の仮面ライダーとオルフェノクの戦い。その戦いを知る者達はこう考えるだろう…それは人とオルフェノク…その二つの種の“生存戦争”だと。

 

 

だが、それを仮面ライダーファイズ…浩平は否定する。“オルフェノクもまた人間だと”。人間と言う種を殺す為に発生した癌細胞…それが“オルフェノク”と考えながら。

 

 

短命であり、正常な細胞(人間)を癌細胞(オルフェノク)に変えて数を増やす人の死の先に有る存在。呪われた幸福な生…だが…人を殺した瞬間、罪を感じる心が消えた瞬間に…人は“化け物”へと代わる。力と異形の姿を得、禁忌が消えた瞬間…。自分が殺すべき“オルフェノク”はそんな“化け物(オルフェノク)”だけだと自身に定めながら…。

 

 

 

 

 

翌日…

 

 

「今日も急がないと遅刻だな。」

 

 

「あー、どうして何時もこうなるの~! って、なんでそんなに余裕なのよ、浩平!!!」

 

 

朝から全力疾走中の浩平とその幼馴染の『速水(はやみ) 瑞花(みずか)』の二人の姿が有った。

 

 

「それは熟練度の差って奴だ。遅刻がいやなら、オートバジンかジェットスライガーでも呼ぶか。」

 

 

自慢気にそう言いつつ、ファイズフォンを取り出して瑞花に見せながらそう言うが、

 

 

「それはダメ!!! いい訳ないでしょう!!!」

 

 

朝から無人で疾走するバイクははっきり言ってかなり目立つ事だろう。

 

 

「そうか? だったら、ファイズに…。」

 

 

「なに、一番ダメな方法を取ろうとしているのよ!!!」

 

 

高校への通学の為に変身する仮面ライダー…そんな事をしたら何れ『仮面ライダーに変身しての通学禁止』等と言う特定の人物にしか縁の無いピンポイントな校則が出来そうなくらいだ。

 

 

…実際、一人仮面ライダーに変身して通学した“鏡の騎士”が別の作品にはいる事だし。

 

 

「って、こんな事言ってる場合じゃないのに!!!」

 

 

「大丈夫だ、一分前には着ける。」

 

 

「全然大丈夫じゃな~い!!! 浩平は今度から部屋の時計5分くらい早めておいてよ!!!」

 

 

そんな会話を交わしながら二人が学校の校門を潜ろうとした時、

 

 

「やあ、瑞花さんおはよ……ヴ!」

 

 

出てきた青年…二人のクラスメイトにして、もう一人の仮面ライダー『仮面ライダーカイザ』である風紀委員の『草加 雅人』の顔面に飛び蹴りを放ち浩平は校舎へと走って行く。

 

 

「って、浩平!!! く、草加くん、大丈夫!!!」

 

 

「ウ…ウグゥ。だ、大丈夫だよ、瑞花さん。って、止まれ風間!!! 大人しく遅刻者のペナルティを受けろ!!!」

 

 

「なんだよ、草加、まだ時間は有るだろう。」

 

 

「少なくとも、授業開始の5分前に校門を潜るのが常識だろう!!! まったく、困るなぁ、優等生の瑞花さんまで君に巻き込んで…って、無視して行くな!!!」

 

 

嫌味を無視しつつ、校舎へと向かって行く浩平に向かって草加が怒鳴るが…。

 

 

「草加君の言う通りだよ、ちゃんと私達も罰則は受けないと…。」

 

 

「ああ、瑞花さんはいいよ。彼に巻き込まれただけだろうしね。」

 

 

「おお、サンキュー、結構いい奴だったんだな。」

 

 

「って、お前は受けろ!!! 大体、今朝から他の生徒が俺を見て笑ってるのはお前が原因だろう!!!」

 

 

「ああ、何時かのお前の告白をこっそり録音しておいた奴を校内放送で流したからな。」

 

 

サムズアップと共にそんな事を言ってくれる浩平。彼が言う草加の告白とは…『瑞花は…俺の母親になってくれるかも知れない女性なんだ!』と言う告白を録音したテープを放送室に紛れ込ませておいたのだ。

 

 

