ネタ短編集   作:龍牙

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仮面ライダーオーズ ~満たされぬ者~ 後編

「オォォォォォォォォォオオ!!!」

 

 

「っ!?」

 

 

振り下ろされる爪を避け、時にメダキャリバーで受け止めながらヴァルトから距離を取るオーズ。手持ちのメダルは変身に使用している三枚を除けばアンクに返し忘れた『カマキリ』と『チーター』の二枚とヴァトルから渡されたヴァトル自身の『ドラゴン』のメダルの三枚。

 

 

使う心算はないが、『ライオン』と『クワガタ』のメダルが無い以上、手持ちのメダルの組み合わせでは強力な一手となる二つの『コンボ』は使えない。

 

 

「どォうゥしたァ、その程度かァ!?」

 

 

「まだまだ、この後ヤミーを倒さなきゃならないんだ、あまりお前と遊んでられないんだよ、こっちは!!!」

 

 

オーズはドライバーからトラメダルを外しカマキリメダルへと取り替え、オースキャナーでスキャンする。

 

 

 

『タカ! カマキリ! バッタ!』

 

 

 

そんな声と共にオーズの上半身が緑色のカマキリアームに変わり、『タカキリバフォーム』へとチェンジする。

 

 

「本番はここからだ!!!」

 

 

「ふふふッ、そうだぁ! そうでなければ、面白くないぃ!!!」

 

 

逆手に構えたカマキリソードを振るい連続でヴァトルへと切り掛かるが、ヴァトルはオーズの斬撃を受けながらも防御を放棄し、カウンターの形でオーズの体にパンチを叩きつける。

 

 

「ガァ!!!」

 

 

「ッ!?」

 

 

それぞれ、パンチと斬撃を受け、そのまま後へと吹き飛ばされるオーズと数歩ほど後退するヴァトル。

 

 

「こいつ…。」

 

 

「どうした、その程度か? では、此方から行くぞ!!!」

 

 

そう宣言し、ヴァトルが翼と両腕を大きく広げると、三つの黒い火球が出現し、それらが一斉にオーズへと向かっていく。

 

 

「くっ!? (今のスピードじゃ対抗できないか。だったら…。)」

 

 

慌てて横に飛びながら避けて、ヴァトルへの対抗策を考え、ベルトからカマキリとバッタのメダルを外し、トラとチーターのメダルを再装填する。

 

 

 

『タカ! トラ! チーター!』

 

 

 

カマキリアームからトラアームへと戻り、足は緑のバッタレッグから黄色いチーターレッグへと変わり『タカトラーターフォーム』とへ姿を変える。

 

 

再度火球を出現させるヴァトルに対してオーズは前腕部にトラクローを展開させ、前方に体重をかけ、

 

 

「フッ!」

 

 

オーズへと向けて一斉に火球を放つ。それを合図にスチームを噴出しながら最高速でオーズはヴァトルの放つ火球をジグザグに走りながら避け、ヴァトルとの距離を詰める。

 

 

「なるほど! グッ!」

 

 

ヴァトルとのすれ違い様にトラクローを一閃し、後方で一度動きを止めると地面を蹴り、再度ヴァトルへと向かっていく。

 

 

「同じ手が二度も通用すると思うな!」

 

 

「思わねぇよ!」

 

 

ヴァトルの一閃する爪を直前に横に避けて真横からキックを放つ。そして、背後を取ると翼を掴み背中にチーターレッグのスピードを利用した連続キックを叩き込む。

 

 

「これでどうだ!!!」

 

 

「ガァッ!!! 調子に…乗るなァ!!!」

 

 

「なに!?」

 

 

反撃できないであろう背中からの連続キックに対してヴァトルは至近距離で火球を爆発させる事で反撃する。

 

 

「クッ!!!」

 

 

「ガァ!!!」

 

 

当然ながら、自身の能力とは言え至近距離での爆発がダメージにならない訳が無い。共に火球の爆発の衝撃によって吹き飛ばされるオーズとヴァトル。

 

 

「こいつ…躊躇なく自分まで巻き込むか?」

 

 

立ち上がりながら思わずそう言ってしまうオーズだった。

 

 

「ハハハハァ!!! 痛みが無い戦いがある訳が無い、傷つく事を恐れて楽しめる戦いが無いだろう? この痛みこそが戦う事の醍醐味だろう!? もっと楽しませろ、オォォォォォォォォォォォォォオオオオオズゥ!!!」

 

 

狂喜の笑いを浮かべながら再度オーズへと接近戦を挑むヴァトルに対して、ヴァトルのラッシュに吹き飛ばされながら、メダキャリバーを回収、三枚のセルメダルを装填し、

 

 

「悪いけどな……オレをお前の様な狂戦士(バーサーカー)と一緒にするな!!!」

 

 

ヴァトルの言葉にどうしてもそう言いたかったオーズだった。

 

 

メダキャリバーを構え、トラクローを展開したままチーターレッグの生み出すスピードを武器に切り掛かる。それに対してヴァトルは攻撃を受けながらも時には自身の拳で、時には火球で正確にオーズへと反撃を与えていく。

 

 

「これでどうだ!?」

 

 

 

『トリプル・スキャニングチャージ!』

 

 

 

並みの攻撃では通用しないと考え、オーズの狙いであった強化された必殺の剣戟、全フォーム共通のメダキャリバーを使う必殺技『オーズバッシュ』を放つ。

 

 

「グゥ!!!」

 

 

強化された剣戟が空間毎ヴァトルを切り裂き、空間の修復と共に対象となったヴァトルだけが切り裂かれる。はずだった。

 

 

「なにッ!?」

 

 

「グ…グォォォォォォォォォォォオオ!!!」

 

 

咆哮と共にヴァトルの空間が修復され、周囲の空間が切り裂かれる。

 

 

「今のでも駄目か、こいつ!? …本格的に化け物だな…。」

 

 

「今のは危なかったなぁ~。」

 

 

必殺技の直撃にも耐え、狂気の笑みを深めながらヴァトルは尚もオーズへと向かう。

 

 

「ッ!? こいつ!!!」

 

 

オーズはチーターレッグのスピードを活かし、ヴァトルの攻撃を避けながらメダキャリバーによる反撃を加えていく。だが、

 

 

「はぁ…はぁ…。」

 

 

「アハッハハハハッ!!! なるほど、奴ほどじゃないが、中々楽しいなぁ! オォォォーズゥ!!!」

 

 

(…こいつ…完全に遊んでる。)

 

 

意気の上がっているオーズに対して狂喜の笑みを浮かべながら叫ぶヴァトル。明らかに目の前のグリードのその態度と様子から考えて『遊んでいる』と言う考えが浮かぶ。

 

その考えも間違ってはいないだろう。グリードはヤミーとは実力は愚か、存在自体が違う。それから考えるとヴァトルはオーズが戦えるレベルまで手加減した上で戦って遊んでいるのだ。

 

狂戦士(バーサーカー)と呼べる狂気を纏っていながら、相手の力量に合わせて手加減する程の冷静さも維持していると考えられるだけに本気を出されれば…否、自分との戦いに飽きられればその時点で敗北が確定すると考えられる。

 

 

(…賭けて見るか…一か八かの策に。)

 

 

そう考えて取り出すのはヴァトルから渡された『ドラゴン』のコアメダル。『毒を持って毒を制す』と言う訳ではないが、ドラゴンのメダルの力は完全に未知の物であり、ヴァトル自身の力を使って本人に対抗出来るかどうかは完全に賭けだ。だが、有効な手が無い以上、今はこれに賭けるしかない。

 

 

「さあ、今度はどんな手を使う? コンボは使わないのか?」

 

 

「悪いが、アンクの奴が必要なメダルを持っててな。だから、これを使わせてもらう!」

 

 

 

『タカ! ドラゴン! チーター!』

 

 

 

トラメダルを抜き取り、ドラゴンメダルを装填し、三枚のメダルをオースキャナーでスキャン。そして、オーズの上半身が黒く染まる。

 

 

「オォォォォォォォォォォォォォオオオ!!!」

 

 

オーラングサークルの中央が黒い龍の絵に変わり、両肩が爪を模した様な金色の鎧に包まれ、両腕には龍の頭を象った様なガントレット『ブレスナックル』を装着した上半身『ドラゴンアーム』へと変わる。それが、闇の力を司るヴァトルのメダルの力を使い得た力『仮面ライダーオーズ・タカドラターフォーム』。

 

 

「クックックッ…アーハッハッハッハッ!!! そうか…使ったか…オレの力をォ!!!」

 

 

(っ!? なんだ、これは!? 単独でしか使って無いって言うのに、気を抜いたら、メダルの力に飲み込まれる!?)