しかも、幸か不幸か丁度草加はその日は病欠…瑞花も事情があって早退した為聞かれる事は無かったのだが…。

 

 

「三原にまで変な目で見られるんだぞ!!!」

 

 

元『仮面ライダーデルタ』こと、彼の舎弟(笑)の『三原 修二』にはしっかりと聞かれた様だ。

 

 

どうでも良いが“元”と付いているのは、ちょっとした一件で草加のカイザギアと共にデルタギアを浩平に強奪された後、デルタギアは彼の手である人物に渡された。

 

 

「いいじゃないか、カイザ・クサカブル。」

 

 

「変なあだ名で呼ぶな!!! 広める気か!? 広める気だな!!!」

 

 

「ちょ、ちょっと、草加君落ち着いて。浩平もからかわないで!!!」

 

 

終いにはカイザギアを取り出して変身しそうな勢いの草加を宥めつつ、浩平を窘める瑞花だった。

 

 

 

 

 

放課後…

 

 

「もう…浩平も草加君も仲が良いのか悪いのか、わからないわね。」

 

 

「ん~、仲が悪いんじゃないのか? まっ、背中預ける程度には信頼してるけどな。」

 

 

正しく言えば浩平と草加の関係は『水と油』と言った所だろう。簡単には交じり合う事のない相性…外的要因を持って一時的に混ざり合う事は有るだろうが時が経てば直に分離してしまう。

 

 

それでも、戦力としては信用されているのか、オルフェノクと戦う時のチームワークだけは良いのだ。

 

 

何時もの事ながら風紀委員と言う立場の草加が、直に帰宅できる訳もなく部活に所属していない浩平と瑞花の二人が一緒に帰っていると言うわけである。………それ以前に草加と瑞花は帰る方向も違うし。

 

 

「それでね、今日のコンサート、私も行きたかったけどチケットは一人分だけしか…。」

 

 

「そりゃ、残念だったな。」

 

 

二人の会話の中に有るのは浩平ともそれなりに知っているクラスメートの少女の話し。好きな歌手のコンサートのチケットが手に入ったという話らしい。

 

 

「…でも、本当に浩平のお父さん達何処に居るんだろうね。」

 

 

「さあな、今更出てこられても帰って困るしな。まあ、生きてるのか死んでるのか…って、悪い。」

 

 

「あっ、いいよ、私こそ変な事言っちゃってごめん。」

 

 

浩平も瑞花も両親は居ない。ただ、浩平の両親が行方不明と言うのに対して、瑞花の両親は事故でなくなっているのだ。…しかも、その時の事故には瑞花も巻き込まれ、『流星塾』と言う施設に引き取られたらしく、草加とはそこで知り合ったらしい。

 

 

浩平とは転校生と言う形でファイズギアやオルフェノクとの戦いとセットで再会したのだ。

 

 

(…面白い話だけど、ファンタジー過ぎるな。)

 

 

以前から瑞花から語られた彼女の巻き込まれた事故の前後の記憶…その中で彼女は彼女の母と“同じ姿”をしたもう一人の母親を見たらしいのだが。

 

 

「あ、じゃあ、また明日ね、浩平。伯母さん達が居ないからってちゃんと食べないとダメだよ。」

 

 

「ああ。まっ、適当に健康にも気を付けるさ。」

 

 

「もう、適当って、ちゃんとしないとダメ!」

 

 

「何を言う瑞花。適当と言うのは、正しくはいい加減と言う意味じゃないんだぞ。」

 

 

「はいはい、解かったから、それじゃあ。」

 

 

「ん、またな。」

 

 

そう言って会話を切り止めると手を振って家に入っていく瑞花に軽く答える浩平。家の傍らに止められたオートバジンに『ただいま』と挨拶しながら家の中に入っていく。

 

 

 

 

 

某所…某企業

 

 

スマートブレインと呼ばれる会社の社長室。その中でスマートブレインの社長『村上 峡児』は三人の男女を招いていた。

 

 

「本日、皆さんに集まって頂いたのは、彼等の事です。」

 

 

そう言って差し出された写真はカメラ目線でブイサインを見せている浩平と三人の仮面ライダーの計四枚が存在していた。

 

 

「か、彼は!?」

 

 

写真を見た瞬間、思わず立ち上がって後ろに下がるスーツ姿の男…最強のオルフェノク集団『ラッキークローバー』の一人、『琢磨 逸郎』はイヤな物でも見たという様な態度で後ろに下がる。

 

 

「あら、この子は、確かファイズの…。」

 

 

浩平の写真を手に持ちながらそう言ったのは、20代後半の女性。ラッキークローバーの紅一点『影山 冴子』。

 

 

「ええ、本題はファイズ…風間浩平の事です。彼を是非我々の仲間に加えたい。」

 

 

「「っ!?」」

 

 

村上の言葉に驚愕を浮かべる琢磨と冴子の二人。当然だろう…何人もの仲間を葬ってきた天敵とも呼ぶべき存在を仲間にすると言うのだから。

 

 

「うん、いいね、賛成! 彼って面白いから。」

 

 

唯一村上の言葉に賛同するのは『北崎』。ラッキークローバーの中で自他共に最強と見とめるオルフェノク。彼の持った写真は直に灰へと変わってしまう…それが彼の持つ特殊能力。普通の人間は触れただけで灰になり、オルフェノクであってもただ一つの例外を除いて徐々に灰になってしまうのだ。

 

 

…………有る意味、もっとも浩平の事を気に入っている者である。

 

 

「ええ、やっと分かった事ですが、彼は本来我々の側に立つべき存在…。上の上…いえ、“特上”とも言える存在です。」

 

 

村上のその言葉に驚愕の表情を浮かべるしかない三人。続いて出された3枚の資料を見せる。

 

 

「…彼の両親…風間夫妻は前社長の代の研究員でした。…そして、両親共に“オルフェノク”…。」

 

 

「まさか…彼は…。」

 

 

冴子は村上の言葉にそう言う。

 

 

「ええ。彼は…オリジナル以上のオリジナル…生まれながらにしての“オルフェノク”です。」

 

 

生まれながらのオルフェノク…“オルフェノクは短命”…その言葉さえも否定しかねない、オルフェノクの希望とも言える存在が自分達の天敵の一人、ファイズとして人類の側に立っているのだから驚愕は隠せないだろう。

 

 

「既に彼の転校の為の書類と新しい住居は用意してあります。ですから、カイザとデルタのベルトを回収し、彼を仲間に引き入れる為の切り札を用意しました。」

 

 

村上の言葉が響くと同時に部屋のドアをノックする音が響き、トランクを持った二人の少女が入ってくる。

 

 

二人の服装はスマートブレインの直営の高校『スマートブレインハイスクール』の女子用の制服で、金色の髪を編んだ髪型の少女と、活発な印象を与える黒いロングヘアーの少女。

 

 

「彼女達が切り札ですか? それに…それはまさか!?」

 

 

「ええ、我々が所持する北崎さんの『オーガ』、私の『サイガ』とは別の調律のベルトの適合者…。」

 

 

金色の髪の少女が前に出て一礼する。

 

 

「彼女が『アルフォス』のベルトの適合者。」

 

 

「『佐原(さはら) 茜(あかね)』です。」

 

 

自分の名を名乗り、そのまま後ろに下がる。茜と入れ代わる様にロングヘアーの少女が前に出る。

 

 

「彼女が『ガルオン』のベルトの適合者。」

 

 

「『時川 みさき』です。」

 

 

自分の名を名乗り彼女…みさきもまた一礼して茜と並ぶ様に立つ。

 

 

「待ってください、彼の説得なら私達でも…。」

 

 

「ヤダなぁ~。ぼくも彼と遊びたいのに。」

 

 

「すみません、彼女達に動いて頂くのには理由がありましてね。実は皆さんには別にお願いしたい事が有るんです。」

 

 

「お願いしたい事?」

 

 

「ええ…。人間とオルフェノク以外にも存在している様なのですよ…第三の存在が。」

 

 

 

 

 

絡み合う物語…思惑…新たな戦士たる二人の少女…そして、赤き閃光の騎士『仮面ライダーファイズ』…浩平は出会う…新たな物語を紡ぐ少女達と…。

 

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