 

 

「さあ、どこまで使えるか見せて貰おうか!?」

 

 

「チッ!!!」

 

 

ドラゴンメダルが与える力に飲み込まれそうになる中、舌打ちし、オーズの都合などお構い無しに自身へと向かって来るヴァトルを迎え撃とうと拳を向け、地面を蹴りヴァトルを迎え撃つ。

 

 

ヴァトルの振るう爪を避けチーターレッグのスピードで一気に懐に飛び込むと、ブレスナックルを着けた腕でのパンチを放とうとした瞬間、ブレスナックルの後方から黒い炎が噴出しパンチを加速させる。

 

 

「ガァ!!!」

 

 

「なるほど…これがお前のメダルの力か!!!」

 

 

ドラゴンアーム…両腕に装備されたブレスナックルの後方から噴出される炎によってパンチ力の強化を行う。接近戦での戦闘力に特化している。そして、本来の力はコンボによって最大限に発揮される。

 

 

「どんどん行くぜ!」

 

 

「ガァ!!!」

 

 

左腕のブレスナックルからも炎が噴出しヴァトルへとパンチが叩き込まれる。パンチによる連続攻撃が続く中、前方からも炎が噴出した事によりオーズのラッシュの速度が増していく。

 

 

「オォォォォォォォォ!!!」

 

 

「調子に乗るなぁ!!!」

 

 

噴出す炎の出力が増し、最大限に加速されたオーズの右ストレートとヴァトルのパンチが交差し、クロスカウンターの形で互いの体へと突き刺さる。

 

 

その衝撃によって弾き飛ばされるオーズとヴァトル。そして、地面を転がりながらオーズの変身が解除される。

 

 

「クックッ…終わりの様だな、オーズ。ガァッ!?」

 

 

立ち上がりながら嘲笑の笑みを浮かべた瞬間、ヴァトルは苦しみ始める。

 

 

「ああ、終わりだ。これでな。」

 

 

それに答えるように立ち上がりながら、総麻が握っていた手を開くと、そこにはドラゴンのメダルを含む三枚のコアメダルが存在していた。

 

 

「クックッ…最後の一撃でオレのメダルを手に入れたか。」

 

 

そう告げるヴァトルの体の表面が崩れ落ち、簡素な姿へと変わる。

 

 

「教えてやろう…犠牲者を出さすに、私のヤミーを倒す方法を。」

 

 

「……………。」

 

 

ヴァトルの言葉に総麻は睨みつける事で答える。

 

 

「そんな顔をするな。嘘は言わない。…その方法は二つ存在する。一つは『あいつ』のメダルの力を使うか、一つはオレのメダルを使ったコンボを使うかの二つだ。」

 

 

「お前のメダルのコンボだって!? よし。」

 

 

ヴァトルの言葉に思わず手元のメダルへと視線を向ける。メダルは三枚…そのメダルは全て違う絵柄が描かれたメダル。コンボに必要なメダルは全て揃っている。

 

 

「その様子ではコンボに必要なメダルは揃っている様だな。見せて貰おうか…お前がかつての封印の戦士が命を落とした力を使えるのか? それとも、己の命を拾って他者の命を奪う選択を選ぶか。」

 

 

そう告げたヴァトルは総麻へと背中を向け、跳び去っていく。

 

 

「…なるほど…危険な賭けか。」

 

 

ヴァトルの姿が見えなくなると、三枚のメダルへと視線を落としながら、ヴァトルの言葉で得た答えを呟く。賭けるのは己の命。

 

 

「やるしかないか。」

 

 

握り締めるのはドラゴンを含めた三枚のコアメダル。まだダメージの残る体を引きずりながらライドベンダーへと乗り込み、アンクから連絡が有った場所まで走らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつ、何処で遊んでる?」

 

 

苛立ちを覚えながらアンクが暴れまわるグリフォンヤミーの姿を見ていると、後からライドベンダーのエンジン音が響いてくる。

 

 

「やっと来たか、何をやっていた!?」

 

 

「そう怒るなって、これをやるから機嫌直せ。新しいグリードに襲われてたんだ。」

 

 

「なに? これは?」

 

 

そう言って先ほど手に入れたドラゴンのコアメダルを一枚アンクへと投げ渡す。

 

 

「…あと…終わったら、今日は一日何もしたくない気分だ。帰って、フェイトへの説明が終わったら、もう寝る。」

 

 

連戦が続き完全に総麻の体に残っている疲労は大きい。今の状態でしたくない賭けではあるが、しない訳には行かない。………賭けに負けて永遠に休む事になるのだけは勘弁して貰いたいが。

 

 

「変身!」

 

 

 

『タカ! トラ! バッタ! タ・ト・バ!♪ タトバ!♪ タッ・トッ・バッ!♪』

 

 

 

「はぁッ!!!」

 

 

オーズへと変身し、グリフォンヤミーの背中に飛び蹴りを放ち、自分へと攻撃の対象を向けさせる。

 

 

「さあ…この力、使わせてもらう!!!」

 

 

三枚のメダルをそれぞれ別のメダルに入れ替え、オースキャナーでスキャンする。

 

 

 

『フェニックス!』

 

 

 

タカメダルを不死鳥の絵が描かれた『フェニックス』のメダルに、

 

 

 

『ドラゴン!』

 

 

 

トラメダルをドラゴンメダルに、

 

 

 

『ペガサス!』

 

 

 

そして、バッタメダルを羽と馬を象った天馬を表す絵が描かれた『ペガサス』のメダルへと入れ替える。

 

 

 

『フェ!♪ ドラ!!♪ サス!!!♪ フェドラ♪ フェドラサス!!!♪』

 

 

 

「オォォォォォォォォォォォォォオオ!!!」

 

 

オーズのオーラングが黒く染まり、頭が黒と赤でフェニックスを模した頭『フェニックスヘッド』に代わり、体がドラゴンアーム、下半身が白い翼の様なパーツを着けた黒と白の色彩を持った『ペガサスレッグ』へと変わる。それが、ヴァトルの闇の力を得たコンボ『フェドラサスコンボ』、『仮面ライダーオーズ・フェドラサスコンボ』。

 

 

自身に近づいてくるグリフォンヤミーの体にブレスナックルの強化されたパンチを打ち込み、吹き飛ばし、右腕を真上へと上げる。

 

 

すると何処からか小型の短剣が二枚現れ、背中に装着され翼となる。

 

 

フェニックスヘッドの能力はフェドラサスコンボ時の翼となる武器『ストライクフェザー』のコントロール。ストライクフェザーはフェニックスヘッドで自在に操る事が可能で有り大きさを自在に変化させ、トンファー等の武器に変形させる事も出来る。

 

 

ジャンプと同時にペガサスレッグの翼上のパーツが広がり、より高くジャンプする。高い跳躍力とコンボ時にはストライクフェザーの飛行による短時間の飛行を可能とする能力を与える。

 

 

上空でグリフォンヤミーへと向けたブレスナックルを装備した腕から噴出す黒い炎がブレスナックル全体を多い、黒い炎を纏った拳がグリフォンヤミーに叩きつけられる。

 

 

「っ!?」

 

 

グリフォンヤミーの体が吹き飛ばされた時、一瞬、核となった男と体が別れる。

 

 

これこそがフェドラサスコンボの能力の一つ、人が取り込まれた時にもヤミーにのみダメージを与えられる特殊な力。己の命を賭ける事により、傷付ける事無く、犠牲者を救う事の出来る力。

 

 

 

『スキャニングチャージ!!!』

 

 

 

「これで…決める!!!」

 

 

背中のストライクフェザーから黒い炎が伸び、両肩の爪状のパーツが前方を向き、足の翼状のパーツが広がり、そのまま大きくジャンプする。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」

 

 

三つの黒い輪がオーズとグリフォンヤミーの間に現れ、輪を潜る度にオーズの全身を包む黒い炎が大きくなり、形をフェニックス、ペガサス、ドラゴンと形を変えていく。

 

 

そして、オーズが打ち抜いた瞬間、グリフォンヤミーから核になっていた男が切り離され、グリフォンヤミーが上空に浮かび上がり、そのまま爆散し、セルメダルを撒き散らす。それが、フェドラサスコンボの必殺技『フェドラシスキック』。

 

 

「なに!?」

 

 

飛び散るセルメダルをアンクが集めようとした瞬間、それらのセルメダルは一斉に別の場所へと向かって飛んでいく。

 

 

「お前ぇ!!!」

 

 

「悪いが、セルメダルは回収させてもらった。」

 

 

アンクが向けた視線の先には、メダルへと手を翳し、回収しているグリフォンヤミーを生み出した本人であるヴァトルの姿があった。

 

 

「ヴァトル!! ガハァ!!!」

 

 

「無理をするな。上手くコンボは使ったようだが、その程度ではまだ100%とは行かないが。まあ、それでも最低限の事は出来たようだな。」

 

 

ベルトが外れ強制的に変身が解除され、その場に膝を着く総麻を満足気な笑みを浮かべ眺めながら、ヴァトルは背中を向ける。

 

 

「及第点はくれてやろう。私のコアメダルは預けておく…私に倒されるまでは奪われるなよ。オーズ…いや、ソウマ。」

 

 

そう言い残し立ち去っていくヴァトルの姿を眺めながら、総麻は意識を手放していく。

 

 

「なんだったんだ、奴は?」

 

 

「さあ……な…。」

 

 

「総麻!」

 

 

アンクの言葉にそう答え、限界を迎えて意識を手放す寸前、彼を心配するフェイトの声と姿が視界の中に映る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所…

 

 

「オーズ…中々楽しめる相手だったな。」

 

 

「あら、ヴァトル。貴方がそこまで評価するなんてね。」

 

 

ヴァトルの背後から穏やかな女性的な声が響く。

 

 

「『セイヴ』、お前か?」

 

 

「ええ。この姿だから分からなかったかしら?」

 

 

青い髪の女性の姿を借りたグリード『セイヴ』はニコリと笑顔を浮かべながら、ヴァトルの言葉に答える。

 

 

「人間の中で目立たない様にするのに、随分前から借りているんだけど、中々気に入っているのよ? 少し借りるのが遅かったら、危ない所だったけどね。」

 

 

「相変わらず変わり者だな。」

 

 

「あら、私は純粋で綺麗な欲望や、そんな気持ちを持っている人が好きなだけよ。グリードらしくていいでしょ?」

 

 

「…人間もお前も何故欲望を区別したがるのか…理解できないな。」

 

 

呆れたような表情をセイヴへと向けてヴァトルは歩き出す。

 

 

「どこに行くの?」

 

 

「この世界に呼んだグリード達にだ。『奴』が蘇る前に挨拶に行こうと思ってな。手土産も作れた事だ。」

 

 

そう言って姿を消すヴァトルの背中を眺めながら、セイヴは空を見上げる。

 

 

「そう。彼はまだ蘇ってないのね。危険な『混沌』のグリード…『ゼウォス』は。オーズ、貴方なら彼を倒す事は出来る…私の力を託す事は出来る?」

 

 

何処か悲しげにセイヴはそう呟いた。





セイヴ

光を司る聖獣系グリード。名前の由来は「セイブ(救い)」。

天使をイメージさせる本来の姿を持ち、高いスピードと剣を使った戦闘力を持ち、人間やヤミー、グリード等を回復させる能力を持つ、本人は戦闘は好まない性格の為に発揮される事は無い。

セイヴのヤミーは人間にメダルを投与し、最初から完全体の姿で生まれる。善意に関する欲望を持っている人間を好んでヤミーを生み出している為に、オーズにしてみれば、倒すに倒せない相手。(例を上げるとレスキュー隊員等からヤミーを生み出すと、人命救助を始める等)

グリードの中では純粋で綺麗な欲望を好み、人を好いている心優しい性格。但し、悪人や醜い欲望を持った人間対しては冷酷になる。

普段は偶然に命を落とす直前のクイント・ナカジマの体を借りて活動している。(表向きには死亡したようになる様に工作していた為、記録上は死亡した事になっている。)

活動時期は他のグリード達よりも早かった様子で、『ゼヴォス』と呼ぶ混沌のグリードの存在を恐れている。
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